66-136自動小銃

 検索していてこの銃に関する雑誌の記事がアップされているのを見ました。この銃を知っている日本人はほとんどいないと思います。外形を見て、どう見てもAKの亜流、というか全長がやたら長くなり、ピストルグリップがなくなっているあたり現代アサルトライフルとしては退化しているだけで特に個性がなさそうなので迷いましたが、知られざる銃ということで記事を読んでみました。すると、非常に珍しい特徴を持つ銃であることが分かりました。

http://club.china.com/data/thread/1011/2736/83/90/0_1_home.html


中国の 7.62mm 66-136自動小銃

歴史の長い川の中で、成功は美しいし、失敗もまた悔いることはない。偽りない気持ちを出しさえすればいいのであって、得失を誰が簡単に判定できるだろうか? 7.62mm 66-136小銃、なんと聞き慣れない名前であることか。しかし編集者はこの銃の物語を聞き終えた後、一種抑え難い心の高まりを覚えた。かつてこの銃が現在の81式小銃と同じ場で勝負した時、どんなにか多くの専門家の目を輝かせたろうかと想像した。種々の原因により、この銃は前進を継続するチャンスを失い、最終的に一種の技術上の備蓄として公文書館の中で埃まみれで眠ることになった。30年余りが過ぎ、現在ではこの銃器を論ずる人は少なくなった。しかし陰では多くの人が依然この銃を、当時の技術上の備蓄の含有量が比較的多い銃だったと考えている。この銃はいかなる栄誉も手にしなかったし、正式名称さえなかったが、編集者はこの銃を「無冠の王者」のようだと見ている。謹んでこの文章を、この銃のために満腔の熱血を代価として支払い、それにもかかわらず今に至るまでただ黙して語らないかの専門家たちに捧げ、あらゆる私心なき人に捧げる!

「66-136」とはどんな意味か?

実は「66-136」というのはこの小銃の名称ではなく、当時における1つの科研プロジェクトのコード番号に過ぎない。1966年、国は正式に歩兵武器を研究開発する軍用品科研任務を下達し、研究開発に参与する部門を5つの研究小グループに組成し、それぞれの小グループ全てを独立して作業させ、サンプル銃を出させ、その後統一された選定試験に参加させ、もって最終的タイプの採用を決定する方案を決めた。この時の科研活動の成果こそ81式小銃に他ならない。

これらのサンプル銃にはいずれも正式名称がなかったので、科研管理に便利なように、小火器界は習慣的に科研コード番号でそれらの銃を呼び、「66-136」もその中の1つだったのである。

「66-136」科研プロジェクトが下達された時の主導的思想は、戦術技術指標(頑住吉注:要求内容)の全面的達成という前提のもとで、原理に新基軸を盛り込み、機構を簡略化し、構造を簡単にし、中国の特色を備え世界先進水準に到達した新型先進自動小銃を作り出すべし、というものだった。このために科研人員は全部で6つの方案を提出した。最終的に薬莢短後座自動原理、ボルトヘッド回転閉鎖方式の方案が選択された。当時はちょうど「文化大革命」が盛り上がっていた時期で、工場は作業を停止し、武装闘争の機運が高まり、科研作業の展開に多くの不便がもたらされた。いくつかの曲折を経て、グループ全人員の努力の下、ついに新原理の論証、方案設計、サンプル銃の加工組み立て、サンプル銃の調整等の任務が完了した。何度かにわたる改良設計、最初のサンプル銃の加工、調整、技術的重要問題への取り組み等の作業を経てついに作業は一段落を告げ、この銃はすでに設計定型のレベルまで近づいていた。だが遺憾なことに種々の原因により、それでも最終的にこの方案は放棄された。

この方案のサンプル銃の主要な特徴は何か?

この銃は固定ストックのある構造で、薬莢短後座式自動原理、ボルトヘッド回転式閉鎖方式を採用していた。撃発機構は回転ハンマー式で、排莢システムは弾性エキストラクター機構と剛性エジェクター機構を含み、セミ・フルオート射撃ができた。機械式サイト機構はノッチ式リアサイトとフロントサイトだった。20連マガジン、レシーバー、バレルエクステンション、尾鉄(頑住吉注:検索しましたが意味不明、今回のテーマとは関係が薄いので無視しましょう)はプレス・リベット構造で、ストック、上下ハンドガードは木製構造だった。

初めての薬莢短後座自動原理は独特かつ斬新なもので、この銃の最も特色ある部分である。ガスオペレーション式原理を採用した81式自動小銃と比べても、また95式5.8mm自動小銃と比べてさえ、この銃は独特の原理を採用したがゆえにガス導入リング、ピストン、ピストンスプリング、(頑住吉注:この部品名称意味不明)、ピストンベースロック、ガスレギュレーター本体、調節つまみ、同スプリング、レギュレーター保持ベース、レギュレーター保持ベースロックなど12種類の部品が減少し(頑住吉注:怪しい部品名もありますがあまり重要ではありません。要するにガス導入、ガスピストン、シリンダー関係の部品がそっくりなくなっているということで、この点ではローラーロッキング等と同じです)、重量も0.15kg前後軽減でき、構造が簡単、重量が軽い、設計精度が比較的良好等の長所を持っていた。時今日に至るも、全世界の制式武器の中でまだこの種の原理を採用した銃器はない。

薬莢短後座とはどのような自動原理か? 国内外のよく見られる自動原理とどんな差異があるのか?

目下国内外の自動武器によく見られる自動原理(頑住吉注:中途半端ですがここから2ページ目)の類型には、85式小型サブマシンガン、77式拳銃等のような自由遊底式(頑住吉注:ストレートブローバック)、ドイツのG3、フランスのFAMAS等のような半自由遊底式(頑住吉注:ディレードブローバック)、中国の81式銃器ファミリー、95式銃器ファミリー等のようなガスオペレーション式、フランスの「ショーシャ」軽機関銃や中国の54式拳銃等のようなバレル後退式(頑住吉注:何でまたショーシャみたいなマイナーな銃を例に出すの、バレットとかジョンソンとか比較的メジャーなのがあるでしょ、と思いましたが、検索してみると不可解なことに中国人にはこの銃に興味を持つ人が多いらしく、無茶苦茶詳細に解説したページがいくつも出てきました。いずれ紹介したいです。なお英語版「Wikipedia 」によればこの銃の原理はガスアシストによるロングリコイルだそうです)、中国の95式12.7mm高射機関銃のようなバレル後退プラスガスオペレーション式がある(頑住吉注:ということは本来ショーシャはここに含まれるはずでは。まあいずれにせよ本題と関係ないです)。

自動火器の設計、製造、組み立て過程で、バレルのチャンバーへの汚れの侵入後にもなお信頼性を持った閉鎖を確保するため、閉鎖支持面との間に閉鎖間隙を留保することが必須である。これは一般に0.07〜0.15mmの範囲内にコントロールされている。撃発後、火薬ガスの圧力の作用下で薬莢底部が圧力を受け、ボルトヘッドを後方に押し動かし、閉鎖間隙をなくし、ボルトヘッドの閉鎖支持面とバレルエクステンションの閉鎖支持面との密着を強制し、チャンバー閉鎖の目的を達成する。その後、火薬ガスがガス導入穴を通ってガス導入装置に進入し、ピストンを後方に押し動かし、ピストンがボルトキャリアを押し動かし、ボルトキャリアがボルトヘッドを押し動かして回転開鎖させ、後座自動サイクルを完成させる。これこそがよく見られるガスオペレーション式作動原理である。

薬莢短後座自動原理は、ガス導入装置やピストンをなくし、閉鎖間隙を0.07〜0.15mmから0.9〜1.13mmの距離まで増大させ、ボルトキャリアとボルトヘッドを密着させたものである。撃発時、薬莢はボルトヘッドとボルトキャリアを押し動かし、一緒に0.9〜1.13mmの距離後退させる。ボルトキャリアの速度は毎秒8mに達し得る。この時ボルトキャリアは当初に持った運動量で、開鎖、薬莢引き出し、ハンマーコック、いっぱいまで後退するなどの機械動作を完成させるに足り、しかも砂嵐、泥水などの劣悪な条件下での環境試験も完了できた。

具体的な作動過程は下の図の通りである。ボルトが弾薬を押してチャンバーに入れ、閉鎖した後、リコイルスプリングの作用下で弾薬、ボルトヘッド、ボルトキャリアの三者は一体として互いに密着している。ボルトヘッドの閉鎖支持面とバレルエクステンションの閉鎖支持面の間には間隙が形成され、すなわちこれが閉鎖間隙である。この状態が発射準備状態である。撃発後、火薬ガスの圧力の作用下で弾丸は前に向かって運動し、薬莢底部にかかる圧力が薬莢、ボルトヘッド、ボルトキャリアの三者を一緒に高速で後方に運動させる。この運動が閉鎖間隙をなくすに至ると、ボルトヘッドの閉鎖支持面とバレルエクステンションの閉鎖支持面が互いに密着し、この時薬莢、ボルトヘッドは運動を停止、ボルトキャリアは慣性で後退し、ボルトヘッドと分離する。ボルトキャリアが開鎖前のフリーストロークを走り終えると、ボルトキャリアにある開鎖螺旋面によってボルトヘッドを連動して回転させ、開鎖し、薬莢引き出し、薬莢投げ出し、ハンマーコック、いっぱいまでの後退などの動作が完成される。その後リコイルスプリングの作用下で、ボルトキャリアはボルトヘッドを連動させて復帰し、弾薬を押してチャンバーに入れ、閉鎖し、再び発射準備状態になり、1つの自動サイクルが完成する。後はここから類推してほしい。



この種の作動原理は、後に我が国の自動火器学科の著名な学者で専門家である于道文教授により薬莢短後座自動方式と命名された。実際にはボルトキャリアが薬莢の微小な距離の後座を利用してエネルギーを獲得し、自動サイクルを完成させる原理に他ならない。目下国外ではまだこの種の自動原理を採用したとの報道はない。

(頑住吉注:きりのいいところで、原ページの画像のキャプションです。まず上の画像。「66‐136小銃も何度かにわたる方案の改良を経た。図の上の銃は最終のサンプル銃で、下は研究開発過程でのサンプル銃である。両者の外観上の最大の差異はリアサイトの設計にある。」 続いて左下。「最終サンプル銃のリアサイトには回転調節式が採用され、作戦時の異なる高さのリアサイトに対する要求を満足させた。長所は回転させやすいことである。」 回転と訳しましたが分かりやすく言えば起倒式L字型サイトのようです。続いて右下。「作戦時の異なる高さのリアサイトに対する要求を満足させるため、このサンプル銃のリアサイトに採用されたのは回転つまみ調節式だった。矢印で示している位置にある回転つまみでリアサイトの高さを調節した。」 要するにM16A2のような感じでしょう。ここまでの微調節はいらないということでサブマシンガン並みの2段階に簡略化されたらしいですね。なお画像を見る限り最終サンプル銃も左右調節は回転つまみで行ったようです。)

ここから我々はこの原理とよく見られるいくつかの種類の自動原理との差異をはっきり見ていこう。

自由遊底式および半自由遊底式はいずれもチャンバー内の火薬ガスの圧力を利用して直接ボルトを後方に押し動かす。自由遊底式はボルトの自重とリコイルスプリングのテンションに頼って開鎖を遅延する。半自由遊底式は何らかの拘束機構に頼って開鎖を遅延する。この原理ではボルト運動のエネルギーは薬莢の短後座から来ており、遅延開鎖機構はなく、剛性閉鎖(頑住吉注:フルロッキング)が採用されている。

ガスオペレーション火器では、ボルト運動のエネルギーはガス導入システムの火薬ガス圧力から来ており、一方本原理にはガス導入システムはない(頑住吉注:このあたりで3ページ目です)。バレル後退式火器では、ボルト後座運動のエネルギーはバレルの後退から来ており、一方本原理ではバレルは固定されていて動かない。

ここから、薬莢短後座自動原理は独創的な、独特の新しい自動原理と呼んでも全く過言ではないことが見て取れる。

66-136の信頼性と精度はどうだったのか?

本銃は新原理の論証と何度かにわたるサンプル銃の試作過程で、閉鎖間隙の大小の調節によってセミ・フルオートが実現された。何度にもわたる試験を経て、本銃は常温の条件下では信頼性が高いことが証明された。当時試験の手段が制限を受けたため、また「文化大革命」の影響のため、この銃の環境試験は行われなかった。だが設計者たちはやはりボルトの運動速度の試験は行っていた。ボルトヘッド回転閉鎖の自動小銃および軽機関銃に関して言うと、ボルトの最大後座速度が7.5m/s以上に達すると、後座完了時の速度が2.5m/s以上に達し、常温、低温条件下での機構作動の信頼性が保証され得る。一方本銃のボルトの最大後座速度は8m/s以上に達し、また後座完了時の速度は3m/s以上に達し、常温、高温、低温条件下での機構作動の信頼性を保証するのに足りる(頑住吉注:速度さえ足りりゃ大丈夫ってもんじゃないと思うんですがねぇ)。

薬莢短後座原理の射撃精度に対する影響を深く検討するため、設計者たちはさらにわざわざ63式自動小銃のガス導入システムを取り去り、閉鎖間隙を大きくし、薬莢短後座自動方式に変え、改造前後の精度試験を行った。結果は薬莢短後座原理採用時およびガス導入式自動原理採用時の射撃精度は同等だった。本銃に対しても射撃精度試験が行われた。試験を行った5人の射手は1号射手を除き他は全て北京軍区某部から来てもらった幹部、兵士であり、射撃距離は100mだった。

試験結果から見ると、半数必中半径および全弾必中半径はいずれもやや大きめだったものの、新しい自動原理の新しいサンプル銃として、各種機構が完全、合理的になりきっておらず、なお設計の完全形態に達していないレベルであるという条件下では、射撃精度はそれでもよいと言うべきものだった。

薬莢短後座を採用した銃には構造上どんな特徴があるのか?

その1、この銃にはチャンバーにフルートを切ることが必須である。発射時、弾丸が薬莢の口部を離れ、火薬ガスがチャンバーの縦方向のフルートを通って薬莢外壁とチャンバー内壁の間に進入する。この時薬莢は内外から圧力を受け、圧力のバランスが取れて変形しない。こうしてこそ薬莢は高圧の作用下でチャンバーに張り付く現象を起こさずにいられる。このようにしてこそ薬莢はスムーズに0.9〜1.13mm後方に向かって運動でき、断裂しないのである。

チャンバーに縦のフルートを切ることに関しても研究の余地があり、通常は電解加工を採用して実現される。切られるフルートの数には6本、8本、12本等があり、フルートの長さは長くも短くもできるし、さらにストレートのミゾとして加工することもらせん状のミゾとすることもできる。らせん状のミゾを採用した場合、さらに異なるピッチを選ぶことができる。試験を経て優秀なものが選択され、最終的に「66-136」小銃が採用したのは、12条の短いストレートのフルートだった。これは自動機械の工作を平穏にさせることができ、かつ薬莢の変形と薫煙現象も比較的小さかった。

その2、この種の作動原理はボルトキャリアとボルトヘッドが撃発前の瞬間において密着していなければならないことを要求し、こうしてこそボルトヘッドと薬莢が後ろに向け運動する時、運動量の全部がボルトキャリアに伝達されることが保証され得るのである。さもないとボルトキャリアは充分な運動量を獲得して自動サイクルの作動を実現することができない。このような条件は、セミオート射撃時は保証することが容易だが、フルオート射撃時は比較的困難である。これは、ボルトキャリアとボルトヘッドがフルオート時には前進復帰しきって閉鎖した後でもなお一定の前向きの運動エネルギーを有しており、ボルトキャリアとボルトヘッドの衝突がボルトキャリアの跳ね返りを生む可能性があるからである。もし撃発の瞬間にボルトキャリアが跳ね返って即時に静止状態に戻らなければ、この時ボルトキャリアとボルトは分離して間隙があり、ボルトヘッドの動き始めの運動量が得られない。このため、この種の自動原理は設計において、ボルトキャリアには充分なフリーストロークがあることを保証しなければならず、必要な時はボルトキャリアの跳ね返り防止装置を採用してもよい。

(頑住吉注:3ページ目の画像のキャプションです。まず左上。「66‐136も銃器ファミリー思想に照らして設計された。右はこの銃器ファミリーの中の軽機関銃。これらのマガジンは共用できる。古いものなので我々は1つのマガジンしか見つけられず、やむを得ず不本意ながら小銃にはマガジンを装着しなかった。」 続いて右下。「コンピュータを使って66‐136小銃の外形図を制作した時、すでに遠くなった珍しい物語を本に書いているようだった。外形上はソ連式のモデルから脱却していないものの、その内部は早くも乾坤一擲の異なるシステムがあった。」)

66‐136の射撃精度試験の結果

1号射手 2号射手 3号射手 4号射手 5号射手
左は半数必中半径、右は全弾必中半径(単位:mm)
銃ナンバー 710011 6.3 16.6 6.9 17.1 6.6 15 5.7 15.8 6.47 12.1
710012 6.3 13.9 7.4 16.8 7.8 15.1 5 15.8 5.8 15.6
71007 6.43 14.67 5.68 12.3
71008 4.7 12.1 4.63 9
平均 半数必中半径は6.1mm、全弾必中半径は14.4mm

注:近距離射撃時、垂直面上の散布面は円形に近く、平均着弾点は円の中心である。半数の着弾点を含む円の半径を半数必中半径、全ての着弾点を含む円の半径を全弾必中半径と言う。これらは精度試験における2つの重要なパラメータである。(頑住吉注:要するに全弾のグルーピングは距離100mで平均28.8mmということになるわけで、命中精度の高いサブマシンガンにも負ける数値です。しかしまあこの独自のシステムのせいで命中精度が悪いわけではなく、当時の中国の技術レベルが全体的に低かったことを示しているわけでしょう)

この銃にはまだどんな問題が存在するのか?

まず、チャンバーにフルートが切られ、発射時に火薬ガスが後方に噴出することが避け難く、ボルトヘッドとボルトキャリアが後方に噴出した火薬ガスで薫されて黒く汚れることになり、勤務におけるクリーニングに困難がもたらされる。この種の状況は先に装備されているドイツのG3小銃と同じである。もし無錆食プライマーの弾薬を採用すれば、状況は直ちに大いに好転する。説明を要するのは、チャンバーにフルートを切ることは、火器の内部弾道性能に対し基本的に影響しないことだ。

(頑住吉注:これより4ページ目)

次に、ボルトヘッド、バレルエクステンションの閉鎖支持面の力を受ける条件が劣悪である。前述のように、撃発後、薬莢は1mm前後の短距離後座を行い、ボルトヘッドは8m/s以上の速度でバレルエクステンションに衝突し、ぴったり密着する。ボルトヘッド、バレルエクステンションの閉鎖支持面は、チャンバー内の火薬ガスの静的圧力を受ける他に、より大きな衝突による力も受けなければならない。これは薬莢短後座自動原理ではないボルトヘッド、バレルエクステンションの閉鎖支持面に比べ、力を受ける条件がずっと劣悪である。支持面を適当に拡大すれば、力を受ける状況が改善されることには注意を要する。

第3に発射速度が不安定な時がある。これは主にボルトの運動速度が不安定なために引き起こされる。ボルトの運動速度が不安定なことにはさらに2つの方面の原因がある。1つは閉鎖間隙の大小の不一致性である。2つ目はボルトが前進復帰しきる際の連続的跳ね返りがボルトヘッド、ボルトキャリア、弾薬の間の接触不確実あるいは密着しない現象を引き起こし、薬莢後座過程でエネルギーが有効にボルトキャリアに伝達され得ない結果をもたらし、ボルトキャリアの後座速度を低下させ、発射速度の不安定が起きるのである。

これは当時出現したいくつかの技術的難題であり、もし条件が許せば本来ならば克服できたのだが、歴史的原因ゆえに遺憾を残したのである。

最後の選定トライアルに参加したのは何故この方案ではなかったのか?

新原理として、これには多くの方面でまだ未成熟があり、このため上述の多くの問題が起きた。当時の科研作業の時間は短く、任務は急を要し、規定の時間内で要求に符合するサンプル銃を出せるようにするためには、設計者たちは最後の瀬戸際でやむを得ず薬莢短後座自動原理の方案を放棄し、当時技術が相当に成熟していた「ガス導入式」を用いることに変更するしかなかった。「薬莢短後座」から「ガス導入」に改めることは実は簡単で、リコイルスプリングの位置を後方に移し、空いたスペースにガス導入システムを加えるだけでよかった。「ガス導入式」に改める時、設計者はマガジンもストレートに改めた。これこそ三カ所に展示されている方案に他ならない。このような改良はこの銃を精度上も大幅に向上させ、加えてそれまでの多くの出色の作業があり、選定トライアルに入る時、この銃は当時最も成功の望みある方案となった。

光陰矢の如し、日々は機織器のごとく慌ただしく流れ、あっという間に36年が過ぎ去った。当時このプロジェクトに参加した科研人員はすでに元気はつらつとした熱血青年から、心持ち平和に余生を過ごす老人に変わった。今ではただ、この独特の自動原理がより多くの人に熟知され、できればより良いものを生み出すきっかけとなり、考え方の幅を広げ、より斬新さを持った新原理が提出されることを希望するのみである。

(頑住吉注:4ページ目の大きな画像のキャプションです。「66‐136小銃は、かつて81式の選定トライアルにおいてかくのごとき他と違うところを見せつけ、全体性能は現在の81式として採用されたサンプル銃と伯仲しており、いくつかの性能は勝るとも劣らなかった。選定会の後、66‐136の信頼性、精度等の面での優秀な設計に感心したため、質問や参考の材料として事情に役立ったという。一番右が81式自動小銃。」)


 中国人には悪いですがこのシステム、非常に面白いんですけど誰も思いつかないようなユニークなものではないと思います。思いついた人、あるいは試作まで行った人も西側に複数いるかもしれません。しかし構想段階あるいは試作を経て全てダメだという結論に達したから知られていないのではないでしょうか。

 バレル内が高圧の状態のまま薬莢が後退を始めると、薬莢切れ事故が起こる可能性があります。「Uberti製レミントンローリングブロックピストルレプリカ」の項目で、高圧とはいえピストル弾薬である.357マグナムの薬莢が、わずか0.4mmの「閉鎖間隙」のために完全に断裂することもあったという記述に驚いたことを思い出しました。薬莢切れを防止するため、この銃はチャンバーにフルートを切っています。この点はH&K製のローラーロッキングライフルと同じです。しかし、ローラーロッキングのフルートは、「バレル内の圧力が下がってから薬莢が動き始めるのが理想だが、そうならない可能性もあるので保険として切る」性質のものでしょう。それに対しこの銃はバレル内が高圧のまま薬莢が動かなければ原理的に作動は起こりえないわけで、あまりにも乱暴なシステムと言わざるを得ません。薬莢切れ事故は、不発やジャムと違い、もし起きると銃を分解して専用工具で薬莢の前半部を除去しない限り銃の機能が全く失われてしまう、戦闘中に起きたら致命的な故障であり、何としても避けなければならない性質のものです。このシステムでは、極端な温度変化、フルート内への汚れの堆積、薬莢の寸法の微妙な違いや発射薬の入れ過ぎといった不良によって、通常の諸システムより容易に薬莢切れが起こりやすくなる可能性が高いのではないかと強く疑われます。

 考えたんですが、ガバメントの.22コンバージョンのように、というかストロークはもっとずっと短くていいですが、チャンバ-を可動式にすれば問題が大筋解決できるのではないでしょうか。弾丸が薬莢を離れてわずかに進むと内部に薬莢を強く張り付かせたままのチャンバーがわずかに後退してボルトを後退させるわけです。こうすると全く新しいシステムというよりバレルがシリンダー、チャンバーがピストンを兼ねるガスオペレーションの変形になってしまうでしょうが、それでも通常のガスオペレーションよりはシンプルにでき、長いルートをガスに通らせ結局は排出してしまうよりもガスの損失が少なく、バレル途中に穴を開けるより精度上のデメリットが小さくでき、また完全フローティングバレルにもしやすいものにできるのではありますまいか。うーん、でもこれも誰にも思いつかなさそうな発想じゃないんで、やっぱり何らかの問題でダメなんでしょうかねー。

ちょっと追加

 ごめんなさい、間違いに気づきました。「半数必中半径および全弾必中半径はいずれもやや大きめだった」という記述から、勝手に頭の中で読み変えちゃってましたが、グルーピングの単位はmmですね。しかし100mでの全弾グルーピングが平均3cm以下で、「やや大きめだが完成しきっていない状態での数値だから許されるべき」という記述になるでしょうか。記事の方が間違っているような気もするんですが、しかし100mで28.8cmではいくらなんでも大きすぎのようですし、ちょっと分かりません。しかしいずれにせよこれはこのシステムの本質とはあまり関係ないでしょう。

 ついでに書き忘れたことを。このシステムがなぜ発明されたのか、という問題です。私よりずっと年長のモデルガンマニアの方に聞いたことがあるんですが、昔ハンドガン型の金属モデルガンが黒かった頃、ピースメーカーに異常に大量の紙火薬を入れて発火させたところ、当時のモデルガンの精度が低かったこともあり、発火によってカートリッジが猛烈な勢いでわずかに後退し、ハンマーノーズを後方に押し戻し、慣性でハンマーがフルコックされ、一瞬のことなのでトリガーはまだ引いたままですからハンマーは再び倒れ、これを繰り返すことでフルオートになってしまったことがあるそうです。このシステムも、加工精度が低いガスオペレーション銃で、例えば試作段階でガスシステムがまだ取り付けられていないとか、グレネード発射用のガスカット機能が働いているとかの状態であるにもかかわらずボルトが多少後退したことから偶然発見されたのではあるまいかと想像します。








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