ロシア空軍シリアでの戦訓

 実戦経験が豊富なのは中国と大きく違うところです。長いので2回に分けます。

http://military.china.com/jszmt/02/11173748/20160822/23348825.html


作戦研究:ロシア航空宇宙軍がシリアでの作戦の中で暴露した不足

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「画像の説明:シリアテロ組織の目標を空襲しつつあるロシアのスホーイー34戦闘爆撃機」)

(藍山がロシアの週刊「軍工信使」2016年第13期から編集翻訳)

本文は元々ロシアの週刊「軍工信使」2016年第13期に掲載されたもので、作者はアレクセイ ラーム アントン ラブロフ、原題は「Возмездиебездозаправки」である。文章はロシア航空宇宙軍のシリアにおける5ヶ月半の軍事行動に対しひとまずの総括を行い、暴露されたロシア航空宇宙軍の不足を指摘している。これには高精度武器の備蓄が少なく、使用比率が低いこと、旧式な普通弾を用いて改装するフルセットのユニットがないこと、空中給油機の数およびその戦術技術性能がロシアの打撃飛行機の遠距離の有効な使用のために保障を提供することができないものであること、武装無人機がないこと等々が含まれる。

ロシアのシリア上空における軍事行動はまだ継続している。規模はある程度縮小しているものの。だが大統領のシリアから一部の兵力と装備を撤収することに関する決定は、我々に行動に対するひとまずの総括を行う理由を持たせる。

公式なデータによれば、去年9月30日から今年3月14日まで、「イスラム国」を打撃するため、ロシア航空宇宙軍は全部でのべ9,000機あまりの出動を行い、非常に高い出動強度を保持した。すなわち、毎昼夜のべ60〜80機である。主要な業務はヘメイミムに配備された特殊航空旅団によって完成された。その主旨が、テロ分子がコガリムアビア航空社A-321旅客機を爆破したことの報復にある行動過程の中では、さらに遠距離爆撃機や戦略爆撃機が出動した。さらにロシアからシリアに向けた輸送物資と帰投する軍事輸送機航空兵のフライト回数を加える必要がある。ある事実は空中輸送の強度と効能を説明し得る。すなわち、軍事輸送航空兵はたった2ヶ月内にもう21.4万トンを超える物資を輸送した。またさらに偵察機が出動した。

行動の初期、毎昼夜の出動強度がのべ30〜40機を超えることはごく少なく、時折最高司令官が確定したのべ60機に到達しただけである。だが出動強度は去年12月中旬から持続的に高まり始め、今年の1月末から3月中旬にピークに達した。このように高い出動強度を保持するため、またヘメイミム基地に向けスホーイー24およびスホーイー34前線爆撃機が増派された。

我々が特別に指摘しておく必要があるのは、尋常とは異なる作戦業務強度を保持するのと同時に、1回の飛行事故も発生していないことである。一方2011年にNATOがリビアに対し採った期間13日の「オデッセイの黎明」行動の過程では、重大事故ゆえにアメリカのF-15E多用途戦闘機と無人機各1機が損失した。このためもしトルコ空軍がスホーイー24M爆撃機を撃墜し、また捜索救援行動の中で1機のミルー8MTShヘリを損失しなかったら、我が国の航空宇宙軍は非合法武装組織に完勝していた。

テロ分子と穏和な反対派が持つ近代化された防空武器はシリア領空をロシアの各種高精度武器の理想のテスト地とさせた。しかもこうした各種高精度武器の基礎はすでにソ連製品ではなく、何年か前に研究開発に成功し部隊に引き渡されたばかりの機種である。

できる限り正確に

ロシア航空宇宙軍がシリア領空で行動を取り始めた時、ヘメイミム空軍基地は12機のスホーイー24前線爆撃機と同数のスホーイー25低空攻撃機を有し、別にスホーイー34爆撃機とスホーイー30多用途戦闘機各4機があった。行動の過程の中でまたシリアに向け4機のスホーイー34と4機のスホーイー24が増派された。しかも1月末また4機の最新のスホーイー35戦闘機がラタキアに姿を現し、その任務はトルコ空軍の挑発を受けた時に特殊航空旅団の爆撃機や低空攻撃機を保護することだった。

プーチン大統領が軍の撤収を決定した後、全部のスホーイー25低空攻撃機だけでなく、さらに4機のスホーイー24前線爆撃機と4機のスホーイー34もロシアに撤収した。また、「軍工信使」の掌握によると、去年12月から今年1月、ロシア国内から移動してきた何機かのスホーイー24が同型機に対し交代を行った。

のべ9,000機の出動は主に特殊航空旅団の飛行機、スホーイー24Mおよびスホーイー24M2爆撃機によって完成された。まさにこうした飛行機とスホーイー25SM低空攻撃機は共に機載非制御誘導殺傷兵器の主要な運搬ツールだった。

さらに、久しく試練を経たKh-25およびKh-29空中発射ミサイルが使用されたが、ロシア航空宇宙軍の選択した高精度武器はKAB-500S航空制御誘導爆弾で、たまにKAB-500-ODやより重いKAB-1500も使用された。

当然、ロシアがシリアで使用した高精度武器の占める比重は、まだアメリカやNATO(最近10年の衝突の中で80%を達成)よりはるかに小さい。だが2008年8月のロシア・グルジア衝突に比べれば顕著な進歩があった。航空宇宙軍の高精度航空殺傷兵器の装備方面でだけでなく、さらに有効な使用戦術があった。

改良を経た照準/ナビゲーションシステムを装備していたため、スホーイー24前線爆撃機とスホーイー25低空攻撃機はより有効に通常爆弾を使用して非合法武装組織の面積目標や野戦構築物を破壊することができた。だが数十mの偏差はすぐ一般民の死傷や不必要に損失する住民居住ポイントをもたらすだろう。高精度武器を除き別の選択はない。

このため作戦使用強度について言えば、スホーイー24Mを除けば高精度武器の主要な運搬ツールはスホーイー34多用途機だった。人の注目を引くのは、一部のスホーイー34機が5ヶ月半のうちに300回あまりの戦闘出動を完成させたことである。

同時に、我が国の軍事工業界と航空宇宙軍の間で長年持続する論争、内部に置かれた光電子システムと外部搭載式光電子吊り下げポッドではどちらがより良いか、はまだ持続していると言うべきである。スホーイー34機は内部に置く形式の光電子システムをまだ装備していないし、外部搭載式光電子吊り下げポッドもまだ装備していない。スホーイー34の構想は当初疑義を受け、機載光学位置決定システムはすでに時代遅れだが、まさにこの多用途機はあらゆる高精度武器を搭載できる最も有効なプラットフォームである。

まだあり、ロシア航空宇宙軍のシリアでの衛星制御誘導航空殺傷武器の大規模使用は「グロナス」衛星群が2011〜2012年に完全に配備され位置に着いた後でのみやっと可能になった。この衛星群は附帯損失を最小化する状況下で単一の建築物や非合法武装勢力のインフラのカギとなる重要目標を破壊することが確保できる。だが遺憾なのは、衛星制御誘導弾薬の効能は非常に高いが、航空宇宙軍が担う任務を執行できる汎用の神奇の武器ではない、ということである。衛星制御誘導の精度は小型の強化された目標、掩体の破壊に対して決していつも使用に充分ではない。こうした弾薬は移動目標に対応する時にも何の役にも立たない。当然、KAB-500Sの使用距離と高度は携帯式対空ミサイルシステムや高射砲に、その搭載ツールに対し手が届かなくさせるが、ほとんどいかなる近距離防空システム(古いシステムを含め)もこの飛行機に対し深刻な脅威を構成する。


















戻るボタン