中国の輸出用潜水艦発射対艦ミサイル

 当然実戦経験が全くないわけですが。

http://military.china.com/jszmt/02/11173748/20160704/22983107.html


中国のCM-708系列潜水艦発射対艦ミサイル

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「CM-708系列潜水艦発射対艦ミサイルの模型」 続いて2枚目。「潜水艦が水中で対艦ミサイルを発射」)

中国は2016年4月のマレーシアアジア安全保障業務展で初めてCM-708UNBという名の新式潜水艦発射型対艦巡航ミサイルを公開展示し、つまりCM-708UNAミサイルのグレードアップ版である。

CM-708系列対艦ミサイルは中国航空宇宙科学工業集団が自ら研究開発を行った潜水艦発射対艦ミサイル武器システムである。この系列のミサイルは潜水艦の魚雷発射管を利用して発射され、各種通常潜水艦および原潜に適用され、敵サイドの大・中・小型水上艦艇を攻撃でき、かつ対地攻撃の発展ポテンシャルを持つ。この系列の対艦ミサイルの現在すでに公開展示されているものには最大射程55kmのCM-708UN、最大射程128kmのCM-708UNA、そして最大射程290kmのCM-708UNBといった3機種がある。

このうち最も新しく公開展示されたCM-708UNBミサイルは全長5.05m、重量700kg(このうち弾頭重量155kg)で、複合制御誘導模式を採用し、最大射程は290km、飛行の末端段階の超低空飛行高度はたった5〜7mで、敵サイドにより発見および迎撃され難い。装備適性が良い、防御突破力が強い、命中精度が高いなどの特徴を持つ。

中国の潜水艦発射対艦ミサイルの輸出が相対的に立ち後れている原因

対艦ミサイルはこれまでずっと中国の兵器輸出の目玉商品で、現在全世界ではパキスタン、バングラディシュ、タイ、ミャンマー、イランなど多くの国の海軍が中国が製造した対艦ミサイルを装備済みである。だがこうしたミサイルは全部水上艦艇からの発射あるいは地上発射型で、潜水艦発射型があったことは決してない。このため国際潜水艦発射対艦ミサイル市場では、アメリカ、フランス、ロシアの3カ国が独占し、その中で西側の輸出する潜水艦上には一般にハープーンおよびエクゾセ対艦ミサイルの潜水艦発射型が装備され、一方ロシアの潜水艦上には一般にクラブ対艦ミサイルの潜水艦発射型が装備され、時今日に至るも中国の製品はまだ輸出ゼロの突破を取得していない。

その主要な原因をつきつめると、中国が潜水艦発射対艦ミサイル技術を完全に掌握した時期が比較的遅かったことと関係がある。潜水艦水中発射ミサイル方面において、中国の主要な目標は最初からもう弾道ミサイル上に集中し、20年近い時間を用いて、巨浪ー1型ミサイルの成功裏の発射に象徴されるように潜水艦水中発射弾道ミサイル技術を掌握した。潜水艦水中発射対艦巡航ミサイル方面では、歩み始めが比較的遅かったため、技術の累積が薄弱で、長期にわたり突破ができず、潜水艦水上発射対艦巡航ミサイルから歩みを始め、1980年代に就役した033G型通常潜水艦は6発の鷹撃-8号対艦ミサイルを装備していたが、決して水中発射の能力は持っていなかった。ずっと後の1990年代中、後期になって国産039型通常潜水艦とロシア製キロ級通常潜水艦の就役と共に、中国はやっと真に実戦に投入できる潜水艦発射対艦ミサイルを持ったのである。

近代化された潜水艦にとって、魚雷は確かに最も主要な対艦武器だが、魚雷の最高航行速度や最大射程はいずれもミサイルと比較するには遠く及ばず、最も早い速度をもって遠距離の敵サイドの艦艇を攻撃したければ、ミサイルこそが最も良い選択なのである。潜水艦発射対艦ミサイルは対艦巡航ミサイルファミリーの中で設計難度最高、技術含有量最高、総合製造コストが最も高い武器で、ひとたび対外輸出に用いれば、その政治的意義、軍事的価値、経済的効果と利益にはいずれにも相当に見るべきものがある。このため中国の製品も欠席しているべきではない。2014年珠海航空展で公開展示されたCM-708UNAミサイルこそ、中国が初めて公開展示した輸出型潜水艦発射対艦ミサイルで、中国のこの領域における長期的に物寂しかったまずい局面を打破した。

CM-708UNB潜水艦発射対艦ミサイルの性能の特徴

画像から見て、CM-708UNBミサイルの外観はCM-708UNAミサイルと非常に似ており、いずれも無動力水中搭載器と翼の折りたたみ設計を採用している。ミサイルは翼の折りたたみ後、無動力水中搭載器に入れられ、魚雷発射管を経て発射される。搭載器が動力なし制御ありで水から出た後、ミサイルは搭載器から離脱し点火して目標に命中するまで飛行する。これは世界各国の潜水艦発射対艦ミサイルが最も常用する発射方式でもある。

(頑住吉注:これより2ページ目)

ミサイルの制御誘導模式の上では、「飛行の初期段階、中間段階は慣性制御誘導、飛行の末端段階はアクティブレーダー制御誘導」の古典的模式をそのまま用いているはずで、相当に強い抗妨害能力を持つ。現代の艦のステルス能力が徐々に増強されていることを考慮すると、将来は赤外線制御誘導モジュールを増加するのも1つの理想的な改良の方向と言える。一方最大射程方面では、CM-708UNBミサイルは体積、重量、空力レイアウトがCM-708UNAと大体同等であるという前提の下で、最大射程が128kmから290kmにまで向上し、まるまる2倍あまり増加している。このことは前者がミサイルのエンジンや燃料方面に新たな飛躍があり、世界先進水準に到達したことをも説明している。290kmの最大射程に関しては、明らかに関連の国際軍縮協定の中の「射程が300kmを超えるミサイルを輸出してはならない」というこの条項の制限を受けている。また大部分の国の海軍の潜水艦にとって、一般的に290kmおよびさらに遠い目標を探知計測する能力も持っておらず、290kmの最大射程で完全に使用に充分である。またミサイルの弾頭方面では、半徹甲弾頭を採用しているはずで、敵艦への命中後甲板を貫通して内部で爆発でき、もって最大の殺傷効果を取得する。だが155kgの弾頭重量は相対的に軽く、主要な目標は明らかに6,000トン以下の中型、小型水上艦艇で、当然大型水上艦艇への対応に用いることもできるが、メディアが大騒ぎして「空母キラー」と称するのは完全に言い過ぎで、誇大な言葉である。

もう1つある関心を注ぐに値する焦点は、CM-708UNBミサイルが陸上目標を正確打撃する能力を持つのか否か? である。ほとんどあらゆる対艦ミサイルは応急的状況下では陸上目標を打撃できると言うべきで、1971年の第三次印パ戦争の中で、インド海軍はソ連製「Termit」対艦ミサイルを発射して成功裏にパキスタンのカラチ港の燃料庫を破壊した。しかもソ連製の「Termit」は性能がまだごく原始的な第1世代対艦ミサイルに過ぎなかった。このためCM-708UNBミサイルが地上目標を打撃することも問題にならないが、それは結局のところ対艦を主要な目標とし、地上目標の打撃は「兼職」でしかなく、CM-708UNBミサイルの大きくない本体内に、対艦に用いる慣性誘導、アクティブレーダー制御誘導モジュールと対地攻撃に用いる衛星制御誘導、地形マッチング制御誘導モジュールが同時に併せ配慮できていることを想像することも非常に難しい。このためCM-708UNBミサイルは陸上目標打撃能力だけを持ち、もし正確打撃をする必要があれば、CM-708UNBミサイルを基礎に専用対地攻撃型を研究開発することはできるが、CM-708UNBミサイルの出現は結局のところ潜在的ユーザーのために廉価で、経済的な潜水艦発射対地攻撃武器を提供し、したがって国産通常潜水艦と武器システムの国際市場での競争力を大幅に向上させたのである。

CM-708UNB潜水艦発射対艦ミサイルの輸出の前途の見通し

現在見たところ、CM-708UNBミサイルを購入したい意志があり、能力があり、可能性がある国は決して多くなく、何故ならCM-708UNBは装備適性が比較的良く、理論的に言っていかなる現代の潜水艦の533mm魚雷発射管の中でも発射できるが、フランス、ドイツ、オランダ、スウェーデンなどの西側諸国であろうと、我々の近隣のロシアであろうと、彼らの輸出型潜水艦に中国が製造したミサイルを装備することを許すことはあり得ないからである。これは中国のミサイルが自らの同類武器の「飯の種」を奪うことを防止するというだけではなく、より重要なのはさらに中国の生産したミサイルと外国が製造した潜水艦の間の相互接続の問題に関わることで、特に指揮、コントロール、探知計測などの領域で、双方いずれも相互に各自の核心的機密データを、甚だしきに至ってはソースコードを提供する必要があり、この種の相互信頼の程度は未来の相当に長い一定の時間内ずっと達成し難い。

このため、CM-708UNBミサイルの輸出対象は中国の潜水艦を購入したことがある、あるいは中国の潜水艦を購入しようとしている国だけしかあり得ないと言える。こうした国の中で、北朝鮮が当時技術を導入して自ら生産した中国の033型潜水艦は数が最多だが、こうした潜水艦は古すぎ、かつミサイルを装備するポテンシャルや価値がない。国連の関連の禁止令や中朝、中韓関係の制約を受け、現在中国が北朝鮮に向け先進的な通常潜水艦や潜水艦発射ミサイルを輸出することもあり得ないからなおさらである。アフリカの大国エジプトは1980年代に中国から4隻の033型潜水艦を購入したことがあるが、現在こうした潜水艦はすでに第二線に退き、退役が近く、エジプト海軍新世代潜水艦の対外入札募集の中で、もし中国の潜水艦が後続の発注を勝ち取れたら、CM-708UNBミサイルは「便乗」してエジプトに輸出できる可能性が高い。一方南アジアの国バングラディシュはすでに中国から2隻の035G型潜水艦を購入しており、理論上CM-708UBNミサイルを追加装備するポテンシャルを持つ。だがバングラディシュの経済的実力と装備の需要は、短期間内には潜水艦発射対艦ミサイルというこの種の「デラックス」な武器を考慮することがあまりなさそうだということを決定づけている。最終的に、中国の新型通常潜水艦を購入しようとしているパキスタンとタイ(現在契約は暫時停止)だけに、やっとCM-708UNBミサイルを購入する最大の潜在的可能性がある、ということが見て取れる。この2つの国はそれぞれ南アジアと東南アジア地域の大国で、いずれも周辺国の先進的な通常潜水艦や水上艦艇の脅威に直面しており、かつ中国と長期にわたる良好な軍事貿易協力関係がある。

要するに、CM-708UNBミサイルの輸出の前途の見通しは同時に困難とチャンスに直面しており、もし国際軍事貿易市場で1つの席を占めたいなら、必然的に国産新型通常潜水艦と抱き合わせ販売し、共にリスクを負担し、共に収益を享受する必要があることは必然で、伝統的顧客に向き合う必要もあれば、また新興市場を開拓する必要もある。


 仮に安くて性能が良かったとしても、近い将来多くの国に売れることはなさそうだというわけですね。


















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