歩兵戦闘車の主砲は大口径化するのか
私はどうも疑問に思いますが。
http://war.163.com/16/0607/10/BOUVCFPH00014OVF.html
ロシアの「ベイジャール」砲塔が登場 歩兵戦闘車はどこへ向かうのか?
最近ロシアの「情報報」は、ウラル車両製造株式会社と「海燕」中央科研所はBMP-3歩兵戦闘車を57mm口径の新型AU-200M「ベイジャール」無人砲塔に換装する計画である、と報道した。もしこの計画が実行されれば、AU-200Mは現在就役する最大口径の戦闘車自動砲塔となる。予見できるのは、将来欧米とロシアの間で新たな歩兵戦闘車の火力グレードアップ「競技」が展開されるかもしれない、ということである。
(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「57mm口径の新型AU-200M『ベイジャール』無人砲塔を搭載したBMP-3歩兵戦闘車 画像はネットから」)
中口径自動砲、主流たる趨勢となる
現在ロシアサイドが明らかにする情報から見て、57mm口径「ベイジャール」無人砲塔が採用する自動砲の発射速度は毎分120発、最大射程4,000m、57mmx347徹甲弾を発射する時、1,000mの距離内で130mmの均質装甲が撃ち抜け、現役の欧米各種歩兵戦闘車を正面から破壊する能力を持つ。装甲貫徹能力について言えば、「ベイジャール」無人砲塔は以前の小口径自動砲に比べ質的向上があったと言うことができる。ロシア軍で現役の典型的小口径自動砲、例えば2A72がサボ付き徹甲弾を発射した時、1,500mの距離で25mm厚、傾斜角60度の均質装甲を撃ち抜くことができるだけである。現在欧米で唯一それに比肩できるものとしては、CTAインターナショナル社が研究開発したCT40型40mm口径埋頭弾(頑住吉注:Cased
Telescoped Ammunition 弾頭が薬莢内に埋没した弾薬)自動砲しかなく、それが発射する尾翼で安定するサボ付き徹甲弾は1,500mの距離で140mmの均質装甲を撃ち抜くことができる! この1,000m以上での装甲貫通能力の世代差は、中口径自動砲を徐々に小口径自動砲の地位に取って代わらせ、現役改良型あるいは新たに研究開発される歩兵戦闘車の主要な武器とならせることになる。
(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「新型AU-200M『ベイジャール』無人砲塔 画像はネットから」)
実は、西側諸国は冷戦の時期には早くももうかつて歩兵戦闘車のために多種の中口径自動砲を研究開発したことがある。例えば、当時の西ドイツは次世代「マルダー」II型歩兵戦闘車に2,000mの距離でソ連のBMP-1/2およびその後継機種に有効に対応する能力を具備させるため、ラインメタル社が研究開発したRh503型35/50mm口径自動砲を選定した。この砲は外部エネルギー源駆動式設計を採用し、最大の特徴はNATO制式の35mmx228弾薬も発射できれば、また砲身の交換によって50mmx330低速高負荷弾あるいは減威力遠距離弾も発射できることで、もって装甲貫通威力の保証に便とするのと同時に、ドイツ軍の「マルダー」II歩兵戦闘車の多種の類型の目標に対応することに対する要求も満足させた。またスウェーデンのボフォース社は57mm艦砲を基礎に57mm口径戦闘車自動砲を研究開発し、アメリカのアレス社はXM274型75mm口径自動砲を登場させ、イタリアのオート・メラーラ社およびイスラエルのIMI社は60mm口径高速/超高速自動砲さえ研究開発した。こうした中口径自動砲は驚異的な装甲貫通威力を持ったが、装備適性が比較的劣り、多くの貴重な車内空間を占用し、搭乗する歩兵の人数を非常に大きく減少させた。さらに加えて当時の大多数の西側諸国は歩兵戦闘車の火力システムに対し決して高い要求を提出したことはなく、その位置付けは依然人員輸送をもってメインとし、このため上述のこうした中口径自動砲はいずれも真の実用型には転化しなかった。
BMP-3 ソ連/ロシア歩兵戦闘車の「矛盾体」の集合
(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ロシアのBMP-3歩兵戦闘車 東方IC 資料」)
西側諸国の歩兵戦闘車自動砲研究開発における「執着」に比べ、ソ連の歩兵戦闘車の火力システムの発展にはそれ自身の特徴があったが、やはり少なからぬ回り道を行った。ソ連が第1世代歩兵戦闘車BMP-1を研究開発する時、その火力システムが対戦車能力を持つことを要求した。当時の技術水準がまだ非常に限られていた状況下で、ソ連軍はBMP-1に装備する2A28型73mm口径低圧スムーズボア砲の種々の欠陥を容認することを惜しまなかった。砲口初速が低い、射撃精度が劣る、有効射程が短い、発射速度が遅いなどである。しかもあくまでこの砲が発射するPG-9型尾翼で安定するロケット射程延長成形炸薬弾が800mmの垂直での装甲貫通威力を持つことを要求した。結果として、BMP-1は同時代の西側の「マルダー」IやフランスのAMX-10P歩兵戦闘車に直面した時、その73mm低圧スムーズボア砲の射程や射撃精度が後の両者が装備する20mm口径高速自動砲に全く対抗できなかった。これにより、直接ソ連第2世代歩兵戦闘車BMP-2の誕生が促された。その装備する2A42型30mm口径自動砲は世界の歩兵戦闘車の火力システムを新たな発展の時代に引き込んだ。これ以後、西側が新たに研究開発する歩兵戦闘車、例えばアメリカのM2、イギリスの「ウォリアー」、スウェーデンのCV90などは次々に20mm以上(頑住吉注:「を超える」でしょうね)の口径の自動砲を採用した。この趨勢に照らし、ソ連第3世代歩兵戦闘車は元々30mm以上の口径のより大きな自動砲を採用すべきこととされた。結果として、ソ連人は最終的に自らの歩兵戦闘車の発展を迷い道に引き入れ、BMP-3というこの優勢と欠陥がいずれも非常に突出した「矛盾体」を産み出した。
BMP-3歩兵戦闘車は2A70型100mm口径低圧ライフル砲と2A72型30mm口径自動砲のコンビネーション火力システムを採用し、そのメリットは非常に多く、例えば軽装甲車両(歩兵戦闘車や軽戦車を含む)、集群生体戦力、防御構築物、ヘリや固定翼攻撃機を打撃する能力を持ち、当時多用途作戦能力が最も出色な歩兵戦闘車と称するに堪えた。2A70型100mm口径低圧ライフル砲はさらに砲から発射するミサイルが発射でき、すこぶる邪魔な外部搭載式対戦車ミサイル発射装置が省かれ、ミサイルが命中弾を受けた後爆発を引き起こす危険が避けられ、弾薬の数も8発まで増えた。
別の角度から見ると、BMP-3歩兵戦闘車の欠陥もごくはっきりしており、しかもほとんど全部火力システムに関係がある。例えば、2A70型100mm低圧ライフル砲は殺傷爆破弾を発射する時の砲口初速が低すぎ(250〜335m/s)、いわゆる4,000mの最大射程は距離だけが虚しくあって射撃精度は保証し難かった。この砲は半自動装填装置が配されているが、毎回の発射後自動的に装填角度に戻って装填を行う必要がある。しかも、2A72型30mm口径自動砲と2A70型100mm低圧ライフル砲は並列に取り付けられ、俯角・仰角が共通のため、極めて大きく前者の使用範囲を制限した。より重要なのは、2A70型口径低圧ライフル砲の作戦機能は2A28型73mm口径低圧スムーズボア砲同様の「鶏肋」(頑住吉注:大して役に立たないが捨ててしまうには惜しいもの)だということだった。この砲の口径は小さくないが、砲口初速が低いため、強化された鉄筋コンクリートの構築物を有効に破壊することは全くできなかった。しかも砲から発射するミサイルの発射筒とする時、100mmの口径はまた非常に大きく9M117ミサイルの装甲貫通威力を制限した(ソ連の典型的な大威力対戦車ミサイル、例えば9M115「サクソルン」や9M123「Khrizantema」の口径はいずれも150mm以上に達している)。その装甲貫通厚は650mmしかなく、当時の作戦環境下ではすでに第3世代メインバトルタンクおよびその改良型に対し実質的脅威を構成することができなかった。
また、2A70型100mm低圧ライフル砲の半自動装填装置を収容するため、砲塔バスケットの高さは1.3mに達し、さらに加えて車体自体が背の低い設計を採用しており、砲塔を前方に移動し、乗員室のためにスペースを譲らせるしかなくさせたが、ひとたびこのようになるや、今度は前部動力室の空間を圧迫し、動力・伝動装置を後ろ置きとさせ(この設計は現役歩兵戦闘車の中で極めて珍しい)、搭乗する歩兵は車体上部のハッチを開かない状況下では、エンジンの上から這って車体後部のゲートを出入りするしかない結果をもたらした(ルートの高さは0.76mしかない)。
まさにBMP-3歩兵戦闘車の設計の種々の不合理なところゆえに、旧ソ連加盟共和国であるロシア、ウクライナ、アゼルバイジャンが装備した他、それに対し興味を感じる国は少なかった。去年ロシアは勝利の日大閲兵で初めて新世代T-15大型歩兵戦闘車を公開し、ロシア軍の歩兵戦闘車に対する認識がすでに主流に回帰していることを証明した。だがT-15が現在装備する「時代」無人砲塔は依然30mm口径2A42自動砲1門、7.62mm口径並列機関銃および4発の「サクソルン」対戦車ミサイルという配置を採用し、全体的な火力水準は比較的弱く、その大型歩兵戦闘車という地位に決してふさわしくない。この時、AU-200M「ベイジャール」無人砲塔の研究開発が成功し、疑いなくT-15および現役のBMP-3の火力グレードアップのために最良の選択を提供した。AU-200M無人砲塔を装備すると、T-15大型歩兵戦闘車の火力の上での弱点は完全に消し去ることができ、さらに加えてこの車両はT-14「アーマタ」メインバトルタンクの強力な防御能力を継承しており、攻防能力の上で全く疑いなく未来の一定の時間内の歩兵戦闘車の王となる。ロシア軍はこの砲塔をBMP-3の改良にも用いることができ、現役装備の戦闘力を素早く向上させることもできれば、この車両の国際市場での競争力も非常に大きく増強される。
我が国の未来の歩兵戦闘車はどんな方向に向かうのか?
我が国の現役歩兵戦闘車の発展状況から見て、自動砲の威力向上はすでに避けられない趨勢である。欧米の新世代大型歩兵戦闘車、例えばイギリスの「アヤックス」およびドイツの「ジャガー」などは、車体前面に負荷装甲を追加装備すると、すでに25mm、甚だしきに至っては30mm口径のサボ付き徹甲弾の打撃を防御できる。一方T-15大型歩兵戦闘車の車体正面の防御力はさらにT-14メインバトルタンクとの比較に堪える。このため、我が国の次世代歩兵戦闘車も当然自動砲の口径中等化の趨勢に順応するべきだが、必ずしもあくまで国外と同じ口径を採用する必要はない。
筆者は、我が国の次世代歩兵戦闘車の最も理想的な自動砲としては76mm口径を採用してもよいと考える。埋頭弾薬を使用し、もって非常に大きく主砲の寸法と体積を減少させ、かつ尾部コンパートメント自動装填装置を配備した無人砲塔設計を採用する。76mmというこの口径の選択最大の優勢は、対装甲と防空を併せ配慮でき、弾薬のスマート化や制御誘導化の実現に便利であり、堅固な構築物に対応する効果も57mmや40mm口径よりはるかに良いことにある。
技術の進歩によって多少は改善したかもしれませんが大口径砲を積めば本来の用途に使うスペースが圧迫されることには変わりないはずですし、メインバトルタンクと正面から撃ち合いをすれば圧倒的に不利なのも変わらないでしょう。対戦車ミサイルを積んだ方がまだましのような気もするんですがね。