軽護衛艦とミサイル艇の大量装備は世界の趨勢に反する?

 ロシアが、「中国の056軽護衛艦と022ミサイル艇は世界に先んじている」と言っている、というタイトルなんですが、読んでみると全然違う内容で、例によってキャプションは必死で反論しています。なお、関連記事として紹介されたもので、1月下旬とやや古い記事です。

http://military.china.com/important/11132797/20130125/17653831.html


ロシア:中国の056軽護衛艦と022ミサイル艇は世界に先んじている

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「056型軽護衛艦の大量建造と就役は、さらに一歩中国海軍の艦艇装備と水上作戦体系を完備されたものにする」)

【グローバルネット総合報道】 ロシアの軍事工業総合体ニュースネットの1月24日の報道によれば、ロシア政治・軍事分析研究所副所長のヘラムーチンは最近文章を執筆して世界各国の軽護衛艦とミサイル艇の現段階における発展の趨勢を分析した時、このクラスの艦艇はかつて20世紀後半に急速に発展し、後にその戦闘力が相対的に弱く、これは主に防空能力と偵察レベルの低下で、大型艦艇には対抗できないことが分かった、と指摘した。現在の発展の勢いは明らかに限定的で、しかも海軍の実力が強くなるほど軽護衛艦とミサイル艇の比率は低くなる。

このロシアの専門家は指摘する。1960〜80年代、世界各国の軽護衛艦とミサイル艇の発展は極めて迅速で、主にエジプトとインドの海軍が導入したソ連製ミサイル艇が1967年10月と1971年12月に実戦で勝利したことに推し動かされてのことだった。だが当時各国は1つの事実を真に重視してはいなかった。すなわち当時最新式だったP-15対艦ミサイルによって撃沈されたイスラエルとパキスタンの駆逐艦はイギリスが1940年代に建造したもので、当時は対艦ミサイルという種類の武器は全く存在しなかった、という事実である(頑住吉注:まあ対艦ミサイルはナチ・ドイツが戦争末期に実戦投入し大きな戦果も上げてますから、1940年代前半の建造でないと厳密にはおかしいということになるはずですが)。

その後の戦争(これには1973年の10月戦争およびイラクが参加した無数の回数の戦争が含まれる)を通じて世界各国は、防空能力が極めて低く、偵察手段が比較的少ないため、ミサイル艇は快速艇のような相手との戦闘でしか勝利を獲得できない、ということを理解し始めた。作戦機にとって、軽護衛艦とミサイル艇は浮遊するターゲットそのものと言える。現代の大型水上戦闘艦はほとんど常に小型艦艇との戦闘で勝利できる。何故なら大型水上戦闘艦はより早く相手方を発見し攻撃できるからである。もし軽護衛艦やミサイル艇が遅れず護衛艦、駆逐艦、あるいは巡洋艦に向けて対艦ミサイルを発射できても、こうした相手には迎撃を行う能力があり、一方小型艦艇にはミサイルに反撃する能力はない。このため、リビア、イラク、イランのミサイル艇のアメリカ海軍に対する、またグルジアのロシア海軍に対するあらゆる攻撃の企図は、全て完全な失敗をもって終わりを告げ、自身の小型艦艇は大量の損失に遭い、一方相手方にはほとんどいかなる損害もなかったのである。

(頑住吉注:これより ページ目。画像のキャプションは「056艦に装備される小口径副砲。火砲と照準コントロールシステムは高度に集成され、艦艇内部で遠隔作戦が行える。」です。)

まとめると、非常に弱小な防空能力、ほとんどゼロの対潜防御能力は、事実として非常に大きく軽護衛艦とミサイル艇の攻撃力を低下させる。現在、軽護衛艦とミサイル艇の使用は小国の海軍にしか意味がない。あるいは沿海条件の非常に複雑な地域での使用、例えば北欧各国、エーゲ海、東南アジア、朝鮮半島の海域においてである。これと同時に、多くの国は経済能力に限りがあるため、依然この種のクラスの艦を本国海軍の根幹としている。しかもこれらの国は通常いつも相互に(頑住吉注:弱小国同士で)戦い、双方いずれも軽護衛艦とミサイル艇を使用し、どちらにも勝利を獲得するチャンスがある。こうした状況下では双方の空軍の実力が限られ、空中からの攻撃の脅威は決して特別深刻でないからなおさらである。

ヘラムーチンは指摘する。冷戦終結後、ヨーロッパ諸国の海軍の小型作戦艦艇の発展の趨勢は、まさに上述の特性に符号していた。例えばスウェーデンは5隻の「ヴィスビー」級軽護衛艦を装備し、1990年代初めに建造した4隻の「ヨーテボリ」級軽護衛艦のうち2隻、およびさらに古い「ストックホルム」級軽護衛艦を残した。ドイツはギリシャ向けに5隻の「テティス」級軽護衛艦を販売した後、5隻のK130型「ブランズウィック」級軽護衛艦を装備した。ポーランドは1990年代初めに、当初東ドイツ海軍のために建造された3隻の「トロピカルサイクロン」級軽護衛艦を獲得した。デンマークは1990年代初めに14隻の世界に類のない「フライングフィッシュ」級軽護衛艦を装備した。この戦闘艦はモジュール方案を採用し、主に攻撃型(対艦ミサイルを配備)、パトロール型、機雷敷設・掃海型という3種の方案があった。後に3隻がリトアニアに譲渡され、その他の11隻はデンマーク海軍の急激な削減時に退役した。この艦はヨーロッパではさらに一歩の発展を獲得しなかったが、これらがアジアの某地域で復活する可能性は排除されない。

ミサイル艇方面では、ギリシャが大量のミサイル艇を持つ唯一のヨーロッパの国で、その数はすでに24隻にまで増加している。5隻の「ローゼン」級ミサイル艇の他、さらに10隻の「ウォリアー-3」級ミサイル艇の中の9隻がある。反応として、ヨーロッパとアジアにまたがるトルコが27隻のミサイル艇を持ち、さらに8隻の最新型「アイランド」級軽護衛艦も建造中である。ドイツは以前全部で20隻の148型ミサイル艇を持ち、後にそれぞれギリシャとチリに6隻ずつ販売し、エジプトに5隻を譲渡し、その他の3隻は退役した。ドイツはさらにチュニジア向けに6隻の143型ミサイル艇を販売し、その他は退役した。現在ドイツ海軍は10隻の143A型ミサイル艇を残している。スウェーデンとノルウェーのあらゆるミサイル艇はすでに全て退役し、このうちノルウェーはかつて6隻の「Scutum」級ホバークラフトミサイル艇を建造した。フィンランドはエジプト向けに全部で4隻の205型ミサイル艇を販売し、クロアチア向けに4隻の「ヘルシンキ」級ミサイル艇のうち2隻を販売し、その他の2隻は退役し、この他さらに4隻の「ラウマ」級および「ハミナ」級ミサイル艇を建造した。クロアチアは自主的に2隻の「キング」級ミサイル艇を建造した(頑住吉注:名前は全部漢字を私が直したものなんで間違いもあると思います)。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「2012年以来、056型軽護衛艦の姿は不断にネット上に暴露されている。」です。)

アメリカには長期間にわたり軽護衛艦とミサイル艇は全くなかった。冷戦終結後になってやっといわゆるLCS沿海域戦闘艦の建造を決定し、これは実際上軽護衛艦で、敵サイドの水上戦闘艦と潜水艦の打撃、対海賊、上陸作戦支援、特殊部隊員上陸など無数の任務の執行に用いる。現在緩慢な速度で建造中の2種の方案の沿海域戦闘艦の武器配備はいずれも比較的弱く、中口径艦砲、自衛対空ミサイルシステムと1〜2機のヘリしかない。それでいて価格は高すぎ、基本的にすでに流産の瀬戸際に陥っている。だがアメリカ海軍は今に至るもなお55隻のこの艦を調達する当初の計画を取り消していない。

実際上まさにアメリカが世界で最も強大な軽護衛艦を建造し(頑住吉注:「最も強大な軽護衛艦」って形容矛盾ぽいですけど)、いくつかの駆逐艦と同列に論じられる武器装備を配備した。このうち3隻の「エイラット」級軽護衛艦はイスラエル海軍水上戦力の基礎となった。だがこの軍艦も非常に攻撃に遭いやすい。イスラエル軍の「ハーネット」号軽護衛艦が2006年のレバノン戦争の中で中国が製造したC-802対艦ミサイルの命中を受けたことはまさに明らかな証拠である。現在イスラエル海軍のミサイル艇の数はすでに10隻にまで減少している。

中国はミサイル艇と軽護衛艦方面において世界に先んじたレベルにあり、今に至るも依然世界で最も大規模なミサイル艇戦力を持っている。多くの旧式なミサイル艇が退役したが、それに取って代わるのはそれを基礎に建造された60〜80隻の世界で最も強大な022型双胴ミサイル艇である。この艇の最大速度は40ノットに達し得、8発の最新式「鷹撃-83」対艦ミサイルとAKー630艦砲(頑住吉注:30mm6本バレル)を装備する。これと同時に、中国はすでに056型軽護衛艦の大量建造を開始しており、その具体的性能パラメータと建造計画はしばらくは比較的機密の状態にある。中国台湾も一連のステルス軽護衛艦の建造開始、超音速対艦ミサイルの配備を準備している。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは「056艦の全状態航行の画像。艦体後部甲板には直ー9艦載ヘリの搭載能力を持つ。多様化された作戦任務が完成できる。」です。)

韓国と北朝鮮はそれぞれ100隻以上のミサイル艇を持つ。イラン海軍の基礎は同様に軽護衛艦とミサイル艇からなり、これには3隻の旧式な軽護衛艦、10隻の1970年代にフランスが建造したミサイル艇、4隻のここ8年で建造された国産ミサイル艇、10隻の中国が建造したミサイル艇、および数百隻の航路護衛巡視艇が含まれる。イランのあらゆるミサイル艇は、西側製品も含めて全て中国が製造したC-802対艦ミサイルおよびそのイラン製コピー生産品である「ノア」を配備している。「ノア」はまさにレバノンのヒズボラがイスラエル海軍の「ハーネット」号軽護衛艦に重大な損傷を負わせた利器である。イランの多数の航路護衛巡視艇は、中国のC-701対艦ミサイルを装備しているか、BM-21ロケット砲あるいは各型の対戦車ミサイルを使用しているかである。アラブ諸国と東南アジア諸国も相当多数の軽護衛艦とミサイル艇を建造中である。

全体的に言って、ある国の海軍の実力が強くなるほど、軽護衛艦とミサイル艇の比率は小さくなる。この趨勢は多くのヨーロッパの国、中国、インド、韓国、およびいくつかの湾岸諸国とアセアン諸国の中で非常にはっきりしている。ロシアに関しては現在建造している20630型と20385型軽護衛艦は実際上あまり大きな意味はなく、カスピ海区艦隊専用に建造された21630型と21631型軽護衛艦がやっと一定の実用的価値があるだけである。ロシア海軍の多数の艦隊にとって、軽護衛艦とミサイル艇には真に腕を見せる場所は全くないと言える。

(頑住吉注:以後のページは画像とキャプションだけです。5ページ目は「056艦が航海試験に出る。艦上に世界先進レベルの近接防御ミサイルシステムが配備されていることがクリアに見える。」、6ページ目は「022は中国海軍の新世代の小型ミサイル艇である。良好なステルス能力を持ち、双胴スタイルを採用し、さらに出色の航行安定性を備えている。」、7ページ目は「022ミサイル艇はその他の戦闘艦と完備された協同配合がなされ得る、近海作戦の海上の尖兵である!」、8ページ目は「先進的な対艦ミサイルと海軍作戦体系に頼り、022ミサイル艇の作戦能力はすでに伝統的ミサイル艇とは比較にならない。」)


 基本的にロシアの専門家は軽護衛艦とミサイル艇は時代遅れで、現在では弱小海軍の持つものだ、と主張し、キャプションは中国の軽護衛艦、ミサイル艇は画期的なもので、その主張は当てはまらない、と反論しているわけです。私にはどちらが正しいのか判断できませんが、少なくともアメリカの沿海域戦闘艦は「流産」を免れたようです。













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