ドイツ語版「Wikipedia」によるボディーアーマーの説明

http://de.wikipedia.org/wiki/Beschusshemmende_Weste


Beschusshemmende Weste
(頑住吉注:熟した日本語に訳せば「防弾チョッキ」ですが、直訳すれば「射撃に抑止的なベスト」です。いわゆるサイレンサー、消音器にあたる俗語が存在せず、常に「減音器」と表現するのと同じ、ドイツ人らしい正確を期した表現です。ただ、いろいろな文章を読んでいて、この語は今回初めて見ました。たいていは「Schutzweste」、すなわち「防御ベスト」という語が使われているようです)

「Durchschusshemmende Weste」(頑住吉注:「射撃による貫通に抑止的なベスト」)、「Schusssichere Weste」(頑住吉注:射撃に安全なベスト)、「(Ballistische)Schutzweste」(頑住吉注:(弾道学的)防御ベスト)、あるいは誤ってKugelsichere Weste(頑住吉注:弾丸に安全なベスト。ちなみに「射撃に安全」が誤りではなく「弾丸に安全」が誤りであるとする根拠は不明です)とも呼ば
れるBeschusshemmende Weste(以下単に防御ベスト)は装着者を小火器弾の致死的効果から、そして有り得るグレネードの破片や突き刺し武器や殴打武器からも守ることに役立つ。

(頑住吉注:右に2つ画像がありますがそのキャプションです。
上:防御ベストとMP5を身に付けたドイツの警察官たち(ハンブルグ)
下:ドイツの防御クラス1に強化可能なケブラーインサートを持つ対打撃防御ベスト)

(頑住吉注:「目次」は略します)

概観

 防護ベストは弾丸の運動エネルギーを、ベスト本体を貫通するのに充分でない程度まで減らすことを意図する。この運動エネルギーはこの際ベスト本体上でできるだけ広い面に分散され、装着者の体に伝達される。これにより打撲や骨折さえ有り得る。防護ベストの強さ、また有り得るショックアブソーバー(対外傷プレート)の存在次第でこの効果は減少できる。弾丸自体はベスト内に残存するが、変形し、装着者の体の打撲をもたらす可能性がある。つまり広く広まった誤解とは異なり、そのような防護ベストは決して弾丸に対して安全というわけではなく、装着者をある程度まで、特定の弾丸タイプの致死的効果の前から守るだけである。つまり防護ベストの効果は、例えば弾丸を単純に跳ね返すことに起因するのではなく、弾丸のエネルギーをできるだけ大きな面に分け、分散することに起因するのである。こうしてベストの貫通やそれによる致死的損傷を妨げることができる。さらに言えばベスト装着者は1発の命中弾によって何mも後方に投げ飛ばされることはない。弾丸を受けた人の転倒は単に驚愕や痛みに起因する。これは運動量保存の法則で証明できる。これによれば、射手が発射の際に経験する力の突きは、弾丸を受ける人が命中時に経験する力の突きより大きいことはあり得ない。(頑住吉注:これに関してはDr.Beat Kneubuehlも説明していましたね。でもこの流れからすれば「撃たれる人に伝達される運動量が射手に伝達される運動量より大きいことはありえない」と言うべきでしょう)

 あるベストの防御力はいわゆる防御クラスで表される。これに関しては世界的に多くの基準が確立されている。弾道学的防御力の正しさを証明するため、多くの項目が定められたテストが行われている。射撃テストは厳密に定義された環境条件の下で行われる。その後で平均値がそのテストにおける防御レベルとなる。テストの数、環境条件、各テストの射撃数、テストされる弾薬、弾丸の速度は基準次第であり、これによってこれと結びつく防御クラスが決定される。最重要の基準はアメリカのNIJ(National Institute of Justice=法務省)基準である(頑住吉注:もちろん英語で書かれたこの基準の内容へのリンクがあります)。それぞれに適した必要性を持つ各官庁あるいは組織はたいてい独自の要求に適合する独自の射撃テストを実施している。いろいろな軍も同様である。各州の試射局によって実施される、警察の防御ベストのための技術的指針に基づいたドイツの射撃テストも有名である。射撃テストの最後にその体防御装備の定義された防御効果が文書で証明される。これが全製品においてコンスタントであるかどうか、そして適合する体防御装備として使用された場合にどのくらい長く防御効果がが持続するかは、メーカーと受け手の事柄であり、長時間テストによって、そして製品サンプルの繰り返しのテストによって確かめられねばならない。たいていのメーカーはその製品の5年もしくは10年の防御効果を保証している。

防御クラス

 射撃テストに用いられる弾薬が似ているにしても、ドイツとアメリカの防御クラスはたやすく互いに転用できるものではない。全般的な条件に重大な違いがある。アメリカのテストでは1回のみ射撃されるが、ドイツは3回である。このテストにおける環境条件も異なる。それにもかかわらず一般にドイツの防御クラス(SK)1はアメリカのNIJレベルIIIAと同一視される。両方ともポピュラーなピストル弾薬に対する防御力を定義しており、その際使用される弾薬は似通っている。ドイツのSK4とNIJレベルIIIおよびIVもしばしば比較される。これはロングアームからの射撃に対する防御を定義している。

 つまり防御クラスは全く一般的に次のように言うことができる。

●SK1およびレベルI/IIA : ソフトコアとラウンドノーズを持つピストル弾薬からの防御

●SK2およびレベルII : ハードコアを持つものも含むポピュラーなピストル弾薬からの防御

●SK3およびレベルIII : フルメタルジャケットとソフトコアを持つロングアーム弾薬からの防御

●SK4およびレベルIV : フルメタルジャケットとハードコアを持つロングアーム弾薬からの防御

 突き刺し武器、つまりナイフあるいは針に対する防御は最初に挙げた2つの防御クラスでは必ずしも含まれなくてもよく、追加的に調達されなくてはならない。なおこれは対突き刺し防御と呼ばれる。防御クラス3および4の防御ベストでは構造上対突き刺し防御も保証されることが期待される(頑住吉注:ロングアームの弾丸を防ぐには繊維だけでなく硬い板が必要とされ、こうしたものは自然に対突き刺し防御力が備わる、ということのようです)。

構造原理

 防御ベストはいろいろな構造原理に従ったいろいろな素材で作られている。一般にハード弾道学的防御ベストとソフト弾道学的防御ベストは区別される(英語ではHard/Softarmor)。決定的な防御効果はたいていの場合両原理のコンビネーションによってのみ達成され得る。ソフト弾道学的防御ベストによっては防御クラス1に従った完全な防御が達成可能である。この場合前面および後面へのハード弾道学的インサートが防御クラス4に従った防御を約束する。この原理(頑住吉注:通常ソフトアーマーであり、ハードなインサートを必要に応じて装備することができるシステム)によってたいていの防御ベストは設計されている。使用されるこのハード弾道学的プレートはその防御効果をソフト弾道学的防御ベスト本体とコンビネーションした後でのみ達成する。防御ベストはその防御効果が異なるだけでなく、防御される体の領域にも差異がある。たいていの防御ベストは大きな面を持ち、そしてこれにより最大の命中可能性を持つ体の領域のみ防御する。すなわちトルソである。しかしベストのタイプ次第では追加のプロテクターにより、体のサイド、生殖器領域、肩、首筋、手足も守られる。だがこの防御は装着者の運動性を制限する。さらなる差異はベスト本体の構造によって生じる。弾道学的防御インサートを体に装着するため、そして一日中の使用において体を傷害から守るため、弾道学的防御インサートは高度の負荷に耐える織物からなる防御ベスト外装内に縫い込まれている。これは追加的装備の固定可能性を提供でき、隠された装着も可能にする。例えば残りの衣服と色を合わせることによってである。

ソフト弾道学的防御

 弾丸は破れにくい組織からなる多層のネットまたはフォイル構造に当る。弾丸が個々の層に侵入する際、それを破壊したり伸ばしたりすることによって弾丸のエネルギーは失われる。多くの層に侵入した後に弾丸はその全ての運動エネルギーを失い、突き刺さって留まる。最初の火器の登場により、絹繊維製の防御ベストが作られた。今日ではたいていアラミド繊維(頑住吉注: http://www.fibex.co.jp/aramido/fibex2-aramido.htm )がトワロンおよびケブラーの名の下に使用されている。ザイロン(頑住吉注: http://www.yoz-ami.jp/contents/linetec/tokusei_zylon.html )やダイニーマ(頑住吉注: http://www.toyobo.co.jp/seihin/dn/dyneema/tokuchou/index.htm )のような他の素材も使用されている。こうした繊維は極度に切れにくいが、いくらかの時間の後にはその性質を失う。これは素材の特性が何年もの時間をかけてたどる老化プロセスのことであり、紫外線の作用によってさらに加速される。湿気もたいていその性質の喪失をもたらす。この理由から防御ベストのソフト弾道学的防御インサートは合成樹脂内にパックされている。理論的には対応する層の数によって任意の弾丸全てを受け止めることができる。だが実用的理由からソフト弾道学的防御インサートはピストル弾薬に対する防御のためだけに作られている。ロングアームの弾丸はその尖った弾丸形状、より多い発射薬、ライフルの長いバレルにより、たいていピストルの弾丸の4倍の運動エネルギーを持つ。そしてそれを止めるには極度に重い防御パケットが必要になる。この場合人はハード弾道学的防御インサートを引っ張り出すことになる。

ハード弾道学的防御

 理論的には、弾丸はハードな素材でできたプレートに当たり、その運動エネルギーをそこに分け与える。運動エネルギーはプレートによって受け止められ、変形をもたらす。この原理はずっと昔から兵器の分野で使用されてきた。何世紀も前からこの目的には金属(弾道学的スチール)が使われてきた。しかしそうこうするうちに酸化セラミックやポリエチレン(頑住吉注:ポリバケツの素材が防弾板になるの? と疑問を感じましたが前に出てきたダイナニーマもポリエチレンの一種で、飛行機の防弾コックピットドアにも使われているということです http://kaznak.web.infoseek.co.jp/japan/dyneema.htm )のプレートも使われるようになった。モダンなハード弾道学的防御プレートは層原理に従っていろいろな素材のコンビネーションから作られ、命中エネルギーをより良く緩衝するためカーブした形状を持っているが、これは装着者の体のフォームに適合するためでもある。理論的にはプレートを使い、マテリアルの強さ次第で弾丸の全ての種類をストップできる。たいていの防御プレートは上に挙げた理由からソフト弾道学的防御パケットとのコンビネーションにおいてのみ、そのフルな防御効果を達成する。

 アメリカ軍は世界最大のハード弾道学的体防御プレートの買い手として、そのフォームにおけるある種の標準化を引き起こしてきた。たいていのプレートは10x12インチのサイズで傾斜をつけた上の角を持ち、そしてこの条件にあてはまる場合(E)SAPI-プレート(英語(Enhanced) Small Arms Protective Insert)と呼ばれる(頑住吉注: http://en.wikipedia.org/wiki/Small-arms_protective_insert )。しかし他のプレート形状も作られている。ハード弾道学的防御マテリアルによる完全な全周防御を保証することは、その防御インサートの重量ゆえに長年非実用的なことに該当している。このため純ハード弾道学的防御ベストはたいてい、いわゆる「プレートキャリアー」の形で現実化している(頑住吉注:要するに独立したアーマープレートの入れ物のようなベスト、ということです http://www.special-warfare.net/data_base/306_vest/bhi_strike_02.html )。この場合前面と後面のみいわゆる「Stand Alone」プレートで防御されている。この特殊なプレートはその下に位置するソフト弾道学的防御パケットなしでも弾丸をストップできる。しかしより重い。

 さらなる新たな選択肢は鱗状鎧(頑住吉注: http://de.wikipedia.org/wiki/Schuppenpanzer )のように多数の小さなエレメントを集めて作られている体装甲である。赤軍は1980年代にチタン製の鱗を持つそのようなベストを使用した。今日スチールやシリコンカーバイト(頑住吉注: http://www.shiyaku-daiichi.jp/products/by_maker/norgen/silicon.htm )インサートを持つ似た体装甲がドラゴンスキン( http://de.wikipedia.org/wiki/Dragon_Skin_Body_Armor )としてアメリカの会社によって製造されている。このコンセプトのメリットは弾道学的防御インサートの変形性である。しかし個々のエレメントが一部重なっていることにより、この手法では約30〜60%増加された重量が伴うことになる。

対突き刺し防御

 対突き刺し防御の場合、突き刺し武器の特別な作用方法が考慮される。こうした武器は痛烈に侵入する、あるいは打ち抜くように作用することができる。ナイフによる長い切りつけはあるいは(絶対ではない)ライトな防御組織によってすでに止められるかもしれない。しかし針による突き刺しはソフト弾道学的防御ベストのベスト本体を貫通する。そのような防御ベストの装着者を突き刺し武器からも守るため、ライトな防御ベストの場合金属薄板製およびフラットにされた金属リング製の追加的インサートが用意されている。この薄板は打ち抜き効果を持つ特別に尖った物体(例えば針や注射針)から防御する。フラットにされた金属リング(鎖帷子に相当する 頑住吉注:直訳すれば鎖シャツ。 http://de.wikipedia.org/wiki/Kettenr%C3%BCstung )はナイフの刃、あるいは斧の侵入効果をも邪魔する意図である。防御クラス3および4のベストのハード弾道学的防御インサートの場合、対突き刺し防御が保証されている。このシステムはたいてい前面と後面のみカバーするので、これを使って体側面の対突き刺し防御が必要な場合は前述の手段で安全を確保しなくてはならない。

対打撃防御

 対打撃防御は弾道学的防御ベストの絶対的任務あるいは構成要素ではない。この場合特に四肢と頭部を防御しなくてはならないため、追加的プロテクターとヘルメットが不可欠である。これらはたいていプラスチック製で、クッション素材で内張りされている。そのようなプロテクターはたいてい弾道学的防御効果を持たない。しかししばしば対突き刺し防御の構成要素である。その効果は鈍器の衝撃的エネルギーの減少および残存エネルギーの広い面への分散ではっきり分かる。警察や私的警備業務の領域への使用のためには純粋な対打撃、対突き刺し防御スーツが提供されている。これは弾道学的防御効果を持たないが、たいてい装備増強可能である。

使用

 弾道学的防御ベストは軍の使用領域同様民間にも存在する。高い脅威にさらされている人、例えば警察官、公人などは防御ベストによって攻撃を受けた際の生存可能性を手にする。ドイツ警察ではこの間に下に着る方式の全周防御ベストを採用した。これは隠して装着されるSK1防御ベストである。特殊投入コマンドの警察官用には上に着る方式の防御ベストが存在する。これはたいてい追加的プロテクターを増強でき、その防御クラスを適合させられるためにより大きな体領域をカバーする。Kampfmittelraumer(頑住吉注:後の「a」はウムラウト。辞書に載っていません。語の成り立ちは「戦闘」+「手段」+「片付ける人」「清掃人」で、たぶん爆弾処理班のような人ではないでしょうか)はたいていフル防御スーツを装着する。これは手だけをフリーにするものである。警察機動隊の百人隊は通常弾道学的防御ベストを身に付けず、対打撃および対突き刺し防御ベストを身に付けている。ドイツ連邦国防軍の中で外国に投入される兵はSK4の防御ベストを装備している。国内の兵用にはいわゆる対破片防御ベストが用意されている。これは小さな命中エネルギーを持つグレネードの破片から防御するが、射撃による貫通には抑止的でないものである(頑住吉注:「抑止的」ではあるでしょう。例えば非常に遠距離から飛来した弾丸を防げる場合もあるはずです)。全ての連邦国民は防御ベストを購入する資格がある。だが防御ベストの所有に関しては世界的にいろいろなルールがある。一部の国では民間人は所有や装着が禁じられている。その上たいてい輸出制限が適用される。

(頑住吉注:右にある画像のキャプションです。 「SFOR(頑住吉注:ボスニア・ヘルツェゴビナの平和維持軍)におけるミリタリーベストを装着したドイツ兵。Mehler製のタイプST(SK4)。イギリスの防御ベストにならった通称「Bristol」が1992年にドイツ連邦国防軍に最初に採用された。)

リスクと欠点

 射撃による貫通に抑止的なベストは、決して「弾丸に対し安全」というわけではない。冒頭で記述したように、装着者が防御ベストにもかかわらず骨折や打撲傷のような傷害を受けないことを保証しない。防御効果が充分でなかった時は弾丸がベストを貫通することも依然として有り得る。ソフトなジャケット素材を持つ弾丸ならば、マッシュルーミングあるいは破砕してその残存エネルギーを打撃様に装着者の体に伝達し、これが大きすぎる、また深い傷をもたらす可能性がまさに有り得るのである。防御パケットの一部、弾道学的防御プレートや外装の素材が傷孔に侵入することも有り得る。さらにはコンプリートな防御を提供するベストはわずかのみであり、弾丸が四肢を損傷することは依然として有り得るし、たとえば手のための開口部を通って体の本来防御される領域に侵入することも依然として有り得る。さらなる問題はすでに記述した、防御パケットの防御効果の低下をもたらす可能性がある老化プロセスである。ここでは日本の会社東洋紡の素材、ザイロンのケースに言及すべきである。1990年代末、この素材を使って特別に軽い防御ベストが実現できることが分かった。しかし長時間テストの際、この素材が特別急速に老化し、すでに3年後にはその防御効果を失うことが明らかになった。バイエルン州およびノルドライン・ヴェストファーレン州警察に採用されたこの素材製のベストの製造会社は、それに続く損害賠償命令のため倒産した。この事実にもかかわらず依然としてこの素材製の防御ベストが製造され、宣伝され、販売されている。間違った装着あるいは防御ベストの損傷のような不適切な取り扱いも防御効果の喪失をもたらす。さらなる欠点は、ベスト本体が体の発汗を制限し、場合によっては熱停滞をもたらし得ること、そして重量である。防御ベストは防御クラスと防御領域次第で何キログラムもない重量から30kgまでになる。防御ベストは危険な環境にいる人に安全な感覚を与える心理学的防御手段でもある。しかし残念ながら再三にわたって自分の装備の防御効果の過大評価ももたらしている(頑住吉注:安全であるような気になって無謀な行為に走り、死傷するケースも多い、ということでしょう)。

展望

 新素材開発分野における進歩は近い将来にソフトおよびハード弾道学的防御ベストの防御効果のさらなる向上をもたらすと思われる。これに関し特に注目されるのは化学繊維とナノテクノロジーである。この中で特に重要なのは硫化タングステンからなる結合マテリアルで、メーカーの言によればこれは1平方cmあたり250トンまで耐えるはずだという。だが結局のところ攻撃者によってさらに大きな口径、さらに強力な弾薬、あるいはひょっとすると完全に新しい銃器タイプが使われる可能性は常にあるのである。


 愛知県の立てこもり事件の際、機動隊員がボディーアーマーを装備していながら.38口径リボルバーから発射された弾丸1発で命を奪われたケースは記憶に新しいところです。ボディーアーマーの効果は決して絶対ではなく、また効果を高めようとすれば装着者の運動性を制限する傾向があるので非常に難しい問題を含んでいます。

 最後の「展望」の中で登場した新素材には注目の必要がありそうです。前に挙げたダイナニーマの広告ページでは「たった直径10mmのダイニーマRのロープでも理想的には約20tまで釣り下げることができます」とあり、本当はそう単純ではないんでしょうけど仮に強度が横断面積に比例するとすれば、約10倍の強度があることになります。これを使えば服の下に隠して装着できるほど薄くて軽く、ライフルのアーマーピアシング弾でも止められるようなボディーアーマーが実現するかも知れません。またボディーアーマーの性能がどんどん向上してくると先進国の軍隊と途上国の軍隊やゲリラ、テロリスト集団との力の差がさらに開いてくることが考えられますし、あるいは命中精度が低すぎるなどの理由で採用されていないフレシット弾が「背に腹は代えられず」使われ始めることも考えられます。


 このページにはボディーアーマーに関するいくつかの関連ページ、資料へのリンクがあり、興味深いものに関してはそちらの内容もお伝えしようと思います。













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