95-1式小銃その1 銃本体編

 中国の銃器雑誌「軽兵器」の2011年第23期(12月上旬)号に掲載された95式小銃の最新改良版95-1式小銃に関する記事の内容を紹介しますが、非常に長いので、「銃本体編」、「弾薬編」、「照準器編」の3つに分けます。ちなみにその次にはさらに12月下旬号に掲載されたグレネードランチャーおよび弾薬その他の内容も紹介する予定です。それではまず銃本体に関する内容です。

http://www.fyjs.cn/bbs/htm_data/26/1111/637708.html


95-1式5.8mm分隊用銃器ファミリー大公開

95式5.8mm分隊用銃器ファミリーは中国の第一世代軍用小口径分隊用銃器ファミリーであり、その装備は我が軍の主力小火器が世界先進グループに仲間入りしたことを示した。この銃器ファミリーは1995年に設計定型に至り、1997年に初めて駐香港部隊に装備されてデビューし、その後続々と軍に装備された。だがこの銃器ファミリーは使用過程でいくつかの問題を暴露した。2004年6月、研究開発部門は95式銃器ファミリーに対する改良研究開発作業を正式に始動させた。2010年7月1日、この改良システムは正式に設計定型を通過し、「95-1式5.8mm銃器ファミリーシステム」と命名された。95-1式銃器ファミリーシステムは次第に部隊に装備され、このことで神秘の状態から徐々に脱することにもなった。本誌は本システムを研究開発した専門家を招待することができ、専門家は我々のために銃器ファミリーの改良の様相およびそれにセットされるアクセサリーの斬新な姿を全面的に公開してくれた‥‥。

95-1銃器ファミリーの研究開発の一部始終

95式5.8mm分隊用銃器ファミリー(以下95式銃器ファミリーと略)は自動小銃、分隊用機関銃、短自動小銃を含み、1995年に設計定型に至り、1997年に初めて駐香港部隊に装備され、続々と大規模に部隊装備された。この銃器ファミリーが部隊に装備された後、全体的に反応は比較的良好だったが、人間工学、セット内容、防腐性、信頼性等の方面でいくつかの問題も暴露した。2004年6月、中央軍事委員会の批准を経て95式銃器ファミリーが使用中に暴露した問題に対するシステマチックな改良が進められ、これによりさらに一歩我が軍の分隊用銃器ファミリーの総合性能が高められた。

2004年6月〜2010年6月、研究開発部門は95式銃器ファミリーに対し改良研究開発作業を行った。研究過程で、技術人員はプロジェクトに関する上級機関からの返答文書にあった「継承、完璧化、掘り下げ、向上」の指示精神を真摯に貫徹し、95式銃器ファミリーが使用中に暴露した問題を仔細に整理し、的確に改良設計方案を提出した。方案設計段階では、分隊用銃器ファミリーの中の3種類の銃器に、統一化設計、システム改良、3種類の銃器の外形風格の一致が行われ、部品の共用率を80%以上に高め(95式銃器ファミリーでは部品の共用率は70%以上)、勤務操作と使用方法を同じにし、維持修理性を良好にし、同時に銃器ファミリーの信頼性を高めることができた(自動小銃の総合故障率指標の要求は0.3%を上回らないというものから0.2%を上回らないところまで減少させるというものだった)。

研究開発段階で、全部でサンプル銃200挺余りが試作され、試験では改良型DBP10式5.8mm普通弾薬100万発余り、元々の95式5.8mm普通弾薬20万発余り、系列のグレネード1000発余りが消費された。

2010年7月1日、95式5.8mm銃器ファミリー改良システムは正式に設計定型を通過し、「95-1式5.8mm銃器ファミリーシステム」と命名された。この中の自動小銃は「QBZ95-1式5.8mm自動小銃」、分隊用機関銃は「QJB95-1式5.8mm分隊用機関銃」、短自動小銃は「QBZ95B-1式5.8mm短自動小銃」と命名された。

分隊用銃器ファミリーの作戦使命

95-1式銃器ファミリーは現在装備されている95式銃器ファミリーおよび81式7.62mm分隊用銃器ファミリーに取って代わることを目指す、未来の我が軍歩兵分隊の主要武器である。95-1式銃器ファミリーには主に内容が改良されたDBP10式5.8mm普通弾薬を発射するが、改良設計中に在庫されている元々の95式銃器ファミリー用弾薬が考慮され、95-1式銃器ファミリーでも95式普通弾薬が発射できるし、必要な時はさらに95式5.8mm機関銃弾薬も発射できる。95-1式銃器ファミリーの主要な作戦使命は以下の通り。

自動小銃は400m以内の防御装備ある敵生体目標の殺傷に用いる。吊り下げ式グレネードランチャーは100m以内の敵軽装甲目標および400m以内の群れをなした敵生体目標の殺傷に用いる。

分隊用機関銃は600m以内の防御装備ある生体目標の殺傷、敵火力点および軽型火器の制圧に用いる(頑住吉注:この場合の「軽型火器」が何を意味するか不明ですが、「火力点」は主に機関銃でしょうから携行ミサイル、ロケットランチャー、無反動砲などでしょうか)。

短自動小銃は300m以内の防御装備ある生体目標の殺傷に用いる。吊り下げ式グレネードランチャーは100m以内の敵軽装甲目標および400m以内の群れをなした敵生体目標の殺傷に用いる。

95-1式銃器ファミリーの構造とセットされるアクセサリー

95-1式銃器ファミリーはいずれも銃本体、ボルト、撃発機構、発射機構、下部ハンドガード、ストック、上部ガードカバーおよび給弾具等の8大ユニットからなり、このうちボルト、撃発機構(ハンマー、ハンマースプリング等)、発射機構(シア、トリガープルバー等)、ストック、給弾具等主要なユニットは分隊用銃器ファミリー内で互換使用できる。

3種類の銃器の主な違いは銃身長と給弾具である。作戦使命の違いに基づき、自動小銃、分隊用機関銃、短自動小銃の銃身長はそれぞれ463mm、557mm、334mmである。このため、3種の銃器の銃本体、上部ガードカバー、下部ハンドガードおよびピストン、レギュレーター等の部品には一定の長さの違いがある。ただし構造形式は基本的に同じである。自動小銃、短自動小銃は主に30連マガジンを使用して給弾し、分隊用機関銃は主に75連ドラムマガジンを使用して給弾する。3種類の銃器の給弾具は互換使用できる。

(頑住吉注:原ページにはここにピストンを比較した画像があります。上が機関銃、下左が小銃、下右が短自動小銃です。)

セットされるアクセサリー方面では、3種類の銃器はいずれもシステムと共に研究開発されたYMA95-1-600式昼間スコープ、MGL95-1-300式スターライトスコープおよびレーザー照準器、タクティカルライト、マガジン連結器、カートキャッチャー(頑住吉注:このページに引用しているブログ主がカッコ内でスラングを使って批判しているようなんですがよく分かりません。まあ日本でも評判よくないですよね)、マズルカバー等のセットされるアクセサリーが装備、使用できる。自動小銃と分隊用機関銃にはさらにQNL95式バヨネットが追加装備でき、自動小銃はDQJ03式、DQPI式、DQDI式40mmライフルグレネードが発射できる。自動小銃と短自動小銃にはシステムと共に研究開発されたQLG10A式35mm吊り下げ式グレネードランチャーが装備できる。



主要な改良点を読み解く

95-1式5.8mm銃器ファミリーは95式銃器ファミリーを基礎に改良してできたもので、全体構造、自動原理、動力特性等の方面では95式銃器ファミリーと基本的に同じである。改良型の研究開発中、95式銃器ファミリーが部隊装備後に暴露した問題に焦点を合わせて改良が行われた。これらは主に以下の21項目の内容を含んでいる。

2種類の弾薬の統一、バレルパラメーターの改良、射撃精度と寿命の向上

原型の5.8mm系列銃器の中で、95式分隊用銃器ファミリーは5.8mm普通弾薬を発射し、88式汎用機関銃と88式スナイパーライフルは5.8mm機関銃弾薬を発射する。だが普通弾薬と機関銃弾薬は部隊での使用中に混じってしまいやすい。このため、95-1式銃器ファミリーでは研究開発中に元々の普通弾薬と機関銃弾薬の統一が確定し、共用弾薬が研究開発された。研究開発中、95-1式銃器ファミリーの3種類の銃器のバレルは共用弾薬との最適化マッチング設計が行われ、理論計算と多くの試験での検証によって、3種類の銃器のバレルの内部ボアパラメーターは6条ライフリング、ピッチ210mmに統一して設計され、銃身長、外形寸法やライフリングの山部、谷部の寸法にも95式銃器ファミリーに対して調整が行われた。

バレルの最適化設計を経て、95-1式銃器ファミリーは95式銃器ファミリーに比べ、精度レベルに明らかな向上があり、バレル寿命にも一定の向上が見られた。

セレクターの位置および構造に改良を加え、セーフティからフルオート位置までの素早い転換が実現された

95式銃器ファミリーのセレクターはストック尾部に位置し、セレクター転換の操作が不便で、しかも行軍過程で容易に衣服との摩擦によりセレクターの誤変換が起きた。このため、95-1式銃器ファミリーはセレクターの位置および構造を改良した。セレクター位置は前方のグリップ上方に移され、片手で素早く操作してのセレクターの転換が実現された。同時に新型の発射機構とトリガープルバー等の部品が設計され、発射動作をよりスムーズにした。

マガジンフォーロワを改良設計し、ボルトストップ機構が追加された

95式銃器ファミリーの部隊装備後、部隊からボルトストップ機能追加の使用要求が提出された。このため、95-1式銃器ファミリーは給弾具のマガジンフォーロワの構造を改良し、かつレシーバーにボルトストップと解除プッシュボタンを増設した。マガジン内の弾薬を発射し終わると、マガジンフォーロワによってボルトストップが押し動かされ、ボルトストップ機能が実現する。

機械式サイトが低くされ、リアサイトの距離目盛りの設置が最適化された

95式銃器ファミリー部隊装備後、部隊から照準ラインが高すぎ、照準が快適でない、フロントサイト左右位置調節に用いるフロントサイトスライドベースが容易に緩んで動き、照準調整後一定時間後に射撃するとすぐ射撃偏差が生じる、夜間射撃時に機械式サイトの蛍光点の明るさが足りず、一定時間後には蛍光点が明るさをまったく失いさえして、夜間照準射撃が行えなくなる、との反響があった。

以上の問題に焦点を合わせ、95-1式銃器ファミリーでは改良設計が行われ、機械式サイトの照準ラインは5mm低くされ(頑住吉注:たったの5mm?)、部隊での試用を経て照準快適性に改善が達成されたと表明された。フロントサイトスライドベース構造は廃止され、フロントサイトベースは一体式に設計され、機械式サイトの調整機構はリアサイト位置に設置された。左右定量移動が可能な、固定に信頼性あるリアサイト構造が設計され、部隊から反響のあった射撃偏差問題は完全に解決された。トリチウム光管が蛍光点に代わって光源となり、発光点の明るさと使用寿命が非常に大きく向上し(トリチウム光源の半減期は13年に達し得る)、夜間照準の利便性が向上した。

部隊の作戦上の必要性を根拠に、95-1式銃器ファミリーではリアサイトの目盛りの設置も最適化された。このうち自動小銃のリアサイトの目盛りの設置は3(ピープの直径3mm)、3(ピープの直径1mm)、4、5番であり、それぞれ300m、300m、400m、500mの射程に対応している(自動小銃の300m以内の弾道は直線弾道に近く、このため最小射程は300mに設定されている)。この中の2つの3番の違いはピープの直径が異なることで、直径3mmのピープは突発状況下で素早く目標を照準する、あるいは移動目標を照準するのに用い、もう1つの300m用および400,500m用のピープの直径は1mmで、正確な照準射撃に用いる。分隊用機関銃のリアサイトの目盛りの設置は3、4、5、6、7番で、それぞれ300m、400m、500m、600m、700mの射程に対応する。短自動小銃のリアサイトの目盛りの設置は1、3、3、X1、X3で、このうち最初の2つのピープの直径は1mmで、それぞれ100m、300mに対応している。3つ目のピープも300mの射程に対応しているが、ピープの直径がより大きいため素早い照準に用いる。X1、X3のピープはグレネードランチャーを吊り下げ装備した状態での100m、300mの射程に対応する。

下部ハンドガードを改良、連続発射時に手を火傷する現象が改善される

(頑住吉注:原ページではこの中途半端な位置に画像がありますが、文字は判読できません。一番下の画像は95式と95−1式の比較ですが、これを見ると照準ラインは5mmどころではなく低くなっていそうに見えます。)

95式銃器ファミリー部隊装備後、部隊から銃器ファミリーを比較的多弾数連続射撃した時に下部ハンドガードで火傷するという反響があった。研究開発部門の分析を経て、分隊用銃器ファミリーは連続射撃の弾数が150発を超えるとバレルの平均温度が150度以上に達し得、高温部分の温度は200度以上に達し得ることが分かった。バレル外壁と下部ハンドガード内壁の距離が比較的近いので、下部ハンドガードに輻射熱によって伝達される熱量が比較的多く、このため手が火傷する現象の発生がもたらされていた。

この問題に対し、95-1式銃器ファミリーは下部ハンドガードの構造を改良し、バレルから下部ハンドガード内側までの距離を増大し、かつ下部ハンドガード外壁の放熱ミゾを増加した(頑住吉注:あれは滑り止めでは)。試験による検証を経て、改良後の銃器ファミリーの下部ハンドガードの温度は95式銃器ファミリーと比べ20度前後下降し、手が火傷する現象は明らかに改善された。

リングつまみ式ガスレギュレーターの設置で調節操作が便利に

95式銃器ファミリーのガスレギュレーターの調節部位はエッジが比較的多く、操作が便利でなかった。同時に射撃後レギュレーターの調節部位の温度は100度近くになり、直接手で操作することができなかった。このため、95-1式銃器ファミリーはガスレギュレーターの構造を改良し、リングつまみ式レギュレーターが設計された。これは手で、あるいは薬莢口部の助けを借りてプルリングを上に持ち上げれば即回転させることができるレギュレーターである。しかも外部に露出する表面は円滑で、操作時により快適になった(頑住吉注:上の画像の中段右の画像がこれの説明らしいです。薬莢の先端部をリング状部品に差し込んで、こちらから見て反時計方向に回してますよね。しかし必要以上に大きくて引っかかりやすそうな感じです。)。

スリングリングとライフルスリングの改良

95式銃器ファミリーはライフルスリングを装備した時、ライフルスリングの前部金具と下部ハンドガードが摩擦して下部ハンドガードの摩損が起きた。また後部金具を装着するとストック後方に伸び、肩当て射撃に影響した(頑住吉注: http://www.gunsworld.net/china/rifle/qbz95/97044.jpg 別に後部金具が固定してストックより後方に突き出すわけではなく、可動範囲がストックより後方まであるので、とっさに肩付けした時にバットプレートと肩の間に金具がはさまって使用感が不快になる可能性はありそうです。)。

このため、95-1式銃器ファミリーではスリングリングの位置が改良され、前部スリングリングと下部ハンドガード、および後部スリングリングとバットプレートの距離を増加した。この他、システムと共に研究開発されたライフルスリングは三点式構造を採用しており、兵士がスリングを外さない状況下で、片手で分離ボタン(頑住吉注: http://www.dghuabosd.com/cn/products.asp?id=2&T_Id=191 こんなのです)を操作し、スリング上の3本のベルトを素早くスライドさせることができるようになった。すなわち銃を背負った状態から素早く作戦射撃状態に転換できるということで、伝統的な二点式ライフルスリングの戦術状態への転換が遅い、銃を落としやすいという欠点が解決された。三点式ライフルスリングにはさらに多種の背負い形式があり、単肩背負い、双肩背負い、および斜め掛け等ができる(頑住吉注:検索したところ「単肩背負い」、「斜め掛け」はショルダーバッグを右肩にかけて体の右に下げる、左肩にかけて体の右に下げる、というスタイル、「双肩背負い」はリュックサックのような背負い方を指すようです。銃をリュックのように背負うスタイルってあるんですかね。)。

バッファー構造の改良、銃器ファミリー動力特性の最適化

95-1式銃器ファミリーはバッファーの構造を改良し、スプリング圧縮式レバーバッファーをキックバネ式レバーバッファーに改め、緩衝レバーが力を受ける条件を良くし、ボルトの最後部位置への後退と復帰の運動がさらに平穏さを加えた。

銃口装置の改良

部隊訓練中には頻繁に空砲弾薬を射撃するが、ブランクアダプターが受ける火薬ガスの圧力が銃口装置に伝達され、銃口装置の緩みや脱落を起こしやすかった。

95-1式銃器ファミリーでは銃口装置が改良され、バレルとの連結強度が高められ、安全で信頼性の高い空砲弾薬射撃が実現された。同時に、銃口装置にガス閉鎖リングが追加され、自動小銃が発射するライフルグレネードの射程が有効に延長された(頑住吉注:たぶんライフルグレネードに対する推進力を高めるためにフラッシュハイダーのスリットから出るガスをカットして全て先端から出るようにする仕組みだと思いますが、具体的にどういうデザインになっているのかは不明で、比較的フラッシュハイダーが大きく写っている画像を見ても外観的には特に変わっていない感じです。)。

新型プラスチック材料の研究開発、部品性能の向上

95式銃器ファミリー部隊装備後、プラスチック部品が程度は異なるがいずれもこすれて毛羽立ち、白くなる、腐食する、あるいは断裂する等の現象が起きた。

95-1式銃器ファミリーは銃用のプラスチック材料を改良し、WS SL-1045を改良したナイロン66、WS SL-1046を改良したナイロン610およびTPAC HPN 3502A等の新材料を研究開発し、注型による成型技術と製造後の処理技術の調整により、プラスチック部品の強度、粘り強さ、表面硬度を全面的に向上させた。しかもプラスチック部品の表面を本来の滑らかで光沢あるものから細かい艶消し型に改め、こすれて毛羽立ち、白くなりやすい、また傷が残りやすい状況を改善した。室内加速老化検査、およびラサ(頑住吉注:チベット)、海南等の自然環境条件下での2年余りにわたる実地テストを経て、新たに研究開発されたプラスチック材料には銃器ファミリーのプラスチック部品の耐腐食、抗老化に対し良好な効果があった。

上部ガードカバー上部の肉の薄い部分が使用中に断裂しやすい問題に対し、95-1式銃器ファミリーでは改良が加えられ、新材料の使用、新工程、肉厚増加以外にも、上部ガードカバーの薄く弱い部分に沿って高さ3mmの強化リブが追加され、上部ガードカバーの全体的剛性が増強された。

95-1式銃器ファミリーではさらにストック、上部ガードカバー、下部ハンドガード等のプラスチック部品の組み立て接合形式が改良され、分解結合時のプラスチック部品の定位置進入の正確性および銃全体の外観の美観性が向上した。

排莢方向とルートの調整

95式銃器ファミリー部隊装備後、排莢方向の不安定、特に横向きに排莢される現象の存在が暴露し、戦友に対し一定の脅威になり、射手の心理的安定に影響した。

95-1式銃器ファミリーは排莢機構を改良し、エジェクションポート後端を前に向け5mm縮小し、またエジェクションポート後端に反射面を追加し、排莢方向が銃本体の右前方45度の方向に安定することを保証し、排莢の安定性と一致性を向上させた。左利き射手も正常に射撃できる(頑住吉注:「反射面」はケースデフレクターのことかと思いましたが、画像ではそう呼び得るようなはっきりした突起は確認できません。)。

アルミ合金、スチール部品の処理技術を改良し、部品の性能を向上させた

部隊使用中に暴露された問題に対応し、95-1式銃器ファミリーはアルミ合金部品の表面処理技術を改良し、セラミック化新技術を採用し、アルミ合金部品の表面の抗老化性能および耐摩耗性を向上させた(頑住吉注: http://www.kbknet.co.jp/ja/ts/kuracera.html こんなのだと思います。)。

スチール部品の表面には改良された黒色燐化およびQPQ処理等の新技術が採用され、スチール部品表面の防腐食能力は95式銃器ファミリーに比べ明らかに向上した(頑住吉注: http://fs-parker.com/003002_QPQ.html )。

簡単で実用的な付属工具の配備、便利な武器の日常的メンテナンス

95-1式銃器ファミリーには新たにアクセサリー筒、リーマー、フロントサイト調整具、ポンチ、油ブラシ、ミゾ用ブラシ、ピープ針、クリーニングロッドのヘッド部および一体式クリーニングロッドが設計され、ガス導入穴のクリーニング、フロント、リアサイトの調整、分解の補助、銃の外表面(ミゾ部含む)のクリーニング、ピープのクリーニング、ボアのクリーニングおよび油塗布等の多種の機能が実現され、銃器ファミリーの日常のクリーニング、メンテナンスの必要が満足された。

アクセサリー工具の改良設計は一件多機能に重点が置かれ、アクセサリーの点数が減り、改良後アクセサリー工具の構造は簡単に、使用機能は完璧になった。

(頑住吉注:原ページのここにある画像は比較的サイズが大きく、かろうじて文字が読み取れます。まず左はプラスチック材料の説明で、上左は「WS SL-1045を改良したナイロン66」、上右は「WS SL-1046を改良したナイロン610」です。下は「TPAC HPN 3502A新材料」で、「95-1式銃器ファミリーのために研究開発された新材料である2種類の改良されたナイロンとTPAC HPN 3502A新材料。新材料は原始状態では粒状で、注型成型工程と製造後処理工程を経て、プラスチック部品は比較的良好な粘り強さと表面硬度を備える。」 続いて中央は上が95式、下が95-1式を上から見た図で、上は「95式銃器ファミリーの排莢方向は不安定」、下は「95-1式銃器ファミリーの排莢方向は前方45度の方向に安定」 右上は「95-1式銃器ファミリーはセラミック化表面処理新技術を採用し、アルミ合金部品表面の抗老化性能と耐摩耗性が向上した」、右下は「95-1式銃器ファミリーでは新たにアクセサリー筒が設計され、アクセサリー筒は依然グリップ内に設けられている」となっています。画像は見つかりませんがアクセサリーを収納する筒状容器自体は95式にもありました。 http://www.gunsworld.net/china/rifle/qbz95/trigger2.jpg これが95式のグリップ底部で、底蓋は後部のロックを弾頭の先で押して解除し、後方に引き抜くと推測されます。95-1式の画像を見るとこのロックが大型化され、指でも押せるようになっているようです。ただし意図せず脱落する可能性がありそうに思えますが。)



(頑住吉注:クリーニングロッドは一体式で、ヘッド部は「アクセサリー筒」に収納されているんでしょうがロッド自体は銃には収納できないはずです。)

スコープと銃器ファミリーのガイドレールの固定方式および受力条件の改善によりスコープとスコープマウントベースの固定が正確で信頼できるものに

95式銃器ファミリーは光学スコープを装備して射撃すると、銃とスコープの連結に緩みが生じて動く現象が起きることがあり、再度の射撃前に改めての調整を必要とした。

このため、95-1式銃器ファミリーでは正頂式の銃・スコープのロック機構が研究開発され(頑住吉注:「正頂式」の意味は不明ですが、ロックが真上にある方式かもしれません。 http://www.gunsworld.net/china/rifle/qbz95/dscn0930.jpg 95式ではこんな感じで側面にロックがありました)、大量の実弾射撃試験を経てこの機構のロックは信頼でき、部隊使用中に暴露した問題は完全に解決されたことが証明された。このロック機構はロックの信頼性問題を解決したのと同時に高さ方向の構造寸法がはるかに小さくなり、改良後の昼間スコープおよびスターライトスコープの照準ラインの高さはそれぞれ15mm、36mm低くなり、さらに一歩スコープを装備しての射撃の快適性が向上した。

短自動小銃の動力特性の改善

95-1式銃器ファミリーの設計過程で短自動小銃のバレルが適度に延長され(頑住吉注: http://www.gunsworld.net/china/rifle/qbz95/qbz95b-1.jpg これが95式のショートタイプで、 http://www.gunsworld.net/china/rifle/qbz95/20108195.jpg これが95-1式のショートタイプです。ハンドガード部が明らかに長くなってます)、またそのガス導入システムの構造が最適化され、シリンダーの当初容積が増大し、短自動小銃の発射痕跡(銃口煙、炎、騒音)が目立つ、後座力が大きく感じられる等の問題が軽減され、短自動小銃の動力特性と射撃快適性が改善された(頑住吉注:「シリンダーの当初容積」というのはピストンが前進しきった状態で存在するシリンダー内の空間のことでしょうか。これを大きくするとこういう効果があるというのはどういう理屈か分かりませんが)。

フラッシュライト、レーザー照準器等のアクセサリー製品のインターフェイス増設

95-1式銃器ファミリーのセット内容としてレーザー照準器、フラッシュライト等の光学製品が研究開発された。このため銃器ファミリーのガス導入リング両側に小型のレールが増設され、セットされる光学製品の装着に用いられる(頑住吉注: http://www.gunsworld.net/china/rifle/qbz95/cctv0200.jpg しかしこれを見るとプラスチック製品の品質はあまり高くなさそうな感じですね)。

吊り下げ式グレネードランチャーのインターフェイス増設

歩兵分隊の対軽装甲能力および面殺傷能力の向上のため、95-1式銃器ファミリーの自動小銃と短自動小銃には吊り下げ式グレネードランチャーのインターフェイスが増設された。インターフェイスは前後2点の固定形式で、後方はランチャー後端と小銃、短自動小銃の後部支持ベースとを連結し、前端はランチャーの吊り下げ用突起と小銃のバヨネットベース後端あるいは短自動小銃のマズルとを結合させる。前後2点式のインターフェイス方式は吊り下げ式グレネードランチャーの装着と取り外しを便利、敏捷にし、しかも固定の信頼性が高い(頑住吉注:ちなみに後で紹介しますが、 http://www.gunsworld.net/china/rifle/qbz95/95-1b.jpg これが95-1式に正しく専用のランチャーを装着した状態、 http://www.gunsworld.net/china/rifle/qbz95/cdcdd45.jpg こちらは試作段階なのか95式用の形が異なるランチャーを装着した状態です)。

リコイルスプリングの寿命延長

改良後の分隊用機関銃の使用寿命は15,000発まで向上した。これは主にリコイルスプリングに対する改良設計が行われたからで、本来の単股スプリングが3股スプリングに改められ、設計パラメータも最適化され、全寿命に関する使用要求が満足された(頑住吉注:「単股スプリング」は通常の単一のワイヤーをコイルにしたスプリング、「3股スプリング」はSIGザウエルやMG42のリコイルスプリングなどに使われている、3本のワイヤーをより合わせたものをコイルにしたスプリングです)。
コッキングハンドルの高さの増加

95式銃器ファミリーのコッキングハンドルを基礎に構造、形状が最適化され、また高さが3mm加えられ、装填時に力を入れやすくなった(頑住吉注:‥‥たった3mm?)。

ドラムマガジンの進弾口の設計を改良、銃本体右側に突出する寸法を減少(頑住吉注:「進弾口」はマガジン上部の、いちばん上の弾薬が装填準備位置にある部分のことです)

95式分隊用機関銃のドラムマガジンの進弾口はドラムマガジンの中心から右寄りの位置にあり、、ドラムマガジン装着後、ドラムマガジンが銃本体の右側に突出し、射撃時に腕に触れて不快に感じる現象があった。95-1式銃器ファミリーではドラムマガジンの設計が改良され、進弾口はドラムマガジン右端に沿った位置になり、ドラムマガジンの銃本体右側に突出する寸法が減少し、腕に触れて不快に感じる現象が改善された(頑住吉注: http://www.gunsworld.net/china/rifle/qbz95/durm1.jpg これが95式のドラムマガジンです。「進弾口」は右寄りにあるものの、右端ではありません。 http://www.gunsworld.net/china/rifle/qbz95/95-1c.jpg これが95-1式のドラムマガジンです。「進弾口」が右端になってます)。

プラスチック製包装箱が配備され、保管や輸送が便利に

95-1式銃器ファミリー専用に丈夫で耐久性が高く、密封性の良好なプラスチック製包装箱が配備され、武器の輸送や保管に便利となった。

銃器ファミリーの試験状況

2007年後半から2008年末にかけて、95-1式分隊用銃器ファミリーは相次いで国営小火器射撃場、寒い地域の部隊、砂嵐のある地域の部隊、暑い海の地域の部隊、高原地域の部隊で設計定型試験が行われた。95-1式銃器ファミリーはスムーズに各項目の厳格な審査をパスし、試験に参加した将兵は一致して95式銃器ファミリー部隊装備後に暴露された問題に比較的良好な解決が達成されたと考え、改良作業は試験部隊の承認を得た。

結びの言葉

95-1式分隊用銃器ファミリーは全体的には95式分隊用銃器ファミリーのブルパップ構造、ガスオペレーション式自動原理および優れた動力特性を継承している。銃器ファミリー内での主要な部品は共用互換でき、共用率は80%以上に達し、比較的良好に95式分隊用銃器ファミリーが部隊装備後に暴露した問題が解決されている。改良後の分隊用銃器ファミリーのシステム性は強く、セット内容は完備し、人間工学的に良好で、全体性能は国際先進水準に到達している。


 細かい内容に関しては注で触れたので、この記事には出てきていない疑問点について書きます。

 私が95式をモデルアップしたのは1999年のことでした(ちなみに名称は間違ってましたね。87式というのは http://www.gunsworld.net/china/rifle/1987/87.htm この、5.8mmx42を初めて使用したものの本格的に装備されなかったコンベンショナルなアサルトライフルです)。あの時私はプラスチック製マガジンでありながら半透明でないことに疑問を持ち、編集者に、「中国人の技術では透明なプラスチックは作れないのだろう」とか書いたりして」と冗談を言いました。これはもちろん「んなアホな」という冗談ですが、CS/LS06サブマシンガンの記事を読んで、意外にも半分当たっていたのではないかと思うようになりました。この記事には、「マガジンは本来スチール製で不透明な素材だったのが透明なプラスチックに改められ、残弾の状態が視察できるようになった。ただしプラスチックの透明度と強度を同時に保証するのは容易ではなく、このためマガジンアウターの透明度には反復的に変更が加えられ、異なる段階で発表されたサンプルの透明度は常に異なっていた。」とありました。透明な樹脂が作れないことはもちろんありませんが、強度と透明度を同時に保証することは難しかったわけです。ちなみに前回紹介した記事でもインドのINSAS小銃に関し「(装備初期において半透明の)プラスチック製マガジンは凍結して裂け」という問題があったとされています。CS/LS06サブマシンガンは基本的に警察用と考えられ、軍の主力小銃ほど過酷な環境に耐えることは要求されないのではないかとも思われますし、また現に大量装備されておらず、依然問題を残している可能性もあります。軍の要求に耐えうるほどの強度を持った半透明のマガジンはいまだに作れないという可能性は充分考えられると思います。












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