百式機関短銃

 「Waffen Revue」82号に、日本製サブマシンガンである百式機関短銃に関する記事が掲載されていました。知る限りにおいて「Waffen Revue」に掲載されている日本製の銃のレポートはこれだけです。


日本のマシーネンピストーレ

タイプ100(1940)

 日本は第二次大戦終了まで、マシーネンピストーレに大きな関心を決して持たなかった。おそらくこのモダンな銃を少なくとも限定された量で部隊に投入しない訳にはいかなかったため、1930年頃には小数のマシーネンピストーレ、システムベルグマンをスイスの会社SIGを通じて海軍に導入した。何年か後、ベルグマンによる経験に基づき、いくつかのモデルの開発が始まった。これはモデル1〜3と呼ばれたが、さまざまな試みの後に放棄された。

 1938年7月になって初めて、モデル3に再び大幅な変更が加えられ、そして結局これが1940年に「タイプ100」(日本の年数の数え方で1940年を指す)として採用された。

 このマシーネンピストーレは3つの異なる型に区別される。

1、タイプ100(1940)
2、タイプ100(落下傘猟兵)
3、タイプ100(1944)

 この区別は大体のところでは確認可能だが、西側の専門家界で使われているものに過ぎない。

1.型タイプ100(1940)の特徴は、単体から作られた木製ストック、バレル下に取り付けられたパイプ型のぶかっこうな着剣装置、100〜1500mまでの距離調節機能を持つカーブサイト、着剣装置右側面に取り付けられた前部スリング金具、トリガー上方のストックに分解ボタンがないこと、トリガー直前ストック下部のセーフティかんぬきである。これに加えてバイポッドがあり、これは前部支持のために使われ、不使用時は後方にたたんでストック下部のスプリング金具で固定できる。

2.型タイプ100(落下傘猟兵)の特徴
 この型は1つの例外を除いて前に挙げた型と似ている。それは銃を運搬目的で短縮できるようにするため、ショルダーストックをストック前部から分離し、ストック前部右サイドにちょうつがいで固定したことである。一方左サイドではフックによってストック前部に引っ掛けられている。このフックを外すと、ショルダーストックは右前方、ストック前部側面に位置させることができる。これだけでなく、バレルをその下に取り付けられたパイプ型着剣装置ごと取り外し、この結果銃を最小のスペースに収納することもできる。

中間モデル
 1.型の実用に際してその欠点が明らかになった後、いくつかの変更が行われた。トリガー上方にディスアッデンブリーノブが取り付けられ、これは左サイドからこのレシーバー保持部品を引き抜くことができるようにするために右サイドから押し込む必要があるものだった。

 マズルにはマズルブレーキが取り付けられ、これはリコイルショックをマイルドにすることを意図していた。このマズルブレーキは両サイドに各1本の縦方向のスリットを持ち、弾丸がこの位置を通過する時、発射時に生じるガスの一部を左右上方に出て行かせる。

 このモデルは他の点では1.型に似ている。

3.型タイプ100(1944)の特徴
 前述の試験モデルも完全に満足させなかった後、1944年(これも単純化の一環として)もう一度いろいろな変更が行われた。

 最初に1500mまでのアジャスタブルカーブサイトがナンセンスであると認識され、距離100m用V字型リアサイトに取り替えられた。

 不恰好な着剣装置の代わりに、銃剣の装着のためバレルにダイレクトにブリッジが取り付けられた。

 ディスアッセンブリーノブは左サイドにリング金具付きで備えられ、これによってレシーバー固定金具を引く抜くことができた(頑住吉注:中間モデルも3.型も、トリガーやや前の上方でクロスボルトによってレシーバーとストックが結合されている点は同じですが、中間モデルは反対側から押し出さねばならなかったのに対し、3.型では左にリング金具がついてこれを持って引き抜けるよう改良されたということです)。マズルブレーキはバレルに固定され、先行モデルとは変えられていた。左サイドに小さな丸い開口、そして右サイドに楕円形の縦方向のスリットが設けられたのである。これは中間モデルにおいて射撃の際に銃が右上方にぶれることが確認されていたから必要となった。右サイドの大きな開口により、弾丸通過の際により多いガスを右上方に漏出させることができ、これによりぶれが妨げられた。セーフティはもはやトリガー前方のストック下部にはなく、左後方に移されていた。

 リコイルスプリングは強化され、これにより発射速度は以前のものが約450発/分だったところ、今や800発/分に上昇させることができた。

機能
 (以下の記述は全ての型に当てはまる) この銃はロック機構がなく、重量閉鎖ボルト、固定バレルを持つリコイルローダーである。射撃のためには30連マガジンをマガジンキャッチにかむまで銃の左に差し込む。次にボルトを引くことによってコックする。それが後方でトリガースパイクによって固定されるまでである。ボルトを引く際、リコイルスプリングは圧縮される。

 固定されたファイアリングピンを持つことはこの銃の特徴である。トリガーを引くと、ボルトは解放され、リコイルスプリングの圧力下で前方に急速に進む。この途上でマガジンから1発の弾薬が引き出され、これがバレルのチャンバー内に導入される。しかしエキストラクターがいくらか突き出ているため、ファイアリングピンがプライマーに当たることはまったくない。エキストラクターがすっかり弾薬のリムにかんで(そしてその際弾薬はチャンバーに導入されている)初めてファイアリングピンは弾薬のプライマーに当たり、これに点火する。

 発射の際に生成されたガスの一部が後方のブリーチ前面に作用し、この結果ボルトを後方に投げる。この後方への途上で空薬莢はエキストラクター(発射前にリムにかんでいた)によって右方に投げ出され、リコイルスプリングは圧縮される。トリガーを引き続けていると、弾薬がマガジン内にある限りこの経過が繰り返される。

 マガジンからの最後の弾薬の点火後、ボルトは再び後方に投げられ、トリガーを引いていると再び前方に急速に進むが、その後はその位置に留まる。

 射手が射撃経過の間に再びリリースしたときだけ、ボルトは後方の位置にトリガースパイクによって捕らえられる(頑住吉注:回りくどい説明ですが、要するにボルトストップがないということです。理論上はともかくフルオートオンリーの銃で最終弾時のレットオフ以後ボルトが前進を始めるまでに指を放してボルトが後方に止まるなんてことは現実的にはまずないでしょう)。

 この銃はフルオートオンリーに設備が施され、最終モデルでは発射速度800発/分を持つので、フルオート射撃か短いバースト射撃しかできない。

 日本のピストル弾薬である8mmNambu用に作られたバレルは、命数を高めるため内部もクロームメッキされている。

テクニカルデータ

タイプ100(1940) タイプ100(1944)
口径 8mmNambu 8mmNambu
機能 フルオートマチック フルオートマチック
発射速度 450発/分 800発/分
銃剣装着時の全長 1025mm 1118mm
ショルダーストック折りたたみ時全長 556mm -
銃身長 229mm 230mm
銃剣 M30 ナイフ形バヨネット
マガジン 30発 30発
フロントサイト ガード付き屋根型フロントサイト 屋根型フロントサイト
リアサイト カーブフロントサイト 100〜1500m 100m固定
フル装填マガジン込み重量 3,920g 4,365g
未装填重量 3,375g 3,825g
フル装填マガジンの重量 0,450g 0,450g

 うーん、私としてはいわばサブマシンガンの本場であるドイツから見てこの銃がどう評価されるかに関心があって読んでみたんですが、初期型の着剣装置が不恰好だとかタンジェントサイトがナンセンスだったとかいう以外に価値判断らしきものはなく、ただ単に特徴等を客観的に説明しただけのレポートでした。まあ無視し得ないほどの大きな欠点があれば書かれているはずで、極端にひどい銃という評価ではないと思っていいのかもしれません。
















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