ロシアの第5世代原潜はどんなものになるのか

 コラムで紹介した時曖昧な記事内容に対し「どんなものになるんですかね」と書きましたが早くもかなり詳細な説明の記事が出てきました。「何でそんなこと知ってるの?」と言いたくなるようなことが断定調で書かれてますけど。

http://war.163.com/16/0820/12/BUTMULLE00014OVF.html


ロシアの率先しての第5世代原潜研究開発は海軍の雄風を再興できるか否か?

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「『ヤーセン』級多機能原潜」)

ロシアの「新情報報」ウェブサイト8月16日の報道によれば、ロシアの「孔雀石」設計局はすでにロシア国防省と関連の契約を締結し、第5世代「ハスキー」級多機能原潜の研究開発作業を開始しており、もって現在就役してほどなくかつ継続して建造されている第4世代「ヤーセン」級原潜に取って代わらせる。初の「ハスキー」級潜水艦は2020年以後完成すると見られる。

評価:ロシアは歴史上強烈な原潜「情結」(頑住吉注:ここでは「深い思い入れ」でいいと思います)を持つ。冷戦の時期、ソ連は世界で機種と数が最多で、用途が最も広く、戦闘力が最強の原潜を建造し、ソ連が西側陣営に対抗する時「非対称」の優勢を発揮する重要な戦略手段となった。現在、ロシアがその第4世代原潜がまだ正式装備されている背景の下でもう第5世代原潜プロジェクトを始動することは、その強烈かつ空前の危機意識と原潜技術で世界に先んじた地位を保持する意図を充分に体現している。このことはその大国海軍の雄風を再興させる助けになるだけでなく、しかもその現在の国家安全戦略の根本要求にも符合する。

それぞれの類型の潜水艦の機能を一身に集め、同時に戦略および戦術任務の任に堪える

多機能潜水艦とは統一汎用の性能を持ち、弾道ミサイルを使用して戦略核打撃も行えれば、また巡航ミサイルを発射して艦船に対し正確打撃も行える潜水艦を指す。ロシアから見て、多機能原潜は耳さとく目が明らかで、火力強大で、独立して作戦任務を担うこともできれば、異なる類型の任務部隊に編入し、唯一無二の作戦および支援機能を提供することもでき、これには地上目標に対し核兵器を使用する、空母艦隊警戒任務を担当する、敵潜水艦に対し攻撃を発動する、突撃隊を搭載運搬し上陸させる、およびその他の任務等が含まれる。多機能原潜は非常に強い生存力および非常に高い柔軟性を持ち、かつ安定した戦備水準および長時間の持久的作戦能力を保持でき、敵に勝ち勝利を制する重要な力量である。

現在、ロシアの就役中の原潜は3種あり、これには戦略核打撃を行う弾道ミサイル原潜、対艦打撃の巡航ミサイル原潜および対潜をメインとする攻撃型原潜が含まれる。だが第4世代原潜に始まり、ロシアはもうすでに伝統的な巡航ミサイル原潜をなくし、「ヤーセン」級多機能原潜をもって取って代わらせ始めている。表面的に見れば、ロシアは「ヤーセン」級多機能原潜が就役したばかりの状況下でもうまた第5世代新型潜水艦に対する研究開発を展開するのであって不可思議だが、実際にはロシアは第5世代「ハスキー」級多機能原潜の研究開発によって、現在のあらゆる類型の原潜に取って代わらせ、したがって質は優れ量は少ない潜水艦隊伍を建設することを希望しているのである。一般的に言って、現代の潜水艦は研究設計開始から退役までの全生命周期が約50年である。「ヤーセン」級原潜は20年前の設計で、戦術指標は時今日に至るも依然先進的なものに属するが、実際上「過渡的」存在とされる世代の原潜である。ロシアが今回研究開発する第5世代「ハスキー」級原潜は、実際には「ヤーセン」級多用途潜水艦に対する継続と開拓展開である。

機能の上から見ると、第5世代「ハスキー」級多機能原潜の設計の位置付けは同時に攻撃型原潜、巡航ミサイル原潜、弾道ミサイル原潜として用いることができるというものであり、このためモジュール化の程度が高い、汎用性が強い、隠蔽性が良い、電子設備が先進的、自動化水準が高い、武器の威力が大きいなどの重要な特徴を持つ。例えば、「ハスキー」級原潜は一体のネットワークセンターシステムを装備し、かつ重点を「ネットワークセンター」能力の上に置き、指揮システム自動化の程度がより高く、かつ異なる排水量の統一モジュール化プラットフォームの開発、および武器システムの中に無人システムを組み込むことにより、潜水艦の全体総合作戦能力を強化することができるようにさせる。こうした措置には次のものが含まれる。無人潜航器が異なる機器を搭載することにより環境監視測定を実現する、あるいは魚雷の搭載により敵に対する攻撃を実現する、ロボット操作を使用し潜水艦の自動化の程度を高め、無人機を発射して特殊作戦任務を執行する作戦部隊を出入りさせる、関連の武器や機材等を搭載するなど。

武器装備の方面では、第5世代「ハスキー」級原潜は主に極超音速で、高い汎用性能、高い作戦機能の遠距離対艦ミサイルあるいは巡航ミサイルを使用し、これには最近ロシアが試験している極超音速「ジルコン」巡航ミサイルが含まれる。このミサイルの設計上の飛行速度はマッハ6にも達し、射程は400kmに達し得、外科手術式の遠距離正確通常打撃も執行できれば、また戦術核打撃任務も執行でき、アメリカ空母戦闘群を含む強大な潜在的敵に対し極めて大きな脅威を構成することになる。また、第5世代「ハスキー」級原潜はさらにミサイルモジュールコンパートメントを1つ増加し、20基の多用途ミサイル垂直発射管を装備し、それぞれの管に4発の戦術ミサイルが装備でき、フル搭載時は弾薬搭載量が80発に達し得、同時に弾道ミサイル、巡航ミサイル、対潜ミサイル、対空ミサイルなどの武器を発射し、対地、対艦、対潜、対空攻撃が遂行できる。例えば、対地通常打撃を執行する時は、装備する対地攻撃巡航ミサイルには通常弾頭も搭載できるし、核弾頭も配備でき、発射する80発の巡航ミサイルは敵の対潜防御圏の外で密集した遠距離打撃が発起でき、正真正銘の超越的大威力の「武器庫艦」である。

多項目の騒音低下技術を採用し、非常に大きく潜水艦の隠蔽および攻撃・自衛能力を向上させる

隠蔽性は潜水艦の最も重要な戦術性能である。冷戦の時期、米ソの原潜は頻繁に大洋、甚だしきに至っては相手方の門前で「猫がネズミを捕らえる」ゲームをプレイし、相互に相手方の潜水艦を追跡し、かつ不断に新たなステルス技術を研究開発して潜水艦の隠蔽性を向上させ、相手方によって発見されることを防止し、あるいは相手方の追跡から離脱した。近年来、ロシアの新たな勃興と共に、徐々に潜水艦の遠洋巡航が回復されかつ強化され、頻繁にバルト海、地中海および北大西洋で活動し、甚だしきに至ってはさらにアメリカ海岸付近に向け攻撃型原潜を派遣している。この種の活動は潜水艦の隠蔽性に対しより高い要求を提出している。

ここ数十年来、ロシア製潜水艦の騒音低下水準には非常に大きな突破があった。例えば、その「キロ」級通常動力潜水艦はNATOによって「大洋のブラックホール」と呼ばれ、騒音水準はほとんど海洋の背景環境に近く、「騒音のない海洋の中でのみやっとそれを捜し当てられる」。一方第4世代「ヤーセン」級原潜は「キロ」級潜水艦の騒音低下技術を継続してグレードアップおよび改造している他、さらに表面に超越的に厚さの大きい消音スレートを敷設し、かつ赤外線、電磁、尾部水流特性を消し去るなどの方面でも相応の措置を取り、隠蔽性能を非常に大きく向上できる。

第5世代「ハスキー」級原潜はさらにより先進的なステルス技術および手段を採用し、そのステルス性は新たな水準まで高まることになる。まず第5世代「ハスキー」級原潜は艦体の塗装、水平舵、方向舵、安定装置、スクリュー、伝動軸、甚だしきに至っては艦体自体に全て音響ステルス複合材料を使用する。この複合材料は比較的高い内部損耗因子を持ち、有効に音響信号を吸収し、振動騒音の伝播を低下させることができ、敵サイドのソナーは充分な強度の音響信号をキャッチし難く、したがって潜水艦が敵サイドの探知計測システムによって発見されることを防止する。次に、構造レイアウト上、第5世代「ハスキー」級原潜は伸縮可能な形式の伝統的防護カバーを放棄し、選択性の構造方案を使用する。例えば伸縮式航行操縦台、非浸透性電磁防錆装置などで、かつ複合構造部品、ウォータージェット推進、新型減震機構の採用などの手段により、ステルス性能の大幅向上を実現する。最後に、体積の上で第5世代「ハスキー」級原潜は単一殻体構造を採用し、体積が非常に大きく減少し、水上/水中排水量はそれぞれ5,000/6,000トンで、第4世代「ヤーセン」級原潜の9,000/13,600トンに比べずっと軽くて精巧で、このため同等の推進出力の下で航行速度がより速く、機動性がよりよく、目標としてもより小さく、行方の隠蔽、突然の攻撃発動により有利で、非常に大きく潜水艦の攻撃および自衛の能力を向上させる。

潜水艦技術の世界に先んじた地位を継続して維持し、ロシアの大国海軍の雄風を再興する

戦略核力量はロシア連邦の主権の尊厳と領土の完備を確保する重要なツールで、海洋戦略核力量の支柱として、原潜はずっとロシア海軍の主要な建設する兵種および優先して発展させる力量で、長期にわたり世界に先んじた地位を保持し、その未来の規模拡大、火力増強および航続距離延長は全てロシアの改めての勃興と相互に呼応し、ロシアが大国海軍の雄風を再興する重要な手段および道ともなっている。

「2020年までのロシア連邦国家安全戦略」の内容から見て、ロシアはその当面直面する主要な軍事的脅威は大国が戦略核力量や高度先端武器を開発する、グローバルミサイル防御体系を作り出す、宇宙の軍事化を探求するなどの手段によって、持続的に絶対の軍事的優勢の取得を図ることだと考えている。特に近年来、アメリカはずっとヨーロッパでのミサイル防衛システム配備を推進しており、グローバル快速打撃能力を発展させ、かつ潜水艦を派遣して頻繁にロシア周辺海域で活動し、こうしたことは全てロシアの国家の安全に対し不利な影響をもたらしている。このため、ロシアは各種の措置を取って継続的にアメリカとの戦略バランスを保持することが必須である。近年来、経済の好転、国力の増加、軍事改革の完成と共に、ロシアは規模が雄大な海軍再興計画を制定しており、その中で原潜の研究開発と建造は主要な位置に置かれている。陸上基地機動弾道ミサイル、遠距離戦略爆撃機と「三位一体」の戦略核力量を構成する戦略ミサイル原潜は、ロシアがアメリカに対し核の威嚇、核の打撃、核の反撃を実施する真っ先の選択肢となり、ロシアの国家の安全確保が最も頼る戦略力量でもある。

未来の原潜の発展の趨勢から見て、アメリカは疑いなくロシアの最も主要な相手で、その強大な「オハイオ」級原潜はロシアの潜水艦に対し直接的および致命的な脅威を構成することになるだろう。ロシアの第4世代戦略原潜は現在全体性能の上でアメリカよりやや強いが、就役時間が比較的短く、数が比較的少ないため、全体的戦闘力では短期間内にアメリカに追いつくのは非常に難しい。このため、ロシアは率先して第5世代多機能原潜を研究開発し、性能と質の上でアメリカを超越し、その潜水艦技術の上での世界に先んじた地位を維持することを極力図り、とりあえずこれがその数の弱点を補う道である。だが、国内の総合的要素の影響を受け、ロシアには大規模な原潜建造計画を行う意向もなければ能力もなく、その目標はやはり量は少なく質は優れた水中核力量を持つことだけで、これは実際上ロシアが現在の条件の下で国家の安全と利益を保障し、その自身が世界の大国であることに関する位置付けを維持保護する最も賢い選択でもある。


 当然ロシアがより優れた原潜を作ればアメリカも対抗して次世代原潜を作ることになると思いますが、質の上で本当にロシアが優位になるんでしょうかね。まあ仮に優位でなくても核戦争になった時に核ミサイルを搭載したロシアの潜水艦を発射以前に全て排除することは不可能でしょうから存在意義は大きいわけですけど。


















戻るボタン