殲ー20の欠点とは

 ここのところ殲ー20に関するこまごました情報が多い感じです。ちなみに原文は殲ー20を全部太字にしてますが面倒なのでいちいち太字にしません。なお、意味不明の専門用語は簡体字を日本の漢字に直すだけにします。

http://military.china.com/important/11132797/20131220/18231101.html


専門家:中国の殲ー20の3大欠点は軽視できない

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「欠陥と不足を遅れず発見することは後日装備に対しグレードアップと改良を行う助けになる」)

殲ー20は中国が独立して研究開発したものであり、いかなる直接の原型として参照したステルス大型超音速戦闘機もない。1980年代には早くも中国は新型ステルス戦闘機の設計を開始した。1990年代に入った後、中国の第4世代戦闘機殲ー20プロジェクトは正式に始動した。

我が国がステルス技術、レーダー、エンジン、デジタル電子コントロールシステムなど多くの方面においてカギとなる重要な性質の突破を取得するにつれ、一部の技術はすでに殲ー10など新型戦闘機によって検証が得られ、殲ー20の研究開発速度も明らかに加速した。この期間、アメリカのF-22の研究開発成功と共に、我が国はさらに一歩殲ー20の研究開発に入れる力の度合いを強めた。

殲ー20の技術は決して世界の現有の技術の範囲を超えるものではないが、この機はそれらを非常に良好に結合させている。まさにこの種の集成があり、殲ー20の第1機目の原型機は非常に早く成都飛行機工業社によって研究開発が成功したのである。

2011年1月11日、殲ー20は成都で初飛行を実現させ、中国航空工業の巨大な成功と飛躍を象徴的に示した。

殲ー20は5種の優良な性能を具備している

殲ー20は単座、双発、双垂直尾翼、ストレーキを持つエンテ式空力レイアウトのステルス大型戦闘機である。全体から見て、殲ー20は以下の5つのはっきりした特徴を持つ。

第1に、ステルス効果が良い。ステルス能力は第4世代戦闘機の最重要の指標であり、殲ー20の看板的能力でもある。このため、この機は多くの措置を取ってステルス能力を向上させている。

フランスの著名な飛行機設計師ダッソーは、優秀な飛行機は、その外形もきっと非常に優美だ、と語ったことがあるが、殲ー20はこの点を証明している。この機はストレーキのあるエンテ式レイアウトを採用し、機は空気取り入れルートの前部にエンテ翼が設けられ、エンテ翼の取り付け位置と主翼は同一平面にあり、渦状の流れの位置を高め、渦状の流れが主翼上面をかすめて過ぎることを保障することができる。このようにすると、飛行機が支払う抵抗という代価は小さく、飛行機の速度を向上させることができるだけでなく、ステルスという目的の達成にも有利である。

殲ー20の機首、機体は菱形を呈し、F-22とよく似ており、傾斜した側面は非常にシンプルで、上下の表面は非常に平らで真っ直ぐであり、不連続平面がもたらすレーダー反射を減少させている。主翼、エンテ翼の前後のエッジは、前後が平行の屈折の要素を考慮しており、しかも大きく外側に傾いた、面積が比較的小さいV字型尾翼と腹鰭があり、これも有効なステルス措置である。

殲ー20はDSI空気取り入れルートを採用している。この種の空気取り入れルートの技術はまずアメリカのF-35戦闘機に応用され、中国では梟竜戦闘機にまずこの空気取り入れルートの技術が使用された。DSI空気取り入れルートは空気取り入れ口前の立体的突起によって空気境界層を消し去る目的を達成し、重量が軽い、適応する速度の範囲が広い、ステルスに影響をもたらさないというメリットがある。

その空気取り入れルートの設計にはS字型の湾曲が採用され、有効にエンジンブレードのレーダー反射を遮ることができ、T-50のストレートの筒状で、ごく少ない遮蔽しか持たない空気取り入れルートのステルス効果に比べずっと良い。加えて可変バイパス比および面積変化空気取り入れルートの使用により、比較的高い燃焼効率を持ち、その熱ステルス能力はF-22と同等である。

殲ー20のコックピット前の機首は非常に短く、スペースが限られ、その火力コントロールレーダーにはアクティブフェイズドアレイレーダーが採用され、有効に相手方の電子システムの探知計測をかわすことができ、被キャッチ率が低いという明確な特徴を持つ。このレーダーは作動方式に基づいてレーダーの発射エネルギーを自動コントロールでき、スキャン速度が非常に速い。これに比べTー50は依然光電子レーダーを使用しており、そのレーダーがまだ殲ー20やF-22の水準に達していないことを説明している。

殲ー20の機体の異なる部品には光学ウィンドウが装備され、後台データ処理システムによって異なるユニットが獲得した画像に対し融合を行う。このようにするメリットは、機械転動機構が省略され、同時に光学部品が最大限機体内に埋め込まれることである。さらに加えてウィンドウに対し鋸歯処理が行われ、システムの体積と重量が小さくでき、飛行機のステルス能力が向上する。

殲ー20の表面は平滑で、余計なものは全くない。そのキャノピーもF-22同様バブルキャノピーで、前部風防の枠の反射はない。飛行機の外部の開口を減少させるため、殲ー20の維持メンテナンス用口のカバーは非常に少なく、その脚収納スペースの開口にも鋸歯型のエッジの設計が採用され、カバーは比較的大きく、しかも巧妙に脚収納スペースと検査修理窓を一体化している。また、メイン弾薬コンパートメントはアメリカのF-22「ラプター」戦闘機の約2倍あるが、機体の腹部に設置され、このようにすると機体のステルスにも有利である。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「殲ー20戦闘機は今後連続不断の改良とグレードアップの中で徐々に成熟に向かうことになる」です。)

第2に、機動性能が高い。殲ー20は機動性、敏捷性、大仰角能力が非常に突出した戦闘機である。この機は唯一無二の「エンテ翼+ストレーキ+前後のフラップ、全体が動く尾翼」の総合空力レイアウトを採用して飛行コントロール能力を向上させている。大型のデルタ翼は空気取り入れルートの上の縁に装備され、主翼は下反角を帯び、ロール速度を増加させ、飛行機の敏捷性を高めることができる。舵の効果が大きい全体が動く垂直尾翼は充分な航行方向操縦モメントを提供でき、さらに比較的大きなロール速度率を提供する。

その空力設計には「渦揚力」技術が採用され、主翼前面において、ストレーキ、エンテ翼を利用して強大な渦状の流れを発生させ、主翼の揚力を大幅に増加させ、より良い機動性能を獲得することができる。その内部搭載武器は外部吊り下げ搭載武器と機体の間の相互反射効果を消し去ることができ、さらに大幅に飛行抵抗を減少させることができる。

機動性能から見て、殲ー20とF-22は大体同等である。これに比べT-50は「可動ストレーキ」と通常の水平尾翼しか持たず、大仰角、過失速機動など極限状況下でのコントロール能力が中国の殲ー20より低いだろう。

第3に安定性が良い。殲ー20は外側に傾いた全体が動く垂直尾翼の設計を採用し、「渦揚力」の利用と組み合わせて渦状の流れの強さによって高められる垂直尾翼に対する影響を低下させ、機の縦方向の安定性を向上させることができる。殲ー20の腹鰭も大仰角状況下での機の縦方向の安定性を増加させることができる。

第4に、近距離格闘能力が強い。殲ー20はF-22同様、一体式キャノピーを採用し、飛行員に良好な視野があることを保証している。この機は総合周波数管理システムを使用しており、機載フェイズドアレイレーダーはさらに電子対抗、データリンクなど多種の用途を持ち、加えて先進的で完備された大スクリーン機載液晶情報ディスプレイシステムがあり、飛行員にリアルタイムに近い戦場態勢感知が提供でき、かつ空戦戦術の補助決策が提供できる。さらにヘルメット上のディスプレイシステムが加わり、スマート化操作の程度はより高くなり、極めて大きく機の近距離格闘能力を向上させている。

また、T-50やF-22に比べ、殲ー20の機体の長さと横断面積を対比した値は20%増加しており、この種の設計は速度があまり高くない超音速飛行時に空力利用率を向上させ、かつ機の弾薬搭載能力と燃料搭載量を増加させることができる。機の非常に大きい内部に置かれた弾薬倉は多種の空対空ミサイル、空対艦ミサイルが搭載でき、この機に強大な攻撃力と全方位打撃能力を持たせる。

第5に、編隊攻撃能力が強い。殲ー20は第4世代戦闘機であり、目標の探知計測および追跡方面において「敵に先んじて発見」の能力と多目標探知計測・追跡能力を追求することが必須である。このため、この機は暗号化データリンク情報システムを採用している。この機は数機の殲ー20の間で探知計測情報の共有を実現でき、したがって非常に大きくそれぞれの機の態勢感知空域が広がる。

この機は、1機がレーダーをONにして多くの目標を探知計測し、かつデータリンクを利用してその他の何機かのレーダー沈黙を保持した機に伝達し、比較的隠蔽された接敵と攻撃を実現することもでき、これはF-22の典型的な攻撃の形式でもある。数機の殲ー20から組成される編隊は広い空域を支配するのに足り、さらに加えてその超音速巡航能力、強大なアクティブ式電子対抗能力があり、殲ー20はFー22と同等の作戦能力を持つことになると見られる。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは1ページ目と同じです。)

3大欠陥も軽視できない

中国が自ら研究開発を行う初の大型ステルス戦闘機として、殲ー20には3つのはっきりした欠点も存在する。

第1に、エンジンは中国の高性能飛行機の致命的弱点である。中国は現在殲ー20の要求を完全に満足させるハイレベルのエンジンを生産できないため、殲ー20のエンジンには依然ロシアの礼砲機械製造企業が販売したAL-31Fエンジンが採用されており、一部の機能に対し改良が行われているに過ぎない。

AL-31Fエンジンに比べ、ロシアのT-50に搭載される117型エンジンはずっと優秀だろう。このエンジンは新型の低圧圧縮機、新型タービンを採用し、またその他のユニットも信頼性の高い作動能力を具備している。機は緊急状況下で16トンの推力を獲得できる。この記録的推力はさらに大面積の主翼と結合し、T-50の機動性能をより強大なものに変じさせることができる。

第2に、殲ー20の空力レイアウトにも不足が存在する。機体の重心付近の武器コンパートメントに場所を譲ってより大きくすることを望んだため、主翼が比較的小さい、各翼面が平行でないなどの問題が出現しており、このことは非常に大きな程度上機の機動能力とステルス効果に影響する。

第3に、2台のエンジンが近すぎる。この種の設計は機の大仰角攻撃時に問題が起きないことを保証できるが、3Dベクトルノズルが充分に作用を発揮できない結果をもたらす。しかも、2台のエンジンが生じさせる超音速の気流が相互に影響する時、機体下側に強大な渦が生じ、機体全体構造に対し不良な作用を生じさせることになる。

殲ー20はまだ一連の試験飛行を行う必要がある

一般的規律に照らせば、第3世代機が試験飛行から真に部隊に装備されるまで、およそ5〜8年の時間を必要とする。第4世代機の技術はより複雑であり、その部隊装備までの時間は通常8年を超えるだろうが、前倒しになる可能性もある。だがどのようであろうと、今後殲ー20はきっとさらに不断に関連の試験飛行活動を行う。中国独特の戦闘機研究開発、発展の道に照らせば、殲ー20の発展も3つの試験飛行過程を経る必要があり、それでやっと最終的に部隊に装備され得るのである。

第1は工程試験飛行である。この過程は主に工場基地で行われ、飛行機の基本的な安全性、操縦性を検証し、飛行機が独自、安全に定型試験飛行を行う試験飛行基地まで飛べることを確保する。このことは、新型戦闘機が検証機から工程発展段階に入ったことをも意味する。現在、殲ー20はすでにこの段階の試験飛行を完成させている。

第2は定型試験飛行である。この段階のリスクは最大で、時間の消耗が最も長く、課目は最多である。飛行機の基本的な飛行性能から周辺課目まで、航空電子システムから機載武器まで全て、試験飛行大綱に照らして全面的にテストされる必要がある。非常に多くの高強度な周辺課目や特殊状態での試験飛行がこの段階で完成される。現在、殲ー20はまさにこの段階の試験飛行にある。このため、殲ー20戦闘機の全体構造はすでに安定に向かい、改変の範囲はすでに大きくない。

第3は武器標的射撃試験飛行である。定型試験飛行完成後、戦闘機はさらに作戦使用機能の試験飛行を行う必要がある。戦闘機は戦場環境下での各種武器の投下、発射、標的射撃試験を行い、もって武器システムの実際の機能および人・機械が結合しての武器使用の熟練度などを検証する。

この段階の試験をパスした後、新たな戦闘機はもう正式に部隊に入って就役することができるが、全部の飛行員が審査に合格し、規定の戦闘機の就役数に到達した後、やっと初歩的な作戦能力を形成したと評価されるのである。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは2ページ目と同じです。)

殲ー20の研究開発成功の意義は重大

長期にわたり中国の武器は、小は銃から大は飛行機、潜水艦まで、ロシア式武器の設計理念の影響を深く受けていないものはなかった。第3世代戦闘機の世代交代開始以後の各種の実戦の中で、ロシア式戦闘機の戦績は着実に人をして失望させてきた。このため、人々は普遍的にロシアの飛行機設計理念はすでに情報化戦場の需要にはあまり適していないと考えている。

中国の独自のスタイルを持つものとして殲ー20の研究開発成功は、我が国が軍用機研究開発領域において世界の第4世代戦闘機の第1グループに入ったことを表している。また中国の製造技術と設計水準の飛躍を体現しており、中国の戦闘機研究開発が真に自らに属する設計の道を行くようになり、以後の新たな武器装備の研究開発のために良好な基礎を打ち立てたことを示している。

殲ー20は多用途大型戦闘機であり、離陸重量は30トン近い。機の内部スペースは大きく、燃料搭載量は多く、その航続距離は4,000km以上、作戦半径は1,500kmを超え得る。もし海南島の飛行場から発進したら、南沙群島全体のあらゆる島礁をカバーできる。このことは、ひとたび南海で事が起これば、殲ー20が有効に海軍の南海における作戦行動を支援できることを意味している。同時に、殲ー20はさらにグアム島に駐屯する米軍のF-22およびF-35などの戦闘機に対する攻撃および作戦が行える。

殲ー20はまだ未成熟で、部隊装備にはまだいくらかの時間を必要とするが、殲ー20の成功は疑いなく我が国の戦略防御態勢の改善に有利であり、国家の安全に新たな保障力量を追加する。その出現は我々に、中国空軍建設の未来に対し、より自信を充満させる。戦争は1種類の武器に頼って勝負を決するものではないが、空中ステルス作戦の問題が解決されたことは、相手方の空中の技術的優勢を深刻に削減したことに等しく、我々の制空権奪取により有利さを加えることになる。

殲ー20がひとたび部隊に装備されれば、戦争の様式に対し非常に大きな衝撃をもたらすだけでなく、我々の西太平洋における戦略的安全の天秤により有力な分銅を増加させ、さらに世界、特にアジア太平洋地域の国際関係と地縁戦略情勢に非常に大きな影響をもたらす。この意味から言って、殲ー20はすでに武器装備のレベルを超越しており、この機は中国の国際的実力と地位を高める重要なツールなのである。その姿の背後には各国間の戦略的ゲームが含まれているのである。(文章を作成した機関:国防大学)

(頑住吉注:後のページのキャプションは既出のものの繰り返しなので省略します)


 「3大欠陥」とされているもののうち、エンジン技術の改善にはおそらくまだしばらくはかかるでしょうし、空力レイアウトは読む限りそう簡単には修正できそうになく、エンジンの位置が近すぎる問題を解決するのはたぶん完全新規設計に近いことになるのでは。


















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