ヨーロッパバイソンは実戦用ではない?

 またヨーロッパバイソンがテーマですが、最近「あまり多くを期待してはいけない」といった論が多くなってきているようです。ちなみに「艦」と「艇」がごっちゃに出てきますが原文に合わせます。

http://military.china.com/jqsj/030/index.html


「ヨーロッパバイソン」を大袈裟に自慢しすぎるな

「ヨーロッパバイソン」導入の意義はどこにあるか?

イントロダクション:最近中国はウクライナによって建造された第1隻目の958型ホバークラフト上陸艇を受領した。この「ヨーロッパバイソン」級と呼ばれる上陸艇は世界最大のホバークラフト上陸艇であり、現在歩兵を搭載しての上陸および掃海作戦の比較的理想的なツールでもある。何故なら速度が速いからで、この艇は海岸線を素早くかすめて過ぎる「旋風」に例えられる。その到来は、メディアと専門家の広範な討論を引き起こし、この「大物」は広範な賞賛を得ていると言える。では、「ヨーロッパバイソン」にはそんなに大きな能力があるのか否か?

「ヨーロッパバイソン」は中国海軍の水陸両用突撃能力を向上させることができる

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「『ヨーロッパバイソン』の1回の投入能力は強大で、かつ火力は比較的猛烈である」)

中国海軍は長期にわたりずっと中、小型戦車上陸艦を使用し、直接砂浜に到達する方式をもって上陸作戦任務を遂行している。だが現代の水陸両用作戦行動では、上陸する側は海上に停留する時間が長くなるほど危険になっていく。後に、中国も徐々に自らのホバークラフトの研究開発を開始したが、搭載重量が小さく、航続距離が短いため、依然高強度の水陸両用作戦任務は執行できない。

「ヨーロッパバイソン」の導入は疑いなく「速い」と「大きい」の問題を解決した。このホバークラフト上陸艦は通常全世界の70%以上の海岸で上陸が行え、これには湿地や砂浜型の海岸が含まれる。一方伝統的な上陸艦は全世界の15%の海岸しか通過できない。この現在世界最大のホバークラフト上陸艇は1回で3両のメインバトルタンクを搭載できる。兵力投入に用いる時は140名の作戦人員および装備と、重量130トンの物資を上陸する砂浜に送り込むことができ、しかも非常に強い独立した作戦能力を持つ。アメリカとヨーロッパのいくつかの国のホバークラフトはこのようなレベルには全く到達できない。「ヨーロッパバイソン」の導入は疑いなく中国海軍の水陸両用作戦能力を向上させる。軍事問題専門家杜文竜は、「ヨーロッパバイソン」と056型護衛艦は、一種の高速と低速、および遠近が結合したレイアウトを形成でき、近海防御能力全体の向上および島嶼の支配に対し作用が非常に大きいと考える。

「ヨーロッパバイソン」は中国の2つの主要な戦略の方向に対するもの

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「中国国産ホバークラフトは南海の実戦により適する」)

南海の戦略的縦深は大きすぎ、「バイソン」は大洋を望んでため息をつく

中国の「ヨーロッパバイソン」導入は国内外の軍事界の一連の推測を引き起こした。このうち最も関心を注がれる推測は、直接的に中国周辺のホットなポイントと関連付けるものだ。一部のメディアと専門家は、「ヨーロッパバイソン」は極めて大きく中国の「島奪取作戦」能力を向上させ、しかも島奪取の目標は釣魚島と南沙諸島をまっすぐに指している、と言明する。

多くの視点は、「ヨーロッパバイソン」ホバークラフトが中国に到来して以後、南海方向への配備があり得ると考えている。だが周知のように、南海の戦略的縦深は2,000km余りもあり、「バイソン」の航続距離は300海里でしかなく、もし海南島から出発して永興島に行ったら、あるいは往復できるかもしれない。だが問題は、南海の西沙は現在完全に中国の実効支配下にあり、「バイソン」には力の振るい場所がないことだ。より遠い争いのある島に対しては、その航続距離ではまだ及ばない。重量500トンの「バイソン」の動力装置は全部で5台の高温ガスタービンエンジンからなり、燃料消費量が非常に大きく、もしこの艇を用いてパトロール任務を執行したら比較的贅沢であることが目立つからなおさらである。

自身の防御能力が弱く、攻撃目標になりやすい

中国のもう1つの戦争が勃発する可能性がある方向は釣魚島である。300海里の航続距離に頼り、「バイソン」は快速で釣魚島まで航行できる。だがもし帰投するとなると追加の燃料を増加することが必須で、こうなれば武器装備搭載や人員の数は必ず割引にならざるを得ない。しかも、「バイソン」に搭載された自衛武器は限られ、激烈な戦場環境の中での生き残りを保証することは非常に難しい。この艇は軽装甲を装備し、搭載する人員が弾丸や砲弾の破片で傷害を受けないよう保護できるが、大、中口径砲弾の直撃は依然致命的である。特に3つの直径5.5mの4枚羽推進プロペラと、エアクッション状態下では長さ57.3m、幅25.6mのゴム製スカートがひとたび破損されれば、機動能力は深刻に低下し、甚だしきに至っては麻痺する。もし単独行動で上陸作戦を執行したら、基本的に的として叩かれる。もし上陸艦やその他の軍艦と艦隊を組むのなら、中国自ら生産するホバークラフト上陸艇でもその任に耐え、しかもより経済的である。「ヨーロッパバイソン」は実際には近岸作戦の武器であり、相手が強大な対艦および対上陸能力を持たない状況下では使用できるが、日本、甚だしきに至ってはアメリカのような相手に直面した時は、決して優勢を持たない。

「ヨーロッパバイソン」の導入は技術的蓄えにより重点を置いている

実際には中国によるヨーロッパバイソン導入は必ずしもこれを実戦に応用しようというのでは決してない。導入を通じて技術を消化吸収し、その後やや小さいがそれでも充分に大きく、性能:価格比がより高い国産ホバークラフト上陸艇を開発することが主要な目的に違いない。将来、中国はきっとドック上陸艦、甚だしきに至ってはより大きな強襲揚陸艦を開発して水陸両用作戦レベルを向上させる。「ヨーロッパバイソン」の導入は、中国と世界のホバークラフト科学技術領域の先進レベルとの間の隔たりを短縮させることができる。これに対する使用、学習、参考、消化、コピー生産は中国が大型上陸戦闘艦にマッチしたホバークラフトを開発することに対し、ポジティブな促進作用を果たす。

だが現段階で言うと、この種の大型装備は中国海軍の作戦使命にとって決して早急に必要なものではないと言える。大型ホバークラフトの開発と中国海軍の実際の需要との関係を冷静に考えるべきである。大型ホバークラフトの技術の半分は航空技術の産物であり、動力システムが重要なカギである。バイソンのガスタービン技術は疑いなく中国の同類装備の発展に対しブースト作用を果たし得る。

(頑住吉注:「専門家の評論」は別ページの冒頭部分が引用されているだけなので省略します)

ネット仲間の調査

あなたは「ヨーロッパバイソン」の中国における最大の作用は次のうちどれだと考えますか?

主に南海方向の攻撃 10.78% 95票

主に釣魚島方向の攻撃 11.8% 104票

主に台湾海方向の攻撃 9.76% 86票

武器庫を豊かにする 8.4% 74票

技術的参考を提供する 58.17% 513票

その他 1.14% 10票

総票数 882票

結び

「ヨーロッパバイソン」がホバークラフトという領域の「ボス」であることは疑いない。だがその他の海軍の戦略的装備と比較すると、それは戦術的性質の武器でしかなく、海軍の指揮官にもう1種の戦術上の選択肢を与え得るものと言える。その作用は空母、原潜、第4世代機など戦争の中で決定的作用を発揮するものには遠く及ばない。結局のところ、「ヨーロッパバイソン」は8,000万アメリカドルの武器に過ぎないのである。俗に「大きな銭を費やせば多くの大事が行える」と言う。今日の軍種がより完備した中国海軍にとって、4隻の「ヨーロッパバイソン」は決して何ほどにも評価されないと言える。


 このシリーズずっとお伝えしてますけど今回は票数が少なく、関心が比較的低いテーマらしいです。しかし日頃マスコミに誘導されることに慣れているだけに、やっぱり誘導された選択肢に票が集中しますねー。

関連の記事をもう1つ紹介します。

http://military.china.com/important/11132797/20130626/17911855.html


専門家:日本の海空戦力は解放軍を超える ヨーロッパバイソン」はごく容易に撃沈される

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「『ヨーロッパバイソン」』ホバークラフト上陸艇は世界最大のホバークラフト上陸艇である」)

【グローバルネット総合報道】 香港の「南華朝刊」は6月25日の新華社の報道を引用し、1隻のホバークラフト上陸艦がすでに5月24日に広州に到着している、とした。このことは人に、これが南海艦隊に加入するかもしれないと推測させる。中国とベトナム、フィリピンの間が領土をめぐる争いのため緊張している時、南海艦隊は南海において各種任務の執行に責任を負っている。

香港メディアは、中国内地は3.15億アメリカドルをもってウクライナから4隻の世界最大の軍用ホバークラフトである「ヨーロッパバイソン」」級ホバークラフト上陸艦を購入し、このことはあるいは中国の隣国に驚愕を感じさせるかもしれないが、軍事専門家は逆にそれらを「強大なおもちゃ」と軽蔑的に呼ぶ、とする。

文章は台湾地域の元安全保障業務部門責任者である伍世文の話を引用し、ホバークラフト艦は南海の使用には適さない、とする。「北京とその他の東南アジア諸国との間の領土争いが関わるあらゆる島嶼はごく小さく、いくつかは1隻の船と比べてさえなお小さい。」 本部を東京に置く「外交学者」誌(頑住吉注:今まで「そんな日本の雑誌は実在しない」と指摘してきましたが急に「本部を東京に置く」に設定変更されたんですが)は、「ヨーロッパバイソン」」級ホバークラフト上陸艦は4階建てビルに近い高さであり、排水量は555トン、航続距離300海里、最高航行速度60ノット、航続時間5日、純貨物積載量およそ150トンで、アメリカや日本の海軍に就役するホバークラフト上陸艇の2倍余りである、とする。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「『ヨーロッパバイソン』の加入は中国軍の水陸両用戦力をさらに新たな段階にアップさせる」です。)

報道は、こうしたホバークラフト上陸艦は釣魚島に対し往復航行ができない、とする。マカオの軍事ウォッチャーである黄東は次のように言う。「釣魚島は大陸からの距離が200海里を超えているが、このホバークラフト上陸艦の最大航続距離は300海里でしかなく、このことは給油船を随伴させて行く必要があることを意味する。」 また彼は、日本の空中および海上の能力は人民解放軍に比べ強大で、ホバークラフト上陸艦は釣魚島に接近する時、巨大な打撃目標に変わり、ごく容易に日本によって撃沈される、と語る。

黄東は、「ヨーロッパバイソン」級ホバークラフト上陸艦の最高航行速度は60ノットだが、航行時には巨大な波を巻き起こす可能性があり、人民解放軍の最も先進的な護衛艦を接近し難くさせ、これらの護衛艦の最高航行速度は45から60ノットの間である、と語る(頑住吉注:いやそんなに速い護衛艦少なくとも中国にはないです)。人民解放軍の軍艦ですらバイソン級ホバークラフト上陸艦には追いつけないが、戦闘機と比べればずっと遅くもある。このことは、この上陸艦が海上で独自に作戦を行うかもしれないことを意味する。何故ならこれを保護できる軍艦はないからだ。

上海の海軍問題専門家である倪楽雄は、「用途が限られているため、我々が多すぎる数のホバークラフト上陸艦を持つことはない‥‥だが、勃興中の海上大国として、中国はこのようなホバークラフト上陸艦でその海軍の武器庫を完備されたものにする必要がある。」と語る。(頑住吉注:前の記事の読者アンケートの「武器庫を豊かにする」ってのはこれに対応してるんですかね。)

台湾の高等政策研究協会のある専門家は次のように語る。このバイソン級ホバークラフト上陸艦は人民解放軍の島嶼上陸演習の中での訓練プラットフォームとなる可能性がある。初の「ヨーロッパバイソン」ホバークラフト上陸艦は、中国初の空母遼寧艦のように訓練プラットフォームとして使われるのかもしれない。「1つの新兵器に相対し、人民解放軍海軍は時間を費やすことを要してやっと新たな作戦模式を提出し、もってそれを彼らのシステムに整合するのに便とすることができるのだ。」

(頑住吉注:以後のページのキャプションはこれまで紹介した記事の内容と重複しているので省略します。)


 往復できないと言いますけど、帰りの燃料は充分でなくとも尖閣に強行上陸してから補給を待つことは可能なわけですし、簡単に撃沈されると言いますが日本は攻撃されるまでこちらから攻撃できず、尖閣に接近している段階で撃沈などできませんから本気で上陸を狙ってこられれば結局上陸は許すことになるはずです。もちろんそれは他の船でも基本的には同じですが、対応のための時間を短縮させることができる船としては例外的な高速の、直接乗り上げが可能なホバークラフトはやはり脅威を感じざるを得ない存在と言えるでしょう。

















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