CZ2075RAMI

 「Visier」2005年4月号に、あのCZ75シリーズの最新作にして最小のサブコンパクトモデル、CZ2075RAMIに関する記事が掲載されていました。


ビジネスクラス
フランコニアは、9mmルガー仕様のCZ2075RAMIによって、いまだに成長を続けるCZ75ピストルファミリーの目下最小の新芽である新製品を提供している。

 CZ-USAはアメリカにおいて2075RAMIをすでにほとんど1年半前から販売している。しかしこのCeska Zbrojovka製11連発サブコンパクトピストルのドイツへの到着は遅れた。だが、そうこうするうちにこの銃の設計者であるRadek Hauerlandとlan Trakuljaにちなんで名付けられた軽合金フレームつきDA銃もCZ製品の輸入業者フランコニアの提供品の中に見られる(頑住吉注:ドイツ人はこういう書き方が好きですが、乏しいドイツ語力を持って一生懸命読んでるこっちはイライラします。黄色部分は全てCZ2075RAMIを指しているわけですが、素直に銃をめぐる事情の説明が済んでから銃自体の性格を説明すりゃいいでしょうにね)。2075というモデル名称に反して、RAMIはむしろ、CZ75とDAOモデルであるCZ40/コルトZ40の縮小混合物であるかのような印象を与える。このチェコの会社はスライド、アルミフレーム、エジェクションポート内でロックされるバレルの基本コンセプトをCZ40から引き継いでいる。CZ75はコンベンショナルなダブルアクションシステム(DA/SA)と側面にあるサムセーフティに寄与している。

 加工のグレードは良好な中位クラスレベルのディフェンスガンに相応のものだった。スライド上面とリアサイトの間からは日光がもれてきた。CZ75とは違って横方向のアリミゾにセットされたフロントサイトにもこれは同様にあてはまった。(強化されていない)ラバーグリップのエッジはこれよりいくらか大きな不快感を引き起こした。このグリップのエッジはフレームから2、3mmめくりかえすことができた(頑住吉注:強化されていないというのはラバーグリップに金属の心材が入っていないことを指すようです。手元にないんで確認できませんけど確か当時3,500円のグンゼ製グリズリー付属のラバーグリップにすら入っていませんでしたっけ。芯の入っていないラバーグリップって旧ヨネザワや旧LSの低価格商品くらいしか思い出せません)。だが心配はない。ノーマルな使用の際にRAMIのラバーグリップが開くことはない。金属表面にはまだ工具跡が残っていたはずだが、これはスライドおよびフレームの均一なマットブラックのポリマーコーティングで覆い隠されていた。テスト銃の仕上げはきちんとしたものだった。このピストルは相当な振動を与えると、スライドがフレームのレール上ではっきり分かるがたつきによって反応した。このスライドの遊びは極端すぎるものではなかったが、この2075はノーマルな扱いの際にすでにカスタネットのような同じ音を発していた。そのかわりバレルは閉鎖状態でスライド先端内部でタイトに保持された。この3インチバレルの後部はチャンバー領域でたっぷり0.5mm横方向に動かせたが、上下方向には動かせなかった。

 施錠できるプラスチックボックスから出したての状態では、テスト銃のトリガーはシングルアクションモードでレットオフ直前に感じられる「段」によって邪魔された。コックされたハンマーはトリガーバーによってレットオフされる直前にまだ約2mm後方に押し戻され、これがトリガーフィンガーにも感じられたのである(頑住吉注:安全のために微妙にDAO寄りに調整してあるとかじゃないんでしょうかね)。わずかなLiquimoly銃器油脂(頑住吉注: http://www.mic-w.co.jp/liquimoly.html モータースポーツ用のオイルも販売しているドイツの会社らしいです)を接する面にさすことで摩擦は一部分のみ軽減された。このトリガーはトリガー抵抗の値を変えない場合でさえ手を加えることによってかなり利益を得ることになる。この点を別にすれば2kg強の抵抗値を持つこのSAトリガーは、コンバットピストルとして普通の範囲内である。DAトリガーは比較的しなやかに推移し、レットオフ後に驚くようなオーバーランはない。また4.5kgとこれも重すぎない。しかしDAモードでは最終的にハンマーがレットオフするまでにストロークがたっぷり18mmある。このCZ製DAシステムは短い指用には最適でない。

 フレーム上部のスライド誘導レールが内側にあるという構造に制約されて、RAMIの場合もスライドの滑り止めミゾのための充分なスペースがないままである。この2075はそのスライドセレーションによる操作がより大きいノーマルなCZ75よりやりやすくもやりにくくもない。だが、ローディング、あるいは機能障害の際、例えば1911系、SIGザウエル、グロックほど大きな操作面を手のために提供しない。特別にスリムなスライドストップレバーは、握りなおしなしで届くためには遠すぎる前の位置にある。これに対しマガジンキャッチはいかなる操作問題も引き起こさない。

 スリムなサムセーフティはきれいに、軽く動き、両ポジションでクリアに定義されたかみ合いをする(頑住吉注:この記事の筆者はSTIローマンのレポートの筆者と同一人物ですが、あのときとほぼ同じ表現で、この筆者のくせのようです)。このセーフティはシューティングレンジでは、コックしてセーフティをかけた銃を時間の圧迫の下でセーフティ解除して発射する際も毎回機能した。それでも、このセーフティは緊急事態においてストレスに制約されたこわばった指で100%信頼性を持って押し下げるためには薄すぎるように思われる。CZは選択肢として幅を広げたセーフティ、あるいはこのサイズでもCZ75BDのスタイルのデコッキングレバーつきモデルバリエーションを発売すべきである。

 シューティングレンジにおいてこのRAMIは25mでのシッティング依託射撃、5mでのラピッドファイアという両試練に耐えねばならなかった。特にサブコンパクトピストルの場合はますますそうであるが、射手の手の大きさでどれだけそのモデルの射撃フィーリングが「良い」かが決まる。だからここでの評価は全く主観的なものと受け取られたい。ターゲットに対して45度でホールディングしての5mにおける5発連射は、ベストのときは平均1.3秒かかった。その際最初の、DAで発射される射撃は全体時間の半部以上を要した。グルーピングはほとんど全てトランプのカードで覆い隠せた。

 このCZはその標準装備のラバーグリップによって、例えばワルサーやS&Wの小さなポリマーモデルよりも手の中で滑りにくい。ただ、ワルサーやS&Wでもそのグリップフィーリングはゴム製カバー(頑住吉注:グリップにかぶせるパイプ状の滑り止めのことです)あるいは例えばスケートボードテープ(頑住吉注:こんなのですかね http://www.xtreme.jp/deck.html )によって間違いなく損なわれない。純主観的にこの銃のマズルは例えば9mmルガー仕様のワルサーP99cよりも射撃時いくらか大きくジャンプする。だがそのかわりこのRAMIはいくらか速く再びターゲットをポイントできる(頑住吉注:ジャンプが大きいのに復帰が速いというのはどういうことなのかよく分かりません)。25mにおいてベストのグルーピングは50mmと計測され(S&Bの115グレインホローポイント)、フェデラルのGold-Medal弾薬が55mmでこれに続いた。だが残りのグルーピングはほとんど全て80〜120mmに広がった。テスト銃はその良好なバレルのはめあいに基き、より正確な射撃になりそうだが、切れ端のようなグリップ、短いサイトライン、そして特に摩擦のあるトリガーに制約されてグルーピングが拡大した。

 このRAMIは2回、IMIのDICUTホローポイント弾薬(頑住吉注: http://www.imisammo.co.il/di-cut.htm http://www.fullaventura.com.ar/municiones/nota102142.asp )をスライドストップを使ってダイレクトにチャンバーに送ることを拒んだ。これはいずれも初弾である。しかしこの問題はこの弾薬で、そしてフルロードしたマガジンでしか起きなかった。この銃は他の場合では究極的に障害フリーであり、Sellier&Bellot、Magtech、UMC/レミントンのホローポイントおよびフェデラルのエクスパンディングフルメタルジャケット(EFMJ)も難なく飲み込んだ。

 目下(まだ)RAMI用のアクセサリーは多数存在しない。これまでたいていのホルスターメーカーはまだこの小さなCZを無視してきたが、理論的にはRAMIはグロック26/27用の多くのホルスター(例えばアンクルマイクスのカイデックスホルスター)にも信頼性を持って、そして正確なフィットを持って収められるはずである。自己発光トリチウムサイトもまだない。これに関してはおそらくすでに今年のうちに1あるいは複数のトリチウムサイトの提供者が救済策を配慮するだろう。CZ-USAは組み込みのアダプターつきの延長された14連マガジンを発売している(頑住吉注:CZ-USA公式サイトのアクセサリー一覧表にはあるんですが画像はないようです)。これによりグリップがごつくなりすぎるという人は、オリジナルCZマガジン底板は小さすぎるものの、スプリングフィールドアーモリーXDコンパクト用のいくらか大きいマガジン底板/固定具が比較的簡単にCZ2075用に改造できる。

結論
 総合的に、CZ2075RAMIはその安価も勘案して他のサブコンパクトピストル群に対して完全に競争能力を持つという印象を残した。セーフティレバーのデザインとデコッキングレバーのない古臭いDA/SAシステムは、唯一の本質的(そしておそらく多くの人にとって決定的な)弱点を形作っている。他のトリガーシステム、デコックシステムを好む人は現時点では他のメーカーを探す必要がある。…あるいはRAMIのデコッキングレバーつきバリエーションを待つかである。

モデル:CZ2075RAMI
価格:549ユーロ
口径:9mmx19(ルガー)
装弾数:10+1発
寸法:168x32x121mm
バレル:76mm(ライフリングピッチ250mm)
重量:730g
型:アルミフレーム。ポリマーコーティング。ダブルアクショントリガー。オートマチックファイアリングピンセーフティ。ラバーグリップ。
装備:予備マガジン。マガジンローディング補助具。バッファー弾薬
(頑住吉注:説明はありませんが、写真で見る限り内部にスプリングが入っているものではなく、プライマー部に円筒形の柔らかい樹脂をインサートし、痛んだら交換するタイプのようです)。Kabelschloss(頑住吉注:検索によると自転車に使うようなケーブル状のロックです)つきプラスチックボックス。ドイツ語の取扱説明書。


 CZ-USA公式サイトにおける紹介ページはここです。

http://www.cz-usa.com/01.detail.php?id=48

 最近登場した新製品かと思いましたが、ドイツに入ってくるのが遅れただけで、アメリカでは「ほとんど1年半前」から販売されているということです。見ると、2003年12月初版となっている床井雅美氏の「最新版 現代ピストル図鑑」P84にすでに掲載されていました。どういういわけかこの本の写真ではスライドストップの操作部がありません。あるいは試作段階では、短いスライドに合わせた強力なリコイルスプリングではどのみち片手では操作できないのでワルサーPPシリーズのようにスライドを引いて解除することを考えていたが、思い直して通常のスライドストップにした、ということかもしれません。まあそれにしては今回の記事中に特別に薄いデザインのスライドストップの操作性が低いという指摘はありませんけど。

 この銃は基本的にはCZ75シリーズのサブコンパクト版ですが、外観的にはCZとコルトの共同開発によるCZ40にも似ており、CZ75のような独立したロッキングラグ・リセスのないいわゆるSIGロッキングになっている点など一部特徴も引き継がれています。ちなみにCZ40は「最新版 現代ピストル図鑑」では「コルト社撤退後、CZ社が販売する」となっていますが、CZ-USA公式サイトにはすでになく(あの評判の悪いCZ100ですら残っているのに)、要するに失敗作だったようです。

 アルミフレームのCZ75系はすでにありますし、このCZ2075RAMIはサブコンパクトであるという以外別に特に新味はありません。構造的にもサブコンパクトにありがちなダブルのリコイルスプリングになっていることくらいしか目につく点はありません。すでに触れたようにこの筆者はSTIローマンの記事の筆者と同一人物ですが、「ポリマーコーティング」という表現が同じなのでたぶんこの銃の仕上げも焼付塗装に近いものだと思います。この手法には皮膜が強いこと、乾燥を待たなくてよいので時間がかからないことの他、サンドブラストした上から塗装してしまえば少々のツールマークは隠れてしまうというメリット(?)もあるようです。そういえば確かアームズのガンスミスでときどき仕上げを適当に済ませ、ザラザラのスエード調スプレーを吹いて誤魔化していた人もいましたっけね。

 「H&K P2000SKとSW99コンパクト」、「ワルサーP99にも問題発生か」の項目の内容と比較すると、この銃のグルーピングはどうもP99cよりいいようですし、価格はグロックはおろかタウルス製品より安くなっています。性能も使用目的には充分以上でしょうし、重量もプラスチックフレームの銃よりは重いものの我慢できる程度に抑えられています。操作性に関してこの筆者は批判していますが、まあこれは好きずきでしょう。オートマチックファイアリングピンブロックがあるDAオートならセーフティを使わずともハンマーダウン状態で安全に持ち運べるはずですし、使用目的からしてスライドストップを緊急に操作する場面も少ないでしょう。ただまあデコッキングレバーがないためにハンマーダウン状態で持ち運ぶにはハンマーに指を添えてトリガーを引いて倒すしかなく、現在ではこれは危険すぎると評価されてもしかたないかもしれません。昔は珍しくなかったんですけどね。
 
 他のバリエーションを期待するような記述がありますが、アメリカで「ほとんど1年半前」から販売されていながらいまだにこのタイプしかないようなので、あまり可能性は高くないのではという気もします。それとも主にアメリカで販売されていたからアメリカ人好みのタイプしかなかったのであって、ドイツで販売されるようになったことをきっかけに他のバリエーションが加わるということもあるでしょうか。

 いずれにせよ面白みはないものの決して悪い銃ではなく、安価でありながら西側一流品と少なくともセルフディフェンス用ピストルとしての実用性ではさほど遜色ない製品と見てよいのではないかと思います。






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