中国の電磁カタパルト技術はどこまで進んでいるのか?

 初の国産空母はスキージャンプ式だと公式に認めたわけですが。

http://military.china.com/important/11132797/20151110/20723512.html


中米の電磁カタパルト技術の隔たりはどれだけあるのか:アメリカに一部は負けずより先進的

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「カタパルトシステム」)

11月4日、中国工程院院士、情報工程大学教授のウージャンシンと中国工程院院士、海軍工程大学教授の馬偉明は本年度何梁何利基金(頑住吉注:中国の科学技術の発展促進と傑出した中国の科学者を表彰するための社会公益性基金、とされてます)最高クラスの賞を栄誉にも獲得した。「科学技術成就賞」である。

馬偉明院士がこの特別の栄誉を獲得できた原因は電磁カタパルト、総合電力推進、新エネルギー源接続技術などの領域で一定数の完全自主知的財産権を持つ独創性の成果を取得したことにあり、全部で国家科学技術進歩一等賞2項目、国家技術発明三等賞2項目を獲得した。ならば、伝統的な蒸気カタパルトに対し、電磁カタパルトはどういった優勢を持つのか? 電磁カタパルトの技術的難点は何なのか? 中国が建造中の空母は電磁カタパルトを選択するのだろうか? 視察者ネット専門コラム作者の鉄流はこういった読者が関心を持つ問題につき、逐一解答を行った(頑住吉注:かつて右派反党集団メンバーとされて23年労働改造刑を受けた経歴がある人らしいですが、科学の専門家であることを示すような職歴等はないようです)。

Q:電磁カタパルトとは何か?

A:電磁誘導原理によれば、Cutting magneticは電流を生じさせることができ、逆に電気エネルギーを機械エネルギーに転化することもできる。電磁カタパルトはこの原理に基づき、電気エネルギーを運動エネルギーに転化し、艦載機を空母上から射出して発進させる。

Q:電磁カタパルトにはどういった技術的難点があるのか?

A:電磁カタパルトの主要な技術的難点にはエネルギー貯蔵技術、直線モーター技術、射出コントロール技術などがある。

Q:エネルギー貯蔵技術、直線モーター技術、射出コントロール技術を具体的に語っていただけますか?

A:毎回の電磁射出の持続時間はおよそ3秒に満たないが、ピーク値の出力は百兆ワット以上にも達し、このことはエネルギー貯蔵設備が空母の発電所の出す電気エネルギーを貯蔵し、一瞬のうちに放出する事を必要とする。エネルギー貯蔵技術の難点は、エネルギー密度の非常に高い貯蔵方式を探し出す必要があることで、さもないとエネルギー貯蔵装置自体の体積、重量が基準を越え、艦に搭載して使用する要求を満足させられなくなる。

電磁カタパルトは射出の末端速度と射出過程の中での加速度を正確にコントロールする必要がある。射出コントロール技術の難点は、直線モーターに対するリアルタイムのフィードバックコントロール、および各種情報に対するネットワークキング、交互と処理にある(頑住吉注:中国語の「交互」は日本語とほぼ同じ意味のはずで、ここでの意味は対照くらいでしょうか)。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「直線モーターの模型と模擬電磁場」です。)

直線モーターはカタパルトの執行部分で、主にムーバーとステーターの無機械接触に頼り、電磁誘導原理が生じさせる電磁力だけに頼って電気エネルギーの直線運動する運動エネルギーまでの転換を実現する。直線モーター技術の難点は、できる限りその出力密度とエネルギー効率を高め、かつ海洋環境への適応能力を持つことにある。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「作動原理」)

Q:中国がこうした技術の難関を攻略する難度は高いのか?

A:電磁カタパルトは最近やっと米軍によって空母上に運び込まれたが、実際には電磁カタパルトを研究開発するカギとなる重要技術は決して何ら高くて登れない技術ではなく、非常に多くの技術は長年の研究を経ており、甚だしきに至ってはすでに広範に応用されている。

例えば直線モーター技術は物流輸送、直線エレベーター、旋盤加工などの領域いずれにも関わりがあり、大出力直線モーターはリニアモーターカーなど軌道交通領域ですでに広範な応用を得ている。

電磁カタパルトのコントロール技術は工業および情報領域に参考にできる多くの方法があり、例えばベクトルコントロール技術、直接回転モメントコントロール技術、工業母線技術およびコンピュータ技術等々で、こうした全ては電磁カタパルトの中へ推し広めしかつ移植することができる。

慣性エネルギー貯蔵の概念は実はとっくにあり、以前はこのような大出力の応用の需要がなかっただけである。このため、中国が電磁カタパルトの核心技術を攻略するのに決して越えられない障害は存在しない。

(頑住吉注:これより3ページ目)

Q:蒸気カタパルトに比べ、電磁カタパルトはどういった優勢を持つのか?

A:電磁カタパルトは射出性能がより良い、射出がよりコントロール可能、信頼性がより高い、装備適性がより良いなどの優勢を持つ。

Q:電磁カタパルトの性能がより良いことは主にどういったところに表れるのか?

A:電磁カタパルトの最大射出能力は122兆ジュールにも達し、蒸気カタパルトに比べ29%高く、重量がより大きい艦載機を射出できる。

Q:電磁カタパルトのコントロール可能性がより良いというのは何を指すのか?

A:蒸気カタパルトは機械的方法によって蒸気シリンダーに注入される蒸気をコントロールし、正確に推力をコントロールすることはできない。射出過程の中での推力のピーク値は電磁カタパルトに比べ大きく、このことは艦載機が不安定な推力が原因で受ける力が均一でない結果をもたらし、さらにはこのために機体が損傷を受ける結果がもたらされるだろう。一方電磁カタパルトの加速はよりコントロール可能、より平穏で、艦載機や各部品に対する衝撃を大幅に減少させることができ、飛行機の構造の設計に有利で、かつ機体の使用寿命を31%延長させることができ、飛行員の心身への圧力をも緩和させることができる。

Q:なぜ更新される技術が運用して半世紀の成熟した技術に比べより信頼性が高いのか?

A:電磁カタパルトは現段階ではまだ試験、模索の段階にあり、信頼性はまだ技術が成熟した蒸気カタパルトに及ばない。ここでの信頼性が指すのは電磁カタパルト技術が成熟後理論的に到達できる信頼性である。

(頑住吉注:これより4ページ目)

Q:蒸気カタパルトのコントロール可能性が電磁カタパルトに及ばない原因は?

A:何故なら蒸気カタパルトの構造は複雑で部品が非常に多く、かつ高温高圧のダメージをいやというほど受け、加えて蒸気カタパルトの開口したシリンダー構造のため、金属密封条(頑住吉注:ここでの「条」は細長いものを指しますが知識ないんで具体的に何と訳したらいいのか分かりませんが要するにパッキング材ですね)を採用してピストン運動時のシリンダー内圧力を保持する必要があり、損傷を受けて交換することが極めて頻繁で、したがって全システム固有の信頼性の低さをもたらす。一方電磁カタパルトは4エネルギーチェーン冗長構造を採用し、射出過程の中で1つのエネルギーチェーンに故障が出現することが容認され得、任務完成が保証される。加えてムーバーとステーターの間の電磁場の非物理的接触による力の伝達の特性があり、多くの高い磨耗による損傷が大きい機械設備がなくなり、寿命が大幅に延長されるだけでなく、信頼性も大幅に向上する。

Q:有用だというのを具体的データを用いて説明すると?

A:蒸気カタパルトの2回の重大故障間の平均周期は約405週間、一方電磁カタパルトの技術が成熟すれば、2回の重大故障間の平均周期は1,300週間以上に達することが有望である。

Q:装備適性がより良いとは何を意味するのか?

A:これは電磁カタパルトが蒸気カタパルトに比べ装備することがより便利で柔軟だということを指す。例を挙げて語ると、蒸気カタパルトの大部分の重量は上層甲板に位置し、船体の重心が上昇する結果をもたらし、航行安定性に不利である。一方電磁カタパルトの柔軟なレイアウトの特性は、この問題を避けることができる。

蒸気カタパルトの多くの部品の間は高温高圧のパイプラインで連結され、かつカタパルトの蒸気シリンダーは一体で装備することが必須で、空母上での全体的な取り付けやレイアウトの難度が比較的高い。一方電磁カタパルトはモジュール化設計を採用し、直線モーターは段階に分けて装備、取り外しでき、それぞれの部品は電気ケーブルあるいは信号ネットワークによって連結され、装備適性がより良い。

また、電磁カタパルトはさらに蒸気カタパルトに比べより小さい体積と質量を持つ。アメリカの現役空母のC13型蒸気カタパルト1台の総重量は538トン、体積は1,100立方mを超え、一方電磁カタパルトの質量は280トン未満、体積は425立方m未満である。

(頑住吉注:これより5ページ目)

Q:電磁カタパルトにはまだその他の優勢があるか?

A:電磁カタパルトのエネルギー利用率は蒸気カタパルトに比べより高く、しかもより淡水資源を節約する。

Q:空母の海上作戦で淡水資源は非常に貴重であるが、蒸気カタパルトは1回の射出作業で大量の水蒸気を消耗する。電磁カタパルトを使用すれば射出の中での淡水資源損耗を避けることができるのか?

A:そうだ。しかも電磁カタパルトは電気化情報化手段を採用し、操作方法が簡略化され、かつ全システムの状態監視コントロールと故障自己診断が実現できるため、マンパワーの需要が30%減少する。維持保護作業量が非常に大きく減少し、平均故障修復時間が非常に大きく短縮され、しかも全寿命期間の費用が節約される。

Q:中米の電磁カタパルト技術における隔たりはどれくらい大きいのか?

A:中国はレアアース永久磁石の生産大国で、高い磁力強度のレアアース永久磁石研究方面でアメリカに比べてもはっきりした遜色はなく、1996年には早くも、中国はかつて口径90mmの4磁体級のサンプル砲原型機を発表しており、電気エネルギー転換50%以上に到達でき、瞬間エネルギー源は成熟した20兆ジュールおよび100兆ジュール出力クラスの装置がある。

近年来、中国の電磁カタパルト方面にさらに勝利の知らせが続けざまに伝わってきている。馬偉明院士がプロジェクトチームを率いて電磁カタパルトサンプル機の研究開発と試験の全過程を完成させ、43項目のカギとなる重要技術を攻略し、国防パテント32項目を申請した。某軍事工業企業の冷射出技術は射出推力が数百トンに到達することを実現でき、かつ機構が軽便、操作と維持修理が簡略化され、射出効率が高く、コントロール可能性や信頼性が高いなどの特徴を持つ。今年9月にネットに発表された衛星写真は、中国の某地のある飛行場に電磁レール式高速牽引装置工程サンプル機試験施設が建造済みであることがはっきり示され、中国はすでにアメリカに続く電磁型レール式高速牽引装置工程サンプル機試験施設を完成させた国となっている。

(頑住吉注:これより6ページ目)

Q:つまり中国は電磁カタパルト方面ですでにロシアを超越し、アメリカのすぐ次なのか?

A:馬偉明院士はメディアのインタビューを受けた時にかつて、「軍事委員会、本部、海軍首長の高度の関心と支持の下、2008年に我々はついに小型サンプル機の研究開発に成功し、続いてまた実物大ユニット設備サンプル機を作り出し、全部のカギとなる重要技術を突破し、世界で最も先進的な技術と同じ歩調での発展を実現した。中国艦載機のカタパルト発進技術に全く問題はなく、何度もの実践も非常にスムーズで、現実に運用してゆく自信がある‥‥中国が掌握した技術はすでにアメリカに負けず、一部領域ではより先進的でさえある。」とした。

Q:中国が建造中の001A空母は電磁カタパルト空母か否か?

A:現在の情報から見て、中国軍が技術大躍進を実行する確率は高くなく、依然小幅の駆け足方式を採用して中国空母を開発する可能性が高い。001Aは遼寧号と比較的類似し、空母建造を完成させる全過程によって中国造船工業を練磨し、空母設計および製造経験を積み、かつ遼寧号の使用中に暴露されたいくつかの問題に対しいくつかの改良をする、という可能性がある。

Q:もし電磁カタパルトを装備するとしたら、きっと原子力空母に搭載する必要があるのか?

A:原子力空母はエネルギー源方面で通常動力空母に比べ優勢を持つだろうが、必ずしも原子力動力に搭載することを必要とし、それでやっと電磁カタパルトに必要なエネルギー源を保障できるわけではない。何故なら電磁カタパルトのエネルギー利用率は非常に高く、蒸気カタパルトに比べ10倍高いだろうからで、このため通常動力空母をもってしても電磁カタパルトは搭載でき、エネルギー貯蔵技術、直線モーター技術、射出コントロール技術、大出力転換技術の上で難関を越え、かつ大出力ガスタービンエンジンを配備する必要があるだけでもうOKである。

(頑住吉注:これより7ページ目)

Q:中国はきっとアメリカのカタパルト上の使用経験を参考にし、まず蒸気カタパルトを作り、さらに電磁カタパルトを作る必要があるのか否か?

A:蒸気カタパルトと電磁カタパルトは技術上継承性を持たず、たとえ中国が巨資と15〜30年の時間を費やして蒸気カタパルト技術を掌握したとしても、電磁カタパルトに至る時は一切全てが最初から開始する必要があるのに近く、アメリカがまず蒸気カタパルト、後に電磁カタパルトだったのは歴史的原因ゆえに過ぎず、中国は自身の実際の状況を根拠に選択をなし、必ずしも完全にアメリカのやり方をそのまま取り入れないだろう。

Q:中国の蒸気カタパルトと電磁カタパルトの研究の進度はどちらがより速いのか?

A:当局の八股文(頑住吉注:本来は科挙の答案に使われた特殊な文体を指しますが、ここでは形式ばった文体を揶揄した表現でしょうか)やネットの情報を根拠にすると、電磁カタパルトと蒸気カタパルトはいずれも人心を興奮させることに事欠かない情報であるが、興城に建設中の2本のカタパルトから見て、1本は蒸気カタパルト、1本は電磁カタパルトである。このことから、蒸気カタパルトと電磁カタパルトの方案はいずれも軍の選択案の中にあり、両者の進度はおおよそ同一水準にある可能性が高く、どちらが勝つかに関しては、2つの団体の技術成果、性能と成熟度の勝負によって決まる可能性が高い。

Q:002空母は電磁カタパルトを装備するのか、それとも蒸気カタパルトか?

A:実際の需要から言えば、将来の一定の時間内、中国は依然積極防御戦略を執行し、かつアメリカのような全世界制覇の需要には向かわず、001Aおよび055駆逐艦を核心とする空母戦闘群に頼り、東風-21D、東風-26および南海の島礁上の航空兵力量をもって補えば、基本的に第二列島線内の自衛反撃任務は達成できる。このため、電磁カタパルト空母に対する需要は決して切迫したものではない。

また、カタパルト技術の上で勝利の知らせが頻繁に伝わるのに比べ、カタパルト型艦載機はそれにもかかわらず全く音沙汰がなく、現在の殲ー15の前輪発着架に関して言えば、明らかにカタパルト発進に決して適合しない。殲ー15がもしカタパルト発進を必要とするなら、発着架や機体構造に対しいくつかの改良を行う必要がある可能性が高い。

このため、カタパルトの上で国産空母はまだ時間がかかり、スキージャンプ式発進は相当長時間内常に主流である。現在ではどの種のカタパルトを空母に搭載するか断言するのはまだ時期尚早である。


 確かに中国ではリニアモーターカーがすでに実用化されているなど日米に比べ進んでいるのではと思わせる要素も一部あるわけですが、空母のカタパルト技術には難しい要素が多く、アメリカが豊富な資金を投入し本気で長年開発してもなかなかうまくいかないらしい電磁カタパルト技術は中国にとっても当然大きな難関だと思われます。


















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