アメリカは少なくとも2040年まで殲ー15を圧倒することができない?

 また殲ー15に関する記事なんですが、ちょっと意外な記述が含まれています。

http://military.china.com/news/568/20130912/18045013.html


カタパルト発進型殲ー15は極めて大きく米軍の計画をかき乱すことになる F-35Cを制約できる

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「殲ー15の飛行訓練」)

殲ー15はあなたが思うより重要だ

アメリカ海軍の艦載ステルス戦闘機研究開発の道は比較的でこぼこである。第4世代ステルス戦闘機を艦に搭載する、この考えはステルス戦闘機出現後に早くも存在していた。1971年、アメリカ空軍は第4世代戦闘機ATFの概念原型を提出し、第4世代戦闘機の初歩的探索を開始した。1983年、アメリカ海軍はATAプロジェクトを始動し、その目的はステルス性を持ち、弾薬搭載量が大きい大型攻撃機を研究開発し、当時のA-6攻撃機に取って代わらせるのに用いることだった。2年後の1985年9月、アメリカ空軍はやっと完備されたATF検証/確認段階の方案の必要性を発表した。この時、アメリカ海、空軍は相互に立場を交換しての協力を行った。すなわちアメリカ海軍はATF計画に加入し、ATFを基礎にN-ATFを研究開発し、F-14に取って代わらせるのに用いる、と宣言したのである。一方空軍も同時に、海軍のATA(先進戦術攻撃機)計画を基礎に新世代大型攻撃機を研究開発すると宣言した。軍事マニアの角度から見ると、海軍のステルス戦闘機はN-ATFもATAも設計が非常に前衛的でSF的だった。例えばN-ATFは基本的にはF-14にF-22の技術を応用したリニューアル版だった。一部のネット仲間はこれを「トムキャットステルス版」と呼んだ。ATAが発展してできたA-12攻撃機はさらに極端で、デルタ翼の造形が絶対的に人目を引いた。だが双方はやはり海、空軍戦闘機の設計の根本的差異を過小評価していた。空母艦載機はステルス設計がもたらす重量超過問題を受け入れられなかった。ステルス版F-14はすでに空母での使用の上限を超えていた。一方A-12攻撃機はさらに重量が3.6トン超過し、見込みより30%超過した。

ステルスという角度から見て、アメリカの当時の意欲は相当に大きかった。つまり海空軍の主要な戦術戦闘機を全面ステルス化しようとした。もしさらにB-2爆撃機を加えれば、米軍の目標は空中打撃力量の全ステルス化実現だった。現在見てみると、アメリカ空軍のステルス化は比較的スムーズで、F-22はすでに就役し、F-35も間もなく一定の状態に達する。だがアメリカ海軍艦載機のステルス化はあまりスムーズではない。これはステルス戦闘機が武器の内蔵化を必要とするからで、こうなるとより多くの構造的「デッドウェイト」が増加する。F-35のような単発機もすでに大型戦闘機の指標に近づいており、もしさらにより空母の使用に適する、大型双発戦闘機あるいは攻撃機を研究開発したら、その重量増加は受け入れられない状態にまで到達し、現在の技術での重量軽減能力も超える。N-ATFおよびA-12がまさに例証である。このためアメリカがその空母艦載機の中に、長期にわたりF/A-18E/Fのポストを留保しているのはこれが原因である。これはまだいくつかの艦載機を含んでいない。例えば電子戦機はそれ自体もうステルスと矛盾する状態にあり、第3世代プラットフォームを採用するしかない(頑住吉注:ステルス状態で飛んで行って電子妨害を行い、ステルス状態で帰る、というのは無意味なんですかね)。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「アメリカのF-35C艦載戦闘機が空中給油を演習」)

現在アメリカ海軍の空母の中でF-35Cの地位は比較的まずいものである。まずF-35Cはアメリカ海軍の必要性に照らして専用に設計された飛行機ではなく、いわゆる三軍汎用の要求に基づき、無理にアメリカ海軍に押しつけられたものである。次に空母作戦の中で、F-35Cの機能は非常に模糊としている。戦闘機の世代区分から見れば、F-35CはF/A-18E/Fより先んじている。このため一般にF-35Cは空母航路護衛や攻撃の主力の役割を引き受けると考えられている。だが実際にはF-35の単発設計、比較的劣る機動性、比較的低い弾薬搭載量は、いずれもこの機に空戦や攻撃の時主力の任務を引き受けられなくする。このため一般に航空界の人物は、米軍の未来の空母艦載機ハイローミックス構造の中で、ハイはF-35CではなくF/A-18Eだと考えている。しかもより深刻なのは、F/A-18戦闘攻撃機自体の主要な任務は対地、対艦攻撃であって空戦ではない、ということである。F/A-18がアメリカ海軍に加入したのも、本来A-7攻撃機に取って代わるためだった。F/A-18E/FはF/A-18C/Dの拡大改良型で、その空戦能力が一体どのくらい強いのかは、ずっと少なからぬ専門家、学者、航空マニアに疑問を呈されている。F/A-18E/Fは将来F-35Cと組み合わせられても、対地攻撃を主要な任務とする。ならばこれは重要な問題に関わる。将来誰がアメリカ海軍の空中の優勢を保証するのか? F-35CとF/A-18E/Fの形成する組み合わせは、非常に大きな程度上その他の国の空母艦載機の実力が比較的弱小で、もし米軍の未来の2種の艦載機がいずれも制空戦闘機でなくても対応するには足りるからである。だが状況はこのように理想的だろうか? 明らかにそうではない。

もし殲ー15がカタパルト発進に改装されたら、これはアメリカのF-14戦闘機が2006年に退役した後におけるまた1機種の大型カタパルト発進の艦載戦闘機の出現を意味する。殲ー15がカタパルト発進に改装されれば、その最大発進重量は30トンを超える可能性が高い。外電は中国の殲ー11の空虚重量は16トンだと報道している。もし殲ー15がまだこの数字に抑えられていれば、殲ー15の機内搭載燃料が6.5トンという状況下で弾薬搭載量が7.5トンに到達し得ることを意味している。これは非常に見るべきものがある数字で、殲ー15は新世代航空電子システムに頼り、遠距離迎撃でも空中格闘および対地対艦攻撃でも非常に出色となり、性能は全面的にアメリカのスーパーホーネットやフランスのラファールM艦載機を超えることになる。その時殲ー15は世界で最も先進的な第3世代大型艦載戦闘機となることが有望である。このことは極めて大きく世界の空母作戦力量の比率を変えることになり、世界の周辺構造に対しても深遠な影響を生じさせることになる。

(頑住吉注:これより2ページ目)

もし中国がカタパルト発進型殲ー15を研究開発できたら、極めて大きく米軍空母艦載機発展の歩みをかき乱すことになる。スホーイー33を参考にすることと、本国で発展させた大型戦闘機開発の経験と技術により、カタパルト発進型殲ー15はスーパーホーネットに比べてより優秀な空母大型艦載多用途戦闘機プラットフォームとなる可能性がある。米軍のF-35Cはより先んじた第4世代戦闘機だが、空母作戦の中でこの種の世代差の優勢は非常に大きく打ち消される。制空権奪取でも攻撃作戦でも、F/A-18EおよびF-35Cはいずれも殲ー15に対する絶対の優勢を形成し難く、逆に至るところで制約される。このため米軍は止むを得ず新たな空母ステルス艦載機を研究開発して殲ー15から来る挑戦とバランスを取ることを迫られる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「空母艦載機のステルス設計は深刻な重量超過問題をもたらす。例えばアメリカのA-12攻撃機は見込みより30%重量超過した。」)

2008年、アメリカ海軍は「次世代の空中の優勢」計画を提出した。その目的は現有のF/A-18E/Fスーパーホーネットに取って代わらせるのに用い、設計上は有人戦闘機と無人戦闘機のコンビネーション形式を採用し、対地攻撃機能を強化するものだった。2009年および2013年、アメリカのボーイング社はすでに彼らが設計した海軍第6世代戦闘機の想像図を公開展示した。米軍の想定によれば、第6世代戦闘機は2040年前後に全面的にスーパーホーネット戦闘機に取って代わることになる。もしカタパルト発進型殲ー15が2020年に部隊装備できれば、アメリカ海軍は20年内中国の「フライングシャーク」の存在に直面することを意味する。もしアメリカの経済が低迷を続け、あるいは研究開発進度に曲折が生じれば、アメリカ海軍の新世代高性能大型艦載多用途戦闘機が欠乏する状況はより長い時間持続することになり、米軍艦載機の圧倒的優勢を重視するのは難しくなる。このことはアメリカの西太平洋における軍事力投入に深遠な影響を生じさせることになる。

空母艦載機のステルス化は1つの趨勢である。だがステルス空母艦載機の主要な作用も見ておく必要がある。まず制空権の奪取、しかるのちに自身の隠蔽性を利用しての敵のカギとなる重要なポイントに対する空中突撃を行うことである。もしアメリカがF-35Cにより多くの対艦機能を付与していなかったとしても、この任務はB-1Bなどの爆撃機に与えられて完成される。中国にとって、ステルス艦載戦闘機を使用して敵艦隊に対して突撃を行うことも決して現実的とは言えない。これに比べ、高性能ステルス艦載戦闘機と弾薬搭載量の多い非ステルス艦載戦闘/攻撃機コンビネーションの模式は、純ステルス艦載戦闘機群に比べより有効な打撃能力を発揮する可能性がある。ステルス艦載戦闘機をもって敵サイドの艦載機空中防御圏を突破し、非ステルスの殲ー15を護送して大量の対艦ミサイルを発射し、敵に対し高密度のミサイル打撃を行い、敵サイドの艦対空ミサイル、近距離防空システムの防御圏を撃破することは、敵艦隊の海上進攻能力を完全に喪失させる可能性がある。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「殲ー31は中国の次世代艦載戦闘機に発展する可能性がある」)

殲ー15の豊富な多機能打撃能力ゆえに、中国の未来の空母ステルス艦載機はより多く、より複雑な対艦および対地攻撃職能を付与されず、はっきりとその研究開発の難度が下がり期間が短縮される。何故ならこのような中国のステルス艦載機の内部弾薬倉の寸法は比較的限られ、このことは空母艦載機の寸法と重量を小さくするからである。このことは中国というこのような材料工業とエンジン生産技術がまだ特別発達しているわけではない国にとって、設計師に中国空母作戦の要求に符合するステルス艦載機を開発するより多くの成功可能性を持たせることができる。この角度から言うと、「鶻鷹」が中国の次世代ステルス艦載戦闘機になり得るか否かは、殲ー15のパフォーマンスと直接の関係がある(頑住吉注:殲ー15カタパルト発進型が攻撃の役割を引き受けてくれれば比較的小型の殲ー31は艦載制空戦闘機として活躍できるが、攻撃の役割が求められたら務まらない、ということでしょうね)。また、もし中国の殲ー20が艦載機になっても、この中から益を受ける。何故ならより小さな内部弾薬倉の寸法は艦載型殲ー20の断面積と重量を有効に減少することになるからだ。このことはさらに一歩殲ー20の空中機動性向上の助けになり、殲ー20艦載改装がもたらす重量増加などの方面の難度を下げる。逆に、もしステルス艦載戦闘機がより多くの機能を引き受けたら、例えば殲ー20の弾薬倉に大型対艦ミサイルを搭載して攻撃を実施させたら、殲ー20の見たところ元々非常に大きなサイズを小さくすることは難しくなり、しかも構造を強化する必要があり、このように改装した艦載型殲ー20は、重量超過ゆえに米軍のA-12などステルス艦載戦闘機研究開発の失敗と同じ轍を踏む可能性が高い。

また、番組「面対面」の説明によれば、殲ー15は我が国が自ら生産する殲ー11戦闘機を基礎に開発されたものだ。殲ー11と殲ー15の差異は、米軍のF-15とF-18の差異よりはるかに小さい。中国の沈陽飛行機は殲ー11、殲ー11B、殲ー16など空軍大型第3世代機の一部の生産設備と部品を研究開発した。このことはきっと殲ー15の上に応用できる。この意味から言うと、殲ー15は完全なやり直しではなく、その関連の研究開発と装備費用は、中国第3世代大型機の大規模生産の中にとけ込ませることができ、したがって資源の共有利用、調達と維持メンテナンス費用の節約が実現され、次世代艦載機の研究開発のために貴重な資金が節約される。これに比べ、インドがロシアから輸入する軽戦闘機は単価が4,500万アメリカドルにも達し、2.8億人民元に相当する。このため中国の殲ー15艦載機は中国国産設備として、常に外国軍装備の購入に比べよりそろばんに合うのである。中国が買いたくても、必ずしも国外から必要な装備が買えるわけではないからなおさらである。(鄭文浩)


 最近楽観的すぎる未来予測が多いんですが、これは中国の弱点も率直に認めた上での論であり、かなり説得力を感じます。「(殲ー15の)性能は全面的にアメリカのスーパーホーネットやフランスのラファールM艦載機を超える」ことになるかは大いに疑問ですが、多くの面でやや劣る、程度だったにしても「(アメリカ海軍が)絶対の優勢を形成し難」いという点が重要なのであり、この論の基本的主張に大きな影響はありません。

















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