イランの国産ステルス戦闘機出現 その2

 この前この機についての中国の専門家の見解を含む情報をお伝えしましたが、続いてロシアの専門家の見解が出てきました。

http://military.china.com/news2/569/20130207/17675342.html


ロシアの専門家、イランのステルス戦闘機はむしろ模型のようで飛行能力は持たない、とする

【グローバルネット総合報道】 ロシア軍事工業総合体ウェブサイト2月6日の報道によれば、イランは今月2日同国が研究開発した新型戦闘機を展示した。‥‥「征服者-313」である。イラン軍はこの機は極めて強い作戦能力を持ち、一連の先進的機載無線電子設備を配備し、斬新な技術解決方案を運用し、レーダーの探知計測をかわすことができる、と言明する。「征服者-313」プロジェクトの責任者ハッサン パーワネイは、この機は完全な国産化を実現し、性能は比類がない、と説明する。だが、イランメディアが発表した「征服者-313」戦闘機の画像に対して分析を行うことによって、ある専門家はこの機が飛行能力を持つか否かに対し疑問を表明した。

「征服者-313」戦闘機はイラン国防省の下に属する航空工業組織によって研究開発され、前に置かれたエンテ翼空力レイアウト、V字型ダブル垂直尾翼を採用し、主翼面は末端の所で60〜65度下に湾曲し、尾部ノズルにもステルス設計方案などが採用されている。また、イランの技術者たちはさらに成功裏にこの機のために一体化キャノピーを研究開発している(頑住吉注:ちなみに殲-31は一体化キャノピーを採用していないのでステルス性に問題があるが、これはコスト面の配慮からではないか、とされ、一方珠海航空展で展示された模型では一体化キャノピーになっており、輸出型か、との説も出ていました)。

イラン国防大臣アーメド ワシディは、「征服者-313」は高度科学技術材料によって製造され、先進的機載設備を装備し、イランが研究開発した正確制御誘導弾薬が使用できる、と言明する。また、この機はさらに短距離離着陸能力を持つ、ともする。

「征服者-313」の外形はまるでアメリカの2種のステルス検証機の混合体のようである(1つはボーイング社が研究開発した「Bird of Pray」、もう1つはロッキード・マーティン社が研究開発した「Have Blue」で、この機は後にF-117に発展した)。アメリカの「Bird of Pray」ともう1種のコードネームがXB-70の検証機はいずれも主翼外側が下向きに傾斜した方案を採用したことがある。アメリカの1960年代の研究は、主翼の端を下に折り曲げる設計方案は超音速飛行時の安定性を高めることができるだけでなく、さらに戦闘機が超音速飛行時に発生させる超音速衝撃波を上向きの揚力に転化することができることをはっきり示しており、戦闘機の空力性能に対する向上率は30%に達し得る。

「征服者-313」が採用する前に置かれたエンテ翼空力レイアウトに関しては、スホーイー30MKI、「ラファール」、「タイフーン」などの戦闘機上の類似の構造とは異なり、全体を動かす能力を持っておらず、しかも長さも主翼(折り曲げ部分まで)に相当する。

「征服者-313」は比較的珍しい上からの空気取り入れレイアウトを採用している。だが、その空気取り入れルートの寸法は小さすぎ、エンジンの高速飛行時の安定した作動を保障できないかもしれない。また、この機のエンジンノズルは機体に深くはまりこみすぎ、このことは飛行機の後部が飛行時に高すぎる温度まで加熱される結果をもたらすだろう。

「征服者-313」がどんな機種のエンジンを配備しているのかに関しては現在まだ知り得ない。「飛行国際」の専門家たちは、イランはアメリカのゼネラルエレクトリック社のJ-85エンジン(イラン空軍で現役のアメリカ製F-5戦闘機に装備されているのがこのエンジン)をコピー生産したのかも知れない、と推測している。だが、現在の基準に照らせば、J-85の推力は弱小すぎる。‥‥正常推力は15.5千ニュートン、アフターバーナー使用時の推力は22.2千ニュートンである。比較するとアメリカ軍のF/A-18戦闘機に配備されるエンジンの推力は48.9千ニュートンに達し、アフターバーナー使用時の推力は79.2千ニュートンに達し得る(頑住吉注:3倍以上ということで、こういう比較をしていいのか分かりませんがレシプロ戦闘機の馬力で言うと、九七式戦闘機、イ-16あたりと第二次大戦末期の2000馬力級戦闘機の差くらいある、ということになります)。

イランサイドが発表した画像から判断して、「征服者-313」の寸法は決して大きくなく、J-85エンジンは基本的にその動力の必要性を満足させられるかもしれない。だが、「征服者-313」の小さすぎる寸法はその作戦能力をも制限するだろう。‥‥その狭小な機首の中に大出力の機載レーダーを装備することは非常に難しい。

「征服者-313」戦闘機のコックピット内部の航空電子設備の配置も簡単すぎる。最も疑わしいのは、その操作コントロール台の後面に何といかなるケーブル類も見えないことである。このことは、いわゆる「征服者-313」は決して新型戦闘機の原型機ではなく、単に模型に過ぎないのではないか、との疑いを人に抱かせずにはおかない。ある専門家は、「征服者-313」のコックピットのパネル上の計器は小型民間機にしか適さない、と指摘する。また、そのコックピットは狭小すぎ、もしある飛行員が座ったら、おそらくキャノピーすらきっちり閉まり切らない。

全体的に見て、イランが宣伝する「征服者-313」原型機は決して飛行能力を持たず、むしろ巨大な模型のようであり、正真正銘の戦闘機ではない。イランが長年来ずっと国際的制裁に遭い、最も先進的な技術的成果を獲得することができないこと、および発達した工業の欠乏を考慮すれば、このためイランは現在新世代戦闘機の研究開発能力を持たない。

ここ何年か、イランは何度も多種の新型武器装備の研究開発成功を言明している。これには対空ミサイルシステム(イランはその性能はロシア製のSー300に相当すると言明しているが、外形はアメリカが1960年代に生産した「ホーク」に非常に似ている)、「閃電」戦闘機(アメリカ製のF-5のコピー生産品に非常に近い)が含まれ、こうした挙動は決して単に潜在的敵を脅すためだけではなく、イラン人民の士気を鼓舞するためでもある。


 アメリカへの対抗上イランに肩入れすることも多いロシアの専門家ですが、この件に関しては全くと言っていいほど評価していません。まあ客観的に見て日本やインドにも難しいことがイランにそうやすやすとできるとは考えにくいですよね。中国のステルス戦闘機に対する反応とは違い、今のところイランのハッカーがアメリカの機密を盗んだ結果で重大な脅威になる恐れがある、といった評価は出ていないようです。








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