中国、北極評議会に参加

 国内ではあまり大きく報道されていませんが、今後大きな意味を持ってくるかもしれません。なお、中国では「北極理事会」とされており訳文ではそのままにします。まず速報として出た記事です。

http://military.china.com/news/568/20130515/17835435.html


速報:中国、北極理事会に加入 正式オブザーバーに

【速報:中国、北極理事会に加入 正式オブザーバーに】 人民日報記者 劉仲華 スウェーデンからの報道 キルナ(頑住吉注:スウェーデンの地名)の情報 北極理事会外務大臣会議は現在開催中で、8つのメンバー国は一致して決定を行い、中国などの国の理事会加入に同意し、正式オブザーバーとなった。


 続いてこれより前に出たこの問題に関するより詳しい解説記事です。

http://military.china.com/important/11132797/20130515/17834037.html


北極理事会、中国などの国の受け入れを討論へ ロシア、強烈に反対

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「北極地域は欧米、ロシアなど強国の包囲下にある。この『浄土』は実際にはすでに現在の国際的闘争の焦点にになっている」)

原題:「ロシア、北極の争いに新たなプレーヤーを介入させることを望まず」

(本報記者 関健斌)北極理事会は8か国の外務大臣が5月15日にスウェーデンのキルナで会合を行い、そこで討論されるのは中国、韓国およびEUなど14の実体(頑住吉注:ここでは国と地域、みたいな意味ですかね)を北極理事会のオブザーバーとして受け入れ、これによりそれらに北極の未来を決定する方面における発言権を持たせるか否かである。

北極国際化の議題は最も関心を集める

北極理事会は1996年にカナダのオタワで成立した。これまでカナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデン、アメリカという8カ国の創始国しか含んでいなかった。その目的は北極地域の環境保護、この地域の経済、社会などの方面の持続的発展の促進である。

北極理事会の規模拡大の問題に対し、北極理事会の各メンバー国は現在意見がまとまっていない。北欧の何か国かは北極の「国際化」を希望し、一方北極圏においてより多くの領土を支配するロシアとカナダは強烈に反対している。アメリカ大統領オバマはこれに対しまだ公然と決定をなしていない。あるアメリカの政府高官は5月10日、中国などの実体に北極理事会におけるオブザーバーの地位を与えるか否かに対し、アメリカ政府にはまだ特定の立場がなく、オバマはまだ最終的決定をしていない、とした。

「今回の会議には重大な地縁戦略的意義がある」

5月14日のロシアの「職業人報」は「ロシアは北極圏の範囲を支配する必要がある」との一文を発表した。文中ではロシア外務省の消息筋の人物の話が引用され、今回の北極理事会外務大臣会議は「歴史的会議」であり、非常に大きな程度上北極の未来を決定することになる、とした。別のあるロシアの外交官は、「今回の会議はロシアに対し非常に重大な地縁戦略的意義がある」としている。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「ロシアは潜水艦を使って本国の国旗を北氷洋の海底に挿し、もって北極の主権を宣言しており、自身の利益を維持保護する決心をはっきり示している。」です。)

「職業人報」が明らかにするところによれば、ロシアは北極理事会のその他のメンバー国を説得し、EU、中国、インドなど非北極地域の国に対し「確かな障壁」を立てるよう努力することになる。

文章は、「少し前は北極の争いは北極理事会メンバー国の間だけに限られていた。現在ではすでにより多くの国がこの場の争奪に参与したがっている。だがロシアは新たなプレーヤーにこのゲームに参加させたくはない」とする。

この報道は次のように明らかにする。ロシア外務大臣ラブロフを長とするロシア代表団は、北極理事会のその他のメンバー国に、この理事会の中に「オブザーバー」を加入させる必要はあるが、いかなる北極地域以外の国にも「永久オブザーバー」の地位を与えるべきではない、と信じさせるよう努力することになる。しかも、こうした「オブザーバー国」の地位と権力も非常に限られたもので、すなわちそれらは北極理事会の関連活動に出席のみできるが、北極理事会の行う決定にいかなる形式の影響力も持つことはできない。これと同時に、こうしたいかなる権利もない「オブザーバー国」はさらに北極地域の国の北極に対する主権、権利を承認することが必須である、と。

今回の会議前、ロシア代表団はその他の理事会メンバーと双方向の意思疎通を行い、積極的にロシア版の提案の最終的通過をプッシュした、とされる。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「アメリカのNASAが撮影した北極の衛星写真。美しい光景の下は関連諸国の鋭い対立である。」です。)

地縁政治的競争激化 多国が虎視眈々

冷戦終結のポジティブな成果として、1996年に成立した北極理事会は一定の意味の上でアメリカ、ロシアを含む北極周辺の8か国がこの地域において実質的協力を行うことを実現した。

客観的に言って、北極理事会は北極の環境、気候変化、現地住民の地域の持続可能な発展への参加促進などの方面において一定の成果を取得した。だが北極理事会にははっきりした先天的欠陥もまた存在する。例えば法的拘束力のない義務と規定、厳密な意味での国際組織ではない、参加国の限定性、常設の独立した事務局がない、制度的な資金のソースがない、等々である。

北極はかつては科学者と研究人員に対してのみ魅力を持っていた。だが2007年8月2日「ノースポール-2007」探検隊員が北極点の海底にロシア国旗を挿して後の世代に与えるメッセージを入れた密封箱を放置した時から、北極の新たな地縁政治的争奪がまた騒がれることになり、各方が北極地域で行う単独あるいは複数での軍事演習が頻繁になった。北極周辺国家の各自の北氷洋沿岸の軍事基地も不断に強化され、しかも本国の北極地域における多種の権利を確保しようと次々に宣言を行った。

過去何年かのうちに、北極周辺各国は続々と本国の北極戦略を打ち出し、北極地域に対する科学研究活動を計画し、この地域の天然ガスなどのエネルギーを埋蔵する区域に対する探査、開発を行い、積極的にその国の当地域での実際の存在を顕示した。これと同時に、非北極地域の諸国のこの「北極争奪戦」加入に対する興味も大いに増した。

すでにある少なからぬ分析、評論は、北極に関する一連の問題の解決は、単にいわゆる「北極国家」に頼ったのでは充分には程遠く、より大きな範囲の国際社会の共同の努力を必要とする、と考えている。北極地域、北氷洋がいくつかの国にのみ属すことはあり得ず、全人類による共同の享受、建設、統治が必要である。このような国際的区域の開発に対し、各国は協力メカニズムを形成すべきであり、国連はその中でより大きな作用を発揮する必要がある。このため、開かれた北極理事会は北極問題の解決のため新たな契機をもたらすのである。

(頑住吉注:4ページ目)米軍の原潜の北極における演習。氷の層を直接突破して海面状に浮上する。ホッキョクグマが囲んで見ている。

(頑住吉注:5ページ目)カナダ軍は長年来不断に「北極地域」を大きな背景とする軍事演習を行っている。

(頑住吉注:6ページ目)中国の雪竜号科学研究船が北極研究を行う陸地に向かっている。大国として、中国は北極争奪において自らの戦略的利益を戦い取るべきである。

(頑住吉注:7ページ目)2010年8月20日、研究隊体長の呉軍(右)と首席科学者の余興光(左)が北極点に到達した。我が国の何度もの研究隊が到達した北氷洋最北の研究記録を作った。新華社記者張建松が撮影。

(頑住吉注:8ページ目)2010年8月20日、中国北極科学研究隊が科学研究作業終了後に北極点に残した「中国結」。新華社記者張建松が撮影。


 本文の建前的論評より、キャプションの「大国として、中国は北極争奪において自らの戦略的利益を戦い取るべきである」が一番中国の立場をはっきり表しています。多くの国際問題で共同歩調を取るロシアが中国の参加に強烈に反対するところに問題のシリアスさが表れています。続いて決定後の短い記事です。

http://military.china.com/news/568/20130516/17836847.html


最も論争ある北極理事会申請者:中国は成功 EUは拒否に遭う

【グローバルネット総合報道】 激烈な議論を経て、北極理事会は5月15日中国を正式なオブザーバー国として批准した。共に批准されたのにはさらに日本、韓国、インドなど5か国があるが、EUは今回締め出された。

前日、中国のこの「高緯度諸国専属クラブ」加入の前途は一度「非常に危うい」と考えられた。いくつかの国が「意見を留保」していたため、中国とEUは共に「最も論争ある申請者」に列せられた。

アメリカのブルームバーグ社は、中国をめぐる論争が反映するのは「相互に強化する双子の危惧」だとした。1つは中国が今後の何十年かの中でどんな大国に発展変化するか誰にも分からないこと、もう1つは人々が不確定ながらも北極圏の氷が溶けることがどんな結果をもたらすか心配しているからである。だがこの種の危惧ゆえに北京を拒絶するのは賢いことではない。

カタールの「半島」テレビ局は15日この結果を報道する時、「中国は大きすぎ、軽視を許容しない」と感嘆した。実際、北極理事会も一大勝者と考えられ、何年か前はまだひっそりと目立たなかった国際組織が突然の間に大きな名声を持つものに変わったのである。

だが、このことがもたらす別の結果は、各方の利益に対する関心もより実際的になるというもので、ロシアの「モスクワ共青団報」は、北極の分割が開始された、とした。【グローバル時報キトナ特派記者 劉仲華 グローバル時報駐イギリス、ドイツ記者 孫微 青木】


 というわけで日本もオブザーバーとして参加できることになったわけですが、どのような戦略をもって厳しい競争の中で利益を勝ち取っていけるんでしょうか。私は日本の持つ技術とロシアとの協力がカギになると思います。














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