中国から見た北朝鮮情勢

 今回は予定を変更して、北朝鮮情勢について語っている中国語のページの内容をお伝えします。なお、日、米、韓、朝、中といった国の並び順は原文通りにしています。


http://www.jundao360.com/topic_5768459.html  (ちなみにこのページは引用ですが、「ブログ原文を見る」をクリックすると「この文章は存在しないか既に削除されています」との表示が出ます)

金正日時代後、平壌の不穏に乗じ朝鮮核問題を解決すべし

北韓の大独裁者金正日が12月17日朝に急死し、19日になってやっと発表された。平壌の公的メディアは党、人民、軍隊に団結を保持し、金正恩の後継を支持するよう呼び掛けた。各国のメディアは朝鮮当局が金正日の死の報道を遅らせたことに対し、朝鮮半島の情勢に流動が引き起こされる可能性を危惧している。金正恩は遅々としてテレビに顔を出さず、また軍部や党幹部の一斉デビューもできていない。このことは西側メディアに、彼がスムーズに権力掌握できるのかどうか疑いを持たせており、これは朝鮮国内外の安全保証情勢に関係してくることになる。

1年前金正恩は後継者として正式にデビューした後、国家安全保証部、人民保安部、軍偵察総局等の公安機関を掌握し、かつ金正日の支持のもとに金正恩は彼らの忠誠を獲得しているが、朝鮮の軍隊が現時点で果たしてまだ若く、しかも軍内でのキャリアに乏しい金正恩に忠誠を尽くすかどうかが疑われるには理由がある。朝鮮軍の老将軍は心から喜んで金正恩の命令を聞くかどうか? この他、彼らは新しい領袖が彼らを親しく信頼して重用するかどうか、はなはだしきに至っては元老立威(頑住吉注:人名?)を殺すのではないかとさえ心配している。この1年で金正恩がすでに一連の重要な軍幹部を解任してきたからである。

万一金正日の死去が朝鮮半島に不安定な状況を発生させれば、核兵器の流出あるいは拡散をもたらす可能性はあるだろうか? 朝鮮周辺各国は軍事的な緊急の準備を整え済みであると考えられ、中国の解放軍沈陽軍区は情報収集と警戒準備レベルを強化し、突発的に難民が押し寄せ、余波を受けることも防止している。私は中国が素早く部隊に伝達し、必要な時はアメリカ軍および南韓の朝鮮核施設制圧準備に先手を打つことを信じる。アメリカのメディアは、ホワイトハウスが現在まさに「密接監視」状態にあるのは朝鮮最高指導者金正日死去の報道と関係があり、アメリカは朝鮮半島の安定と日韓の安全に尽力すると報道している。

米日韓の軍隊も朝鮮の軍事的動向と密接に関係している。李明博は最高安全保証会議を主催し、韓国軍に戦闘準備体制に入らせ、対朝鮮情報監視をさらに強化させている。韓米が今年9月に署名した軍事協定によれば、朝鮮で挑発行為が発生した時は韓国軍単独で対応する作戦方案が、韓国軍は適時に有効なアメリカサイドの援軍を運用できるよう改められている。日本も非常に緊張しており、日本の首相野田佳彦は東京での街頭演説を中止し、緊急国家安全保証会議も召集した。アメリカと韓国は元々、近日合同軍事演習を決めていた。機会に乗じて事を起こす可能性はないか? 実は中国、アメリカ、日本にはそれぞれ突発事態に対応する計画がある。平壌の政局不穏、君主年少に人心不安が生じることに乗じ、硬軟共に実施し、朝鮮核問題を徹底的に解決するというものである。


 何だかよく分からないスタンスの人ですが、西側より先に北朝鮮に介入して核問題を解決せよ、といったような意見でしょうか。


http://club.china.com/data/thread/1011/2735/36/91/4_1.html

孫錫良即評論 金正日死去し中国は素早く手を打つべし(頑住吉注:孫錫良は筆者の名です。大学教師で、ネット投票により「中国インターネット9大風雲人物」に選ばれた、とのことです)

金正日突然の死去、実はこれは突然ではなかった。17日に死去したのかどうかはすでに重要ではない。それは朝鮮の国家機密であり、真面目に考証する必要はない。ただし彼の死去の世界に対する影響は疑いもなく巨大であり、特に東アジア地域における影響は直接的かつ突出したものである。

中朝間の特殊な関係は世の人が皆知る事情であり、今日において多くを語る必要もないし、深層の問題を急いで言い争う必要はさらにない。このような突発事件に直面して、中国が唯一なし得るのは因勢而為である(中国政府は数日前にはすでに関連の状況を知っていたと見られる。このため当局はいくつかの快速反応措置を成案化しているかもしれない)(頑住吉注:「因勢而為」は熟語らしく検索すると非常に多数がヒットしますが、意味を解説するページが見つかりません。たぶん「勢いに乗じて事を為す」といった意味と思われます)。

民間人として、私は依然庶民の視点で金氏の死去を、いくつかの未熟な考え方で語る。私は中国は少なくとも近いうちに素早く手を打つべきであると考える(頑住吉注:タイトルに続きここでも囲碁から来ているらしい熟語が使われていますが、これも文脈等からの推定です)。

第1に、「朝鮮停戦協定」および「中朝友好互助条約」に基づき、地上部隊を朝鮮国境内部に派遣、進入させ、駐留させることが必須である。理論的に言うと、朝鮮南北双方は依然として未休戦状態にあり、さらにアメリカは大規模な駐留軍を韓国に持っている。正常な情勢分析によれば、朝鮮は特殊な危険を持たないが、金正日の突然の死去で、朝鮮が多くの不測の状況に直面していることは排除できず、朝鮮が敵に侵略されることを防止するため、中国にはタイムリーに、「朝鮮サイドの同意を得」た状況下で武装戦力を朝鮮国境内に派遣、進入、駐留させ、もって特殊な時期の国家の安全を維持し守る義務がある。朝鮮サイドが中国の善意、親しみある配慮を理解し得ることを希望する。中国がタイムリーに地上部隊を派遣、駐留させることには3つの基本的作用がある。1つ目は南北軍事バランスの均衡をとり、もって双方いずれもがあえて冒険行動を取らないことを確保する。2つ目は朝鮮の政権がバランスを保って後継あるいは移行することを保証すること。3つ目の作用はここでは省略する(頑住吉注:ここちょっと注意しておいてくださいね)。

軍隊の人数は駐韓米軍を参考にし、米軍よりやや少ないのが最も好ましい。

軍隊の進入時期は中朝双方が協議して決め、最も好ましいのは金正日葬儀後、春節の前である(頑住吉注:葬儀は12月28日、春節は1月23日だそうです)。

部隊の類型は軍部の考えによって良し。

中国軍の撤退時期も双方の協議によって確定する。

第2に、できる限り早く中国の各国境防衛部隊に高レベルの警戒準備状態に入ることを命令することが必須である(海上防衛、陸上防衛含む)。私がここで言っている国境防衛部隊とは決して単に中朝国境を指すのではなく、全ての国境防衛を指している。突発事件は朝鮮で起こったが、危機が波及する場所は朝鮮ではないかもしれない。何らかの国が東を撃つと見せかけて西を撃つことを防止するため、特にインド、日本、ベトナム、フィリピン、そしてアメリカの冒険行動への防備である。

第3に、中国はできる限り早く通商事務部の人員と経済専門家グループを朝鮮に派遣し、入国させなければならない。中国国内がどんなリスクに直面していようとも、簡単に言えば朝鮮経済の安定を限度をもって支持することは急務である。進むにせよ退くにせよ、朝鮮の国内の安定は非常に重要であり、ひとたび国内が制御不能になれば、経済も政治も、そして軍事も全て徹底して混乱に陥る。専門家グループおよび通商事務部の人員を派遣する目的は、タイムリーに朝鮮経済の動向と物資の供給状況を掌握することに重点がある。朝鮮の政局および政権の構成はまだはっきり変わる状況下にはなく、現有の政治の枠組みの安定を保証することは中国自身の利益のためにより有利になる。朝鮮の未来の長期的方向が時により変化するに至っては、中国はもはや手をこまねいて傍観することもできなければ深く関与しすぎることもできない。これについては後で語る。目下最も重要なのは朝鮮経済の安定と国民感情の安定の保証である(中朝経済協力に関連する長い話はひとまず省略)。


 この人は民間人、庶民の立場で、と言ってますが、中国において大学の教師が純粋に民間人、庶民と言える立場にいるのかは疑問ですし、ネット界に非常に影響力のある有名人なわけです。そういう人が北朝鮮への派兵は必須だと言っているわけです。もちろん日本でもそうであるように極端に強硬な意見を述べる人が人気を得ても実際の国の政策はそうはならない、という可能性も大きいでしょうが。


http://club.china.com/data/thread/12171906/2735/40/02/2_1.html

朝鮮政権の異変 中米暗戦が半島の未来を決定

前置き:朝鮮中央通信の19日付報道によれば、朝鮮の最高指導者金正日が17日逝去した。アメリカ、日本、韓国そしてロシア等の国の政府、メディアはこの情報に対し直ちに高度の注目を行った。ずっと前から推測されてきたことが突然現実となった後、我々は未来の朝鮮は一体どんな道をたどるのか?、朝鮮の後継者問題はまたしても東アジア地域に「地震」を引き起こすのか?、と問わざるを得ない。

韓国連合通信社は19日初めて朝鮮中央通信の報道を紹介した。韓国のテレビ局もただちに朝鮮中央テレビ局の関連する報道をスポットで取り上げた。韓国大統領李明博はこの時全ての活動計画を取り消し、青瓦台に召集された国防安全緊急会議に参加した。この日韓国の警察庁は全警察の警戒体制強化の命令を全国に発した。韓国の軍部は全面的警戒体制に入ることを宣言した。韓国の軍部は、すでに駐韓米軍と共に韓朝国境に対する警戒レベルを全面的に引き上げたことを明らかにした。また韓国軍部は、目下のところ国境に異常な活動は発見されていないと表明している。金正日逝去のニュース発表後、アメリカのケーブルテレビニュースネットワークは直ちに生放送を行い、韓国および中国に駐在する記者とそれぞれ回線をつないで、関連情報に対する追跡を行った。一方AP通信も速報を出し、金正日死去のニュースは比較的突然のものだったとした。AP通信は報道の中でアメリカの東アジア問題専門家の話を引用して、一定の時間内に朝鮮の情勢は一定の継続的安定が維持され、朝鮮サイドはすでに目下の局面に対応するため一定の準備を済ませていると信じる、とした。日本の首相野田佳彦は実施が計画されていた街頭演説活動を緊急に中断し、迅速に官邸に戻り、直ちに関連部門に金正日逝去の事実確認を行うよう指示した。日本の内閣はさらに緊急国家安全保証会議を召集し、対策を協議した。日本のメディアも金正日逝去の情報に高度に注目し、「読売新聞」、「産経新聞」はいずれも一定の時間内に報道を行い、目下金正日葬儀の挙行される時期はまだ確定していないとした。

獅心乱談(頑住吉注:これも意味不明ですがニュアンスは大体想像つきますね):金の突然の死去は想定内のことでもあり、また明らかに突然すぎるようでもあった。金氏はあたかも予見していたかのようにここ数年鳴り物入りで後継に熱を入れてきた。さらに少しではあるが朝鮮の未来の進路により多くの可能性探し求めるための改革を進めてきた。ただ金氏の突然の死去は、後継者は良好に朝鮮の情勢を掌握できるのかと問わざるを得なくさせる。若い後継者の目に映る、そして心中にある朝鮮はどんな情景なのか? 目と鼻の先にある韓国は朝鮮の政局の変化によって現在の朝鮮に対する強硬な態度を変えるのか否か? アメリカは? 朝鮮の現政権を深く憎み徹底的に嫌うホワイトハウスはこの想定内の非常事態にどのように対応するのだろうか? 各国は皆自分の事前の計画について考えているところである。朝鮮との伝統的友好関係に基づき、北京は朝鮮に対する影響力を保持でき、朝鮮半島での大きな変事発生の防止に対し、全ての行動が全局面に重要な作用をするだろう。韓国はすでに軍事警戒、準備を開始し、かつ援助を求めており、我々はその行為が過激ではないかと問うてはならない。結局のところ朝鮮半島はずっと大きな火薬庫であった。あるいは大型の「核爆弾」である!

深度解析:全世界において最後の、まだ完全に世界の体系内に収まっていない一員として、朝鮮はずっと多く国の中で別種だった。平穏な小国からここ何年かの事件が絶えない状態まで、平壌は一種神秘的な、そしてまた強硬な態度で、アメリカがあのようにスーパークラスの強国であろうとも常に頭を痛めさせてきた。周辺の韓国、日本は言うまでもなく、朝鮮と比較的良好な関係を持つ北京であっても常に頭痛が絶えない。現在この国は物的欠乏と精神的豊かさが矛盾した状態にあり、この中で領袖が急死したのである。死者はすでに去り、中国では棺桶に蓋をして初めて評価が定まると言われる。西側のメディアが彼らの目に映る独裁者の死を喜ぼうと、我々のうち誰もこのような人物が数十年の期間、常にこの国家を掌握してきたことを否定することはできない。未来に向け何を捨て何を取るか、この問題はまだ我々の心を巡って心配は去らない。だが切っても切れない隣国として、必ずやこれを契機に朝鮮の「未来」を奪い合うことになる。

我々は地図を俯瞰すると、朝鮮半島がまるでナイフのように中日両国の中心に斜めに刺さっていることに容易に気付くし、東アジアの焦点とさえ呼べる。誰がこのナイフを手に握ることができるのか、誰が直ちに東アジアの命脈を掌握するのか。

ある程度において金氏の死去を最も希望していたのはやはりホワイトハウスの政治屋である。我々は陰謀論的にアメリカが今回の緊急事態の中で演ずる役割を推測する必要はないが、アメリカが朝鮮に対する野心に満ちていることは警戒すべきである。筆者はここで指摘するのは純粋に軍事的な抑圧ではない。よりありそうなのはアメリカの対朝鮮政策の重大な変更である。韓国は朝鮮において変動が発生した後、まず軍事的警戒、準備を行い、かつアメリカに支持、援助を求めた。韓国の希望は明らかに虐げられた人民を慰め罪のある支配者を討伐することであるはずはない。ただ朝鮮の政権交代の中での安全が保証され得ることを希望しているに過ぎない。韓国の背後のホワイトハウスの影がそうさせているに過ぎない。アメリカが金氏死去の状況下で対朝鮮政策を逆転させることはよりありそうなことである。彼らは弱冠28歳の朝鮮の後継者があるいは太平洋の向う岸の有効な助力を獲得することを希望するかもしれないと見ているように思える。北京はこのような時期においては平壌との間の伝統的関係ゆえに朝鮮半島の事柄に対する干渉を放置することはなおさらできない。アメリカを朝鮮の政権交代の作業から排除する、これは中国の必然的に取らねばならない選択である。

朝鮮にどんな後継者がいるかは単に朝鮮内部のことでは済まない。朝鮮の未来の発展方向は東アジアの未来をも直接的に決定するのである。

年齢からすると、弱冠28歳という年齢は金の後継者が局面全体をコントロールする能力を備えているのかどうか人に疑いを持たざるを得なくさせる。朝鮮のその他の実権を持つ派閥および金の親族がそんなに簡単に相手に礼をして権利を手放すはずがないのは理の当然である。朝鮮民衆金が死去の前に希望していたようにこのような政権交代を受け入れられるのかは未知数である。これはいかなる国の政権の変動過程でもしょっちゅう見られ、珍しくもないことである。筆者は金がこの1年のうちに続けてロシアや中国を訪問したことに注意を向けた。外部からは普通には後継者のための道を整え得ることを希望したのだと解釈されている。会談後に発表された関連する態度表明と中ロ両国の一貫した対朝鮮政策からして、北京とモスクワが明らかに朝鮮の友好関係を失うリスクを犯して朝鮮の政権交代に干渉するはずはない。北京は話を聞かねばならない。盟友のためにこの地域の事柄から手を引くこともできるが、西側の口にする幸福のために国益を損なうリスクを犯すことがあってはならない。アメリカが口々に言う人権、自由、はこうした空文がアメリカのグローバルな利益に符合するからであり、さらにはアメリカのグローバルな実力拡張の口実なのである。朝鮮の政権交代、ホワイトハウスはあるいは飴と鞭を使い分けるのに有利な時期と見ているのかもしれない!

金の死亡情報は遺漏のないものではなく、朝鮮の政権交代の状況はまだ不明な状況下にある。各方面はいずれもある程度の抑制を保持し、日韓の大きな変動に直面するかもしれない緊張に向き合い、中米はさらに未来の東アジアの大局を全般的に考慮しよう。結局のところ、朝鮮の未来を決定するのは朝鮮の権力者ではなく、背後の中米両国なのだ!


 孫錫良が「3つ目の作用はここでは省略する」と書いていて、それを読んだ時はさほど気にせず読み飛ばしたんですが、最後のページを読んで推測できました。孫錫良の頭にあるが書かなかった中国軍北朝鮮駐留の持つ3つ目の作用とは、アメリカが北朝鮮に好条件を出し(飴)、飲まなければ経済制裁を強化するし軍事介入も有り得ると脅し(鞭)た時、未熟で西側での生活の経験もある金正恩が条件を飲んで大幅な改革の方向に向かったら、北朝鮮がアメリカとの関係を深め中国の影響力が弱まる、それは国益に反し絶対に許せないから駐留する中国軍が実力で阻止する、ということなのではないでしょうか。これをはっきり書けば、もし全くそんな気がなかったとしても北朝鮮は不快に感じるでしょうし、駐留を認めるか否かの交渉に悪影響が出る可能性があるから書くのを避けたのではないかと思います。

 これらの文を読んで、中国との物の見方の違いはやはり非常に大きいなあと感じざるを得ません。中国本国ならまだしも北朝鮮で政変があったからと言って、憲法九条を持つ日本はもちろん国力が桁違いのフィリピンやベトナムが中国に冒険的に攻撃を行うかもしれないと心配するのは被害妄想に近い気がします。また、アメリカが自分たちにとって都合の良い人権や自由の抑圧国にはあまり文句を言わない傾向は確かにあり、人権!、自由! という主張に別の側面もあることは完全に否定しませんが、「実力拡張の口実」と切って捨ててしまうのは無茶だと思います。

 中国が西側とは全く異なる見方でこの問題をとらえる中、北朝鮮情勢はどう推移していくんでしょうか。中国軍の北朝鮮駐留は具体化していくんでしょうか。








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