052D型駆逐艦

 中国の新型052D型駆逐艦に関する評価で、「アドルフ2世」氏のページですが執筆者は別のようです。

http://adaofu2.blog.china.com/201209/10151485.html


中国の新型052D型駆逐艦進水 多くの全く新しい技術を使用

052D艦は「チョコレート」と呼ばれる四角型の垂直発射システム、新式の主砲を採用しており、かつフェイズドアレイレーダーの外殻に変化が発生し、同時にヘリ格納庫が左側から中央部に移動し、以前の052C(170、171艦などがすでに就役)と一定の差異がある。同時にこれらの新技術は中国工業のここ何年かの最新の成就でもある。052D艦の最近における進水とともに、建造序列の中において新駆逐艦は052C型の改良型であって未来の大型駆逐艦ではないとの真相がついにすっかり明るみに出、大型駆逐艦については我々はまだ降臨を待つ必要がある。

052D型駆逐艦の垂直発射システムは、052Cのターンテーブル式円形発射筒から四角型発射筒に改められたが、この発射筒は054A型に比べ明らかにより巨大である。052Dが採用する大型垂直発射システムは、遠距離対艦ミサイルと巡航ミサイルを発射することができる。この艦のもう1つの重要な外形の改良は、垂直発射システムが052Cのターンテーブル式円形発射筒からチョコレート状の四角型発射筒に改められたことである。だがこの発射筒は054Aのチョコレートとも非常に大きな差異があり、筒本体が非常に巨大で、アメリカの新世代MK-57垂直発射システムのサイズと比べてさえより巨大である(頑住吉注:どう考えても話の展開がおかしく、一部省略されていたり、あるいは本来のキャプションや小見出しが本文中に入ってしまっているのではないかと思われます)。

052Cの前部には本来36発のリボルビング式垂直発射システムが装備されている。それ自体の占めるスペースがすでに相当に巨大で、MK-41あるいは054Aが使用する垂直発射システムに換えれば64発前後が装備できるが、新システムに改めると32発だけになる。この種の大型化された垂直発射システムは将来の発展の趨勢であり、例えばアメリカのMK-41やヨーロッパの「シルバ」のような伝統的汎用垂直発射システムは21インチ弾径クラスのミサイルしか使用できないが、将来のスタンダード-3対ミサイルミサイルの直径は24インチ以上に達し、このためアメリカはやっとより大型のMK-57システムを設計して、より大きなクラスのミサイルを収納したのである。

国内では現在同心円式冷熱汎用垂直発射システムを採用しており、冷垂直発射(頑住吉注:圧縮空気などにより発射してから空中でエンジン作動)と熱垂直発射(頑住吉注:ミサイルのエンジンに点火して発射)システムを兼ねることができる。熱発射垂直発射システムはミサイル発射時の排炎量をコントロールする必要があり、このため対空ミサイルの高性能固体ロケットエンジンは発射段階で推力が制限される。一方冷垂直発射システムはエンジンの信頼性に対する要求が比較的高く、巡航ミサイルなどの固体ブースターに対しては明らかに浪費が過ぎる。これらを結合した冷・熱兼用垂直発射システムは冷発射を採用して大型対艦ミサイルを発射することもできるし、熱発射を使用して巡航ミサイルなどを発射することもでき、最も良好な互換性がある。

艦首部の32発のミサイルの他に、ヘリ格納庫前方にもこの発射装置が配置され、その数量は現在不詳で16発と32発がいずれもあり得る。同時に対艦ミサイル傾斜発射装置はなくなり、対艦ミサイルは垂直発射システム内から発射されることになる。全体的に言って、052Dは(頑住吉注:ミサイルが大型化したにもかかわらず)基本的に052Cに近いミサイルの数量を保持している。私個人は64発説に傾いている。

052Dは全く新しい130mm艦砲を採用し、制御誘導砲弾が使用できる。この艦はさらに本来の100mm単装艦砲を130mm単装艦砲に換えている。100mm単装艦砲は、フランスが1980年代に研究開発した高発射速度コンパクト型100mm艦砲由来で、同クラスの火砲最高の発射速度を実現しているが、それのもたらすマイナス面の効果も多い。第二回目の給弾のシステム信頼性が比較的劣り、この砲の発射速度に充分な威力を発揮させていない。中国がこの砲を導入した時、それはまだ定型に至っておらず、それ自体に相当多くの問題を残していた。設計・生産定型後、フランス海軍自身もこの火砲を装備することはなく、サウジアラビアのリヤド級護衛艦の輸出にのみ用いられた。また、この砲が採用しているのはフランス式100mm砲弾で、ストレートの薬筒を採用しており、過去に使用した100mm砲のボトルネック薬筒ではなく、発射薬のスペースが相当に少ない。伝統的100mm艦砲と弾薬が兼用できず、しかも砲弾の重量もより軽く、威力は旧100mm砲弾に比べ相当小さい。制御誘導弾薬の使用にも不利である。このため、単装100mm艦砲の海軍における使用数は多くなく、しかも将来は130mm単装艦砲と76mm速射艦砲に取って代わられることになる。

052D型駆逐艦は新型放熱システムを採用し、元々の弧型レーダーカバーはなく、軽便な平板レーダーカバーを採用している。052D型駆逐艦は世界で初めて平板フェイズドアレイレーダーを採用した駆逐艦となる。

新式駆逐艦の最もはっきりした特徴は、その多機能4面アクティブフェイズドアレイレーダー(AESA)で、本来の円弧外部カバーが平板外部カバーに改められ、これは1つの非常に重要な改良点である(頑住吉注:このあたりも元々キャプションだった臭いですね)。

現在まで、現役の艦用の比較的大型のアクティブフェイズドアレイ多機能レーダーの外部カバーにはいずれも円弧状の設計が採用されている。例えばドイツのAPARレーダー、日本のFCS-3レーダーで、アメリカの未就役のAN/SPY-3レーダーだけが平板外部カバーを採用している。これは中国のアクティブフェイズドアレイレーダーの科研・生産技術レベルに非常に巨大な向上があったことを示す。

アクティブフェイズドアレイレーダーは過去のパッシブフェイズドアレイレーダーが発射機とアンテナが分離した設計を採用していたのとは異なり、発射機がアンテナ上に分散配置されている。このようなアンテナが、過去の艦体内に内蔵された発射機の躯体(最大の熱発生源になっていた)に取って代わった。アンテナのスパンが大きく厚みが薄いため、熱発生源が分散している。このためこれに対する放熱が最大の問題となり、容易に放熱不均衡が起き、それぞれのアレイ素子の異なる作動状態の発生がもたらされレーダーの性能に深刻に影響する。過去のアクティブフェイズドアレイレーダーは全て高圧送風機を採用してアンテナ外表面の温度を下げてバランスを取っていた。熱バランスの問題は解決されたが、空冷システムの放熱能力は終始液冷にははるかに及ばない。またアレイ面の総出力の上昇が制限され、アクティブフェイズドアレイレーダーのパッシブフェイズドアレイレーダーに対する最大のメリットである巨大な出力を完全に発揮するのは難しい。最新技術の発展につれ、完備された液冷システムによって熱量のバランスが保証できるようになった。同時により高い放熱効率を提供し、極めて大きくレーダーの性能が向上でき、さらに一歩、例えばAN/SPY-1のようなパッシブフェイズドアレイレーダーを引き離させる。

052Dのヘリ格納庫の位置が調整され、後部の730近接防御砲がなくなった (頑住吉注:730近接防御砲とは口径30mm7本バレルのバルカン形式で、最大で毎分4200発の発射速度があります)

艦尾方面では、本来サイドに置かれていたヘリ格納庫が艦体の中心線に移された。このようにするとより大きなヘリ格納庫が使用でき、しかもヘリの入庫、出庫の操作も大きく簡略化された。旧052Cでは、730近接防御砲の射界問題に配慮するため、これを艦尾の中心線に置くことが必須で、またその砲塔下に比較的大きなコンパートメントがあって格納庫とぶつかり、格納庫が左に移ることが強いられた。一方新しい052Dは中央に置かれたヘリ格納庫を採用した。これはその後部の730近接防御砲がなくなり、アメリカの「ラム」に似た新式近接防御ミサイルがこれに代わったためでもある。これは甲板下のコンパートメントの設置が不要で、ヘリ格納庫の配置に便利になった。

艦体方面の変動は比較的小さい。基本的にはその本体の形は052Cと同じで、小艇庫が煙突両側からヘリ格納庫の両側に移っただけである。この方面から判断して、052Dの排水量は052Cと基本的に同じで、動力システムにも2台のディーゼルエンジンと2台のガスタービンエンジンの交代(CODOG)動力システムが採用されている。

全体的に言って、052Dは052級駆逐艦を基礎にした大規模グレードアップである。中国海軍艦艇の建造はずっと、全て小刻みな早足で、徐々に向上する思想であり、駆逐艦の発展も同様なのである。 (頑住吉注:ここまでとこれ以後は本来別の記事だったような感じです)

将来の新型駆逐艦は総合電力推進方式を採ることになる

現在の大型駆逐艦、主にアメリカのDDG51「アーレイ・バーク」級ファミリー、およびその数が過小評価できない外国の模倣艦、すなわち日本の「こんごう」級、「あたご」級、そして韓国のKDX-3「世宗大王」級はイージス作戦システム、SPY-1パッシブフェイズドアレイレーダー、4台のLM-2500ガスタービンエンジンからなる全燃連合動力システム(COGAG)を採用し、排水量は8,700〜11,000トンの間であり、現在世界で最も先進的な水上作戦艦艇である。その設計時に採用したのは最も先進的な技術だったと言えるが、20年余り後の今日、その全体方案はすでに遅れたものになり、しかも先進的技術に向けたグレードアップポテンシャルも欠乏している。主な問題はその動力システムに集中的に反映されている。アーレイ・バークは4台のLM-2500ガスタービンエンジンを採用し、高速性能が良く、加速がよく、寿命が長く、維持メンテナンスが簡単である。だがその全燃連合方式は燃料消費が極めて多く、巡航状態では2台のガスタービンをそれぞれ作動させる比較的低い作動状態を採用し、このようにすると出力あたりの燃料消費率が全出力状態に比べ倍、甚だしきに至ってはさらに多くなり、その航続特性を大型艦艇中最も劣るものに属させ、20ノットの航行速度で4500海里の航続距離しか維持できない。

同時にそのレーダーシステムの大量の電力消耗はその発電グループにも大量の燃料を消費させる。しかも新しいアクティブフェイズドアレイレーダーと指向性エネルギー(頑住吉注:レーザーなど)兵器は大量の電力を必要とし、その電力システムは平時でもより大きな出力の持続作動を保持しない限り必要を満足させられず、これの航行に対する経済的影響は同様に極めて大きい。このためアメリカはこれを基礎に多くの改修を行い、新しいアーレイ・バークIII駆逐艦の建造を開始して新技術の必要に適応し、総合電力システムなどの導入を始めた。だが最もよい方法はDD(X)ズムウォルト級やイギリスの45型と同じ総合電力推進方式の採用であり、電力供給効率の向上と同時に、エンジンをより高い作動状態に置いて燃料消費を減らすことができる。

艦用エンジンシステムが中国大型駆逐艦の発展を制約している

この問題は中国にはより厄介に反映している。既存のQC-280ガスタービンエンジンの出力は26,000〜28,000kwに達し、LM2500の18,500kwよりはるかに大きい。一方新式駆逐艦は14,000トンに達すると考えられ、その出力上の必要は実は「アーレイ・バーク」級の75,000kw前後に相当するに過ぎない。こうだとすると、もし直接機械式トランスミッションを採用すると2台を使うと出力不足、4台を使うと明らかに動力過剰となる。このため総合電力推進システムの採用が必須で、これでやっと必要を満足させることができる。これは新式大型駆逐艦最大の障害をも明らかにしている。総合電力推進システムは現在の造船工程の最先端技術であり、現在までに軍用作戦艦艇ではイギリスの45型駆逐艦だけがすでに就役しており、一方アメリカのDD(X)ズムウォルト級はまだ建造中である。

同様に、その他の設備にも変化がある。「アーレイ・バーク」級が採用するMK-41垂直発射システムは現在最も広範に使用され、最も先進的な垂直発射システムでもあるが、これはすでに完全に現代ミサイル発射の必要性を満足させられなくなっている。このためアメリカはMK-57大型垂直発射システムの研究開発を開始しており、将来はDD(X)および換骨奪胎した「アーレイ・バーク」flight III駆逐艦に使用されることになる。中国も大型同心円冷・熱汎用垂直発射システムを研究開発した。もし伝統方式に従えば、日本が建造した「あたご」、韓国が建造した「世宗大王」同様に、就役後即遅れたものになるという苦境に直面する可能性が高い。

中国はすでに総合電力推進システムの研究開発を開始するも進展は緩慢

2000年から建造されている052系列駆逐艦は、052Bに新しい艦体建造技術、QC280ガスタービンエンジンなどを応用し、また052C国産のイージス作戦式システムに類するもの、アクティブフェイズドアレイレーダー、垂直発射先進対空ミサイルを応用し、052Dではさらに新式アクティブフェイズドアレイレーダー、大型垂直発射システムと大口径艦砲を検証した。これらの一歩ごとはいずれも大型次世代駆逐艦実現のための基礎である。現在最大の問題はやはり、中国の総合電力推進システムの進度の緩慢さにあり、ごく近いうちにはまだ投入、使用はできない。工程院の会員馬偉明少将が指揮する課題プロジェクトグループは20兆ワット推進発電機の架台試験を終えたばかりで、投入、使用までにはまだ相当長い時間がかかる。その成熟前、新式大型駆逐艦の建造は大きな難題に遭遇することになる。

だが全電推進技術の場合、現在の技術的進度に照らせば2015年までには建造が開始されるのが比較的正常な進度に違いなく、何年も過ぎないうちに我々は国産先進大型駆逐艦の誕生を見ることになる。


 レーダーに関する知識が皆無など、制約により理解できない部分もありますが、052Cに使用される100mm砲の信頼性に問題があるなど本筋以外にも興味深い記述が多かったです。052Dは出現当初はこれが期待される1万トン級大型駆逐艦かと騒がれ、その後「やや大きい」程度だという説が主流になりましたが、この文章では「基本的にはその本体の形は052Cと同じで、小艇庫が煙突両側からヘリ格納庫の両側に移っただけである。この方面から判断して、052Dの排水量は052Cと基本的に同じ」ということになってしまっています。私には既存のシステムのガスタービン4台装備で出力過大なら適正になるまで艦を大型化すればいいのではという疑問が解決できませんが、この記述通りなら大型駆逐艦の出現はしばらく先ということになるようです。

 私が1万トン級説を信じた最大の理由は従来の100mm砲から130mm砲に変わっていることでした。口径が〜倍になれば、砲弾の体積、重量は〜の3乗倍になり、単純に100mm砲弾と130mm砲弾が相似形だと仮定すると、砲弾の体積、重量は2.2倍近くになり、とても同クラスの艦には積めないだろうと思ったわけです。結果的には052Cの100mm砲装備は控えめ過ぎるものだったということでしょうか。それはともかく、「今時『重砲装備の艦』?」で紹介した、比較的小型の艦に127mm砲を装備する提案がある意味実現したとも言え、間接的にでも130mm砲開発、装備と関連があったのか気になります。











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