殲ー15の事故は射出座席の不備のため?

 7月28日に初めてこの事件関連の記事を紹介した時、「艦載機の着艦は非常に危険度が高く、犠牲者が出ることは予想もされ決して異常なことではありませんが、実際の着艦より難易度が相対的に低いはずの陸上模擬施設で事故が起きたこと、突然予想しないような気流に遭遇したとかではなく機に致命的故障が生じたのが原因であること、少なくとも理論的には高度ゼロでも座席を射出してパイロットを保護できるシステムが多くなっている中、脱出したのに死亡していることなどには注意すべきでしょう。」とコメントしましたが、今回の記事にはこうした問題への言及があります。

http://military.china.com/important/11132797/20160804/23215097.html


殲ー15機墜落事故 問題はあるいはこの装置に生じたか 射出座席に厳しい要求をすべきでない

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「張超が殲ー15に乗り込み発進準備」)

ここ何日か、あなたは海軍艦載機飛行員だった張超の物語によって刷屏されたか否か?(頑住吉注:ネットスラングらしいですが検索して得られた意味がこの場合に適さず意味不明です) 「解放軍報」新華社などの当局メディアは密集して張超烈士の事跡を報道した。

4月27日12:59、海軍航空兵正営職中隊長、海軍少佐、一級飛行員の張超が殲ー15を操縦し陸上基地模擬着艦接地を行っている時、電気伝動の故障が突発し、彼は最大の努力を尽くして戦闘機を保護しようとしたが、プッシュバーが無効で落下傘降下を迫られ、地面に墜落して重傷を負い、救護が無効で壮烈な犠牲となった。戦闘機は滑走路を飛び出して軽傷を受けた。張超は中国空母艦載機事業に身を捧げた初の飛行員となった。

2人の銭報シンクタンクの専門家、空軍の功績ある試験飛行員である徐勇凌と、海軍軍事学術研究所の研究員である曹衛東は、読者のためにこの事故の背後の多くの熱く議論される問題を解読した。徐勇凌は、今解放軍は突発事故に対し日増しに解放透明になっており、これは自信を見せているだけでなく、公衆が烈士および烈士の家族の献身と犠牲を理解することをも希望しているのだ、とする。

射出による救命の失敗の重要なカギは条件の劣悪さ 我が軍の射出座席に厳しい要求をすべきでない

新華社の報道によれば、事故発生時、すでに接地滑走していた飛行機が「電気伝動の故障」を突然報告し、機首が急速、大幅に上向きになった。ビデオと飛行データは、故障発生後張超が戦闘機を保護するため、力を絞って操縦桿を最低まで下げ、機首の浮き上がりを阻止しようとしたが、このために最も良い脱出タイミングを逃したことをはっきり示している。故障発生の4.4秒後、仰角はすでに80度を超え、戦闘機はほとんど地面と垂直で、張超は落下傘降下を迫られ、地面に墜落して重傷を負い、救護を経るも無効で英雄的な犠牲となった。

「今回の射出による救命の失敗は、主に条件が過度に劣悪だったからだ。」 徐勇凌は次のように解説する。張超の殲ー15は着陸滑走時俯仰のコントロール不能が発生し、80度の仰角となり、しかも射出座席自体にさらに後ろ向きに10度あまり傾斜した取り付け角度があり、さらに重力の作用が加わり、実際上射出時の軌跡はすでに斜め下、地面に向かっていた。

20mに満たない高度、さらに斜め下向きの射出では、もはや射出座席に厳しい要求をすることはできない。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「張超の射出の瞬間の模擬図(馬躍川 画)」です。)

殲ー15の電気伝動システムのミス容認率は超越的に高い 問題は伝達装置に出た可能性が高い

関連の報道の中で、「電気伝動の故障」が注目を引いている。軍事マニアは皆、「電気伝動」が殲ー15のデジタル式4剰余度電気伝動操縦システムを指すことを知っている。

軍事評論員である施洋の説明によれば、電気伝動操縦システムは飛行員の操縦に関する信号を、変換器を経て電気信号に変え、電気ワイヤーを通じて直接舵装置に伝達するものである。これは伝統的な操縦システムの中の機体内部いっぱいに分布した機械伝動装置や液圧パイプラインを省略している。

しかもデジタル式4剰余度電気伝動操縦システムはまさに信頼性の保証のために生まれた。それには4セットの独立した電気伝動操縦システムがあり、「少数は多数に服従する」原則を実行し、もしワンセットの機能が乱れあるいは「怠業」したら、もう3セットが修正することができる。4剰余度電気伝動は2セットの故障を許すことができ、国際的に先端技術に属する。

ならば張超の117号戦闘機の故障はどうしたことか? 4セットのうち同時に3セットにミスが出たのか。この確率はやはり低すぎる。施洋は、より高い可能性は信号伝達装置に故障が起きたことだと推測する。「飛行コントロールシステムがどんな決策をしても、指令は全て電気ワイヤーあるいは光ファイバーを通じて舵装置に伝達することが必須で、もし伝達というこの部分が壊れたら、「決策」がどんなに正確でも無駄で、まるで我々が停電時に冷蔵庫が冷却を制御できないのを責められないようなものである。」

陸上基地模擬訓練は同様に非常に危険 「自学成才」で着艦の要領を模索して体得する

曹衛東は記者に、陸上基地航空兵部隊から優秀な飛行員を選抜した後、5つのステップを経ることを要してやっと合格した「空母の鳥」となれる、と教えた。

第1ステップは、空母飛行甲板を模した陸上滑走路上で、空母飛行甲板上の短距離スキージャンプ発進あるいはカタパルト発進、および制動ケーブルを使用しての着艦をシミュレーションする。徐勇凌が明らかにするところによれば、地上訓練は艦上に比べ、海洋環境がないことを除き、危険性や技術環境は基本的に同様である。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「張超と彼の艦載機」です。)

第2ステップは、空母上空を通過し、海上で空母を捜索発見する訓練をする。第3ステップは、空母をめぐって旋回飛行する。第4ステップは艦上の誘導灯の光を根拠に下降し、タッチアンドゴーを訓練する。すなわち脚を用いて甲板の滑走路に強く接触した後飛行機を引き起こす。最後の1ステップは実際の着艦で、飛行機の尾部フックを用いて空母上の制動ケーブルにひっかける訓練をする。

「艦をめぐっての飛行、タッチアンドゴー、そして実際の着艦の訓練量の比率は、およそ3:1.5:1である。」 曹衛東が明らかにするところによれば、教練がなく、教程や基準がないため、あらゆる訓練が全て自らの模索に頼る必要があり、難度は非常に高く、非常に危険である。「彼らはすでに『灯火を見、角度を保持し、中心線に合わせる』などの着艦要領を総括して出しており、自らを学員から訓練して教員としている。」

初の空母艦載飛行員はそれぞれがエリート 艦上の事故発生がないことは称賛に値する

施洋が明らかにするところによれば、中国のこの艦載航空兵部隊はエリート中のエリートと言うべきで、入選基準は少なくとも5機種で飛んだことがあり、飛行時間は1,000時間を超え、そのうち第4世代機で500時間を超えていることが要求され、基本的に全て海軍航空兵各部隊の中核たる飛行員である。

「これらの飛行員はエリート中のエリートというべきで、2012年11月に初めて成功裏に着艦した飛行員たちの中には3名の私の学生がいた。私は彼らに対し非常に熟知している。」 徐勇凌は記者に、4年あまりの非常に苦しい模索を経て、これらの飛行員は基本的に試験飛行を完成させ、すでに巡航任務が執行でき、初歩的に戦闘力を形成している、と教えた。「国外ではこの段階で10%にも達する飛行員が機を操縦して墜落させ、甚だしきに至っては犠牲となっており、我々には艦上の事故が発生したことはなく、称賛に値する。」


 「戦闘機は滑走路を飛び出して軽傷を受けた」という記述は意外でした。脱出時80度を超える仰角とされていたので当然その後操縦者を失った機は墜落して大破したものと思っていたんですが。結果論ですが脱出しなかったら助かっていたのでは。「地上訓練は艦上に比べ、海洋環境がないことを除き、危険性や技術環境は基本的に同様である」とされていますが、以前ウクライナの陸上模擬施設には横揺れを再現するシステムのみあるという記述があり、要するに艦全体の上下動や艦首・艦尾の交互の上下動、うねるような複雑な動きなどは再現できないわけで、中国の施設がどういうものか不明ですがウクライナのものを大幅に超えるものとは考えにくく、実際の着艦とでは危険性に差があるはずです。












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