10式アンチマテリアルライフル

 コラムで画像は何度か紹介した10式アンチマテリアルライフルに関する詳しい説明です。

http://tuku.military.china.com/military/html/2013-05-29/216237_2354902.htm#pic


まずい! 正確なデータ、10式大口径スナイパーライフルの原型を明らかに

QBU-10式12.7mmスナイパーライフルは現在すでに部隊への装備が開始されている。これは喜び祝うべきことである。我が国が小火器を研究開発してこんなにも長い年月がたつが、初めて遠距離で正確に機材や人員に対抗するのに用いる大口径スナイパーライフルが装備されたのである。だが振り返ってみるとこのスナイパーライフルは本当に遠距離の対機材・人員作戦を行うのに適しているのだろうか? 対比を通じ、我々はこの新しい銃にはこれまでの武器に比べて顕著な進歩があるものの、国際先進水準とではなお一定の隔たりがあることに気付く。(原文は網易軍事 感謝)

(頑住吉注:2ページ目)アメリカのバレット社が1980年代に著名なバレット12.7mmスナイパーライフルを登場させた時から、大口径スナイパーライフルは世界各国で流行し始めた。イギリス、フランス、ベルギー、イタリア、デンマーク、フンランド、ギリシャ、メキシコ、ポルトガル、オランダ、サウジアラビア、スウェーデン、スペイン、トルコなど30か余りの国の軍隊がバレットM82A1 12.7mmスナイパーライフルを購入した。アメリカの税関さえ一定数を購入し、案件に関わる船舶のエンジンを射撃してその船を停船させ検査を迫るのに用いている。

当然、先進国の軍隊の歩みを追いかけ、軍の近代化実現を期すことに熱中する中国軍も大口径スナイパーライフルに対し濃厚な興味を示した。軍と武器研究開発機関は力を合わせて協力し、相前後してW03、M99などいくつかの機種の大口径スナイパーライフルを研究開発し、研究開発経験を積んだ。その成果こそQBU10式12.7mm大口径スナイパーライフルシステムの誕生である。

(頑住吉注:3ページ目)QBU10式12.7mm大口径スナイパーライフルはワンセットの完備されたシステムからなり、その中にはスナイパーライフル、狙撃弾薬、多機能弾薬、昼間スコープ、赤外線サーモグラフィースコープおよび携行装具などがある。提示しておくのに値するのは、QBU10式スナイパーライフルは初めてレーザー距離測定、弾道計算機能を持つスコープを装備し、同時に専用の狙撃弾薬も装備していることである。これも新中国の小火器生産史上初めてのことである。

(頑住吉注:4ページ目)10式大口径スナイパーライフルは赤外線成像スコープを配備し夜間射撃が可能

昼間スコープはケプラー式を採用し、高解像度光点表示機能があり、拡大倍率は6〜9倍(公称値)で、光学スコープ、レーザー距離測定装置、弾道計算器、スコープ・銃サーボ機構、電池などいくつかの部分からなる。レーザー距離測定は人間の目に安全なOPOレーザー距離測定技術を採用し、兵個人目標に対する最大測定距離は1,000m、車両目標は2,000mである(頑住吉注:アンチマテリアルライフルで対人1,000mはちょっと短いのでは)。

目標照準後、弾道計算器はレーザー距離測定、温度、角度のデータを総合して計算を行い、多弾種の高精度自動装表(頑住吉注:意味不明)を行い、最後にカーソルの形式でスコープ上に表示する。同時に、夜間射撃の必要を満足させるため、QBU10式スナイパーライフルにはさらに赤外線成像スコープが装備されている。

(頑住吉注:5ページ目)10式大口径スナイパーライフルはNATO標準に似たタクティカルレールを採用

また、筆者は1つのディテールに注目した。この銃は、かつて95式や03式自動小銃にあった中国軍基準のスコープ用レールを採用しておらず、NATO汎用のピカティニーレールに似たものを採用している。これが将来の輸出の考慮に基づくものなのか、それとも国産レールが必要を満足させられなかったのかは分からない。軍の刊行物上のある言葉はこの疑問に答えているようだ。すなわち、「また昼間スコープと銃の連結機構は無調整式で、着脱が非常に便利で、かつ隙間がなく、着脱前後の照準位置の一致性が大幅に向上した。」 (頑住吉注:大幅に向上したということは従来のに問題があったということで、「国産レールが必要を満足させられなかった」の方が正解らしい、ということでしょうか)

(頑住吉注:6ページ目)10式大口径スナイパーライフルの性能はずば抜け、価格も非常に高い 

QBU10式12.7mm大口径スナイパーライフルシステムにはさらに狙撃弾薬、多機能弾薬という2種の新型弾薬が含まれる。これもこの銃専用に研究開発されたものである。必要な時は89式12.7mm徹甲焼夷曳光弾、徹甲焼夷榴弾、54式12.7mm徹甲焼夷弾など多種の弾薬が使用できる。この2種の専用弾薬の精度上のパフォーマンスは驚異的とは評価できない。国産12.7mm専用狙撃弾を使用し、昼間スコープを装備し、プローンで射撃した時の、距離200mでの3発の着弾の最小散布円直径は約13cm、距離1000mでの3発の着弾の最小散布円直径は約70cmである。

(頑住吉注:7ページ目)国産12.7mm多機能弾薬使用時は、同様の射撃条件下で、3発の着弾の距離200mおよび1500mでの最小散布円直径はそれぞれ18cmと150cmである。一方貫通力試験では、国産12.7mm専用狙撃弾薬を使用し、距離1500mで5mmの均質鋼板に対し射撃した時の貫通率は80%を超えた。距離100mでは10mmの均質鋼板を貫通後、93号ガソリンに対する引火率は80%を超えた。この2種の専用狙撃小銃弾薬の価格は非常に高いとされ、これは加工技術への要求も比較的高く、加えて生産数が比較的少ないせいだと見られる。(頑住吉注:マズルブレーキ内に見えるバレル先端のクラウンの仕上げが無茶苦茶なんですが)

(頑住吉注:8ページ目)10式大口径スナイパーライフル、高性能マズルブレーキを装備し後座力を減少

QBU10式12.7mm大口径スナイパーライフルは半自動銃で、バレル短後座式+ガス式自動原理で、閉鎖構造は国内で最もよく見られ、最も成熟もしているボルトヘッド回転式で、ハンマー回転撃発であり、構造上特別に奇抜な部分はなく、全体的にやはり成熟した構造である(頑住吉注:いやショートリコイルにガスオペレーションをプラスするのは全くないわけではないにせよかなり例外的でしょう)。この構造は著名なバレットM82とほとんど同じだが、現在まだその内部構造を見ていないので、バレットの経験を参考にして設計したのかどうかは分からない(頑住吉注:バレットとほとんど同じということはガス式をプラスというのは誤りかもしれないですね)。感じられる後座力を軽減するため、マズルには高性能マズルブレーキが装備され、同時に複数の緩衝構造が採用されている。レシーバーはスチール・アルミ複合構造で、前部がスチール、後部がアルミであり、重量も軽減されているし、同時にレシーバーの強度も保証され、またバレルの分解を繰り返すことがもたらすレシーバーの摩損も減少している。この銃は分解時に専用工具を必要とせず、極めて短時間内に不完全分解でき、携行とメンテナンスに便利である。

(頑住吉注:9ページ目)10式大口径スナイパーライフルはさらに光学スコープを予備に装備するべき

この新型スナイパーライフルに対し、筆者は賞賛すると同時に冷や水を浴びせることもしなければならない。まず、あの性能が非常に先進的な昼間スコープの信頼性はどうなのか? 複雑な使用環境に適応できるのか否か? たとえ西側先進国でもスナイパーライフルのためにこの種のスコープを装備することはごく少ないことを知る必要がある。これは技術上達成できないのではなく、その複雑な戦場環境下での適応性がまだ考察を待たれるからである。

例えばアメリカ軍が装備するバレットM82A1M(軍はM107と命名)が主に装備するのはレオポルド 4.5x14Mark4昼間スコープとAN/PVS-10昼間/夜視両用スコープである。一般的に言って、国内の電子製品の信頼性は普遍的に国外に及ばない。万一スコープが肝心な時に故障を起こしたらいかに処理すべきだろうか? 予備の機械照準具を使用するのか? 部隊がこの武器を採用する時は、さらに普通の光学スコープを装備するよう提案する。

(頑住吉注:10ページ目)10式アンチマテリアルライフルのバレル短後座式採用は精度に対する影響がある

軍の刊行物に掲載された画像から見て、QBU10式12.7mm大口径スナイパーライフルが使用する2種の専用弾薬は塗装仕上げのスチール製薬莢弾薬のはずである。何故なら銅製薬莢は通常塗装の必要がないからである。理論的に言って、スチール製薬莢の問題は銅製薬莢に展性の良さが及ばないことで、薬莢を引き抜きやすくするため往々にしてテーパーをきつくする必要があり、位置決めの精度がやや劣る結果がもたらされ、射撃精度に影響する。またこの銃が必要な時89式12.7mm徹甲焼夷曳光弾、徹甲焼夷榴弾、および54式12.7mm徹甲焼夷弾なども使用できる、という言い方も、間接的に筆者の見方を証明している。銅製薬莢とスチール製薬莢の薬莢引き抜きに必要な力は異なり、もし混用したら薬莢詰まりの故障が発生する可能性がある。このためこの銃が使用するのは塗装されたスチール薬莢を使った弾薬のはずである。

(頑住吉注:11ページ目)また、この銃が採用するバレル短後座式も精度に対して相当な影響がある。バレル短後座式はバレルの後座ストロークがボルトの後座ストロークよりも短いバレル後座式である。撃発後、火薬ガスのブリーチ底部への圧力の作用下でバレルとボルトが閉鎖状態を保持して一緒にフリーストロークを後座した後、ボルトが閉鎖を解いてバレルから解脱し、ボルトは後方に向け一定の小距離運動し、かつその他の機構を連動させて自動循環動作を完成させる。バレルを利用した後座エネルギー吸収は武器の後座力を減少させることができる。だがバレルの往復運動は武器の構造をより複雑にし、重いバレルの引き起こす衝撃と振動は武器の射撃精度に対し不利な影響を生む。

(頑住吉注:12ページ目)実はバレットM82A1Mスナイパーライフルも類似の構造を採用している。だが国外の冶金工業と高精度加工レベルは相対的にやや高いようで、加えて専用狙撃弾薬のレベルの差異があり、バレットの精度は理論上国産のQBU10式12.7mm大口径スナイパーライフルに比べややいいはずである。バレットM82A1Mスナイパーライフルには2種のセットで装備される専用狙撃弾薬があり、第1種目はアンチマテリアル専用に用いられるMk211MODO徹甲焼夷弾(API)で、もう1種は専門に遠距離の人員に対する正確な殺傷を行うのに用いられるM1022狙撃弾薬である。M107がM1022弾を発射した時の精度は1MOAに達し得るとされる。また研究開発人員はこの2種の弾薬の弾道が同じになるよう努力しており、射手が弾薬の種類を変えた時、スコープの調整は必要ない。


 本文内で1か所QBU10式がQBU09式になっている部分があり、明らかに誤りと思われるので直しましたが、「中国、アンチマテリアルライフルを装備へ」で紹介したQBU09式と今回のQBU10式は基本的に同じもののようです。例えば自衛隊の90式戦車が当初89式と呼ばれていたように、採用のずれこみなどによって名前が変わったんではないかと思われます。

 スコープはレーザーで距離を測定するだけでなく温度、角度の計算も行うとされていますが、人員に対して使用できるのは1,000mまでとされ、温度や角度(頑住吉注:仰角、俯角のこと?)の差はそんなに大きく影響してくるもんなんでしょうか。少なくとも風の影響の方が大きそうに思われますが。

 問題点の指摘はかなり冷静、妥当なものだと感じました。しかしいくつか欠点があるにせよ、まだアンチマテリアルライフルを試験的に少数購入している程度らしい自衛隊に対しては大きな脅威になると思われます。









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