何故アメリカは世界最初の「アパッチ」AH-64E輸出先に台湾を選んだのか?

 「軍情視界」の台湾アパッチ導入に関する記事です。

http://military.china.com/zh_cn/jqsj/046/


「アパッチ」台湾に「見せかけの安全」をもたらすか?

1、2件の先進武器は両岸の軍事バランスを逆転させられない

イントロダクション:ここ何日か、海峡対岸の台湾軍事界のニュースが絶えない。アメリカ製P-3C対潜機を受領したばかりで何日も経たず、台湾軍が巨資を投じて購入したアメリカ製大型攻撃ヘリ「アパッチ」AH-64Eも運ばれてきた。この2種の先進武器が相次いで到来すると共に、台湾軍上層部は「興奮」し始めている。彼らはあるいは不断に「アパッチ」の「超強力」な性能に驚きの叫びを上げ、あるいは「台湾の利益から見て、『アパッチ』は高くはない」との言葉を用いて外来の疑問の声から言い逃れている‥‥まるでこの1、2の先進武器で本当に「台湾のために安全をもたらす」ことができるかのように!

「全世界で第2のユーザー」

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「11月4日、最初の「アパッチ」が台湾に到着」)

初の「アパッチ」台湾に到着


台湾メディアの報道によれば、台湾軍は2008年にアメリカから30機のAH-64E「アパッチ」攻撃ヘリを購入し、最初の6機はすでに11月4日早朝に高雄港に到着した。間違いなく「アパッチ」の到来は台湾メディアと軍事に夢中のお友達たちを興奮させて止まず、各大手新聞紙上にはいずれも「アパッチ」の写真が比較的目を引く位置に置かれ、港の外にも大勢の軍事マニアが張り込みをし、もっていち早くネット上に「アパッチ」の真の姿をアップしようと期している。一方台湾軍関係部門も時機を失せず「アパッチ」に「広報活動ショー」を行わせている。7日、台湾軍は台南の帰仁基地において「アパッチ」ヘリのテストデモンストレーションを行い、これは「アパッチ」ヘリ台湾到来後、初めての民衆の面前への公開展示でもあった。全部で30機の「アパッチ」は来年4月1日までに就役することになるとされる。その時、これらの「アパッチ」は2個攻撃ヘリ大隊に編成され、台北防衛の用途として全部が台湾本島北部に配備されることになるとされる。「アパッチ」は絶対的に優れた空対地作戦能力を持つため、実戦化後は台湾軍の「快速打撃の実力を倍増」させることになる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「アメリカ最新の攻撃型武装ヘリ」)

「装甲キラー」には本職でない対上陸作戦が可能

今回台湾が購入した「アパッチ」武装ヘリは最新のAH-64Eであり、これは米軍が使用中のAH-64D「アパッチ」(ロングボウ)のグレードアップ版で、性能が強力すぎるため、アメリカ陸軍はAH-64Eと改名したのである。台湾軍はアメリカ陸軍を除く、AH-64Eの第2のユーザーでもある。D型に比べ、E型はエンジンの動力伝達システムの性能が改良され、ナビゲーション設備と目標物を探知計測するレーダーも大幅に改善されている。関連の資料がはっきり示すところによれば、AH-64E「アパッチ」は16発の「ヘルファイア」ミサイルを搭載している。このミサイルは27秒以内に8kmの範囲内の16の異なる目標を破壊できる。またAH-64Eが搭載する「ロングボウ」レーダーは前方の50平方km内の256の目標に対しマーキングと追跡が行え、同時に相応のマーキングが友軍なのかそれとも敵軍なのか、装甲車、火砲なのかそれとも軍用車両なのかを分析判断することもできる。AH-64Eはさらに昼夜あるいは劣悪な天候において飛行と攻撃が行え、また装甲車キラーともなる。注意に値するのは、AH-64Eがさらにホバークラフトの攻撃に対応する有効な手段と考えられていることだ。

一種見せかけの安心感

近年来、快速反応、打撃能力を重視しているため、台湾軍は陸軍航空部隊の配備を非常に重視し、かつアメリカ人のやり方を真似て3個空中騎兵旅団を建設した。「アパッチ」が続々と就役するにつれ、こうした現在世界で最も良いと考えられている攻撃ヘリにも台湾軍から大きな期待が寄せられ、陸軍航空部隊の対海作戦能力強化のカギとなる重要部分と見なされている。台湾軍の構想によれば、「アパッチ」は台北付近に駐屯する陸軍601空中騎兵旅団に加入し、現役の「スーパーコブラ」および「カイオワ」戦場偵察ヘリと共に「鉄の三角」を組成し、共同で「防衛の要」の重任を担うことになる。だが、「アパッチ」が本当に台湾軍の願うように、その全体的防御戦略の中で重要な役割を演じられるか否かは依然未知数である。結局のところ、この「スーパータンクキラー」設計の初志は、寒冷で乾燥した西欧の戦場でワルシャワパクトの装甲集群に対応するのに用いられるためというもので、その精密なミリ波レーダーと電子システムが台湾の戦闘区域のような高温多湿で塩分の高い環境の試練を受け入れられるか否かは知り得ない。また両岸の空中戦力バランスが日増しに大陸側に傾く今日、「アパッチ」でも必ずしも本当に空中格闘専門に設計された解放軍の「武直ー10」の攻撃を防げない。

台湾軍のアメリカ製武器

台湾空軍のF-16

台湾海軍の「キッド」級戦闘艦

台湾陸軍のM60戦車


またも「カモ」にされた

「天文学的価格の廃物」を買ったのか?

まさに「アパッチ」に上述のこうした問題が存在するがゆえに、いくつかの批判の声がわき起こり始めている。ある人は「アパッチ」は高すぎると考える。彼らは、アメリカ人が自分で1機の「アパッチ」を買うとしても3,000万アメリカドル近くを費やす必要があるが、台湾の購入価格はさらに1機1億アメリカドル近く、これは「天文学的価格」だというのである! さらにある人は、対上陸、対装甲作戦は確かに「アパッチ」の長所だが、真にそれらが起こった時は、台湾軍がすでに空中と海上の優勢を手を拱いて相手に渡していることをも意味する。このためこうした金は海軍、空軍の充実方面に費やすべきだ、というのである。こうした疑問の声に対し、台湾の軍事専門家はあれこれ弁解し、「台湾の利益から見て、アパッチを高いと評価することはできない‥‥このため、ちょうど保険のように、金を費やすべき時はやはり費やさねばならないのだ」とする。もし海空の優勢がなくとも、台湾軍はやはり対上陸作戦のための準備をする必要があるのだ、と。これに比べ、台湾「国防大臣」厳明はずっと楽観的のようだ。彼は、解放軍が最近装備した「武直ー10」攻撃ヘリは、量は我々よりずっと多いが、質は必ずしも我々に比べ良くない、と考えている。

アメリカ人のけちなそろばん勘定

全世界で第2番目にAH-64Eを買ったユーザーとして、台湾軍の上から下まで興奮する情を理解するのは難しくない。だが、地球の反対側のアメリカ人にはさらに喜びを感じる理由がある。金を大儲けできる以外に、アメリカ人はより多くの実利を獲得した。アメリカが台湾をAH-64Eの最初の輸出市場に選んだのは、そこの独特の地形が気に入ったからである。台湾の地形を縦覧すると、細長くかつ複雑で、装甲車両の運動に対する制限が比較的多い。防衛作戦は戦闘ヘリで空間的距離を短縮し、快速打撃を達成する必要がある。アメリカは台湾軍の操作、使用を通じて、改良を必要とする所を探し出して兵器メーカーの改良に供し、成熟した後さらにその他の買い手に提供することを希望しているのである。純技術レベルの他、アメリカ・台湾間のこの「アパッチ」交易にはさらに地縁政治レベルの考慮がある。台湾軍が最新の「アパッチ」を獲得すれば、その全体的防衛能力に一定の向上があるということを見いだすのは難しくないが、これをもって台湾海の軍事バランスが大陸に傾いているという全体的趨勢を逆転させるには不足である。大陸に面倒事を引き起こさせないのと同時に、1、2件の全局面に無関係な先進武器を、かの馬鹿だが金を持っている「金づる」に売ってやり、ちょっと金をかせぐ。アメリカ人のけちなそろばん勘定には素晴らしいものがある。

各方の声

頼岳謙:「アパッチ」は高く買われた

台湾の現在の財政は逼迫しており、しかも国際情勢は安定し、予算は社会福祉、教育、医療などの方面の支出に用いるべきであって、600億新台湾ドルを安全保障業務上につぎ込み攻撃ヘリ一個大隊を構築すべきではない。

より多くの声

台湾軍、「アパッチ」が何故高かったのかを説明

アメリカ、台湾に「アパッチ」を販売する時、一手を留めた

台湾、大陸から金を儲けて代わりに「アパッチ」を買う

王洪光:「武直ー10」は「アパッチ」を恐れない

もし「武直ー10」と「アパッチ」が単機対単機の空中対抗を行っても、我々は劣勢には立たされず、完全に「アパッチ」に対抗できる。我々がそれを恐れないのは「気迫があるからだ。」

より多くの声

当局、武直ー10は「アパッチ」に対抗できると明らかに

アメリカメディア、中国が「アパッチ」をクローンしたと侮辱

台湾の「アパッチ」購入から見る台湾軍事の未来

ネット仲間の調査

あなたは「アパッチ」台湾到着の件をどう見ますか?

台湾軍の戦闘力を向上させることができる 12.5% 61票

未来の統一戦争の全局面には無関係 34.84% 170票

気候風土になじまない可能性がある 3.08% 15票

武器は良いが台湾人はうまく使えない 5.74% 28票

またアメリカ人にだまされた 42.63% 208票

はっきり言えない 1.23% 6票

総票数 488票


解放軍の新たな「三打三防」

中国人民解放軍が1990年代末に新たな安全上の脅威を根拠に提出した戦術原則であり、「ステルス機を打撃し、巡航ミサイルを打撃し、武装ヘリを打撃する。正確打撃を防ぎ、電子妨害を防ぎ、偵察監視を防ぐ。」を指す。これは中央軍事委員会が1960年代に提出した現有の「三打三防」の方向性を持った訓練に対し行われた継承と発展である。(頑住吉注:元々は「戦車を打撃し、飛行機を打撃し、航空降下を打撃する。核兵器を防ぎ、化学兵器を防ぎ、生物兵器を防ぐ」だったそうです。ちなみに「空母を打撃し、人工衛星を打撃し、早期警戒機を打撃する。ネットワーク攻撃を防ぎ、情報スパイを防ぎ、大使館に隠れるのを防ぐ」というスーパーあるいは新々「三打三防」というのもあるそうです。)

結び

当初、抗日戦勝利の後、非常に多くの人は本心から蒋介石は手中のアメリカの兵器、装備に頼って「小米加小銃」(頑住吉注:旧式で劣った小銃のことらしいです)で武装した共産党軍を掃討すると思った。しかし、戦争の結果はこうした人を大いに驚愕させた。1つの甲子(頑住吉注:60年)が過ぎ去ったが、台湾島内には依然、単に手中の1、2件の比較的先進的な武器に頼ってもう未来の統一を目指す大軍に対抗できると考え、しかもこのために一人で得意になっている人がいる。実は、現代の戦争は単なる武器と同類武器の対抗ではなく、よりあり得るのは全体的作戦体系の対抗だ、ということを知らないのである。台湾の一部の人がもし遅れず間違った道と悟って引き返さなければ、必ずや再度その道の専門家の物笑いになる!


 これ以上台湾にアパッチを買わせないために台湾世論を動かそうとする情報戦の要素も含まれているのかもしれませんが、個々の指摘は興味深かったです。


















戻るボタン