77式拳銃

 実はこの銃、昔製品化を検討したんですが当時は資料が少なくて断念していました。もし実現していれば日本トイガン史上唯一の中国オリジナル銃器の再現となったんですがね。ちなみにモデルガン化、またはアカデミーのコッキングガンをベースにスプリングを弱めてトリガーガードでコッキングできるワンハンドコッキングエアガン化を考えていました。

http://tuku.military.china.com/military/html/2009-01-27/118299_1050271.htm

 このページ、画像の右寄りでクリックすると次のページ、左よりでクリックすると前のページに移れるようになっています。また、画像左上の「査看原図」(原ページでは簡体字ですが)をクリックすると最大サイズの画像が表示され、保存もできます。ここではどの画像のどの部分の説明か分かりやすいようにごく小さな画像だけ示すので、大きな画像は原ページで確認してください。


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左上の画像のキャプション:「77式7.62mm拳銃右面図」

左下の画像の部品名称:「マガジンキャッチボタン」

右上の画像のキャプション:「セーフティレバーを下方の真下の位置にスイングする」 部品名称:「セーフティレバー」 ちなみにこれはフィールドストリップの説明の一部であり、セーフティオンにするには45度くらい下げるだけです。

右下の画像のキャプション:「スライドをいっぱいに後方に引き、後部を持ちあげ、スライド内側のレールをフレーム上部のミゾから離脱させれば即スライドが取り外せる」 要するにフレーム側のレールの最後部はセーフティレバーの一部であり、下に回してしまうと機能しなくなるのでスライドをいっぱいに引いて後部を持ちあげることができるわけです。発射後、スライドがいっぱいに後退して後方に衝突した時、これを後部で支えるのはフレーム左側の、セーフティという可動部分の一部であるレールのみであり、ちょっと不安な感じもします。


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左上の画像のキャプション:「マズルおよびフロントサイトの特写」 部品名称:「フロントサイト」

右上の画像のキャプション:「セーフティレバーは3つの位置が選択できる。赤いドットの位置の時拳銃は発射準備状態であり、白いドットの位置(写真で示す位置)の時拳銃はセーフティ状態、セーフティレバーを下方の垂直位置にするとスライドがフレームから分解できる」 部品名称:「セーフティレバー」 画像からは白いドットが確認できません。脱落した可能性もありますが、検索して他の銃の画像を見てもないようです。省略されるのが普通か、非常に脱落しやすい塗料が使われているのかどちらかでしょう。

左下の画像のキャプション:「刻印の特写。楕円形サークル内の『316』は生産工場の略称、『77式』はこの銃の型号、『0606123』はシリアルナンバー」

右下の画像のキャプション:「スライド後部の左右側面にはいずれも滑り止めのセレーションが設けられており、スライドを後方に引いて銃を発射準備状態にするのに便利である。片手で可動式トリガーガードをトリガーのように引いて銃の発射準備をすることもできる。エジェクションポートとエキストラクターは銃の右側に設けられている」 部品名称:「エキストラクター」 「エジェクションポート」 「可動式トリガーガード」 「滑り止めセレーション」 どれがどれかは分かりますよね。


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左の写真のキャプション:「詳細な再説明:セーフティレバーを赤いドットの位置にすると、セーフティの突起がフレーム側レールの延長線上に回って到達する。すなわちスライドは邪魔されずに後方に移動でき、拳銃を発射準備状態にする。セーフティレバーを白いドットの位置にするとセーフティの突起はスライド側レールの後方のルート上に回って到達し、スライドを後退できなくさせ、セーフティ状態を形成する。セーフティレバーを写真で示す垂直位置にすると、セーフティの突起も下に移動し、スライド側レールの後退時に邪魔せず、しかもスライド側レールがいっぱいに後退するとスライド側レールはフレーム側レールの下方から離脱でき、したがってスライドとフレームの分離が実現する」 部品名称:上が「スライド側レール」 下左が「フレーム側レール」 下右が「突起」

右の画像のキャプション:前方にリコイルスプリングを取り外せば、写真で示す日常勤務分解状態となる。もしさらに一歩の分解をするなら、次の段取りに従って進行する」 部品名称:「スライド」 「リコイルスプリング」 「マガジン」 「フレーム」


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「10」のキャプション:「U字型グリップパネルのネジをひねって緩め、取り外すとグリップパネルがフレーム後方に取り外せる」 部品名称:上から時計回りに「スライド座」 「ネジ」 「U字型グリップパネル」 前回64式拳銃に関し、「ワンピースグリップと左右貫通型固定ネジの組み合わせは珍しいと思われます」と書きましたが、この特徴は77式にも受け継がれているわけです。マカロフのように後方からねじ込む方が加工等が簡単なのに何故こうしているのか本当のところは不明ですが、かつて精度の低いプラキャストで製品を作っていた経験からすると、あるいはフレームよりグリップ内部の幅を気持ち大きくしていてもネジで締めればぴったりになるので精度が多少甘くても許されるからではないか、という気もします。

「11」のキャプション:「ワンハンド装填機構:スライド内には軸をめぐって回転可能なフックが設けられており、このフックと可動式トリガーガード内の窪みの前端がかみ合っている。可動式トリガーガードをトリガーのように引くと、可動式トリガーガードとフックが連動してスライドを後退させ、リコイルスプリングと可動式トリガーガードのスプリングを圧縮する。スライドがいっぱいに後退すると、フックの斜面がフレームにある突起に触れ、可動式トリガーガードから離脱する。スライドはリコイルスプリングの作用下で前進し、弾薬を推してチャンバーに装填し、初弾の装填動作が完成する。可動式トリガーガードを緩めると、可動式トリガーガードはそのスプリングの作用下で前方位置に回帰する」 部品名称:上から時計回りに「フック」 「可動式トリガーガード」 「突起」 「窪みの前端」

「12」のキャプション:「工具を使って可動式トリガーガード保持ロックを押し出すと、可動式トリガーガード、可動式トリガーガードスプリング、ガイドロッドは前方に取り出せる。注意:77式拳銃は固定式バレルの設計を採用しており、バレルはフレームに固定され、取り外しはできない」 部品名称:上左から時計回りに「可動式トリガーガードスプリングおよびガイドロッド」 「保持ロック」 「可動式トリガーガードスプリング」 可動式トリガーガードは本来前方に抜けるように作られており、トリガー上方の横の貫通穴に保持ロックをかんぬき状に挿入することで一定以上前進しないようになっているので、これを抜けば前方に抜けるというわけです。

「13」のキャプション:「チャンバーの特写。チャンバー後端下部にはフィーディングランプが加工されており、右側にはエキストラクターの収まる切り欠きが設けてある」 部品名称:右から「エキストラクターの収まる切り欠き」 「チャンバー」 「フィーディングランプ」 

「14」のキャプション:「フレーム後部にはシアとディスコネクターが設けられ、スライドの復帰時、その内部のファイアリングピンはシアによって後方に留められ、ファイアリングピンスプリングは圧縮され、拳銃は発射準備状態となる。スライドが不完全閉鎖の時は、ディスコネクターの上端がスライド内の対応する窪みに入ることができず、すなわちディスコネクターはいっぱいに上昇できず、トリガーバーはディスコネクターによって押し下げられ、シアとかみ合うことができない。すなわち撃発の実現は不能となる」 部品名称:上から「ファイアリングピン」 「窪み」 「ディスコネクター」 「シア」 「トリガーバー」 このあたりはブローニング系そのもののデザインに見えますが‥‥

「15」のキャプション:「シアとディスコネクターを上に回し、フレーム内のシアスプリングとディスコネクタースプリングを取り出す。セーフティを左に押し出し、その後セーフティを各位置にクリックさせるプランジャーとスプリングを取り出す」 これはブローニングと違う手法です。抜けないことはないと思いますが、シアとディスコネクターを保持している後方の軸はこの分解説明の最後まで抜かれていません。フィールドストリップ時にフレームを逆さにするなどしてシアとディスコネクターのスプリングが意図せず脱落し、紛失してしまう可能性はないんでしょうか。


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本文:「77式7.62mm拳銃は、我が国公安戦線上の「老銃」である。現在92式9mm拳銃がすでに公安部門の幹部と警官の装備序列に入っているが、その装備数量は77式拳銃に遠く及ばない。

77式拳銃は自由遊底式(頑住吉注:ストレートブローバック)の作動原理、ファイアリングピン水平移動式撃発機構を採用している。77式拳銃の最大の特徴は、片手で可動式トリガーガードをトリガーのように引いて初弾を装填できることであり、すなわちいわゆるワンハンド装填である。この銃は不完全閉鎖セーフティとマニュアルセーフティ機構を備え、機械式サイトはブレード状フロントサイトとノッチ式リアサイトである。50m以内の生体目標を殺傷できる。

この銃は重量0.5kg、全長149mmであり、64式7.62mm拳銃弾薬を発射する。初速は320m/s、マガジン容量は7発である。

多くの読者が77式拳銃に関し聞き慣れていて詳しく説明できるものと信じるが、最も熟知した物に対しては往々にして容易にその細目を見落とすものでもある。ここで我々は77式拳銃に対し一度徹底的に解明し、真にこの銃の「親友」になろうではないか。」 何故か5ページ目に来ていますが、元々の記事ではこれが冒頭に来ているはずです。


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「16」のキャプション:「トリガーのピン、トリガーバーのピンを抜くとトリガーとトリガーバーが取り出せる」 部品名称:上から「トリガーおよびそのピン」 「トリガーバーおよびそのピン」

「17」のキャプション:「専用工具を使ってマガジンキャッチボタンにあるスプリングロックをつまむとマガジンキャッチボタンが右から左に向けて押し出せる」 部品名称:「スプリングロック」 これちょっと悩みました。ボタンの押す部分の反対側にマイナスドライバーで回すスリットのようなものがあり、普通これを回すと抜けるわけですが、明らかにそういう説明ではありません。



たぶんボタンの反対側はそれ自体にスプリング性のある割りピン状になっていて、専用工具で内側に圧縮すると抜けるようになっているんでしょう。

「18」のキャプション:「カバーパイプおよびマガジンキャッチボタンのスプリングを取り出す。写真で、カバーパイプにあるマガジンを固定する部分が、マガジンをいっぱいに挿入した時、マガジン本体にある穴に入ることが分かる」 部品名称:上から「カバーパイプ」 「マガジンキャッチボタンおよびそのスプリング」

「19」のキャプション:「ノッチ式リアサイトの特写。ノッチ式リアサイトはスライド後部のアリミゾ内にタイトフィットされ、ゴム製ハンマーを使って叩いて抜くことができる」 部品名称:上から「リアサイト」 「アリミゾ」

「20」のキャプション:「マガジンスプリングの下端を押し上げるとマガジン底板が抜き出せる。その後マガジン本体内からフォーロワおよびスプリングを取り出す」 部品名称:右から時計回りに「マガジンスプリング」 「底板」 「マガジン本体」 「フォーロワ」 通常マガジンスプリングによって下方に押されるプレートがあって、これが底板を保持しているんですが、この銃ではスプリング自体が底板を保持しているようです。

「21」のキャプション:「77式7.7mm拳銃分解図」 これに関してのみ大きな画像を示しましょう。


 セーフティにごく小さなレールの一部を付属させ、発射位置ではレールとして機能させ、セーフティ位置ではスライドの後退を妨害させ、分解位置では機能しなくさせてスライドをいっぱいに引いて持ちあげられるようにする、というデザインはなかなか巧妙だと感心しました。

 この銃に関しては、トリガーガードを人差し指で引きやすくするためリコイルスプリングを極力弱くし、それを埋め合わせるためにチャンバー内にリング状のミゾを設けて摩擦を増大させている、という説明がありますが、この記事にはそういう内容は出てきません。英語版「Wikipedia」にも書かれているので間違いではないと思うんですが。

 この銃に関しては、何故より高度で即応性が高いダブルアクションのPPKコピー、亜流製品を生産した中国が、時代錯誤ともいうべきワンハンドピストルをわざわざ開発、装備したのか、という点が最大の謎です。あるいは中国警察の規則でチャンバーに装填しての携帯が禁止されていたから、といった理由かもしれません。






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