空母に関する8つの問題

 中国の空母に関する一問一答です。

http://military.china.com/important/11132797/20130425/17799938.html


中国第2の空母、今にも登場しそう:8つの質問に答える!

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「遼寧艦が現在引き受ける主要な任務は試験と研究である」)

ニュースの背景:海軍副参謀長宋学は23日、中国海軍が1隻の空母しか持たないということはない、とした。(頑住吉注:速報性はないので後回しにしてましたが4月25日付の記事です。キャプションで繰り返し出てきたのはこの発言が元ネタですね。)

宋学は、中国初の遼寧艦は現在海軍の三大艦隊(頑住吉注:北海、東海、南海各艦隊)に配属されておらず、海軍によって直接指揮管理されている、と語った。

宋学は、我々は国家、海洋の権益を維持保護する必要を根拠に、空母の発展規模を確定する、とした。我々は一隻に留まらない空母を持つことになる。ある外電は、上海の某造船工場で空母が建造中であるとの情報は事実でないと報道した。

宋学は、遼寧艦は満載排水量5万トン余りだが、我々は次の空母がより大きく作られることを希望する、何故ならこうすればより多くの飛行機が搭載でき、戦闘力がより強くなるからで、これは我々の目標だ、と語った。

中国第2の空母は今にも登場しそうである。空母に関する種々の問題が再度人々が関心を注ぐ問題となっている。

1、「遼寧艦」は単なる訓練艦でしかないのか?

「ワリヤーグ」は1980年代に生まれ、しかもずっと「難産」だった。今世紀初めになってやっと中国の大連港に定住し再生されることになった。だがこの時、アメリカの新世代フォード級空母はすでに建造が開始されており、第1号艦は2014年に就役を開始すると見られる。

2012年9月25日、「ワリヤーグ」は改造を経て、我が国初の空母「遼寧艦」となり、中国船舶重工業集団社大連造船工場によって正式に海軍に引き渡された。軍事科学院世界軍事研究部副部長羅援少将は、遼寧艦は就役後主に訓練と科研任務を担当し、作戦体系の空隙を埋めたが、必要時は作戦機能を具備できる、とする。

「遼寧艦」の鑑ナンバーは16で、軍事科学院軍隊建設研究部第4研究室主任杜文竜の説明によれば、我が国の作戦艦艇は一般に3桁のナンバーで、小型艦艇は4桁、訓練鑑が使用するのは2桁の数であり、初の空母が2桁の数を採用していることは、訓練機能がこの空母の就役後の主要な機能であることを説明している。

国防大学教授韓旭東は、中国の建造が駆逐艦から空母に至ることは一種の飛躍であり、第1隻目の空母の技術性能が特別に高いことはあり得ず、このため同時に訓練鑑と戦闘艦というダブルの属性を具備するべきだ、と考える。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「空母のトン数が大きくなるほど遠洋作戦能力が強くなり、抗沈没性も良くなる、というべきである。」です。)

2、中国はどのくらいのトン数の空母を必要とするか?

中国は一体どのくらいの規模の空母を必要とするのか? 空母のトン数から見ると、一般的に言って満載排水量3万トン〜5万トンに達するものは中型空母に属し、6万トンを超えると大型空母に属す。現在世界最大の空母の排水量は10万トンに達する。空母のトン数が大きくなるほどその影響範囲が広くなり、機能も強大になることを意味する。

李傑(頑住吉注:何故か肩書が後で出てくる部分に書いてありますが海洋軍事学術研究所研究員)は、中国には中型以上の空母の発展が適していると考える。中国は周辺海域の問題が非常に先鋭で複雑であるだけでなく、将来海上の権益を維持保護する必要があり、これは近海海域だけではなく中、遠海でも必要である。「最前線の矛盾や争いが発生した場所に沿って空母を配置することは最も有効だ。空母の発展は大国が強国に向かって足を踏み出すためになくてはならないものだ。」

杜文竜も中国は大、中型空母を発展させるべきだと考える。実際、大型空母はずっと攻撃型装備と考えられているが、「空母を持つことと空母を使用することは全く別のことで、中国が空母を持つ目的は海上の利益の維持保護、海洋の調和のために貢献をなすことであって、その他の国の攻撃型、外向き型の使用方法は中国の選択ではない。」と杜文竜は語る。

尹卓(頑住吉注:海軍専門家で少将)は、遼寧艦は基本的に2つの艦型の間であるとする。1つはアメリカ、フランスに代表される大甲板空母で、カタパルトによる発進と制動ケーブルによる着艦方式を採用する。もう1つは純粋英国式で、垂直、短距離離着陸を用いる。遼寧艦はスキージャンプ甲板による発進で、カタパルトはないが、制動ケーブルによる着艦の特徴はあり、中間の類型にある。全体的に言って、この艦は基本的に我々の作戦の必要性を満足させることのできる、防空の必要に応える新型作戦艦艇である。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「中国空母がどこに配備されるかは主に中国の国防と海軍戦略発展の必要性に基づく」です。)

3、中国空母をいかに配備すべきか?

韓旭東は台湾を境界とすべきだと考える。台湾以北の海域は1つの区域として少なくとも1個空母戦闘群を必要とし、台湾以南の海域も1つの区域として少なくとも1個空母戦闘群を必要とする。この2つの大海区には少なくとも2個空母戦闘群を必要とし、2隻以上の空母を必要とする。

杜文竜は、中国空母がもし戦闘力を形成したいなら、少なくとも3隻が必要だと考える。「空母は非常に消耗の高い装備であり、空母と一般の水上艦艇の作戦能力の基本条件に照らして見れば、少なくとも3つの機能がある。1隻は作戦、1隻は訓練、1隻は維持メンテナンス、これで最も初歩的で最も基本的な作戦能力が形成される。このため少なくとも3隻の空母が就役していることを保証すべきである。こうすればひとたび有事になったら、少なくとも1隻の空母が出現すべき地域に出現することを保証できる。中国は少なくとも2個空母戦闘群を形成する必要がある。こうしてこそいくつかの中規模以上の作戦行動に対応できるのである。一般常識に照らして言えば、少なくとも3隻あるべきである。

空母の配備に関し彼は、空母は遠洋活動能力が非常に強く、どこに配備するかは決して重要ではなく、重要なカギはどこで使うかである、と考える。「空母の配備はさらに港の状況を見て決める必要がある。港は有効な防御作戦が行えるものである必要があり、暴露しすぎていては容易に攻撃に遭う。空母の活動海域はホットな海域の状況を根拠に決める必要がある。パトロールならば、普通の艦艇では到達できない遠海海域、活動に困難がある海域、いずれも空母によって引き受けられるべきである。このため、南海、東海といったホットな海域だけでなく、将来的にはさらにアデン湾に行って訓練あるいは航路護衛を行う可能性もある。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは「たった1隻の遼寧艦だけでは中国海軍発展の必要性を満足させられるにはほど遠い」です。)

4、中国は何隻の空母を必要とするか?

少なくとも3隻以上の規模を必要とする

尹卓は、現在海軍はまだ空母艦隊に比べ、より適した艦隊編成様式を探し出しておらず、海軍の総合作戦機能、総合作戦能力はこのように継承され得る、とする。何故なら空母は艦載機の援護があり、大型水上艦艇と潜水艦があってこそ、やっと充分に作戦能力が発揮できるのである。もし空母艦載機の空中の援護がなかったら、海軍大型水上艦艇の作戦は敵の飛行機に遭遇し、基本的に出て行くことができず、非常に受け身となる。

羅援は、国際的に通用しているルールに照らせば、一般に3隻の空母を必要とし、それでやっと完備された戦闘群が形成できる、と説明する。すなわち1隻は勤務執行、1隻は訓練、1隻は維持メンテナンスである。

海洋軍事学術研究所研究員の李傑は、ある大国あるいは強国の空母の数は絶対に1隻だけということはない、と考える。例えば空母の必要あるいは維持修繕メンテナンスの状況、特に海上の訓練と海上の活動から見て、少なくとも3隻以上あることが必須である。彼は例を挙げ、アメリカは現在11隻の空母を持つが、3隻前後は工場で大修理、維持修繕あるいは改装中である、とする。残る8隻のうち、さらに3〜4隻は実際上海上訓練中で、このため真に戦闘力を有するのは4〜5隻ということにもなる。我が国の発展、経済状況、将来の海上の利益の必要な状況から見て、我が国の空母の規模は少なくとも3〜4隻必要である。

(頑住吉注:これより5ページ目。画像のキャプションは「もし中国の将来の空母が原子力動力を採用できたら非常に大きく燃料補給の圧力を軽減することになる」です。)

5、未来の空母が選択するのは通常動力か、それとも原子力か?

空母の活動半径は非常に大きな程度上その動力の形式と関係がある。1961年、アメリカは世界初の原子力空母「エンタープライズ」号を完成させ、1回燃料を装填すれば3年の自由な活動を保証できるようになった。1975年、アメリカの「ニミッツ」級原子力空母が就役を開始したが、この種の空母は1回燃料を装填するとその航行13〜15年に供することができる。2009年5月、アメリカ最後の通常動力空母「キティホーク」号が退役した。

杜文竜の説明によれば、大多数の中型空母は通常動力で、極めて少数の比較的先進的な中型空母だけが原子力を使用している。例えばフランスの「ドゴール」号である(頑住吉注:例えばってそれだけじゃないんですかね)。ロシアの空母の大多数は通常動力を使用する(頑住吉注:というか全部です。ソ連時代に建造されましたが完成する前にソ連が解体し、ウクライナのものになりましたがその後解体処分されました。中国の手に入らなくてよかったですが、あるいは「南方図面」は渡ってるかもしれませんね。ちなみにロシアは原子力ミサイル巡洋艦なんてのは持ってます)。だが中型、大型の原子力空母を発展させることは世界における1つの主流の趨勢である。

伝統動力空母に比べ、原子力空母は航続能力、動力上ずっと強い。このため次世代の中国空母は、艦載設備の使用、武器装備の運用、推進システムの騒音を低下させることができるか否かの方面から考慮すれば、原子力動力がやはり1つの素晴らしい選択となる。

(頑住吉注:これより6ページ目。画像のキャプションは「カタパルト発進は有効に艦載機の作戦効率を向上させることができ、さらに艦載機の弾薬搭載量を増加させることができる。」です。)

6、艦載機:スキージャンプ式かそれともカタパルト式か?

艦載機の発進技術はずっと以前から空母の核心技術の1つである。現在空母艦載機の発進方式は主に、ロシアの空母をメインとするスキージャンプ式と、アメリカの空母をメインとするカタパルト式である。

スキージャンプ技術は簡単で、発進のコストが低いが、いくつかの弊害もある。例えば艦載機発進時、燃料と弾薬を満載して発進することができず、こうなると艦載機の活動半径、武器搭載能力への影響が比較的大きい。カタパルト発進技術は比較的複雑で、カタパルト発進の艦載機は満負荷で発進できるが、アメリカのこの方面の技術統制は非常に厳しく、またコストも比較的高い。

尹卓は、「ワリヤーグ」は設計時、スキージャンプ式発進方式、制動ケーブルによる着艦を用いた、と説明する。このことは直ちに我々の艦載機もスキージャンプ発進を必須とするよう制限し、その作戦能力はいくつかの影響を受ける。同じトン数では、スキージャンプ発進だと、大甲板カタパルト発進の空母と比べ、作戦能力はおよそ3:1か4:1になる。つまり同じトン数の空母がもしカタパルト発進だと、作戦能力はおよそ3〜4倍になる。この種のカタパルト発進の空母では、アメリカは現在電磁カタパルトに代表される次世代空母に発展する方向にあり、加えて無人作戦機が艦に搭載され、これらは我が国の今後の空母発展で考慮することが必須である。

中国初の空母遼寧艦に関して言えば、スキージャンプ模式によって経験を積み、最終的にはきっとカタパルト発進に至る必要がある。今後もし固定翼艦載早期警戒機が艦に搭載されたら、カタパルト式によってしか発進できない。だがこのカタパルト発進は決して必ずしも蒸気カタパルト発進ではなく、より先進的な電磁カタパルトがあるいは中国空母に適した道であるかもしれない。

(頑住吉注:これより7ページ目。画像のキャプションは「殲ー15は性能優秀な第3世代艦載機である」です。)

7、艦載機プラットフォームか、それとも海上の要塞か?

遼寧艦にはすでに性能の良い国産艦載機が配備されている

空母の戦闘力はまずその艦載機から来る。我が国の空母はすでに自らの艦載機を持っており、しかも性能は良好である。尹卓は、遼寧艦上の艦載機は完全な意味において国産化された艦載機であるべきであると語る。

尹卓は、遼寧艦の今後の最も重要な訓練は艦載機と空母プラットフォームとの間のすり合わせであるはずで、つまり艦・機の協同である、とする。西側の空母飛行員は一般に1.5人の飛行員に1機の飛行機が配備されており、このようにすれば戦争の環境下で「人は休んで馬は休まない」ができる。全体の空母戦闘群は何十名もの飛行員を必要とし、我々の人員の蓄えは全く不足である。

ロシアの空母とアメリカの空母を対比すると、人々はごく容易に1つの明確な差異に気付く。すなわちロシア空母の防御性は特別に強く、艦体上に各種武器システムがいっぱいに配置され、まるで巨大な海上の要塞のようである。だがアメリカ空母はずっとシンプルで、甲板のスペースが大きく、艦載機がより多い。明らかに、アメリカ空母はその艦載機プラットフォームとしての機能の発揮に重点が置かれている。

杜文竜の説明によれば、空母の本業は海上航空基地であるべきであって、ロシアが空母を武器搭載艦として発展させたのは、主にその空母建造能力がアメリカに及ばないためで、次には艦隊内の艦艇の数が限られ、選択に困難があるためである。

アメリカ海軍空母は主に艦隊内の防空駆逐艦、潜水艦、対潜艦艇あるいはヘリ、艦載機などとの協同作戦に頼り、完備された1つの海上立体作戦体系を形成し、艦隊の全体的能力に頼って防御と戦闘を行う。これは未来の空母技術の発展の方向でもある。

(頑住吉注:これより8ページ目。画像のキャプションは「空母は遠洋作戦の必要に適応して生まれた大型作戦艦艇である」です。)

8、近海防御か、それとも遠洋行動か?

空母を持つ中国海軍はどんな種類の発展戦略を採るのか?

杜文竜は、空母があっても、海軍戦略を含む中国の軍事戦略に大きな改変が起きることはない、と考える。「我々は依然やはり防衛型の戦略を採る。遠洋に出たとしても、それはやはり防衛の目的から出たものである。」 韓旭東も中国の近海防御政策が変わることはないと考える。だが彼は、「平和な時期に非戦争行動を執行することは排除されない。例えば在外中国人の撤退、海賊の打撃、対テロなどである。近海防御と遠洋の平和任務執行の両者は同時進行である。」、と語る。

だが、中国国際戦略学会高級顧問王海雲は、防御をメインとする海軍戦略は、決して中国空母が攻撃力を発展させないことを意味しない、と考える。ロシア空母のように「全身」に各種の大型ミサイルをいっぱいに配置することはあまりなさそうだが、各種のセットされる艦艇と協同作戦してこそ戦闘力が発揮される。進攻力なき作戦プラットフォームは有効に防御作戦を実施し難い。攻防能力を兼備した防御こそ最も有効な防御なのである。


 あんまり新しい内容はなかったです。例えばカタパルトとか原子力とかを「どちらがいいか」という形で説明してますが、どっちがいいかは最初から分かってるわけで、問題はそれを実現する技術力があるかなんですが、そのあたりに関する記述はほとんどありませんでしたね。
















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