南シナ海問題とEU
というかもう南シナ海どころではないかもしれませんけど。
http://military.china.com/news2/569/20160623/22925169.html
南海仲裁結果まもなく出る EUは中立を保持できるか?
EUの核心的メンバー国であるドイツ、フランス、イギリスの三国の南海問題の上での立場はEUの共通の立場の形成に重要な影響を持つ。東方IC 資料 (頑住吉注:画像ないですけど元々明らかにキャプションですね。)
南海の争いの問題の上で、EUは長期にわたり「原則的中立」を堅持し、主権問題につきコメントを発表するのを避けている。だが、フィリピンが一方的に提起した「南海仲裁案」実体裁決宣言がまもなくとなるのにつれ、EUおよびそのメンバー国は最近この議題の上で頻繁に声を発している。
アメリカとは異なり、EUは南海およびその周辺地域に明確な地縁政治の利益がなく、支配可能な外交資源には相対的に限りがある。南海問題および釣魚島問題の上で、EUは一貫して慎重な態度を持ち、一方においては東アジアの安全問題に対し関心を表明し、もう一方ではアメリカの軍事的プレゼンスはこの地域の安定を維持保護する重要な要素だと強調する。
だが「国連海洋法条約」の締結者として、ひとたびフィリピンの一方的建立請求に応じた「南海仲裁案」臨時仲裁法廷(以下「仲裁法廷」と略称)が関連の問題に対し裁決をなしたら、EUおよびそのメンバー国も相応の態度表明をすることが必須である。EU28カ国のメンバー国の利益の食い違いと政策の偏好に基づき、EUがこの問題の上で共通の立場を形成できるか否かが人の関心を引く。
EUの南海における3種の利益
EUの南海およびその周辺地域における利益は現在主に3つの方面に表れている。
1つは経済的利益である。南海周辺地域の国はEUの重要な貿易パートナーで、EUはこの地域最大の投資者でもある。南海を貫く海運航路は、EUと東アジアの国の間の重要な海上貿易ルートで、この地域の安定と安全を維持保護することは、EUの利益に符合する。
2つ目は政治的利益である。地域一体化の成功の模範例として、EUはずっと力を尽くしてアフリカ、ラテンアメリカ、東南アジア地域の一体化を推進し、規範の伝播によりEUのこれらの地域における政治および経済的影響力を拡大している。南海地域の緊張した情勢は東南アジア地域の一体化プロセスに対し障害を構成する。
3つ目は戦略的利益である。ルールの上の国際秩序の建立は、EUの核心的利益に属する。EUのグローバル戦略の重心は、国際法の関連のプロセスに依拠し、EUの国際危機管理の中での視認性と政治的信頼度を向上させることに他ならない。「東南アジア友好協力条約」の締結者およびASEAN地域フォーラムの創設メンバーとして、EUはこの地域の安全という事柄の中で重要な作用を発揮する法的基礎も持っている。
EUの「原則的中立」に微妙な変化が出現
南海の争いをめぐる、EU内部の政策討論の主要な表れは「原則的中立」である。
いわゆる「中立」とは、領土主権問題の上で立場を表明することを避け、主要な貿易パートナー国と良好な関係を保持することである。いわゆる「原則的」とは、具体的には2つの方面に体現される。1つ目は国際法という基本原則、特に「国連海洋法条約」に依拠する。2つ目は非指向性、すなわち国際法の関連の手段の運用時、語義が模糊とした表現を採用し、具体的な国に言及するのを避ける。
フィリピンが一方的に提出した仲裁請求に対し、EUは今まで明確な態度表明をしていない。去年11月、「仲裁法廷」は南海仲裁に対し司法管轄権を持つと宣言したが、EUは依然として沈黙を保持した。
だが南海問題の不断のヒートアップと共に、EUおよびその核心的メンバー国の立場には最近微妙な変化が出現し始めた。
今年3月、EUの対外行動部署は南海問題につき声明を発表し、権利主張国は「国連海洋法条約」を含む国際法およびその仲裁プロセスを尊重するようアピールした。4月、日本の広島で行われたG7外相会議で「海洋安全保障声明」を発表し、あらゆる国は国際司法手段を通じて海洋の紛糾を解決し、かつ拘束力ある仲裁結果を全面的に履行するようアピールした。
5月、イギリス首相キャメロンはG7日本サミットに出席する時強硬な態度表明をなし、「中国はハーグ仲裁法廷の裁決結果を尊重することが必須だ」と明確に提示した。6月初め、フランス国防大臣がシャングリラフォーラムで講話を発表し、フランスはEU諸国が協調して海軍巡航活動をし、もって南海の争いある地域に「通常の」および「視認できる」プレゼンスを確保するよう懇切に促した。
(頑住吉注:これより2ページ目)
もしG7外相声明が主に日米の圧力に迫られて、西側の盟友の立場に対し象徴的性質の支持を表明したのだと言うならば、英仏の政治家の最近の態度表明は「原則的中立」の最低ラインを踏み越えている。
事実、EUの一部の国のこれまでのいわゆる「中立」も表面的な現象でしかなかった。2012年以来、フランス、イタリア、オランダなどのEU加盟国のベトナムやフィリピンなどの国に対する武器輸出はいずれも顕著な上昇の態勢を呈している。これと同時に、EUメンバー国はずっと厳格に対中国武器禁輸を執行している。
南海問題の上で、ドイツの立場にも一度動揺が出現した。2014年10月、ドイツ首相メルケルは来訪したベトナム首相グエン・タン・ズンと会見した時、南海問題の政治的解決を提出し、かつ南海問題をASEMに提出して討論することを承諾した。2015年10月、メルケルはベルリンのある非公式の講話の中でもかつて「仲裁法廷」の仲裁結果を尊重する必要があるとした。
だが、英仏の最近の南海問題の上での強硬な言葉遣いに比べ、ドイツ指導者の正式な場合での態度表明は終始「原則的中立」のレッドラインを守っている。先週発表された「第4回中独政府協議合同声明」では、初めて海洋秩序の維持保護を政治協力の範疇に書き込んだ。中独双方は国際法、地域の共通認識、二国間協議など異なる枠組みの下、平和的に海洋権益問題を解決することに同意した。
メルケルは北京で行われたニュース発表会でも明確に、南海衝突の平和的解決は極めて異なる方案を採用することができる、とした。中独両国には南海の争い解決の具体的手段という方面で依然食い違いが存在するが、双方はいずれも密室協議の形式を取る傾向にある。
「仲裁案」の後、EUはどうするのか?
「南海仲裁案」はEUの対中国政策をジレンマの選択に陥らせる。すなわち、衝突の緩和方面で、EUおよびそのメンバー国は成果を上げることが非常に難しく、ひたすらにアメリカや日本の立場を支持すれば、問題の激化をもたらす可能性がある。だが立場をはっきりさせるのを拒絶すれば、今度はEUの国際規範力量としての姿勢に損害がある。
EUの核心的構成国であるドイツ、フランス、イギリスの三国の南海問題の上での立場は、EU共通の立場の形成に対し重要な影響がある。欧州指導者の最近の態度表明を縦覧すると、仲裁結果発表後、EUが出す可能性のある反応は仲裁の支持であり、同時に強制的性質あるいは指向性の過度に明確な言葉遣いは避ける、というものである。将来もしフランスやイギリスが南海地域に海軍を配備して巡航しても、いわゆる「航行の自由」を保護する国家の行為に過ぎず、EUレベルの共同の行動ではない。歴史的原因に基づき、ドイツは安全政策上慎重で自制的な傾向があり、加えて海軍資源が相対的に限られ、能動的に南海地域の対抗局面に介入することはないだろう。
EUの一部メンバー国は最近南海問題の上での言葉遣いが強硬な方向に向かっているが、中国とヨーロッパとの関係発展の基調は終始協力が食い違いより大きく、双方にはアジアの安全という議題の上で依然多くの意志疎通や協調の空間が存在する。これにかんがみれば、南海問題の上で、将来EUは依然ある最低ラインを堅く守ることになる。すなわち、アメリカと日本に対する支持を進退の程度まで行い、同時に中国・ヨーロッパ間の対話と意思疎通を保持する。言い換えれば、EUは南海問題の発展変化が中国・ヨーロッパ関係の1つの障害になるのを放置することはないだろう。
(劉麗栄、復旦大学国際問題研究院準教授、ドイツボン大学哲学博士 ソース:澎湃ニュースネット)
中国の記事は一貫して両者を区別していませんが、「ある場所の主権がどちらの国に属するかに関し中立」と、「問題の解決方法についての意見の対立に関し中立」とは全く異なり、日本も含め理性ある国は「主権問題に関しては中立だが、法的手段で問題を解決しようとするフィリピンの手法は支持する」という立場を取るべきであり、フィリピンが膨大な資料を提出して高度な専門家がそれを精査し、中国が不利と見て参加することを避けた法廷の決定は尊重すべきだと明確に主張することは「原則的中立」に反しません。しかしEUが実際そういう態度を取れるかは心もとないですね。