新バーミント弾薬.204ルガーとは

 「Visier」2005年3月号の「スイス銃器マガジン」ページに新しいバーミントハンティング用弾薬である.204ルガーに関する記事が掲載されていました。まずその内容を紹介します。


バーミント弾薬.204ルガー

ルガーとホーナディはすでに大口径弾薬.480ルガーで成功裏に共同作業を行っている。彼らの最新の作品は小口径の.204ルガーである。ともかくこれは目下最速のファクトリーロード弾薬のひとつである。

撃距離300mを越えることもあるRaubzeug(頑住吉注:辞書には「狩の対象にならない肉食獣」と出ているんですが、ここでは肉や毛皮を取る実用目的での狩の対象にならない肉食獣、と考えた方がよさそうです)に対するバーミントハンティングは、典型的にアメリカ的なものである。この分野ではコヨーテ、ワイルドキャット、プレーリードッグが潜在的狩猟目標に属する。
 一方西ヨーロッパのハンターはたいていあまりにもしばしば射撃のために「忍び寄り猟」を行うので事情が違い、アメリカのバーミントハンターは実に「何ダース倍もの距離」で射撃を行う。これ(頑住吉注:遠距離射撃の必要)に応じてチャンバーとバレルは温度上昇と侵食によって高い負荷の下に置かれ、これに応じてコストも高くなる。だから主に軽量弾を使った遠距離弾薬に人気があり、これは発射薬量が少ないため消耗が少なくとも限度内に抑えられる。
 特に去年は.223ウィンチェスタースーパーショートマグナム(頑住吉注:WSSM)、.17ホーナディマグナムリムファイア、.19Calhoonといったいくつもの新しいバーミント弾薬がマーケットに登場した(頑住吉注:.17HMRの登場は去年ではありません。あるいはスイスマーケットに本格登場したのが去年なのかもしれません)。明らかにより以前から地位を確立しているのは、すでにそうしたバーミントハンターに使用されている.22ウィンチェスターマグナムリムファイア、.223レミントン、.220Swift、.22-250レミントン、.264ウィンチェスターのようなバーミンターである。
 
.204ルガー
 良いものはしばしば中間に位置する。全体的考察の中で、.17HMR(直径4.32mm、弾丸重量17グレイン/1.1g)が現在の既製バーミント弾薬の下限、そして.223WSSM(直径5.69mm、弾丸重量55〜64グレイン/3.56〜4.15g)が「Oberliga」(頑住吉注:以前も出てきて意味不明だった単語です。辞書には「サッカーの2部リーグ」と出ていますが、ここでは文脈上「上限」という意味ではないでしょうか)と理解される。.204ルガーはその5.18mmの弾丸直径と32〜50グレイン(2.07〜3.24g)の弾丸重量により、ある意味では中位グループの上あたりに位置する。
 ホーナディとレミントンは工場渡しでこの新しい.20系弾薬グループにおいて、32および40グレインの重さのV−MAX弾つきのそれぞれ2つの弾薬を提供している。だが、リローダーにも配慮している。弾丸重量32、35、40、50グレイン用のリロード器具、弾丸、薬莢、ロードの説明書がすぐにでも納入請求に応じられる状態にある。

適合するライフル
 2004年の初頭に初めて発表された弾薬であるにもかかわらず、.204ルガー仕様の(アメリカの)ライフルバリエーションはすでにモデル数が1ダースを明らかに越えている。そのメーカーには当然シングルショット(頑住吉注:原文では「ブロック閉鎖」というような語が使われています)およびボルトアクション型を持つルガーの他、目下レミントン、サベージ、トンプソン/センターアームズ(頑住吉注:コンテンダーを作っているメーカーですね)、キンバーが同様に含まれる。
 このレポートのためにはレミントンモデル700ADLシンセティックシリーズライフル、ライフリングピッチ12インチの24インチバレルつきを使用した。マガジンは5(+1)発の弾薬を保持する。銃にはデュプレックスレティクルつきレオポルドVX−U 3〜9x50mmがマウントされた。

実射
 予想通り結果はホーナディによって発表されているレミントンM700ADL使用時の初速を下回った。公式に発表されている、32グレイン弾使用時の1288m/s、および40グレイン弾使用時の1189m/sの初速には90および76m/s足りなかった。それでも32グレインファクトリーロードはこのカテゴリーで世界最速の量産弾薬の看板を出してもよいかもしれない。
 強い印象を残したのは、ホーナディV−MAX弾によるフラットな弾道だった。これに対応するメーカーの申し立てについては表を参照のこと。
 V−MAX弾の構造は、薄いトムバック(頑住吉注:真鍮系合金)ジャケットと鉛のコアからなる。信頼性の高い変形と良好な空気力学的性質のため、ポリマー製の先端が使われている。
 この弾薬/銃器コンビネーションを1度(ドイツにおいて)キツネ狩りに使用した。射撃距離は約90mだった。成獣のキツネは32グレイン弾1発目で倒れた。だが、毛皮の利用にはオーバーパワーだった。
 高い流体力学的効果が意図されており、猛烈な弾丸速度を理由として弾丸は「爆発のように」変形する。これはアメリカのバーミントハンティングでは大きな意味を持つ。急速なエネルギー伝達が可能になることにより、狩猟の熟練者の視点からすると都合の悪い命中点でも効果的な命中弾になるからである。というのは、例えば大西洋の向こうでは、群れで生息する体重約1.5kgのプレーリードッグ猟の場合唯一射撃効果の高さだけが重要になる。過度な血腫の形成や機械的な肉の価値は何の役割も果さない(頑住吉注:要するに害獣駆除目的のバーミントハンティングではオーバーパワーで獲物の毛皮を大きく損傷したり食肉に適さなくなる傷を生じさせても問題ないということのようです)。
 .204ルガーはどれだけあたるのか? スコープ調整のための私の最初の3発は、(頑住吉注:100mで)9mmという小さなブチ状に集中した。これは大きな期待を呼び覚ました。だが残念ながらそれに続いたのはほとんど失望だった。バレルのますますの加熱により、そしてこれは非常に速く、グルーピングも拡散した。最終的にグルーピングは32グレイン弾使用時で22mmにしかならなかった。
 40グレイン弾では初めの冷えた銃でも納得いくグルーピングにならなかった。40グレイン弾では100mでのグルーピングが計算の結果31mmに留まったというのが結論である。だが、他のケースでは増大するバレル加熱によってこの数値も維持できなかった。
 リコイルが小さいため銃のコントロールは保証される。例えば.223WSSMのような他の高速バーミント弾薬のデータと比較して、40グレイン弾の.204ルガーでは発射薬量が少なくて済み、匹敵する弾道値の場合火薬の種類次第で40%にまで減る。火薬が少ないということは当然それに応じて銃器の消耗も少ないということを意味する。

要約
 シンセティックストックつきレミントンモデル700ADLボルトアクションライフルは確実に丈夫で機能的な、そして735スイスフランという比較的安価な銃である。だがこのライフルが完全にこの弾薬に適しておらず、疑いなく存在する.204ルガーの命中精度ポテンシャルを充分利用していないことが判明した。そして.204ルガーはスポーツシューターにとっても長距離向けポテンシャルを持つ銃に負荷が少ない弾薬である。この弾薬はハンティング弾薬として国内でも確実に将来性を持っている。

.204ルガー弾薬
口径:.204ルガー
弾丸直径:.204/5.18mm
ベース薬莢:.222レミントン
最大弾薬全長:60mm
最大ガス圧(SAAMI/USA):4137気圧


レミントンM700ADLによる.204ルガー弾薬の射撃結果

弾薬 弾丸重量(grs/g) 弾丸タイプ 初速(m/s) 初活力(J) グルーピング(mm)
Hornady 32/2.07 V-MAX 1198 1485 22
Hornady 40/2.59 V-MAX 1113 1604 31

距離100m。射撃架台に依託。グルーピングは3発の射撃をそれぞれ2回行った平均値。

.204ルガーの弾道学的データ

弾薬 91m 183m 274m 366m 457m
.204ルガー32grs V-MAX 1107/1268/1.5 949/932/0.0 808/676/-10.7 681/480/-34.0 566/332/-75.2
.204ルガー40grs V-MAX 1052/1433/1.8 928/1115/0.0 816/862/-11.4 712/657/-35.3 616/490/-75.2

全ての数値はホーナディ社の申し立てに基く。最初の数は弾丸速度(m/s)。2番目はエネルギー(J)。3番目は弾道(cm)。
頑住吉注:これはホーナディ社による公式発表であり、本文にあるようにそもそも初速がかなり違っているので万全の信頼は置けませんがまあ参考にはなるでしょう。言うまでもありませんが距離が半端なのは100、200、300、400、500ヤードをメートル法に直して端数を切り捨てているからです。弾道というのは上の32グレイン弾の場合、200ヤードにゼロインした場合、100ヤードでは1.5cm上に着弾し、500ヤードでは75.2cm下に着弾するということです。重い弾は空気抵抗によって減速しにくく、軽い弾はしやすいので、当然初速は軽い弾の方が速いものの300ヤード少し手前で速度が同じになり、以後逆転していることが分かります。それでも弾道は無視できる程度しか変わらないのが面白いところです。


続いて順番は前後しますが「Visier」2005年1月号に掲載されていた記事の内容を紹介します。


生態地位的生産物

「矢のように速い」.204ルガー弾薬は(頑住吉注:括弧内は慣用表現であり、ライフル弾の方が矢より速いのは言うまでもありません)、バーミントハンターに大きなライバル弾薬である.223レミントンおよび.22-250から乗り換えさせることを意図している。

メリカでは何十年も前から、大きな銃器および弾薬メーカーの間で絶え間なく新しい弾薬を売り出すことが通例となっている。だが、メタリックカートリッジの構造は遅くとも第一次大戦以来もはや基本的に変わっていないという理由で、新製品はしばしば何十年もプルーフされてきたスタンダード弾薬よりわずかしか勝るものを提供しない。そう、結局のところそれはたいていただ、ポピュラーな弾薬種類では最適に占められない、新しい弾薬の計画された使用のための生態的地位を探すことを助けるにすぎない。さもないと鳴り物入りで強力に宣伝しなくてはならない。というのは、新製品の魅力だけでは必ずしも十分多くの購入者に新しい弾薬種類を導入させ、そして同様に理想としてはライフルを同時に注文させる動機づけにならないからである。

 Sturm,Ruger&co.の新弾薬.204ルガーは、特にアメリカのバーミントハンターを夢中にさせることを意図している。.204ルガーは全ての種類の小動物の射撃に使用される。これはアメリカでは「Pests」、つまり有害生物に該当するものであるが、ドイツのハンティングに関する認識からすると時として異常な長距離で射撃が行われる。そのため当然適合する弾薬をも必要とする。すなわちときとして何百mもの距離から、正確に命中するだけではなく、多数発射した場合でも銃にも射手の肩にも負担の少ない弾薬である。最も人気のあるスタンダード弾薬に該当するのは、何年も前から.223レミントン、そしてそれより強力で高速な.22-250レミントンである。.243ウィンチェスターではすでにずっと不必要に強力すぎ、ウルトラ高速の.220スウィフトは(ときとして間違って)バレルキラーと考えられている。ルガーは今、ホーナディとの共同事業の中で開発した.204ルガーによって、.223と.22-250の間の「成績上の生態的地位」を占めることを試みている。

 メーカーの言い分によれば、40グレインのV−MAX弾は1189m/sをもって銃口を去り、32グレインバージョンの場合.204ルガーは初速が1288m/sにさえなるという。都合の良い弾道係数により、弾丸は両重量クラスにおいて200ヤード(1ヤードは0.9144m)でゼロインした銃の場合、400ヤードで33cmしか落下しない。この性能により、.204ルガーは.223レミントンを無風状態で引き離し(頑住吉注:弾頭が軽いので風の影響を受けやすいということでしょう)、.22-250と.22スウィフトの成績領域に(弾丸重量と弾丸エネルギーは例外として)迫っている。

 だが、その際かなり少ない発射薬しか必要とせず、バレルはそれほど速く加熱せず、より少ない反動とライバルとの比較におけるバレルへの負担の小ささで得点を上げる。…少なくとも開発者はそう望んでいる。ベース薬莢としては.222レミントンマグナムが使われ、ショルダーを前に延長し、.20/.204まで薬莢の先端部を絞ってある。

 これまでに2つのファクトリーロードしかこの新しい口径には存在していない。たいていの.204ファンはたぶん永久にリロードから逃れられないだろう。しかし編集部の結論として.204ルガーの構成要素(頑住吉注:リロードに使う弾丸や薬莢)の入手状況はドイツではまだ思わしくないようである。このためこのレミントン製ボルトアクションライフルは一緒に提供されたファクトリーロードのみでしかテストできなかった。この直径.204(.20)の弾丸は、2種類のV−MAX弾があるホーナディとならんで、Bergerも重量領域30〜50グレインの間で提供している。しかしBergerによると、「重い」50グレインのレーシングカーは12インチで1回転のライフリングとは合わない。ルガー、そしてレミントンも自社の.204ライフルをこのライフリングに設定している。50グレイン弾はよりピッチのきつい9インチで1回転のライフリングを必要とする。

 ホーナディおよびBerger製弾丸を使った.204系のロードデータは、すでにアメリカの火薬メーカーであるHodgdonが発表している( http://www.hodgdon.com/data/rifle/204ruger.php )。原則的にこの新しい弾薬用には特に、Accurate2520、HodgdonBLC(2)、IMR4895のようなミドルウェイトのライフル用火薬が向いている。いずれの場合も高成績弾薬の欲求は限度内に留まる。というのは、.204は火薬と弾丸しだいで約26〜30グレインの発射薬を必要とするからである。これに対し.22-250レミントンおよび.220スウィフトのよりボリュームのある薬莢は、匹敵する速度を達成するためには35%まで、より多量の火薬を飲み込む。.223レミントンは弾丸次第でたいてい25〜27グレイン必要とするが、.204ルガーの初速には達しない。そうこうするうちに、ホーナディ自身とならんでForster、Redding、RCBSも適合するリロード器具を提供している。だが、薬莢はこれまでのところホーナディのものしかなく、目下のところ供給はほとんど間に合っていない。

 この弾薬のためのテスト銃としては、ルガー製のライフルではなく、ラミネートストックつきのレミントン700バーミントを使用した。どうやらハンティングライフルビジネスにおけるライバルたちもこの新弾薬にグッドチャンスを見ているようだ。この間にルガー自身とならんでキンバー、ウェザビー、サベージ、そしてレミントンがいくつかのモデルを.204ルガー仕様で製造している。

 .204バージョンは原則的には他のレミントン700と異ならない。2つの閉鎖用突起がボルトをレシーバー前方でロックする。スプリングでテンションがかけられたエジェクターとごく小さなエキストラクターがボルトヘッドに見られる。レミントンのラミネート製バーミントストックは対応するルガー製ストックと間違えそうなほどよく似ている。役立つものも余計なものも含めて装飾はわずかしか見られない。

 ひっくるめて、マットブルーフィニッシュのテスト銃はバレルプロフィールから機関部とストックのフィットまできれいに加工されている。実際のところ、外的な面でネガティブに目立つのはアルミニウム製エレメントであるトリガーガードとマガジンの底板だけである。これらは色もバレルおよび機関部のガラス球を近くから放射したマット表面ときちんと合っていない。ギリギリ3kgの抵抗があって初めて作動するダイレクトトリガーも批判しなくてはならない。しかし高い抵抗はレミントン700の祖国の生産物に関する事情が邪魔してのものである。その上アジャスタブルのトリガーは比較的簡単に抵抗値約1500gに調節することができる。バレルはストック前端でラミネートされた木材の上に横たわっている(頑住吉注:バレルがフローティングになっていないということのようです)。しかしこうした「プレッシャーポイント」はたいていの木製ストックつき700系で見られる。

 シューティングレンジにおけるこのボルトアクションライフルの射撃テストは共に提供された40グレインホーナディ製ファクトリーロードのみで行われた。オプティカルサイトとしてはレオポルドVXV3.5〜10x50を同じメーカー製のクイックリリースマウントに載せて使用した。

 残念ながらテスト銃はこの弾薬種類とそもそも相性が悪かったのかもしれない。100mからのベストのグルーピングは46mmだった。レミントン700のバーミントモデルは通常どんな種類の命中精度問題も持っていない。だが、今回はリロード器具、弾丸、あるいは他の弾薬種類がないため、証明をもたらすことはできなかった。だが、命中精度不良を除けばこのライフルは激しい騒音レベルにもかかわらず射撃は快適で、リコイルは温和より強い程度に留まった。

 テスト銃が共に提供されたファクトリーロードと調和しなかったにしても、アメリカからの最初のレポートはルガーの新しいバーミント弾薬の命中精度ポテンシャルに関し非常に肯定的に述べている。だが、.223レミントンに対する成績上の優位は劇的ではない。そしてこのミリタリー弾薬5.56mmx45の民間バージョンは、射手にとってかなり弾薬とりロードコンポーネントの選択の幅が大きい。そして一部はかなり安価である。

 .22-250レミントンと異なり、.204ルガーはその少ないリコイルで得点を上げる。これは高いスコープ倍率の場合、射撃時にターゲットを視認し続けることを容易にする(当然銃器重量が等しいことを前提とする)。.204ルガーが本当に.22-250より、そして.220スウィフトと比べてさえバレルに負荷が少ないのかどうかは時が示すことになる。だがこのケースでは宣伝文句すら正しいと思われる。というのは、.220スウィフトおよび.22-250は何とか匹敵するガス圧の場合、.204ルガーよりかなり多量の火薬を燃焼し、火薬スペース〜ガス圧と弾丸直径の比率がルガーの場合高い初速にもかかわらず実に都合がいいように思われるからである。

 ドイツではこの弾薬の成功はバーミントの欠如からおそらく見通せる範囲内程度に留まるだろう。.204ルガーは冬のキツネに対する「皮をいたわる狩」用にきわめて適しているはずである。だが、200〜350mの距離で撃たれる冬のキツネはきわめてわずかである。そしてより短距離の場合全くポピュラーな.22ホーネットでも見事に成功する。あるいは.222または.223レミントンでも。その上この後で挙げた両弾薬は非常に小さな銃砲店でさえ見つけられるし、ノロシカに対するハンティングも考慮に入ってくる。超軽量で薄いジャケットのV−MAX弾つきの.204ルガーではこれには勝てない。その上ドイツではそのような.22系弾薬はむしろ特殊な有蹄類弾薬として価値がある。こうした弾薬では比較的重い弾丸が好まれる。例えばソフトな5.6mmx52Rであり、あるいは高速な5.6mmx57である。スポーツ領域ではミリタリー弾薬とならんで、特に.22および6mmPPC、あるいは6mmノルマBRのような開発品が支配的である。ライバルもぼやぼやしてはいない。すなわち、ウィンチェスターは.223WSMで類似のマーケット部分への参入を急いでいる。そしてウィンチェスターは現在までまだ.204ルガー仕様の銃を持たない。

モデル:レミントン700Varmint VLS
価格:1029ユーロ
口径:.204ルガー
キャパシティ:5発
全長:1160mm
銃身長:660mm(ライフリングピッチ12インチで1回転)
重量:3900g(エンプティ)
型:ブルーイング。2つの閉鎖用突起を持つボルト。プッシュフィードシステム。マズルの直径21mm。アジャスタブルダイレクトトリガー。チークピースと「モンテカルロ効果」
(頑住吉注:以前も出てきましたが意味不明です)のあるラミネートストック。ボルトはエンジンターン仕上げ。開くカバーを持つマガジン。


 .204ルガーというのはこんなカートリッジです。 
http://www.ammo-one.com/204Ruger.html
 ただまあ.223レミントンあたりとの比較写真でないとピンと来ませんわな。

 お恥ずかしい話ですが、「Visier」の記事を入手時に読まなかったのはこの弾薬が新製品とは知らなかったからで、すでにお伝えした「ホーナディ.17マッハ2」に関する記事中の記述で初めて知りました。データ的に見て、特殊すぎて普及しなかった.17レミントンと一般的な.223レミントンの中間あたりを狙った弾薬かなと思ったんですが、お読みのように意図としては.223レミントンと.22-250レミントンのようなもう少し強力な弾薬グループとの中間を狙った弾薬であるとされ、薬莢は.222レミントンマグナムをベースにしているわけです。ただ、初速は確かに.223レミントンと.22-250レミントン等との間に位置するものの(同時に.17レミントンと.223レミントンの間に位置するとも言えますが)、エネルギーは.223レミントンをやや下回っており、やはりデータ上は口径も弾丸重量も初速もエネルギーも.17レミントンと.223レミントンの間に位置するというのが実際に近いっぽいんですがどうなんでしょうかね。
 より強力な弾薬グループよりかなり少ない薬量で匹敵する初速になるのは、主に弾丸が軽いことが理由です。同じエアソフトガンで発射しても軽いBB弾の方が初速が速くなるのと同じ理屈ですね。原則として軽い弾丸は空気抵抗で減速しやすいですが、径が小さい上尖ったプラスチック製キャップを持つV−MAX弾は空気抵抗が小さく、バーミントハンティングにおける遠距離射撃は問題なく行え、薬量が少ないため銃に対する負担が少なく、加熱が遅く、弾丸が軽いため反動が少ないので連射時の射手の負担が少なくマズルジャンプによって獲物を見失いにくいといった利点がある…「Visier」の書き方を真似すれば、少なくとも開発者はそう望んでいます。しかし「スイス銃器マガジン」の記述によれば実際は加熱が早く、これによる命中精度低下も問題になるようです(同一条件下で.22-250等より加熱が早いわけではないと思いますが)。命中精度不良は両誌一致して指摘しているので、傾向としては間違いなさそうです。ただし両誌ほぼ同じような銃と弾薬でテストしているので、他の銃や他のバリエーションの弾薬(そもそもまだ少ないようですが)でも悪いのか、つまり弾薬のポテンシャル自体が低いのかどうかはまだ分かりません。ただ、いずれにせよ新製品といっても「Visier」がかなり率直に指摘しているように従来から大きく進歩したものではなく、単に「すでに存在するこの弾薬とこの弾薬の性能的な間隔がやや開いているからその中間を埋める弾薬を作ってみたらある程度売れるんじゃないかなー」、みたいなものに過ぎず、大それた期待が持てるものではそもそもないわけです。
 キツネに対し「スイス銃器マガジン」は毛皮を痛めすぎるとし、「Visier」は毛皮の損傷が少ないはずとしていますが、前者は実際撃ってみた結果、後者は推測なので前者が正しいのではないかと思われます。

 




 



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