ベトナムの「キロ」級潜水艦導入はどういう意味を持つか

 「軍情視界」の記事です。

http://military.china.com/zh_cn/jqsj/056/


「キロ」潜水艦はベトナム海軍の万病をまとめて治癒させることはできない

ベトナムの「キロ」潜水艦は中越海軍戦力の比率を変えることはできない

イントロダクション:ここのところ、一度は南海の紛争の中でわざと控えめにしていたベトナムが改めて国内各大メディアの紙面に上った。カムラン軍港において、彼らはロシア製「キロ」級潜水艦の就役式を相当におごそかにして盛大に行ったのである。ハノイでは当局が民間反中国勢力のために、西沙海戦40周年のハイテンションな記念活動におおっぴらにゴーサインを出した。今またある情報は、ベトナム人自ら研究開発した初のミニ潜水艇も進水した、としている‥‥

ベトナム海軍、潜水艦の夢

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ベトナム海軍は「ハノイ」号のためにおごそかにして盛大な就役式を挙行した」)

ロシア製潜水艦、ベトナム海軍に加入

2014年1月16日、ロシアのサンクトペテルブルグ市海軍部造船工場がベトナム海軍のために建造した第2隻目の「キロ」級ディーゼル・電池潜水艦「ホーチミン」号が正式にベトナムに引き渡された。この前のある日、もう1隻の同クラスの潜水艦「ハノイ」号引き渡し式がベトナムのカムラン湾海軍基地で挙行され、ベトナム国防省副大臣兼海軍司令、ベトナム人民海軍副司令がこの活動に参加したばかりである。この2隻の潜水艦は2009年にベトナム首相グエンタンズンがロシアを訪問した時、ロシアと締結した総額32億アメリカドルの兵器購入発注の一部分とされる。この32億の兵器交易発注の中で、20億アメリカドルは6隻の最も先進的な「キロ」級636型ディーゼル・電池動力潜水艦の購入に用いられる。636型ディーゼル・電池潜水艦はロシア第3世代非原子力動力潜水艦で、その最大の特徴は優秀な隠蔽性と偵察能力であり、「大洋のブラックホール」、「沈黙の暗殺者」と賞賛される。計画によれば、「ハノイ」号は6隻の中の第1号艦で、「ホーチミン」号は3月にカムラン湾に到着し、その他の潜水艦は2016年には全て引き渡されると見られる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ベトナム首相はロシア訪問の期間にキロ級潜水艦を視察した」)

ベトナム海軍近代化計画の中の潜水艦という一部分

ベトナム海軍の全体的実力は決して強くない。この種の状況下でもし潜水艦部隊を優先して発展させたら、その隠蔽性が比較的良い特徴を発揮するのに便であり、迅速に戦場での威嚇力を向上させることができる。このため、1990年代以来もうベトナム軍上層部は、潜水艦部隊の建設を「正規化、精鋭化および徐々に近代化される軍隊」建設の重要な一部分とした。このため、ベトナム海軍は「21世紀初めの海軍の3ステップ発展計画」の中で、「2010年までに、努力して新型艦艇を増加し、徐々に立ち後れた現役装備を淘汰し、海軍潜水艦と航空隊を発展させる〜」と明確に提示した。この計画の実行のため、ベトナムは「米を武器と換える」の方式をもって成功裏に北朝鮮から2隻の「玉高」級ミニ潜水艦を購入した後、一方においては海軍人員を北朝鮮、ロシア、インドなどの国に派遣して潜水艦業務の養成訓練を受けさせ、また一方においてはニャチンに潜水艦基地を作り出すことに着手した。今、「キロ」級潜水艦の到来と共に、このことはベトナム人に、東南アジア地域実力最強の「水中威嚇部隊」建設というこの目標に向け、非常に大きな一歩を踏み出させた。

中国海軍に対処する切り札?

非常に多くの人がベトナムの「キロ」級潜水艦に言及する時、いつも無意識のうちにこれを中国海軍の同類潜水艦と横並びで対比する。だが実はこの種の比較の意義は大きくないのである。製造時期がより遅いという要素ゆえに、ベトナム版「キロ」級は航行速度、静音効果、機械・電気設備などの方面において中国の「キロ」級よりやや強い。だが総合的に言って、この性能上の隔たりは大きくない。注意に値するのは、むしろベトナム人の「キロ」級に対する戦術的運用である、ベトナム海軍が「キロ」級潜水艦を獲得したら、必ずやそれらを南海の戦略方向の交通の要衝に配備し、主要な任務は南沙の島嶼の奪取を企図する「敵サイドの」潜水艦を監視、攻撃し、かつ「交通破壊」作戦を実施することだ、ということを想像するのは難しくない。対潜作戦が依然薄弱な部分である中国艦隊にとって間違いなく、ベトナムの潜水艦によって2隻の対潜作戦、2隻の水上艦艇に対する攻撃が形成される不利な態勢が存在する! (頑住吉注:この部分何言ってるのかちょっと分かんないです) 何故ならベトナム人の6隻の「キロ」級潜水艦の規模は、彼らをこんなにも「贅沢」に支えるからである。この意味から言って、ベトナム海軍が元手を惜しまずにロシア製潜水艦を輸入したのは、間違いなくコストパフォーマンスの非常に高い海軍建設思想である。

ベトナム人民軍のロシア製武器

ベトナム海軍の「チーター」護衛艦

ベトナム海軍の「タランチュラ」ミサイル艇

ベトナム空軍が装備するスホーイー30戦闘機

「キロ」級はベトナムの万病をまとめて治癒させることはできない

「キロ」級潜水艦の性能の制約

一定数の「キロ」級潜水艦を持ち、一定程度上中国海軍に対し脅威をも構成した。だが、ベトナム人が、もしそれらが自らの「万病」をまとめて治癒させることをひたすら期待するならば、あまり現実的ではない。何故ならば、「キロ」級は確かに先進的だが、依然性能方面にいくつかの人の意に添いきれない部分があるからである。例えば、この潜水艦はどのような魚雷を装備しても、その射程は全てあまり長くはならず、短ければ十何kmか、長くても何十kmかに過ぎない。ひとたび攻撃距離が比較的遠くなれば、必ずや魚雷の潜航時間が延長される。「キロ」級潜水艦に関して言えば、射程が300km近い「クラブ」対艦ミサイルが称賛に値する長所である。しかし、200km超は超視距離攻撃に属し、電子戦機などが中継制御誘導を提供することが必須である。ベトナム海軍装備は深刻に立ち後れ、大型水上戦闘艦や充分な空中技術能力で潜水艦のために情報の保障を提供することがない。言い換えれば、「クラブ」系列対艦ミサイルをベトナム人に手にさせても、彼らには必ずしも「キロ」級潜水艦をベトナムで使用する能力はなく、その最大の戦闘力を発揮することはできないのである。

1、2件の先進武器に頼り切っても問題は解決できない

「キロ」級はベトナム人によって、中国に対処するのに用いるよう購入されたものである。だがベトナム海軍を縦覧すると、その現有の主戦装備の絶対多数はまだソ連が1970〜80年代に提供した軍事援助、甚だしきに至ってはアメリカ人が1940年代に生産した装備である。こうした艦艇の中では、搭載する武器は各種口径の艦砲がメインである。このため、ベトナム海軍はいくつかの先進装備を導入したが、システマチックなワンセットの作戦能力を形成するには程遠い。先進的な偵察、監視、早期警戒、指揮コントロールシステム、電子戦システムの支援がない状況下で、ベトナム軍が導入した潜水艦が最大の機能を発揮することは非常に難しい。この種のボトルネックと欠点が存在する海軍システムは、システムが完備された強大な海軍の面前では、依然非常に脆弱である。もう1つの軽視できない問題は、中国海軍の中に同様に十何隻かの「キロ」級潜水艦が装備されていることである。このことは、中国はこのロシア製潜水艦の性能方面における優劣に対し、すでに掌を指すが如しであることを意味している。数の上ではるかに劣勢で、さらに加えて経験が欠乏したベトナム版「キロ」が中国海軍との勝負の中で優勢に立つには難の上に難が加わる、ということを想像するのは難しくない。

いろいろな視点からの声

梁永春:ベトナムが新たに購入したキロ潜水艦は有効に局地的海域を封鎖できる

ベトナムの以前の海軍は基本的に水中戦闘能力を持たなかったが、今購入しているロシアの潜水艦の性能は世界一流であり、もし作戦に投入されたら、局地的海域に対し有効な封鎖が実行できる。

より多くの声

日本メディア:ベトナムの潜水艦は海南省近海で中国海軍を待ち伏せ攻撃できる (頑住吉注:どんな日本メディアがそんなこと言ったのかな、と思って見てみたら、例の実在しない「外交学者」誌でした)

韓国メディア:ベトナムの「キロ」級潜水艦は中国の南海支配の助けになる (頑住吉注:そりゃまたどういう理屈? と思って見てみると、ベトナムの脅威により東南アジア諸国が中国に傾倒する、などの理由でした)

漢和:ベトナム潜水艦は中国海軍の喉に刺さった刺となる

洪琳:ベトナムの6隻の潜水艦購入は中越海軍の実力の対比に対し作用しない

「キロ」級潜水艦はベトナムにとって、一方においては国防の実力を増強し、もう一方においては心理的に安心させる作用がある。より重要な点は、東南アジアのその他の国に比べて、一定の海上の優勢があることだ。

より多くの声

アメリカ:ベトナム、インドにその潜水艦クルーの養成訓練をお願いする

ロシアメディア:ベトナムの6隻の「キロ」級潜水艦の価格は18億アメリカドル

外国メディア:ロシア、ベトナムに潜水艦を販売したことが中国の反感を引き起こすことを心配

ネット仲間の調査

あなたは「キロ」級潜水艦のベトナム海軍に加入後をどう考えますか?

ベトナム海空軍の実力を大幅に向上させる 7.25% 60票

中国南海交通ラインに対し現実の脅威を構成する 40.71% 337票

中越海軍の実力の比率を逆転させることはできない 23.43% 194票

必ずや地域の潜水艦競争を引き起こす 4.59% 38票

1、2件の先進武器で問題は解決できない 22.83% 189票

はっきり言えない 1.21% 10票

総評数 828票

「キロ」技術はすでに中国によって消化吸収、利用されている

潜水艦部隊はずっと中国海軍の中核戦力であり、最も威嚇力を持つ海戦兵器でもある。近年来、海軍の近代化の歩みを加速させるため、中国海軍はロシアの「キロ」級潜水艦を導入した。この型の潜水艦の導入は非常に大きく中国の新世代通常潜水艦の研究開発、改良を推し動かし、迅速にこの領域の海軍強国との技術的隔たりを埋め合わせ、したがって中国潜水艦部隊の飛躍を実現することになる。

結びの言葉

ベトナム人は外国から先進的潜水艦を購入し、もってその「空軍、潜水艦、快速艇」の近海防御体系を完備することを企図している。これは間違いなくその国情、軍情に符合した考え方であり、しかも短時間内中国に対し一定の脅威を構成する。しかし、ベトナム人がもし1、2件の先進武器ですぐ中国を抑止し、南海の一部の島礁を永久に占領する不法な企図を実現し得ることをひたすらあてにするならば、明らかにそろばんのはじき間違いである。


 全体的には辛口の評価ですが、「短時間内中国に対し一定の脅威を構成する」ことは認めざるを得ず、また「より多くの声」にもベトナムの潜水艦導入の意味を大きく評価するものが多いですし、アンケートでも脅威とする意見が明らかに多いですね。



















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