ロシアの新世代空母建造

 まあ実現するにしても相当先のことになるのは間違いないですが。

http://military.china.com/news2/569/20140314/18394977.html


ロシア海軍新世代空母戦闘群、10年後に建設を終える可能性

ロシア海軍は新世代空母を持つべきであり、これはロシアの軍、政治の上層部、専門家、学者、大衆の共通認識であるが、空母はロシア連邦の2011年から2020年までの国家武器調達計画に入れられておらず、このことは2020年以前にロシアが新型空母を建造することはない、ということを意味している。

空母開発は複雑で膨大なシステム工程であり、国家の軍事および経済的実力、科学技術、工業的基礎、造船能力全てに対し極めて高い要求があり、中、長期的でかつ現実的に実行可能な、相当な規模の発展計画の制定が必要であり、それでやっと工程のスムーズな実施が保障できる。

非常に多くのロシア人は空母開発に対し楽観していない。ソ連の解体はロシア造船工業に極めて大きな損害をもたらし、空母を建造する造船工場と大量の関連の研究開発機構、セットされる工場が旧ソ連加盟共和国に帰し、さらに加えてロシアが何度もの経済危機の苦しみを嫌と言うほど受け、国防工業への投資が長期的に不足し、ここ何年かは急速に回復しているかもしれないが、艦艇の建造期間は長く、引き渡し延期、建造の質に問題が存在するなどの現象は依然存在している。このため、ある専門家は、ロシアにはすでに新世代空母を開発する力はない、と考える。

だが私はそうは見ない。ロシア海軍は現在依然大国海軍であり、「クズネツォフ海軍元帥」号で長年の空母使用経験を累積し、「ウリヤノフスク」号で設計と建造の経験を取得し、ロシア海軍はインドのために空母を改装することによって関連の人材を蓄えた。

また、原子力動力装置、蒸気カタパルトなどのカギとなる重要技術も、ロシアはすでに掌握している。私は、現在ロシアが空母開発で困難に直面しているのは、主に空母建造に必要な基礎施設と条件、空母護衛艦艇、艦載機という3つの方面に体現されているのであって、これらはいずれも解決できる問題である、と考える。

基礎施設

ロシアは目下空母建造、停泊、維持修繕に必要とされる基礎施設の条件を持たない。このことは一部の専門家がロシアには空母を開発する能力がないと考える主要な根拠である。

歴史上、ソ連海軍超大型水上艦艇は全てウクライナの黒海ニコラエフ造船工場で建造され、北方機器製造工場は維持修繕と改装を行うことができるだけだった。船台など造船基礎施設の欠乏ゆえに、現在ロシアの造船能力は世界第22位にランクされ、まだ排水量10万トン以上の軍用および民間用船舶を建造することができない。

ソ連の解体は空母研究開発人員と技術工員の流出をもたらし、これは短時間内に補い難い。ロシアが誇る潜水艦建造工業も、「北風の神」(頑住吉注:Борей)級と「ヤーセン」級の第1号艦の建造時間はそれぞれ11年および18年にも達し、また「ラダ」級潜水艦の試験航海期間に至っては8年の長きにわたり、これは関連の人材の欠乏が重要な原因である。

ソ連海軍は長期にわたり原潜を優先的に発展させる地位に置き、資源もこれに向けて傾斜させ、超大型水上艦船のために保障を提供する艦隊基礎施設がずっと完備されないという結果をもたらした。今日に至り、「クズネツォフ海軍元帥」号の維持修繕保障も非常に有力ではなく、この艦が航行中である率が非常に低い結果をもたらしている。

だがロシア海軍建設は何度もゼロから開始されている。空母建造に関して言えば、もしロシアに経済、技術、工程、人員、基礎施設など多方面の不足があっても、ソ連時代を基礎に回復、再建、拡張建設することはできる。この1点から見て、ゼロから開始する中国やインドに比べればずっといいだろう。

例えば、ソ連時代には多くの機種、排水量3万トン以上の水上艦艇や原潜が大量に建造された。こうした艦艇を建造したドックは空母建造に適するよう拡張建設することができる。1980年代、「ウリヤノフスク」級原子力空母建造計画実施のため、北方艦隊と太平洋艦隊においてそれぞれ長さ400m、幅80mの大型ドライドックが各1建設され、空母を停泊させる埠頭が新たに建設および改造建設された。1990年代になってこうした工程が全て中止されただけのことで、ロシア海軍はこうしたプロジェクトを再始動させることができる。

北方造船工場と北方機器製造工場も新型空母建造任務を引き受けることができる。1939〜1941年には早くも、ソ連は北方造船工場のドック内で排水量6万トンの「ソ連」号戦艦を建造した(頑住吉注:独ソ戦勃発によって中止)。ロシアは北方機器製造工場に大トン数の船台を建設し、改造建築と拡張建設の作業の間に、吊して運ぶ設備を追加し、また水力設備を完備させることができる。インド海軍のために空母を改装したのと同一のドック内で、近代化された空母を建造することができ、しかもこうした基礎施設の建設はさらに軍民両用が可能で、非常に大きくロシアの造船能力を向上させた。

また、2006年末、「小星星」機器製造連合体は長さ420m、幅100m、高さ14mのドックを建設済みで、施工費用は98億ルーブルだった。ドックは大型軍艦あるいは民間船の組立に用いることができ、単体の船舶モジュールは1,500トンに達し、北方機器製造工場によって完成された後輸送してきて組み立てられることができ、ドック内に船台を建設することは非常に大きな投資を増加させることはないだろう。

ロシア西北部と中部地域にはロシアの主要な造船工場と大量の船舶関連企業が集中しており、このためセベドロビンスクは最も可能性ある、また最も適した新世代空母建造地点である。

(頑住吉注:これより2ページ目)

航路護衛艦艇

ロシア建国後、もはや膨大な艦隊を保有する経済的実力および軍事戦略上の必要性も持たず、大量の依然近代的なものに属する戦闘艦艇が現役から退出させられ、建造は停止され、解体、あるいは不使用状態で保存された。

1991年、ソ連海軍は100隻を越える第1級および第2級戦闘水上艦艇を持っていた。ソ連解体後、ソ連海軍の大部分の艦艇はロシアに帰属した。長年の不断の削減を経て、現在30隻前後が依然現役である。だが2020年以後、こうした艦艇の就役年限は全て30年を超え、退役に直面する。

ロシア連邦「2011〜2020年国家武器発展綱要」によれば、2020年までに8隻の「ゴルシコフ海軍上将」級および6隻の「ゲリガリヴィッチ海軍上将」級ミサイル護衛艦が建造されることになる。2016年より6隻の防空対ミサイル型ミサイル駆逐艦の建造が着工され、しかも原子力動力装置の採用が計画されている。これらの新型艦艇はいずれも非常に空母戦闘群の航路護衛艦艇として適している。

また、ロシア海軍は3隻のソ連海軍「キーロフ」級原子力ミサイル巡洋艦を再始動させることを決定している。このクラスの艦は全部で4隻建造され、このうち「ナシモフ海軍上将」号、「ラザリェフ海軍上将」号と「キーロフ」号は不使用状態で保存されて20年を超える。現在、「ピョートル大帝」号だけが北方艦隊の旗艦として、比較的高い技術戦術状態を保持し、依然海に出て任務が執行できる。

ロシア海軍の計画によれば、「キーロフ」級の維持修繕と近代化改良プロジェクトには次の内容が含まれる。先進的なレーダー、指揮および通信システム、無線電子対抗設備の装備。武器システムの全面グレードアップ。艦体と原子力動力装置の維持保護など。ミサイル巡洋艦上の武器システムも全面グレードアップされる。「花崗岩」対艦ミサイル装置は垂直発射装置によって取って代わられ、「縞瑪瑙」あるいは「孔径」対艦ミサイル、S-400対空ミサイルなどが発射でき、改造後の「キーロフ」級は300発の各タイプのミサイルを搭載でき、就役期限は2030〜2040年まで延長される。

このように計算すると、ロシア海軍は現有の大、中型水上艦艇に頼り、加えて続々就役する新型ミサイル護衛艦、ミサイル駆逐艦があり、しかも多数の多用途原潜を選択に供することができ、5つの空母戦闘群を組成するのに必要とされる航路護衛艦艇はすでに充分である。

空母艦載機

固定翼艦載機はずっとソ連およびロシア海軍の弱点である。

ソ連およびロシア海軍の空母艦載機は全て陸上基地飛行機から発展してできたもので、研究開発費用と難度は比較的低く、ミグー29、スホーイー35、T-50を基礎に艦載型を発展させることができる。これに関しては、ロシア連邦「2011〜2020年国家武器発展綱要」の中でも計画がなされている。

2011年、ロシア海軍は24機のミグー29K/KUB多用途艦載戦闘機を購入し、2015年までに商品は引き渡される。彼らはさらにスホーイー33に対しグレードアップを行い、これを2025年までずっと就役させる計画である。また、搭載数の増加のため、「クズネツォフ海軍元帥」号に搭載されるスホーイー33をミグー29Kに変更することになる。インドのために改造した「ヴィックラマディヤ」号はすでに全てミグー29/KUBを搭載している。

計画によれば、スホーイー33とミグー29Kは最終的に第5世代多用途戦闘機の艦載型によって取って代わられることになる。だがこれはT-50の装備の進度によって決まる。また、ロシア海軍艦載無人機の機種の研究もすでに開始されている。

将来、ロシア海軍艦載航空隊はなお以下のいくつかの種類の固定翼艦載機を欠乏させる。電子戦機、空中給油機、早期警戒機、輸送機。このうち電子戦機はスホーイー33、ミグー29KあるいはT-50から改装され得る。空中給油機は多くの機種の輸送機から給油装置の追加装備によって改装され得る。

こうした固定翼艦載機の中で難度が最も高いのは早期警戒機である。1990年代、ロシアはYak-44艦載早期警戒機を研究開発したが、カタパルトによってしか発進できなかった。「クズネツォフ海軍元帥」号にはカタパルトが装備されていないので、Ka-31早期警戒ヘリしか使用できない。

ロシアはかつてスホーイー33を基礎に早期警戒機を研究開発した。だがその作戦機能はYak-44よりワンランク低かったようだ。ロシアには国外の経験を参考にする意志があり、例えばブラジルのR-99A早期警戒機はEmbraer社の支線旅客機から改装され、イスラエルのEitam早期警戒機は商業機から改装されてできたものである。

また、艦載機飛行員の養成も極めて重要である。彼らは空軍から選抜され、養成訓練設備と基礎施設も空軍によって提供および支援され得る。ロシアの艦載機飛行員の養成訓練はすでに顕著な進展を取得している。2008年、ロシア海軍は艦載航空隊教学・訓練センターを成立させ、第一期工程は2012年に開始され、全ての工程は2020年に完成し、総投資額は100億ルーブルという計画である。

だが依然指摘しておくことが必要なのは、工程の組織、管理レベルなどの要素もロシアの新世代空母計画に影響するだろうことだ。また、空母発展の過程で、ロシア国内の政治、経済、社会状況および国際政治、軍事的形勢にも変化が発生する可能性があり、これも同様にロシア空母建造および空母戦闘群のスムーズな建設に影響するだろう。もし上述の要素にあまり大きな変化がなかったら、ロシア海軍初の空母戦闘群は2024〜2025年に建設が完成する可能性があると推測できる。(海軍工程大学 李大鵬)


 付け加えるとロシアがクリミアを編入したら、その造船施設や人材も空母建造にプラスとなるはずです。しかしこのままいったらロシアが最初の新世代空母戦闘群を戦力化する頃には、中国は複数の空母戦闘群を装備しているのでは。















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