金正恩は改革の道を行くはずがない‥‥?

 中国人から見た北朝鮮情勢に関し、もう1つページを紹介します。筆者は李開盛という人で、高校教師、法学博士だということです。

http://blog.ifeng.com/article/15480838.html


朝鮮の未来大推測

金正日急死後、関連する各種の連想が次々浮かんでいる。例えば朝鮮が改革開放を行う可能性ありやなしや? 若い80後(頑住吉注:1980年代生まれの若者を指し、それまでの世代とは大きく考え方、価値観が異なるのでいわば「新人類」のようなニュアンスがあります。ただしそれは朝鮮人には当てはまらないのでは)の指導者金正恩はしっかりと立つことができるのか否か? 等々である。多くの人が、未来の朝鮮は不確定性に満ちていると考えている。だが筆者の見たところによれば、実は朝鮮および多数の問題の前途ははっきりしている。朝鮮および関連の問題はずっと自らのロジックに従って進行しており、金正日の死亡によってこのロジックに変化が発生することはないのである。

いくつかの確定可能な事情は次の通りである。

第1に、金正恩はスムーズに後継するはずである。彼は若いけれども彼には他の人(彼の叔父で、多くの人にその権力が脅威だと見られている張成沢・チャンソンテクも含め)にはないものがある。すなわち彼は金正日の息子である。これは朝鮮が長期にわたって、「白頭山革命血統」の宣伝下で形成されてきた合法性である。金正恩は初期段階では張成沢等の人に頼るかもしれないが、このかけがえのない合法性を頼りにゆっくりとその権力を侵食し、最終的に個人独裁体制をうち建てる可能性が高い。集団指導と権力独占の「革命血統論」は根本的に相容れず、もし目下朝鮮に集団指導体制があるというなら、それは過渡的なものにすぎず、趨勢ではない。

第2に、朝鮮が改革開放に向かう可能性はない。確かに金正恩には西側に留学した経歴があり、比較的若く、新しく生じた事物を容易に受け入れると見られる。だが金正恩に関して言えばより重要なのは権力を維持し守ることである。まさにこれが権力の要素であり、彼に少なくとも今改革開放を選択させることはない。理由の1つ目は、彼が父の手から政権を引き継いだことである。彼の合法性は父頼りであり、短時間内に父を否定する改革開放の政策を決めることは不可能である。理由の2つ目は、未来の権力維持という観点から、改革開放は必然的に朝鮮庶民の観念に衝撃を与え、結果的に3代世襲の合法性を疑わせる。これは金正恩が絶対に望まないところである。未来の朝鮮はやはり金正日のなしたようになるだろう。ある部分を囲い込むのには限度があり、開放を行い、対外的には資金や技術を吸収し、対内的には民衆を分断する。このような開放は名ばかりのものに過ぎない。

第3に、半島の情勢が緊張に向かうことはない。理由は簡単で、短期的には双方とも喧嘩を望まないからである。朝鮮は後継にちょうど忙しくしており、しばらくは対外的に事を起こすはずはない。一方アメリカ国内経済の危機は終わっておらず、しかもアジア太平洋の戦略部署もまだ全部完成しておらず、加えて重点は東南アジアや、さらにはオーストラリアにさえ傾く勢いである。やはりしばらくは進んで朝鮮を挑発するつもりはない。日本や韓国に至っては、アメリカのOKがなければ、やはり高圧的な朝鮮政策を取ることはできない。特に韓国は、朝鮮崩壊後の巨大な代価と統一にかかるコストを考え、むしろ今は相手を落ち着かせることを望み、脆弱だが怒りっぽい朝鮮を刺激しない。目下それぞれの政策はひたすら冷静、ひたすら様子見である。このような雰囲気の中、朝鮮をめぐる核危機も悪化し続けるはずはなく、朝鮮半島は一定緊張はしているが平静な過渡期を迎えている。

第4に、中朝関係はさらに一歩強化される。中国に関して言えば、以前はずっと強硬柔軟の間を徘徊する対朝鮮政策を進めてきた。一方で朝鮮の核実験に反対し、他方ではやはり朝鮮の崩壊を見たくないのである。目下朝鮮は脆弱な生存の関門にいるので、中国の関心は核問題ではなく主に朝鮮の生存保持により重きが置かれている。中国共産党中央は、民意が普遍的に反朝鮮である状況下なので現実離れした高い評価を金正日に下しており、九大常任委員はことごとく朝鮮大使館に弔問に赴いている。これはすなわち1つの鮮明な政策の公表である。朝鮮に至っては、こういう時期にあって中国の機嫌をとり、それによりキーとなる支持を得る必要が一層ある。こういった支持を交換に手に入れるため、朝鮮は当然中国の重大関心事である核問題で故意に困らせるはずはなく、双方の関係は一段と得難い蜜月関係を迎える。

当然このような蜜月は中朝人民にとって良い事とは限らない。中国は朝鮮を必要としているが、専制的で、遅れた、さらにしょっちゅう面倒をかける政権を必要とはしていない。中国がずっとすべきでありながらずっとしてこなかった、当然することが困難でもあったことは、朝鮮と朝鮮政権を区別すること、両国人民の相互交流、相互理解を基礎に両国関係を建立するすることである。もしこの一層深い基礎が欠けていれば、中朝関係がなお良好に見えても、最終的には源のない水、根のない木のようなもので長くは続かないのだ!


 金正日の死をきっかけに日本、ベトナム、フィリピンがどこで冒険的に中国に攻撃を仕掛けてくるかも分からないのでできる限り早く全ての国境で高レベルの警戒準備状態に入れ、朝鮮に軍を送れと説く「中国インターネット9大風雲人物」の1人の論にはついていけないものを感じましたが、この人の論は日本人でも大筋共感できそうな感じです。ただ、これは理屈であって、現実は理屈通りに進まないこともあります。特に理性というものを欠く国家が相手の場合はなおさらです。北朝鮮が、「理屈で考えてこんなことをすればメリットよりデメリットの方が大きいことは分かりきっているのだからしないはず」ということを何故か繰り返してきた国であるのは周知の事実です。さらに、この人の推測は希望的観測の傾向が強いとも感じます。ああいう北朝鮮が存在すればこそ、アメリカは中国の人権問題に関し、「北朝鮮よりずっとまし」、「北朝鮮の核兵器がテロリストに渡って国内で核テロが起こることは何としても阻止する必要がある。そのためには中国が仲介、説得してくれることがどうしても必要」という考えがあるからこそあの程度で済ませているわけです。北朝鮮が大きく改革開放に舵を切ったら、中国への風当たりは現在よりはるかに強くなるでしょう。

 まあ私も北朝鮮が改革開放に進む可能性は、少なくとも当面の間は非常に低いと思っていますけど。











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