左面右面

バーコードスライド引き

斜め前方よりマガジン抜き斜め後方より

 S&Wのプラスチックフレーム中型オート、.380シグマです。グロックの亜流である9mmのフルサイズシグマのデザインをほぼ踏襲していますが、銃を使い慣れない人が護身用に使うために特化した異色なハンドガンです。外部から操作できるパーツはスライド、トリガー、マガジンキャッチだけです。マニュアルセーフティもスライドストップも分解ラッチもデコッキングレバーもアジャスタブルサイトもありません。マガジンキャッチはマガジンに付属している左右へのツメで、丸くくぼんだS&Wのトレードマークを両側から圧迫してマガジンを抜きます。ほとんど例がないデザインですが、セマーリンと似ていますね。幅があり、ツメの出た引っかかりやすいデザイン、スライドストップなしという点から、予備を持つことが想定されていないのがわかります。面倒な操作は不要でトリガーを引けばマガジン内の弾は撃てる、それ以外のことは知らん、というわけです。分解するときはポンチとハンマーでピンを叩き出す必要があるというサタデーナイトスペシャル並みの作りです。
 小型軽量、国産、安価、強敵グロックシリーズには.380仕様はない、ということでアメリカではある程度の人気はあるようです。ちなみにやや大きい9mmパラベラム仕様のS&W9Mというモデルもあり、.380と同じストレートブローバックです。ストレートブローバックで9mmパラベラムを撃つハンドガンはときどきありますが、ほとんど失敗作になっています。国内ではまだレポートされていないS&W9Mはどうなんでしょうか。ちょっと気になります。
 写真の作例はマルゼンのスライド固定式ワルサーPPK/Sをベースにしたものです。トリガーセーフティはライブ、スライドが引け、独特のマガジンキャッチも実銃通りです。フレーム前下部のバーコードは、アルミテープに当時流行していた皮膚につけるバーコードを貼ったものです。当時もそうですが、今にして思うとますます不可解なファッションでしたね。まだあるんでしょうか。
 最近のプラスチックフレームのオートはあまり好きではありませんが、この銃はそこはかとない変さがちょっと気に入っています。

2001年8月4日追加
 その後.380シグマの実銃が絶版になったらしいことがわかりました。

 

 

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