台湾の潜水艦建造は成功するか

 まあ仮に数隻建造しても大勢に影響はないでしょうが。

http://military.china.com/news/568/20170408/30399829_all.html#page_2


台湾には「潜水艦を自ら建造」する能力があるか? 米日があるいは援助を提供か

徐依航 厳東興

蔡英文は就任後大きな力を入れて装備を自ら製造する計画を推進し、潜水艦、実戦機などの先進装備の開発を自ら行うことによって、台湾の「国防」工業の水準といわゆる「自主国防」能力を向上させることを希望している。

2016年の年末、台湾「国防省」は「潜水艦独自建造」計画を始動し、30億アメリカドルを費やして8隻の排水量1,200〜3,000トン級の通常ディーゼル・電池潜水艦を建造することを企図した。今年3月21日、蔡英文は高雄の左営海軍基地にやってきて、台湾海軍、台湾中科院、台船の三者が潜水艦建造の覚え書きに署名するのに立ち合い、このことは台湾の「潜水艦独自建造」計画が正式に始動したことを意味している。

現在、世界で潜水艦を建造する能力を持つのはアメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランス、ドイツ、日本、オランダ、スウェーデンなどの国しかない。台湾には完備された工業体系もなければ、また潜水艦製造のカギとなる重要技術も欠乏しており、いかにして潜水艦を自ら建造するのだろうか?

現在台湾軍には4隻の潜水艦がある。1973年、台湾はアメリカから2隻の「Tench」級通常潜水艦を輸入し、今まですでに72年就役し(頑住吉注:当時すでに中古品だったので)、全世界で最高齢の現役潜水艦となっており、この2隻はすでに作戦能力を喪失し、現在限られた訓練任務しか完成させていない。もう2隻の「Zwaardvis」級潜水艦は台湾が1980年代にオランダから輸入したもので、台湾軍は剣竜級と称し、それぞれ「海竜」、「海虎」と命名している。

潜水艦の建造は艦体、動力システム、武器装備システムなど多くのシステムに関わる。台湾には艦体を建造する基本的経験が欠乏している。潜水艦の設計、建造は水上艦艇とは異なる。水上艦艇の建造ではもし誤差があっても、喫水の深度に影響するだけだろうが、潜水艦は全船体が水中にあり、排水量は外形設計時にもうすでに確定する。もし重すぎあるいは軽すぎたら、浮上できない、あるいは潜水できないかもしれない。艦体の「重心」と「浮心」も誤差が非常に小さいことが必須で、さもないと操縦や潜水艦の騒音に深刻に影響するだろう。台湾の船舶工業には艦体建造の経験が欠乏している。

また、さらに艦体の耐圧鋼材がある。台湾の中鋼は、台湾の鋼鉄業には潜水艦に使用する「抗圧鋼板」を製造する方法があると誠心誠意誓うが、軍用規格の抗圧鋼板は、西側世界ではアメリカ、日本、ドイツにしか研究開発と生産の能力がなく、台湾にはこの種の特殊な鋼材を生産することはできない。

2016年7月7日、台湾「国防省」は台湾立法院「外交・国防委員会」に対し次のように報告した。「潜水艦建造に必要な装備は25種類に分かれると見積もられ、台湾が製造能力を持っている可能性があるものには19種類があり、その他の6項目の装備、例えばディーゼルメインエンジンなどは、国外のルートから獲得することが必須である。」 台湾が潜水艦の動力システムの研究開発能力も持たないことが見て取れる。

だが台湾には外来の技術援助を探求し、自身の技術的弱点を補う可能性がある。台湾のデリケートな国際的地位のため、アメリカ、日本が台湾に技術援助を与える可能性があるのを除き、その他のドイツ、フランス、スウェーデンなどの台湾に向け潜水艦技術を提供する能力がある国は相当に慎重だろう。

アメリカの軍事的利益という角度から出発すると、台湾の潜水艦建造を援助することには一定のメリットがある。台湾が潜水艦を持つことは非常に大きく台湾が大陸の攻撃に対抗する能力を増加させることができ、台湾が台湾以東海域の制海権を奪取し、我が沿海の海上交通ルートを破壊するのを助けることに対し一定の作用がある。

アメリカは潜水艦技術方面で世界の前列におり、アメリカは1960年代からもう通常潜水艦を生産したことがないが、アメリカはディーゼル・電池動力潜水艦を生産、製造するワンセットの技術を持っており、通常潜水艦の生産を回復するのはやはりできる。例えば、原潜の大部分の情報システム、水中音響探知計測システム、武器コントロールシステムはいずれもディーゼル・電池潜水艦に用いることができる。

いくつかの通常潜水艦特有のシステム、例えばAIPシステム(非空気依存推進装置)であるが、アメリカにはAIP技術はなく、ドイツ、スウェーデン、フランス、日本などから購入する必要がある。日本は第二次世界大戦後ずっと三菱重工、川崎重工という2つの潜水艦造船工場の研究開発および生産能力を保持しており、それぞれの造船工場はいずれも独立した生産ラインを建設している。台湾は日本の完備された通常潜水艦製造技術を得ることを最も希望しているが、日本の潜水艦動力システムも自らのものではない。AIPエンジンはスウェーデンのスターリングエンジンのライセンスを購入して生産しており、ディーゼルエンジンはドイツのMUT社のパテントを導入して生産している。このため、日本が潜水艦技術を台湾に移転したければ、この2カ国の同意を得ることが必須である。政治、軍事および経済的利益の考慮から、日本は技術上台湾に一定の援助を与える可能性があるが、きっと相当に保守的、慎重だろう。

各方面の分析を総合すると、台湾の潜水艦独自建造の難度は天に昇ることとの比較に堪える(頑住吉注:飛行機発明前の言い回しでしょうね)。台湾が「潜水艦独自建造」計画を実施するには3種の方式を採る可能性がある。

1つ目は思い切って着工すること。台湾の長期的な経済的利益から言って、潜水艦技術の購入と研究開発によって産業のグレードアップを実現するのは、明るい王道のようである。だが台湾地域の工業体系には欠点が多すぎ、研究開発能力の完備性が欠乏し、多くの新型領域の人材育成が必要で、それでやっと完備された潜水艦研究開発および生産体系を建立し、自主的潜水艦建造を完成させる可能性がある。

もし台湾が現実をかえりみず強行して潜水艦自主建造計画を実施すれば、インドの後塵を拝する可能性が高く、最終的に完成した潜水艦は価格は非常に高くまた性能は凡庸というものかもしれない。インドは潜水艦の使用経験、船体の建造、潜水艦設備集成技術方面において台湾よりはるかに強いが、インドが自主建造した「カーワリ」号は全部で13年を費やしてやっと定型を完成させ、部隊に装備された。

2つ目は「経国」号IDFの形式を参照して製造する。1980年代、アメリカは大陸を味方に引き込んでソ連を封じ込めるため、台湾地域に向けF-16戦闘機を販売するのを拒絶したが、またひそかにアメリカの会社が台湾地域のためにIDF「経国」号戦闘機を設計するのを批准し、その主要な技術、設備は全てアメリカ由来で、台湾はちょっと組立を担当したに過ぎない。

台湾の需要に直面し、アメリカが古い手をまた弄する可能性がある。アメリカの手中には完成品の通常潜水艦がないため、あり得る方案としては日本を引き込み、日本により技術を出させ、台湾が金を出資し、アメリカが武器およびその他の設備を出し、台湾地域で「オーダーメイド型」の通常潜水艦を設計、建造して台湾軍に提供する、という可能性が極めて高い。

3つ目は止むを得ず輸入という古い道に回帰すること。1990年代、国際環境の変化につれ、台湾はアメリカから潜水艦を導入したがった。2001年、アメリカは大陸の強烈な反対をかえりみず、台湾に向け8隻の通常潜水艦を販売しようとした。

2003年シンガポールアジア海上安全保障業務展で、アメリカは台湾地域に提供する計画の改良型Barbel級潜水艦を展示した。潜水艦技術の外部漏洩を避けるため、アメリカは8隻の潜水艦を全部アメリカの造船工場で建造する立場を堅持し、全部の費用は100億アメリカドルを超えた。

Barbel級改良型は価格が非常に高く、加えて台湾軍はその性能に対し自信がなかったため、この計画がずっと遅延するという結果をもたらした。将来独自建造の方法はなく、進退窮まったという際、台湾が対外購入という古い道に回帰する可能性は排除されない。

台湾の潜水艦独自建造は、どの角度から言っても身の程知らずである。大陸の圧倒的性質の優勢に直面し、台湾が自ら研究開発した1、2件の「切り札」武器に頼って大陸を「多重嚇阻」(頑住吉注:「嚇阻」は脅して阻む)し、台湾独立実現のための後押しを企図するのは、痴人の語る夢でしかあり得ない。


 日本が援助したくても自由にならない技術があり、また将来的に技術が大陸の手に落ちる可能性もあり、さらに大陸との関係悪化も覚悟する必要があり、なかなか難しい判断が必要でしょうね。
















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