054護衛艦は何故タイ海軍に選ばれなかったのか

コラムでも触れた、中国護衛艦がタイ海軍のトライアルで韓国製に敗れた件に関するより詳しい記事です。

http://military.china.com/jqsj/014/index.html


054艦は何故韓国の軍艦にかなわないのか?

中国軍艦、タイ国兵器購入契約と縁なし

イントロダクション タイ国の「バンコクポスト」4月21日の報道によれば、タイ国ロイヤルネービーはすでに韓国海軍艦艇メーカーによって1隻の新たな護衛艦を建造するよう選択し、総費用は130億タイバーツ(約29億人民元に相当)である。一方、この前コストパフォーマンスが極めて高いためタイ国海軍に購入される可能性が最も高いとされていた中国の054護衛艦は悲惨なことに淘汰に遭った。これには一体どんな原因があったのか?

中韓両国の護衛艦の優勢を対比する

イギリスの「週刊ジェーン安全保障業務」ウェブサイト1月29日の報道は、タイ国と中国はすでに談判を行っており、中国サイドはタイ国に向け3隻の054型護衛艦を販売する計画であるとした。ジェーンは、中国はタイ国向けに054型江凱級護衛艦を推薦し、アメリカ、ヨーロッパあるいは韓国と正面から競争しており、タイ国海軍はアメリカ、ヨーロッパ、あるいは韓国の軍艦を購入する方に傾いているが、タイ国政府は中国から買う方に傾いており、054型護衛艦はその他のいくつかの方面からの軍艦より優れていると考えている、としていた。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「054A型ミサイル護衛艦」)

中国の軍艦技術は先進的で価格は安い

054は世界先進レベルの護衛艦で、054と「江衛」級を基礎に建造され、かつ国産の052B、052C、051Cなど新しい軍艦の多くの長所が融合され、その先進性はフランスのラファイエット級護衛艦と比較することができ、日本のたかなみを超えている。最も注意するに値するのは、054A護衛艦がすでに2基のH/I周波数帯MR90照射レーダーを装備していることである。MR90照射レーダー装備後、HQ16艦対空ミサイルは1回に4つの空中目標を攻撃できるようになった。054A級ミサイル護衛艦は全部で32発のHQ16艦対空ミサイルを装備し、中国の現役のあらゆる海軍護衛艦の中で、艦対空ミサイルの数でも射程でも、また反応速度から言っても、054Aの防空能力は最強である。054Aは4連装C-802対艦ミサイル1基を装備し、対艦作戦能力は驚異的である。前甲板にはロシアのAK-76にならった76mm砲1門が装備され、発射速度は毎分120発で、対空、対艦射撃ができる。両舷側にはそれぞれ国産730近接防御システム1基が装備され、その技術は「ファランクス」に相当する。

また054艦の価格はその他のいくつかの国の護衛艦に比べずっと安い。もし中国とタイ国がこの交易に成功すれば、中国はタイ国に向け技術を移転し、もって維持修理メンテナンスに便利とし、しかも一部の部品はタイ国現地で生産できる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「韓国国産の仁川級ミサイル護衛艦の第1号艦が就役」)

韓国の軍艦技術は成熟し互換性が強い

タイ国軍事調達プロジェクト選抜チーム主任は、「デーウー」造船と海洋工程社が選ばれたのは、主に彼らが海軍の要求、規範に符合した護衛艦を提示したからだ、と語る。同時に彼はさらに、海軍はこの会社に戦闘管理システム(CMS)の生産を要求し、このシステムはナレイソンエン号護衛艦やタクシン号に装備されているその他のシステムと相互に連結できるものである、とする。この護衛艦はタイ国初の韓国によって建造される海軍艦艇となり、2年以内に投入、使用される。その排水量は3,000〜4,000トンである。

タイ国海軍の現在の装備は、主にアメリカやその他の西側諸国由来であり、西側の武器の基準を採用している韓国の会社が生産する戦闘管理システムは簡単にタイ国海軍の装備する西側の軍艦と相互に連結することができる。また韓国の軍艦は決して完全な自主製造ではなく、非常に多くの西側の成熟した武器技術が採用されている。このうち非常に多くの西側の武器技術は長年の実戦を経てプルーフされたものだ。この点は中国の軍艦が努力しても追いつけないものである。最後に、韓国の軍艦の販売価格は中国の軍艦より高いだろうが、ヨーロッパやアメリカの軍艦の価格に比べればすでに安いと評価され、少なくともタイ国が受け入れられる範囲内である。

タイ国海軍競争入札に参与した各国の主要な現役護衛艦

スペインのF-100級護衛艦

排水量:5,800トン、全長:146m、全幅:17m、巡航速度:28ノット、人員編成:197名、武器装備:Mk45 Mod2 127mm艦砲1門、「スタンダード」SM-2 MR Block IIIA対空ミサイル、「改良型シースパローミサイル」、4連装のボーイング社製「ハープーン」対艦ミサイル2基。

中国の054級護衛艦

排水量:3,500トン、全長:132m、全幅:16m、航行速度:27ノット、人員編成:190人、武器装備:H/PJ-87式単砲身100mm艦砲1門、ロシア製AK-630近接防御砲4基、「鷹撃」-83対艦ミサイル発射架2基、海紅旗-7(HHQ-7)8連装対空ミサイル。

アメリカのペリー級護衛艦

排水量:3,000トン、全長:136m、全幅:14m、航行速度:30ノット、人員編成:200人、武器装備:単一アームMK13型ミサイル発射装置1基、単砲身MK75-0型76mm砲1門、6本バレルMK15型20mm「ファランクス」近距離武器システム1基、「ハープーン」対艦ミサイル。

韓国の仁川級護衛艦

排水量:2,300トン、全長:114m、全幅:14m、航行速度:30ノット、人員編成:186人、武器装備:5インチMK45.M4艦砲1門あるいはオート・メラーラ76mm艦砲、20mmファランクス近接防御システム2基、SSM-700K「海星」対艦ミサイル4発、玄武-3型巡航ミサイル4発

中国の武器が世界に向かうことの障壁は何か?

実戦経験が欠乏し、かつシステム化が形成されていない

イギリスの著名な雑誌はかつて、中国の武器は西側で言われるように強大であるにはほど遠い、と指摘した。中国はずっと平和的勃興理念を強調しているため、中国の武器装備が30年余り実戦を経ていないという結果をもたらしており、一方アメリカはずっと戦闘と学習の中にいる。中国の武器の敵対環境下で複雑な行動を行う能力、および信頼性は、決して検証を受けたことはない。

また中国が輸出する武器にシステム化が欠乏していることも非常に大きな問題である。現在の世界武器市場は、アメリカをメインとするNATO基準(アメリカ基準)とロシアのシステムが氾濫しており、この2大システムはNATOとロシアの「冷戦」構造が、今に至るも依然全世界の兵器市場を占領している主要な原因でもある。中国の武器は東西の技術を一身に集めたものだが、自らの体系と基準を形成しなければ、何件かの先進武器だけに頼って西側諸国やロシアが占拠している国際武器市場に大挙して進入しようと望むのは非常に困難である。

自主的核心技術の向上が待たれる

2010年、ペルー国防省は、かつてペルー独立記念式典に姿を見せた5両の中国製MBT-2000メインバトルタンクはすでに中国メーカーに返却された、と言明した。その前中国製のMBT-2000メインバトルタンクはペルー軍に購入される可能性が最も高い戦車と見られていた。だがウクライナの反対が、ペルー政府の中国戦車購入放棄を最終的に決定させた。その主要な原因は、中国製のMBT-2000戦車にウクライナ製のエンジンとギヤ装置が装備されていることで、中国がMBT-2000戦車の輸出に成功できるか否かはウクライナの態度に制約されるのである(頑住吉注:この件は「ウクライナ、中国の契約違反に抗議、ペルーへの戦車輸出が中止に」で紹介しましたが、最近ニュースとして報道された件が何故2010年のこととされているのか分かりません)。

中国の先端武器核心技術方面にはまだいくつか不足のところがあり、またいくつかの技術含有量の高い武器の輸出はまだ外国のサブシステム供給商の牽制を受けている。中国の少なからぬ先端軍用品の部品あるいは核心技術は他国に頼っている。だから「鉄を打つには自身が硬くなる必要がある」なのであり、武器輸出のボトルネックを突破したければ、中国の輸出する武器のカギとなる重要部品や核心技術は完全自主とする必要がある。中国の軍事工業科研人員は、自身の核心技術研究開発能力を高める必要があるのだ!

専門家のコメント

著名な軍事評論員宋忠平:中国の武器輸出は自らの武器の基準の体系を建立する必要がある

武器の基準の占領は軍事販売の倍増器である。1、2件の武器を売ることは実は決して重要ではなく、大金を儲けることもできない。結局のところ現在の世界武器市場は、アメリカをメインとするNATO基準(アメリカ基準)とロシアのシステムが氾濫しており、この2大システム体系は「冷戦」構造が、今に至るも依然全世界の兵器市場を占領している主要な原因でもある。中国の武器は東西の技術を一身に集めたものだが、自主的に中国の特色に符合する武器の基準の体系を出してきたもので、必ずや米ロから独立した、甚だしきに至ってはロシアの武器の基準を超える第3の基準の体系となる。ひとたび中国の基準の武器システムが国際社会に溶け込めば、中国の武器の時代がやっと真に到来したと評価できる。単に自身の独立した基準なき武器自体の輸出だけでは、ハイエンドの市場を長期に渡って占領することはできないのである。

ロシアの著名な軍事専門家ドミトリー:中国は世界の武器輸出のトップの大国になる

ロシアの「メルカトル」研究機構の責任者ドミトリー オリエシェンキンは、中国は旧ソ連が西側のものを持ってきて改良を加えてさらに販売したのにやや似ている、と考える。彼は中国が航空技術領域においてまさにロシアと激烈な武器輸出競争を展開することがとっくに現実化していることを心配している。現在中国はロシアをこの市場から完全に排除しようとしている。中国とパキスタンは合同で飛行機製造工場を建設し、使用しているのはロシアのエンジンである。だが中ロが署名した協議書は中国がロシア製エンジンを搭載した戦闘機を輸出することを禁止している。だがこの後、中国はパキスタン、エジプト、アルジェリアなどの国とJF-17(梟竜)機輸出の契約を締結し、しかも中国はこのためにすでに充足した予備部品を備蓄済みで、アジアやその他の中東地域に輸出することができる。中国工業は中国を世界最大の武器輸出国にならせることができる、というのには理由があると言える。ロシアがこのプロセスに影響し得る方法は石油価格をつり上げ、その利潤を損失の補填に遠く及ばなくさせることである。正直に言って、これ以外に方法はないのである。

結び

中国軍事工業科研業務に携わる人々の長年の努力を経て、中国は軍事装備核心技術方面ですでに非常に大きな突破を成し遂げた。中国国産「太行」エンジンなどの軍事工業製品の部隊装備と共に、将来我が国の武器装備生産と輸出は他国の制限をうけなくなる。また2012年珠海航空展で中国メーカーが展示した多種の武器システムから見て、中国は将来、西側諸国やロシアから独立した武器システムおよび基準を形成し、したがって国産装備に国際市場における真の競争力を持たせることになる!

ネット仲間の調査

あなたは中国の武器輸出を阻害している最大の障害は何だと思いますか? (頑住吉注:別ページに飛んだ先の結果を示します)

核心的技術の欠乏 40.24% 2109票

政治的要素 27.42% 1437票

外国軍の武器との互換性が強くない 19.5% 1022票

武器の性能が立ち遅れている 7.81% 409票

価格的要素 3.13% 164票

その他 1.93% 101票

総票数 5242票

中国武器輸出がずっと守っている三大原則

受入国の正当な自衛能力に有利であること 関係の地域と世界の平和、安全、安定に損害を与えないこと 受入国の内政に干渉しないこと


 まともな航空機、戦車用エンジンが作れないのに、もう間もなく作れるようになって大躍進を迎えると固く信じられるポジティブさがある意味うらやましいですが、一般の読者の投票は意外に冷静に技術的立ち遅れを認めていますね。
















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