5.45mmx39および14.5mmx114弾薬

 「waffeninfo.net 」から、旧ソ連由来の2つの軍用弾薬に関する解説ページの内容を紹介します。


5.45mmx39弾薬( http://www.waffeninfo.net/mun_545x39.php )

(頑住吉注:原ページにはここに7N22バージョンの各部分の詳細な寸法があります)

解説
 ベトナム戦争におけるアサルトライフルM16によるアメリカ人の経験は、小口径ライフル弾薬もまた多くのメリットをもたらすということを示した。その1つとしてリコイルショックが大きく削減され、これにより銃はフルオート時でもコントロール可能だった。この場合兵がより多量の弾薬ストックを携行できることは特に重要だった。鹵獲されたM16がロシアのエキスパートたちに調査された後、これが強い印象を与えたためただちに開発作業が開始された。その目標は独自の小口径ミドル弾薬だった。
 1974年、ソ連においてアサルトライフルAK−74とならんで新しい5.45mmx39口径弾薬(インデックス名称7N6)が採用された。この弾薬はリムレスのボトル形状をしたスチール薬莢を持つ。弾丸は銃口初速度約900m/sになり、古い7.62mmx39弾薬と比べて低進した弾道を持つ。マズルエネルギーは約1400ジュールである。
 7N6弾薬の弾丸は鉛に包まれた硬化処理されていないスチールコアをトムバック(頑住吉注:真鍮系合金)メッキされたスチールジャケット内に持つ。前部には空洞スペースがあり、その目的は重心の後ろの領域への移動である。これは弾丸の安定性の損失を保証することを意図しており、これは障害物にあたってすぐのことである。追加的にコアを包んでいる鉛が命中の際に非対称にこの空洞スペース内に移動し、このことは弾丸をさらに不安定にし、そしてそれによって傷穴の拡大を結果としてもたらす。
 この構造方式は1987年まで継続した。いくつかの陸軍において防護ベストの強化された使用が観察されたとき、この弾薬の貫通成績が硬化処理されたスチールコアを使用することによって高められた。弾丸の性質は同じままだった。だがボディーアーマーの領域でなされた進歩はこの措置の不充分な効果性を示した。この弾丸は近距離でさえチタンプレートを貫通する位置になかったのである。この理由はスチールコアの形状だった。
 1992年、高められた貫通成績を持つ7N10弾薬が採用された。7N6との差はプレスされた、いくらか尖らせたスチールコアにある。この直径は端部で約1.8mmである。重量は古い弾丸に比べて約5%大きく、空洞スペースは(小型化されてはいたが)保ち続けられた。この弾丸は14mm厚のスチールプレートを100mで貫通する。1994年、7N10弾薬は近代化され、貫通成績がさらに高められた。これは空洞スペースを鉛で埋めることによって達成された。この措置は弾丸のジャケットがぱっくりと口を開け、さらにそれだけでなく障害物内でスチールコアからはがれるという結果をもたらした。
 1998年、徹甲弾薬7N22が開発された。7N10と比べると本当に尖った炭素鋼製のコアは250mで6mmの装甲板を貫通する。

5.45mmx39弾薬には次のような型がある
7N6 硬化処理されていないスチールコアを持つ。赤の密閉塗装。
7N6 硬化処理されたスチールコアを持つ。
7N10 軽く尖らせたスチールコアと空洞スペースを持つ。紫の密閉塗装。
7N10 空洞スペースなし。赤の密閉塗装。
7N20 徹甲弾薬
7N22 炭素鋼製の尖ったスチールコアを持つ。徹甲弾薬。赤の密閉塗装。黒い弾丸先端。
7N24 徹甲弾薬。赤い密閉塗装。
7T3および7T3M 曳光弾薬。赤の密閉塗装。グリーンの弾丸先端。
7U1 サブソニック弾。赤の密閉塗装。弾丸先端は暗いグリーンで黒いマーキングあり。
7H3 プラスチック弾を持つ演習弾薬。
7H4 教練弾薬(頑住吉注:上のは演習用の空砲、これは装填の方法などを新兵に教えるためのダミーだと思われます)。
テスト弾薬 貯蔵された弾薬の検査のためのもの。白い弾丸先端(頑住吉注:何故普通の弾薬でテストしないのかよく分かりません)。
強化された装薬を持つ弾薬 弾丸の色は黒。
高圧弾薬 弾丸の色は黄色
SN−P TP−82ピストル用。鉛のコア(頑住吉注: http://diversant.h1.ru/guns/pistol/tp82.html )。

弾薬のテクニカルデータ

全体重量 10.2g
弾丸の重量 3.4g
装薬の重量 1.45g
全長 57mm
弾丸の長さ 25.5mm
薬莢の長さ 39.5mm
銃口初速度 900m/s
マズルエネルギー 1377J

(頑住吉注:原ページにはここに7.62mmx39弾薬との比較画像があります)


14.5mmx114弾薬( http://www.waffeninfo.net/mun_14,5x114.php )

(頑住吉注:原ページにはここに7N22バージョンの各部分の詳細な寸法があります。ちなみに薬莢の長さは114mm、弾薬の長さは155.50mmです)

 ロシアで製造されたオーバーヘビーマシンガン用12.7mmx108弾薬は実地において不充分な成績を示した。このためロシア人は高性能のマシンガン(頑住吉注:これはどう考えても対戦車ライフルの誤りです)モデル「デクチャレフPTRD」および「シモノフPTRS」用の新しい弾薬を開発した。しかしこれらの対戦車銃だけでなく、1944年に勤務につけられた「Wladimirow KPW」もメートル法で寸法14.5mmx114であるこの弾薬を発射する。このためこの弾薬は軍の名称「M41/44」も得ている。
 第二次大戦後、この弾薬の成績要素が改良され、そして引き続きオーバーヘビーマシンガン モデル「Wladimirow PKP」からも発射された(頑住吉注: http://world.guns.ru/machine/mg01-e.htm )。この弾薬には焼夷剤を持つ徹甲フルメタルジャケット弾も曳光炸裂焼夷弾もある。ロシアとならんで次のような他の国々もこの弾薬を製造している。ブルガリア、中国、エジプト、ハンガリー、イラク、北朝鮮、ポーランド、ルーマニア、チェコスロバキア。

 この弾薬の重量は198.50g、弾丸は63.40gである。装薬は28.8gに達する。初速は約1000m/sであり、マズルエネルギーは31700ジュールになる。これによりこの弾丸のエネルギーは.50BMGのほとんど倍になる。

(頑住吉注:原ページにはここに.50BMGとの比較画像、続いてこの弾薬の3つのバリエーションの画像がありますが、これには説明がないので薬莢にフルートが入った右の弾薬がダミーであろうという以外分かりません)


 これらの弾薬はメジャーな割に詳しい説明をあまり見かけないので興味深い内容でした。5.56mmx45の場合も遠距離射撃性能、貫通力の向上のため重量アップが行われましたが、5.45mmx39の場合も数回にわたって似た措置が行われていたわけです。ただしスチールコアを持つ弾丸の導入は西側より早かったことになり、またこの弾丸の構造が、サイト、「Lexikon der Wehrmacht」で解説されていたモーゼルライフル用「S.m.K.弾薬」つまり徹甲弾の構造と似ている点も興味深いところです。5.45mmx39弾薬の弾丸内には空洞がある、という記述を良く見かけますが、ここの記述によれば現行の弾薬にはないわけですね。

 14.5mmx114は何度か触れたロシア製対戦車ライフルなどに使われる弾薬ですが対空機銃にも使われ、これは軽装甲車両などの地上目標にも威力を発揮したようです。エネルギーが.50BMGのほぼ倍であるように格段の威力差があり、M2重機しか持たない西側系装備の歩兵部隊がこの銃に苦戦させられた場面もおそらく多かったのではあるまいかと思います。





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