北朝鮮の新型ロケット砲の正体は

 まあそんなに高度な技術を必要とする兵器じゃないですけど。

http://military.china.com/news2/569/20160307/21730105.html


金正恩が視察した北朝鮮の大口径ロケット砲はどこから来たのか?

3月4日、朝鮮中央通信社は情報を発表し、金正恩が北朝鮮の新型大口径ロケット砲の試射を視察したとした。朝鮮中央通信社の文章は、今回の試射は「まもなく予備砲兵部隊に配備される新型大口径ロケット砲のために、操縦ロケット弾の戦闘部の威力判定試射を行った」としている。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「北朝鮮の300mmロケット砲の発射の画像。画像の中のロケットがカバー貫通方式を採用して発射され、未発射のロケット弾のランチャーが密封されていることに注意」 続いて2枚目「北朝鮮のロケット弾が直接目標に命中」 続いて3枚目「画像の中で8発のロケットがすでに全部射出されているのが見られるが、韓国はその中の2発のロケットを発見していない可能性がある」)

北朝鮮の「予備砲兵部隊」が指すのは「予備役」ではなく、「統帥部直属砲兵」に似たたぐいの高級砲兵単位である。そしていわゆる「操縦ロケット弾」とは「制御誘導ロケット弾」の意味に違いない。

試射の中では「破片地雷弾、地面貫通弾、散布弾」が発射され、試射の結果は「高エネルギー源物質を混合し威力を高めたロケット弾の戦闘部の破壊殺傷力が非常に驚異的」なことが証明されたとされる。「金正恩は操縦ロケット弾の高い命中性およびその戦闘部の、敵の堅固な人員、戦車、火砲、戦闘車両の隠蔽場所を仮想したものをぶち壊し粉砕する威力に対し、非常に大きな満足を表明した。」

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「グーグルマップ上の馬養島西南の角の小さな半島の映像」 続いて2枚目「北朝鮮が発表した画像と基本的に吻合する」)

「金正恩は、国防科学部門はできる限り早く新型大口径ロケット砲など最も新しく研究開発された打撃武器を最高司令部の作戦地域に配備し、本土に落ちておしまいになるまで敵に枕を高くして眠れなくさせる必要がある、と強調した。」

3月3日に韓国方面はかつて報道し、北朝鮮が元山地域から東に向け6発の短距離飛行物体を発射し(だが北朝鮮サイドが発表した画像から見て、8発のロケット弾が全部発射されたはずで、あるいは韓国はまだ全部のロケット弾を探知計測できていないのかもしれない)、飛行距離は100〜150kmだったとし、明らかにここで言うのは今回の試験である。報道によれば、2014年に北朝鮮はかつて元山付近の葛麻半島から大量のミサイルやロケットを発射する試験や演習を行った。

北朝鮮が発表したロケットが目標に命中する画像から、また韓国が言う発射地点と距離を結合させると、今回の試験の標的場として可能性があるのは元山の東北にある新浦港の外の馬養島の西南の角に近い海岸のところである。馬養島には北朝鮮の重要な潜水艦基地が設けられており、葛麻半島から馬養島までの距離はおよそ100km前後である。

北朝鮮が発表した画像は、ロケット弾が直接山の斜面の上にある掩蔽部目標に命中し、爆発が巨大なオレンジ色の火球を生じさせたことをはっきり示している。

北朝鮮の言うところの「高エネルギー源物質を混合」した戦闘部は、このロケット弾の装薬が トリトナール炸薬を使用していることを示すのかもしれない。これは実際にはTNTとアルミ粉末の混合炸薬で、航空爆弾への装填に常用される。TNTに比べ、トリトナール炸薬は威力が18〜50%増加し、特により高い超高圧と温度を生じさせることができる。この炸薬は当然何ら高度先端技術とは評価できず、現代にはさらにいくつかの新しい先進混合炸薬があり、例えばBLU-82爆弾は硝酸アンモニウムと硝酸アルミの混合炸薬を採用し、威力はより大きい。だがあるいはアルミ粉を混入との説明がしばしば公衆に「デラックス」と思わせることができるためか、アメリカメディアもしばしばアメリカのBLU-109地面貫通弾を「アルミ熱剤」爆弾と吹聴する(筆者同様「ザ ロック」を連想した人がいるのでは?)。アメリカ人のこの「徳性」を考慮すれば、北朝鮮がちょっと吹いても強くとがめるにはあたらない。

「破片地雷弾」に関しては、対人地雷散布器を指す可能性があり、一方「散布弾」は当然対人員/車両集束弾のはずである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「アメリカのある輸送事故の中でのアルミ粉末が爆発する光景。非常に壮観なオレンジ色の大火球である」)

こうした弾種は決して珍しいものではなく、各国の大口径ロケット砲には全て類似の弾薬がある。だが北朝鮮の「地面貫通弾」はやや人に興味を感じさせる。今回放出された画像の中の、トーチカ掩体に直接命中したものはまさしく1発の「地面貫通弾」に違いない。明らかに、中国の東風-15C地面貫通弾とは違い、北朝鮮の地面貫通弾は決して深く地中に入った戦略指揮部のたぐいの、頭上に十何mないし何十mのコンクリートを有する目標を破壊するつもりでは決してなく、それは三十八度線南側の大量の掩蔽部に照準を合わせたもののはずである。このことは朝鮮中央通信社の文章の中の関連の内容による実証も得られる。

300mmロケット弾の口径と射程から推断して、その戦闘部の重量は100kgをやや超えるかもしれず、もし構造強度がより高く、厚みが比較的大きい鋼材で外殻を製造し、さらに念入りに外殻先端の外形を設計したら、1、2m厚の鉄筋コンクリートを打ち抜く可能性があり、厚みを加えた外殻の先端部はロケット弾の装薬量の減少をもたらすかもしれないが、混合炸薬で好都合に補われる。

このロケットを配備して何に用いるのかに関しては、朝鮮中央通信社が非常にはっきりと言っている。最初に配備されるロケットは韓国の首都ソウル以北の地域に配備され、「敵に枕を高くして眠れなくさせる」のである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「中国のWS-32およびWS-3Aロケット弾。より細いのがWS-32型302mmロケット弾。制御翼の位置、および折りたたみ不可の尾翼に注意。」)

朝鮮中央通信社の声明の中から、我々は上述のこうした内容を解読することができる。ならば続いて、メインイベントがやってきた。北朝鮮のこのロケット弾はどこから来たのか。別の言い方をすれば、その技術のルーツとしてあり得るのはどこか。何故なら疑いなく、北朝鮮のこのロケット砲を見たあらゆる人がまず連想するのはおそらく中国のロケット砲だからである。特にAR-1およびSY-300という2種の、比較的廉価な商用ダンプトラックシャーシを採用した機種で、一方韓国メディアが挙げた名はWS-1Bである。

実は、北朝鮮のこのロケット砲と中国のロケット砲には決して直接の関係はないはずである。

まず否決されるのはWS-1Bである。その発射管の直径はより大きく、原因は折り畳み式の翼を用いていないことで、最新のWS-32を含め同系列のロケット弾は全てこの技術を用いていない。北朝鮮がWS-1Bをコピー生産し、しかる後にそれに折りたたみ翼を装備したとは非常に想像し難い。そのようにすることには何らのメリットも決してない。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「中国のAR-1ロケット砲は8連装を採用しているが、発射車は8x8シャーシで、北朝鮮のこれに比べ大きい。」 続いて2枚目。「SY-300ロケット砲の前部にも計器室があり、また発射管の数は6本で、かつモジュール化設計を採用しておらず、実は北朝鮮の6x6シャーシを用いた8連装300mmロケットは、きっと何らのオフロード機動性も語れない。」 続いて3枚目。「SY-300ロケット弾のディテール。このロケット弾が実はやはり比較的荒削りなことが見て取れ、コストは北朝鮮を受け入れ不能にさせるには至らない」 続いて4枚目。「アメリカのGMLRSロケットであっても、その内部構造は非常に簡単で、北朝鮮がこれをでっち上げることは全く可能である」)

だがこうだとしても、国際市場のこの種の武器は一般的な注記でもCEPは5〜10mであり、その実際の偏差は25〜50mの間だと推算できる。今回北朝鮮が金正恩のためにデモンストレーションした時、1発のロケット弾は寸法が非常に大きいとは評価されない(20x20mを超えないと見積もられる)標的に直接命中した。もし衛星制御誘導ロケットを使用していたら、運が悪ければすぐ偏差量過大により直接命中できなくなるだろう。ならば「地面貫通弾」デモンストレーションの意味は失われる。

このため筆者は、北朝鮮のこの「地面貫通弾」はセミアクティブレーザー制御誘導を採用して精度を向上させ、もって標的への直接命中を確保したと推測する。レーザー制御誘導弾薬の命中精度は1〜2mに達し得、もし偏差が出現しても何mか以内に落ちることは確保できる。前線のレーザー照射とのコンビネーションの下、直接標的に命中することに何の問題もないはずである。

去年中国兵器工業集団が行った「火砲とスマート弾薬の日」デモンストレーション活動の中で、SR-5ロケット砲が122mmレーザー制御誘導ロケット弾を発射して直接目標に命中するのがデモンストレーションされ、観衆に深い印象を残した。

実は、北朝鮮はとっくにソ連の初期のS-300に近い技術水準の新型対空ミサイルを自ら製造する能力を持っており、この技術水準があれば、制御誘導ロケット砲を自ら研究開発しようとするのは決して困難ではない。しかもこのロケット弾の価格も非常に高くはなく、さらに北朝鮮が用いるのに値段が手頃である。当然、現在の北朝鮮の電子技術水準をもってしては、ロケット砲上にいくつかの密輸した電子部品を用いることはおそらく避けられない。

北朝鮮のロケット砲が使用している可能性があるのはロシアのGNSS制御誘導で、現在の北朝鮮の対外関係状況をもってすれば、これは比較的合理的な選択のはずである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「衛星制御誘導があれば、イスラエルのEXTRA正確制御誘導ロケット弾(頑住吉注:スラングを使った砕けた話し言葉で意味不明)。画像はアゼルバイジャンのイスラエル製EXTRA型300mmロケット発射車」 続いて2枚目。「アメリカのGLMDSロケット弾。戦闘部重量90kg、射程120km」)

ロシアのGNSS衛星ナビゲーションシステムは2014年以来いささか「多難な時期」との感覚があり、衛星電池1個が爆発し、多くの衛星が老化により作動を停止した。さらにいくつかの新たに発射される衛星がまだ時間通りに業務に投入できていない。さらに全地球信号の12時間中断のたぐいの重大事故が出現したことがある。現在その位置決定精度は4〜10m前後である。軍用と民間用信号の精度は基本的に近い。これはアメリカの軍用GPSの1m未満の位置決定精度に比べはるかに劣るだろう。中国の「北斗」システムは現在カバー範囲内のナビゲーション精度が2m以下に達し得、GPSに比べるとまだいささかの隔たりがあるが、将来衛星の数が増加するのにつれ、最終的にこれと同じレベルに到達できる。

現在「北斗」とGPSナビゲーション受信機は民間市場でも非常によく見られる。さらに非常に多くの「三合一」が達成できる、各種ナビゲーション信号が受信できるチップがあるからなおさらである。必要なら、北朝鮮は直接何台かの「アップル」携帯電話を買って分解してもいいわけで、高いのを嫌うならさらに「小米」(頑住吉注:中国メーカー)を買うこともでき、これでも同じである。

どうであろうと、北朝鮮にとって普通のロケット弾を発射した時CEP5〜10mを達成し、レーザー制御誘導ロケット弾を発射した時目標に直接命中でき、しかも射程は100kmを有することができ、これ以上何を求めるだろうか。

(頑住吉注:これより4ページ目)

当然、類似のこのような技術水準のロケット砲は、つまりは国際的な輸出型ロケット砲の一般水準である。現在中国、アメリカはいずれもより廉価で、射程がより長く、性能がより良い遠距離ロケット砲弾薬を持つが、短時間内にはまだ市場には出さないと見られる。

2014年、米韓軍事演習の期間、北朝鮮は今回の試射と同一地点から海上の多くの島嶼の標的場に向け100発以上の各種ロケット弾と弾道ミサイルを発射し、韓国を緊張させて止まなかった。だがアメリカの独立したシンクタンクである「ノーチラス研究所」は当時シミュレーションソフトウェアを利用して北朝鮮と韓国の衝突に対するシミュレーションを行った。だが人を可笑しくさせるのは、このシンクタンクの研究員が明らかに北朝鮮の技術水準を甘く見、北朝鮮の240mmロケット砲はせいぜいソ連のBM-27型220mmロケットに相当するだけで、射程は35km、つまりソウルの核心的地域に到達するには不充分だと考えたことである。かの射程40〜60kmの、中ロ両国がいずれも装備する122mmロケット砲も「北朝鮮が有することはあり得ない」と考えられた。

240mmロケット砲と170mm「谷山」大砲だけを計算し、かつ240mmロケットの射程を非常に大きく過小評価した後の彼らの結論は次のようなものだった。もし北朝鮮が軍事目標だけを攻撃したら、奇襲の状況下で、短時間内に韓米双方2,881人の死亡をもたらすことになる。同様の条件下でもし北朝鮮が軍民の目標を無差別攻撃したら、29,661名の一般民の死傷をもたらすことになり、その中には790名の外国人がいて、さらにこのうち605名は在韓中国人である可能性がある。北朝鮮の進攻は勝とうが負けようがいずれにしても2週間以内に弾薬、燃料を消耗し尽くすがゆえに止むを得ず暫時停止される。彼らが韓国軍の燃料弾薬を奪えない限りは。だが北朝鮮は弾薬を消耗し尽くして敗北するのを待つには至らずもう敗北する。何故なら彼らの計算に照らせば、米韓の反撃は北朝鮮に毎時1%の軍事力を損失させることができ、つまり米韓は100時間以内にもう北朝鮮軍を打ち破れるからである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「このような画像は明らかに韓国に一種の虚偽の優越感を与えただろう」)

何と言おうか、この種の考え方は率直に言ってすでに独りよがりとさえ言えず、純粋に自己陶酔に属する。この種の状況下で、金正恩の300mmロケット砲が100km以上の射程を見せ、かつ正確打撃ができ、これはすでにああいった北朝鮮は弱いと思う人々に警鐘を鳴らすのに充分である。

アメリカメディアはこの前中国はすでにアメリカと一致を達成し、北朝鮮に対し徹底した禁輸を実施しようとしている、と吹いた。言下の意味は北朝鮮の「死は定まった」である。しかし事情は彼らのシナリオ通りには運ばず、中国サイドは石炭、石油の禁輸を国連の2270号決議に含めることに断固反対した。我が国は明確に、北朝鮮核兵器問題の上で、中国は制裁を強調するだけではなく、さらに制裁後いかにして北朝鮮に対話というレールに戻ることを促すかを強調する、とした。

昨日(4日)我が国の全国政治協商大会スポークスマンである傅瑩は対北朝鮮制裁問題について質問された時、SF小説「三体」(頑住吉注:中国の小説で日本語訳はされてないようです)を引用し、北朝鮮と韓国は「暗黒の森林」の中にいる、何故なら極度に安全感と信頼が欠乏し、いずれも直ちに相手方を死地に置きたくてたまらないからである、と考えた。米韓両国が頻々と軍事演習を行い、アメリカが止まることなく韓国に将兵を移動派遣している状況下で、北朝鮮は300mmロケットを試射し、かつそれを用いてソウルを攻撃すると声明し、これはまさしく1つの直接的回答である。傅瑩は話の中で「東北アジアの安全のミステリーサークルを脱するには、安全を用いて安全に換えるのだ」と提示した。皆全て朝鮮半島がこの結果に向かうことを希望しているが、米韓と北朝鮮との間の「暗黒の森林」の現状はおそらくすでに改変することが非常に難しい。某種の程度上、我々は北朝鮮に合格点の出せる「執剣人」(頑住吉注:この小説の中の概念で、非常に大きな力を持つ人みたいな意味のようです)がいることだけに期待するしかない。


 300mmロケット弾の威力は非常に大きいでしょうし、車両で移動するので場所を特定したり個別に潰すのが難しく、安価なので多数用意することができ、比較的簡易とはいえ制御誘導機能があって目標を正確に打撃できるとなれば地理的に近いことは変えようがない韓国にとって相当に厄介な相手になるでしょうね。また過去にこれより小さい口径の核砲弾もあるわけですから理論的には将来北朝鮮がこのロケット弾に核兵器を搭載する可能性もないとはいえないはずです。













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