殲ー20の最新の試験が意味するものは

 1枚目の画像でも左右のエンジンの噴射口の大きさが極端に違うのが分かります。

http://tuku.military.china.com/military/html/2014-04-28/223624_2486584.htm


ニューバージョンの殲ー20片発で発着:エンジンに重大な突破があったか

最近、コードナンバー2011の国産殲ー20第4世代戦闘機の一連の試験飛行の新たな画像が明るみに出た。この前の試験飛行と異なるのは、2011号殲ー20が空中燃料放出、片発着陸など新たな項目の試験を行ったことで、これは軍事マニアたちの視線を殲ー20戦闘機の「心臓」であるエンジンにも集中させた。いくつかの2011号殲ー20の高画質画像の拡大を経ると、この外形が「大改造」を経た殲ー20は、エンジンにも関心を注ぐに値する部分がある、ということが非常にはっきりと見て取れる。(頑住吉注:いちいち末尾に画像のソースが示されていますが省略します。)

(頑住吉注:2ページ目)画像の中から直接的に見て取れるのは、2011号殲ー20が2種の異なるエンジンを使用して試験を行っていることだ。少なくとも外見上、2種のエンジンの尾部噴射口は色合いの上で顕著な差異がある。

(頑住吉注:3ページ目)一方最近明るみに出た殲ー31戦闘機の最新の試験飛行の画像の中では、この国産第2種目の第4世代戦闘機も2種の異なるエンジンを採用して試験飛行を行っている。

(頑住吉注:4ページ目)殲ー31戦闘機のエンジンのディテール

(頑住吉注:5ページ目)実は、これは決して殲ー20の、2種の異なるエンジンを使用して試験飛行を行う状況の初の出現ではない。2013年3月に明るみに出た2002号殲ー20の試験飛行の画像の中から早くも、注意深いネット仲間が2台のエンジンの外観上の細微な差異を発見していた。このことは、ネット仲間たちのもう1つの問題、殲ー20はすでに国産エンジンを装備しているのか否かに対する高度の関心を引き起こした。

(頑住吉注:6ページ目)最も新しく明るみに出た2011号殲ー20の試験飛行の画像の中からは、2台のエンジンが作動時に「1つは大きく1つは小さい」の状況を見せていることが見て取れ、この現象は「大小眼」と呼ばれている。

(頑住吉注:7ページ目)殲ー20のエンジンが採用しているのは調節可能な収斂・拡張尾部噴射管であり、この種の尾部噴射管のブレードは飛行状態の変化と共に、モーターによって作動筒プルバーと連動し、噴射管の臨界断面積と出口の断面積を変え、気流をできる限り出口のところで完全に膨張させ、最も有効な推力効果を達成することができる。

(頑住吉注:8ページ目)一般にアフターバーナー付きの戦闘機エンジンは皆調節可能な尾部噴射管の構造を採用し、アフターバーナー使用状態で相応に噴射口が拡大することを保証する。調節可能な尾部噴射管で外観上見られるのはブレードの拡張、収斂の動作で、また内部にはさらに噴射管喉部の臨界断面積の改変がある可能性があり、同時にこの両者を調節すると燃焼ガスをより良く膨張、加速、仕事させ、エンジンの効率を高めることができる。

(頑住吉注:9ページ目)管のルートの中で、高圧の気体が低圧方向に流れて向かう時、膨張、加速が発生するが、流体の運動は質量連続の方程式を満足させる必要があり、任意の断面を流れ過ぎる質量流量は等しいことが必須であるなどで、このため断面積が変化する時、気体が膨張、加速する時にできるだけ多くの膨張の仕事を自身の運動エネルギーに転化させることができる。少なからぬネット仲間は調節可能な尾部噴射管を採用した戦闘機が加速する時ブレードは収斂するのかそれとも拡張するのかに興味を持っているが、実際には2種の状況に分かれるのである。

(頑住吉注:10ページ目)エンジン内の高圧気体の速度が音速(その時の気温、気圧に対応した音速)以下の時は、膨張する時自身の加速する速度が密度の低下する速度より小さく、このため流れるルートの断面積を減少させることによってできるだけ高い速度を得る。

(頑住吉注:11ページ目)気体がその場での音速を超えた時は状況が変わってくる。膨張時、自身の加速の速度を密度低下の速度より大きくさせ、このためより大きな速度を達成するには流れるルートの断面積を増大させる必要がある。全体的に言うと、出口の速度がその場の音速より低い時は噴射管を収斂させる必要があり、出口の速度がその場の音速より高い時は、まず収斂させ、さらに拡張させる必要がある。

(頑住吉注:12ページ目)だがネット仲間たちを興味深く感じさせるのは、2011号殲ー20が燃料放出と発着の過程で終始2つのエンジンの尾部噴射口を1つは大、1つは小の状態に保持したことで、この現象から分析すると、以下のいくつかの種類の可能性があるだろう。

(頑住吉注:11ページ目)

1、新型エンジンを採用した

杜文竜大佐は中央テレビ「グローバル視線」のインタビューを受けた時、殲ー20はあるいは新型の動力システムに換装し、国産の「心臓」を使用するよう変更し、全面的に国産化を実現した可能性がある、とした。外観から見て、このうち片方の収斂調節ブレードはロシア製AL-31系列エンジンと同じである。AL-31系列エンジンの外層収斂調節ブレードは、2枚ずつの大きな収斂調節ブレードで1枚の小さな収斂調節ブレードを挟む構造を採用しており、外観上は大きな収斂調節ブレードと小さな収斂調節ブレードが交錯して円形の尾部噴射管を組成している。

(頑住吉注:12ページ目)画像はロシア製AL-31F型エンジン

(頑住吉注:13ページ目)これに比べ「太行」エンジンの尾部噴射口は、外層の収斂調節ブレードが順番に折り畳まれる構造で、それぞれの収斂調節ブレードは全て前後連なった部分が前の1枚と重なり、尾部噴射口は外観上大小の形状が一致した収斂調節ブレードから組成される。この点から見て、2011号殲ー20に装備されているのは決して国産の「太行」エンジンではない。画像は中国航空博物館に展示される「太行」エンジン。

(頑住吉注:14ページ目)「太行」エンジンとAL-31エンジンの比較

(頑住吉注:15ページ目)2011号殲ー20に用いられているうち1方のエンジンは、最も新しく研究開発されたWS-15型かもしれないと考えるもう1つの視点もある。だが、現在WS-15大推力エンジンはまだ機に装備して試験飛行する初期段階にあり、使用するまでには少なくともまだ5〜7年の時間がある。もしWS-15の研究開発がすでに重大な進展を取得していたとしても、依然試験中のエンジンを試験飛行中の新型機の上に装備する、このようにする可能性は高くない。

(頑住吉注:16ページ目)このように見ると、殲ー20に採用されているエンジンは依然AL-31系列の改良型である可能性がある。外観上の変化に関しては、ある推測は殲ー20戦闘機のうち1つのエンジンの尾部噴射管の外側には、白色のステルスカバーが装備され、エンジンの輻射熱に関する指標の低下に用いられている可能性がある、と考える。だがより可能性があるのは、2011号殲ー20が1台を性能がより良いエンジンに換装したというものだ。

(頑住吉注:17ページ目)

2、2台のエンジンの性能の差が比較的大きい (頑住吉注:ちなみにこの部分は原ページでは欠けており、ずっと後の重複部分から補いました。)

画面の中から見て、2011号殲ー20は飛行過程でエンジンの「大小眼」状態を保持している。1つのあり得る状況は、2台のエンジンが推力の上で差異が比較的大きく(排出される推力の差動は偏向コントロールの要素)、このため尾部噴射管のブレードの調節によって推力のバランスを実現する必要がある、というものだ。これは2台のエンジンに性能上一定の差が存在することをも意味しており、左側の旧型AL-31系列エンジンのブレードの収斂から見て、右側の新たなエンジンの推力はより大きいはずである。

(頑住吉注:18ページ目)殲ー20がロシア製AL-31エンジンを採用するのは比較的穏当な策で、結局のところ中国はこのエンジンの使用の上で豊富な経験がある。だがAL-31FNエンジンの推力:重量比は7から8の間でしかなく、一方F-22のF-119エンジンの推力:重量比は空前の10から11に到達しており、殲ー20を性能上F-22に匹敵させようとするなら、F-119と同クラスのエンジンを配備する、あるいは少なくとも推力:重量比が8から9の間に到達する改良型エンジンを装備することが必須である。試験飛行中に2台の異なるエンジンを装備していることは、中国も努力して殲ー20のために適した「心臓」を探し求めているのだ、ということをも説明している。

(頑住吉注:19ページ目)

3、片発着陸試験を行う

最新の2011号殲ー20の発着、試験飛行の画像の中で、また「大小眼」の状況が見られた。だが細かく見ると、戦闘機の尾部噴射口のところから出る熱流が、基本的に右側のエンジン一方に集中していることに気付くことができる。このことは、左側のエンジンは作動停止状態にあることを意味している可能性がある。

(頑住吉注:19ページ目)この種の現象は双発戦闘機の片発着陸試験の中で出現するだろう。すなわち1台のエンジンを停止し、もう1台のエンジンだけに頼って着陸し、もって戦場で出現する可能性があるエンジン故障の状況に対応するのである。これには戦闘機のエンジンの性能、全体的な操作コントロール能力、試験飛行員の操縦技術全てに対し極めて高い要求があり、しかも非常に高い危険性がある。

(頑住吉注:20ページ目)双発戦闘機の2台のエンジンは水平に配置されているので、1台のエンジンが動力を失った時、この側の推力を喪失し、もしコントロールを行わないと飛行方向偏向の状況が出現するだろう。もし殲ー20が本当に片発着陸試験を行っているのなら、殲ー20はエンジン1台という状況下でも飛行操作ができることが見て取れ、この国産第4世代戦闘機の性能上の優越したパフォーマンスを証明するに足りる。

(頑住吉注:21ページ目)

4、推力差動で偏向をコントロール

もう1つある可能性は、2011号殲ー20が偏向のコントロールに関連する試験を行っているところだ、というものである。この種の実験は2台のエンジンの連動状態を解除し、2台のエンジンに一様でない推力を形成させ、「大小眼」を出現させ、しかる後さらに戦闘機の飛行コントロールシステムによって差動偏向コントロールを実現し、もって2台のエンジンの推力不一致がもたらす不利な状態を解除する、というものである。

(頑住吉注:22ページ目)差動偏向コントロールは戦闘機の機体構造と飛行コントロールシステムいずれに対しても非常に大きな試練である。2011号殲ー20がこのような試験を行うことができるということは、この機の空力外形設計上の優越性と、戦闘機の強大な操作コントロール性能をも証明している。(頑住吉注:以後は戦闘機の世代の定義付けが異なるなど、別の記事からの引用のようです。)

(頑住吉注:23ページ目)エンジンは戦闘機の「核心的競争力」であり、その性能は直接的に戦闘機のパフォーマンスに影響する。2011号機が明るみに出た当初、杜文竜大佐はかつて、殲ー20はあるいは(頑住吉注:検証機の段階を出て)原型機の状態に入り、現在まさに地上高速滑走試験を行っているところなのではないか、と推測した。「もしエンジンに問題がなければ、この種の試験は重複した試験であって、必要はない。」 彼は、殲ー20の2001号および2002号の低速および高速試験はすでに完成しており、再度試験を行う必要はない、と指摘する。彼は、殲ー20は新型の動力システムに換装した可能性があり、国産の「心臓」を完備したものにしているのかもしれない、とする。

(頑住吉注:24ページ目)殲ー20のエンジン換装が軍事マニアたちを熱く待望させるのは、第5世代戦闘機専用の国産大推力エンジンの装備は、殲ー20がより早く超音速巡航、超機動などいくつかの第5世代戦闘機の特性に対する試験を実現することができることを意味しているからである。

(頑住吉注:25ページ目)だが、殲ー20の研究開発も不断に進歩しており、2001号機から2011号機まで、レドームから全体の大改造まで、この国産第4世代戦闘機はまさにどんどん良くなり、どんどん強くなる方向に向かって足を踏み出している、ということも見るべきである。

(頑住吉注:以後は既出の内容の繰り返しです。)


 まあ進歩はしているんでしょうが、殲ー20、殲ー31という2種の新世代戦闘機が揃って左右異なるエンジンを使用して試験飛行しているというのは、中国が戦闘機のエンジンで苦しんでいることのあらわれでもあるでしょうね。















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