「中国警察対凶暴な家畜」 2題

 日本では人に危害を加える恐れのある動物が人里に出た場合、猟友会が登場することが多いですが、これはむしろ国際的には珍しいことのようです。中国警察がこうした事態に対処したケースに関するページを2つ見つけ、中国製銃器の効力を判定する材料になるのではないかと思って読んでみました。


http://13500981.blog.hexun.com/65883304_d.html

88式狙撃銃、お笑い。弾丸14発でやっと犬1匹撃ち殺す。

盤錦のあるチベタン・マスティフ犬( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%99%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%95 )が飼育員を咬んで負傷させた後逃げ出し、飼い主が警察に助けを求めた。「皆さんあの犬を殺して」と。

飼育員を咬んで負傷させた後、100kg余りのチベタン・マスティフ犬が檻から逃げ出し、まるで檻から出たライオンのように狂ったように吠え、止まなかった。

止むを得ず飼い主は警察に助けを求めるしかなかった。撃ち殺してください!

しかし射殺の過程は順調ではなかった。警察はまるまる14発を発射し、10発がこの人を負傷させた犬に命中した。

中国チベタン・マスティフクラブ会長の馬俊仁さんは解説する。チベタン・マスティフの頭骨は一般の犬と比べてより硬く、撃ち抜くのは容易でないと。

警報:誰も犬を檻に入れられない。

8時45分、盤錦市大窪県公安局は新たに開設されていた派出所の政治指導員孫立斌に助けを求める異例な電話をかけた。

電話をかけた人は苗力といい、管轄区域の某会社社長だった。

苗力は孫立斌に言った。会社の寮内で1匹のチベタン・マスティフを飼っており、本来は檻の中で飼っていたのだが、早朝に飼育員が餌をやる時、突然気性が大きく変わり、飼育員を咬んで負傷させ、檻から飛び出し、中庭に走り込んだ!

「私が最も恐れるのは犬が正門を飛び出し、走って公道に行って人を咬むことです。」 苗力は慌てていた。会社の正門の外は新設校の生徒が登校時に必ず通る道だからである。「犬を殺してください。犬を檻に戻せる者はいません。」

咬まれて負傷した男性飼育員は説明した。当日の早朝、彼はいつものようにチベタン・マスティフに餌をやりに行ったのだが、思いがけないことに突然チベタン・マスティフは自分に飛びかかってきた。倒され、その後腕を咬まれて負傷した。逃げのびるため、彼は必至に腕でチベタン・マスティフの首を締めた。体は正門の所まで運ばれ、その後チャンスを見て正門から走り出た。

目撃:発砲後、「狗急跳墻」(頑住吉注:「犬は追いつめられると塀を飛び越える」ということわざで、「窮鼠猫を咬む」に近い意味だそうです)

9時頃、盤錦市公安局巡邏特別警察分遣隊は高宝貴、姜宇の2人に銃を持たせて派遣し、大窪県公安局の人民警察と現場に急行させた。

高宝貴は手にスナイパーライフルを持って正門の片方の屋根の上に立ち、銃を構え、狙った。「パン!」と1発の銃声が鳴ると、チベタン・マスティフの哀しげな叫び声がしただけで姿は見えなくなった。人民警察が庭の草むらに入った時、チベタン・マスティフは突然身を躍らせて壁を飛び越えた。

孫立斌は言った。「その場にいた全員が茫然とした。本当に「狗急跳墻」を目撃したのだ。」

「こうなると犬が街に出て人を咬む怖れがある!」 孫立斌は言った。だが幸い跳び出して行った場所は水田だった。

大窪県公安局治安大隊の大隊長何鵬は人民警察官を連れて手負いのチベタン・マスティフをあちこち捜し始めた。水田の先のトウモロコシ畑の中で人民警察官が、手負いのチベタン・マスティフがうねの間に伏せて荒い息をしているのを発見した‥‥。

この時、人民警察官は拳銃を取り出して数発連射したが、チベタン・マスティフは突然跳び起きて再び水田の中へ走り込んだだけだった。1人の人民警察官が水田に到着し、チベタン・マスティフが水の中に横たわっているのを発見して完全に死んでいるに違いないと判断した。彼が両手で隠れている後ろ足を引っ張り出そうとした時、チベタン・マスティフはもがいて前向きに這った。人民警察官が手を放した後、スナイパーライフルが再び射撃を始めた‥‥

事件後、孫立斌は記者に告げた。人民警察は全部で14発発砲し、10発がチベタン・マスティフの体に命中した。1発目は犬の頬を貫通し、このため死亡に至らなかった。

チベタン・マスティフの飼い主である苗力は説明した。春節の前、このチベタン・マスティフが家人を咬んで負傷させたことがあった。だが1年半飼ったことを考慮すると思い入れがあって売ってしまうことはなかった。こんなことが起こるとは思わなかった。

専門家談:病気のチベタン・マスティフを飼ってはいけない

このチベタン・マスティフは何故10発の弾丸が命中してやっと死んだのか?  

馬俊仁は説明する。警察は動いている状態のチベタン・マスティフの大脳あるいは小脳を正確に探しあてるのが難しかった。しかもチベタン・マスティフの頭蓋骨は非常に硬く、たとえ面と向かって頭蓋骨に命中させても、傷が大脳あるいは小脳に及ぶことはありえなかった。次にチベタン・マスティフの心臓は非常に小さく、動いている状態において1発で心臓に命中させる可能性は非常に小さかった。このため、もし1発で殺したければ側面からチベタン・マスティフの耳の下を撃ってもよかった。こうすれば容易にチベタン・マスティフの大脳あるいは小脳に弾丸が到達したはずである。

馬俊仁は説明する。こうした飼育員を咬むようなチベタン・マスティフは一種の精神病を患っている。この種のチベタン・マスティフの割合は3〜5%に達する。人々にこの種のチベタン・マスティフを繁殖しないよう提案する。飼えばすなわち災いであり、いずれ事故が起こるのである!

(頑住吉注:最後の画像は参考のための比較画像で、インドの警察官が人を傷つけた豹を冷静沈着に射殺する、というシーンです。ピストルはブローニングハイパワーでしょうか。どうでもいいですが妙な内股が気になります。なお上の3枚の画像も参考画像であり、この事件そのものの画像ではないと思われます)


http://bbs.tiexue.net/post_5033400_1.html

水牛人を傷つける。特別警察狙撃手、追撃4時間、21発射撃して射殺

(頑住吉注:タイトル画像のキャプションです。「21発で射殺された狂牛の重さは約400kgに達した」)

(頑住吉注:2011年)4月21日夜11時半、天空の濃霧は重く重なり、小雨が止まなかった。株州市芦淞区五裏○郷(頑住吉注:「○」は日本にない漢字で、土偏に「敦」です)の瓦屋組合自警団員の周さんは、団長の袁さんと派出所付近で1頭の水牛を発見した。

「こんな遅い時間にまだ牛が路上にいるなんて、逃げ出したに違いないね。」 2人は牛を曳いていこうとしたが、牛の鼻づらに縄がつながれていないことに気付いた。さらに彼らにとって意外だったのは、水牛が頭を低くしてまっすぐ2人に向かって突進してきたことだった。周さんが道路脇に突き飛ばされ、袁さんも一突きされた。

「この水牛は狂っている、早く来て手を貸して。」 付近の住民が大きな叫びを聞き、警察に通報した。

3発が頭部に命中、水牛は再び立ちあがってきた

4月22日深夜0時、株州市芦淞公安分局の当番リーダー潘高、巡邏特別警察支隊機動大隊大隊長雷明徳は通報を受け、迅速に現場の処置のためにかけつけた。さらにその前に到着していた2名の人民警察官もいて、彼ら全員では2挺の88式スナイパーライフルと1挺の92式警察用拳銃を携帯していた。

人民警察官が現場にかけつけた時、すでに多数の村民を突いていた水牛は、ちょうどU字型の民家付近を徘徊していた。

水牛がむやみに逃げ回るのを避けるため、警察は1台の警察車両と2台のバイクを2か所の村内に通じる交差点に置いた。

深夜1時頃、雷明徳の手にした88式スナイパーライフルが1発目を発射した。続く数秒でスナイパーライフルは2発を連続発射し、3発は正確に「狂牛」の頭部に命中した。狂牛はひとしきり悲鳴をあげて頭を下げ、両前足を曲げ始めた。

狂牛が間もなく倒れると見えた時、突然この狂牛は再び猛然と立ち上がり、路に止めてあったバイクを突いて倒し、北西の方向に逃げ去り、すぐにその姿は見えなくなった。

人民警察と村の主だった者たちは手分けして追った。1グループは血の跡をたどって探し、他の1グループは現場処理にあたり、村民を落ち着かせた。

再び2発命中、水牛は脱兎のごとく逃げた

深夜2時頃、北西方面に沿って捜索を行っていた人民警察官がついに現地の黒石頭山のある石灰採掘所でこの狂牛を探しあてた。狂牛は20uにも満たない空き部屋の中に隠れていた。

適した狙撃位置がなかったので、警察は部屋の向かい側にある工場の事務室の壁に、直径1/3mの射撃口を掘って開けた。

村民の安全を確認した後、雷明徳は再びスナイパーライフルを使って射撃を行った。1発は牛の腹に、1発は牛の足に命中した。悲鳴を上げた狂牛は脱兎のごとく逃げ、山腹にある林に逃げ込んだ。

連射16発、水牛は倒れた

「生きているなら牛を、死んでいるなら死体を見せろ!」(頑住吉注:牛の部分を人に換えた言葉が慣用句らしく、要するに「デッドオアアライブ」、生死は問わないから捕まえてこい、という意味のようです)潘高と雷明徳は2名の人民警察官を連れ、村民の袁凱志と共に狂牛が林に入った場所から山に分け入った。

「牛はここにいるぞ!」 早朝5時頃、袁凱志の鉈が正面を指し、巨大な黒影が前方の谷間に伏せているのが見えた。5発の命中弾を受けた狂牛はすでに息絶え絶えだった。狂牛が死ぬ前に再び必死で暴れる万一の事態を心配し、雷明徳は片方の手で懐中電灯を使って狂牛を照らし、もう片方の手で拳銃を持ち狂牛を撃った。16回連続の銃声の後、狂牛は2度と動かなかった。この時、時計の針は早朝5時15分を指していた。

「この牛は神仙の生んだ卵かもしれないね」

「この牛は神仙の生んだ卵かもしれないね、こんなに頑丈だ。」 一部の村民はいろいろと話し合った。(頑住吉注:無理に直訳しようとしましたが、日本人には理解不能ですね)

曳かれて戻ってきた牛の死体を見て、村民たちは言った。この水牛は村のではない。外観からして田を耕したことがない。肉牛に違いない。重量は大体400kgあまりある。「付近の屠畜場から逃げてきたのかもしれない。おびえて狂ったのだ。」

調査によると自警団長の袁さんが家ごとに村民に「外出注意」を通知した時、狂牛に突かれて負傷し、路上で昏倒した41歳の村民夏さんを発見した。その後夏さんは病院に送られて治療を受けた。

もう1人の負傷者は88歳の易おじいさんだった。彼は外出する時にちょうど手負いの狂牛が彼の家の門前を通過するのにぶつかり、突かれて負傷したのだった。現在この老人は救急処置を受けている。

村民たちはこの牛を売って金に代え、2人の負傷者にいくらかの医療費をあげたいと表明している。

目下、株州警察は方策を講じてこの狂牛の飼い主を探している。


 前者の記事のタイトルは、まるで「88式スナイパーライフルで14発撃つまで犬ころが死ななかった」と威力不足を揶揄しているように見えましたが、内容を読むと正確な比率は不明ながら拳銃による被弾の方が多かったようですし、犬は体重100kgを超える超大型犬でした。日本語版Wikipediaに挙げられている、「トラとも対等に戦える」説はさすがにちょっと信じがたいですが、猛獣並みのターゲットだったことは間違いありません。拳銃の機種が明記されていませんが、政治的配慮などからいわばわざと威力を抑えている警察用リボルバーだったとしたら100kg超の猛犬を倒せなくても不思議でもなんでもありません。一方チベタン・マスティフの頭蓋骨の頑丈さが何度も強調されていますが、いくらなんでも5.8mmスチールコアライフル弾を跳ね返すことは考えられません。命中精度が最高レベルではないとされる88式スナイパーライフルですが、激しく動き回る犬の頭を狙って頬を貫通したとしても精度不足のせいとは言えないでしょう。

 400kgの水牛となるとこれはもう軍用ライフル、ピストルが想定していないターゲットであり、簡単に倒せなくても仕方ありません。

 というわけで中国製銃器の効力を知る上での参考にはあまりなりませんでしたが、現在の中国の、あまり日本では報道されない一面が垣間見えてそれなりに興味深い内容でした。









戻るボタン