画期的訓練システム? Bullite

 「Visier」2005年6月号に、速報として興味深い新アイテムの紹介記事が掲載されていました。


のイスラエルの会社Rovatec製のレーザートレーニング器具Bullite(ニュールンベルグのIWAで紹介された)は、自分のピストルを使って家で快適にターゲット射撃姿勢およびトリガーの引きを練習することを可能にする。

 Bulliteシステムの核心部分は、弾薬に似た軽合金製のインサートであり、我々がテストしたケースでは9mmx19である。だが、Bullite練習システムにはライフル用(目下.308と.223のみ)およびショットガン口径12、16、20番用がある。個々の口径セットは、それに属する反射板ターゲットとともにプレス薄板製缶内に梱包されている。Rovatecとの話し合いによると、ドイツでは、約190ユーロの価格となるはずである。

 Bulliteはその簡単な組み込みと単純な取り扱いによって魅了する。原則としてアルミ製インサートをチャンバー内に配置するだけですでに足りる。だが、共に供給される安全装置を使用することが推奨される。すなわち、プラスチックの小さなパイプをレーザー弾薬にねじ込む。これはバレル前方に突き出、これに明らかに目立つオレンジ色の安全識別子が固定される。各トレーニング参加者はこの後、この真の銃からは無害な閃光のみを発射できると分かる。

 この波長635〜650nmのレーザーはマイクロプロセッサーのおかげで目に全く危険がない(頑住吉注:この分野全然無知なんで理由は分かりませんが、目に照射されても大丈夫だということですね)。そのエネルギーは弾薬内に密封された3つのSilberoxidバッテリーから取られている。メーカーによると、これにより1万の閃光を発射することができる。ターゲットとしては、パックに直径6.5cmの丸いターゲットが5つ添付されている。これらにはその反射面にいろいろなモチーフがついている(頑住吉注:写真にあるのは同心円とマンターゲットもどきです)。命中点は赤い閃光として射手が明らかに見ることができるようだ。しかし、ターゲットを他の角度から見ている観察者にとっては、赤い光点は必ずしも分かるわけではない。強い陽射しの際も射撃練習は難しくなる。これに対し暗い室内ではガラス面でも特殊鋼製コーヒーカップでも好みのままに狙うことができる。このシステムの夜間の射程は、インターネットサイト http://www.rovatec.com/index.php によれば300m以上にさえなるという。ピストル用としてはこれは間違いなく過大であるが、ライフル用としてはこれにより夜間の100mレンジにおけるドライトレーニングも想定できる。装備改変された銃は制約なしにスライドの前後動やこのシステムの除去ができる。Bulliteはダブルタップやラピッドファイア用には適さない。射撃がおこなわれず、当然リアルなリコイルショックやスライドサイクルもないからである。だが、Rovatec弾薬インサートにはリボルバー用もある。このBulliteトレーニング弾薬のための最も目的にかなった使用領域は自宅である。野心ある射手はここで安価に、静かに、そして安全にクイックドロウおよび射撃をリアルな状況下で練習し、狙い、保持し、トリガーを引く際のミスが分かり、正すことができるのである。VISIERはRovatecの箱を練習の助言の入った小冊子とCDとともに入手した。

 VISIERとの対話におけるBulliteの開発者の言によれば、次の開発局面においてはレーザー閃光には情報コードが含まれることになる。各弾薬はそれ独自の認識コードつきになり、対応するトレーニングベストと合わせて実戦シミュレーションやパートナーを組んでの決闘が可能になる。ベストからBluetooth(頑住吉注:辞書に載っていないので検索したらこういうものでした http://e-words.jp/w/Bluetooth.html 要するに無線通信です)経由でラップトップパソコンに転送されたデータに基いて、訓練中に誰がいつ撃たれたか、そしてどこに命中弾を受けたのかが即座に再現できる。

 ドイツでは目下Bulliteは定められた認可手続き中である。認可が得られたときは、フランコニアが販売を引き受けることになる。


 途中出てきた公式サイトには構造図や動画などがあり、必見です。

 お尻にプッシュスイッチのついた小型レーザーサイトがありますが、要するにこのシステムはこれを弾薬の形にしてチャンバーに入れただけのものと言っていいでしょう。トリガーを引くとハンマーが落ち、ファイアリングピンがプッシュスイッチを叩いて一瞬レーザーを照射するという単純なアイデアです。

 もう覚えている人は少ないでしょうが、私はかつて東京マルイのウィルソンスーパーグレードのメカを大部分流用し、バレル部にお尻にプッシュスイッチのあるビームフォードを組み込み、ファイアリングピンにあたるパーツのみ自作して組み込んだ「レーザーソフトガン」と称するものをアームズに投稿して掲載されたことがあります。1991年のことですから14年程前ですね。この銃は元々ノンブローバックガスガンですからトリガーシステムはDAになっており、トリガーを引くとハンマーが動いてファイアリングピンを叩き、ファイアリングピンがプッシュスイッチを押して一瞬レーザーを照射するというものでした。大筋一緒でしょ? それ以上発展することもなかったアイデアですけど結構いい線行ってたのかもしれないといまさらながら思ったりします。

 このシステムだとガバのようなシングルアクションオートやオートマチックライフル、ショットガンでは連射できませんね。またリボルバー用もあると言いますが、当然各チャンバーにレーザーシステムが必要ですからオートよりずっと高価になってしまいます。そしてここで挙げられているリコイルがないという問題の他、ライフルで100m射撃を行うような場合は遠距離でも着弾点が下がらず、命中までにタイムラグもなく、風の影響も受けないという問題もあります。しかし使いようによっては確かに有益な練習手段になるでしょう。

 これだけなら頑住吉にも似たようなものが思いつく簡単なアイデアに過ぎませんが、構想されている次世代のシステムはなかなか凄いですね。

 このシステム自体は国内への輸入に問題がないかもしれませんが、モデルガンに組んでもインサートが邪魔で使えません。センターファイアのモデルガンに組めて中心が筒抜けのバレルはヤバすぎです。したがってこのシステムそのものは使えませんけどこんなのはどうでしょうか。プッシュスイッチを極度に軽く設定した同様のものを作り、負圧バルブを持つブローバックガスガンの交換バレルに組みます。トリガーを引くと一瞬発射ガスが出てスイッチが押されるわけです。これならスライドが動かないので常にDAでしか撃てず、リコイルショックやスライド作動のリアル感がない本家システムにある意味勝るものにもなります。アイデア料寄越せとは言いませんからどなたか作ってみませんか?


※ごめんなさい。ちょっと訂正します。よく考えたら違うような気がして調べてみたら、当時「レーザーソフトガン」に使ったビームフォードはお尻からコードが延び、そこにプッシュスイッチがついたタイプで、それをお尻の延長線上に配置していました。根本的な違いではないですけど。
 ちなみにあんまり関係ありませんけどちょっとだけ似た点のあるアイデアとして、今はなき某問屋が昔作ったユニークな製品がありました。細長いレーザーサイトのお尻の延長線上に直径6mm弱でOリングが付属した細長いロッドをつけたものです。これをマズルに差し込んで点灯すると、バレル内ボアの正確な延長線上の点が分かり、そこにサイトを合わせれば理論上正確な命中が得られるはず、というものでした。面白いアイデアではありましたが、エアソフトガンの場合無視し得ないくらいの沈下が始まる距離が近く、しかも確かこの頃からホップバレルが主流になり始めたこと、そして普通に試射してサイト調整する場合に勝るメリットが価格に見合うほどなかったため定着しませんでした。ただこのアイデア、実銃で応用できないですかね。また実用では無理でも、映画においてスナイパーがトランクから分解式のライフルを出して組み立て、これでいきなり狙撃するというよくある描写は実際にはおかしいわけですけど、これでサイト調整を行うという描写を加えるともっともらしい感じが出るのではという気もします。もちろん比較的近距離でなければ実銃でも沈下は無視できなくなりますけど。



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