武直-10、ターゲットを外す

 最近あんまり面白いと感じる記事がなくて紹介していなかった「アドルフ2世」氏の、こうでなくっちゃという非常に面白い文章です。

http://adaofu2.blog.china.com/201212/10682652.html


武直-10が発射したミサイルがターゲットを外したことは3つの問題を暴露している!

ネット仲間の議論を見ると、中央テレビが生放送した「2012南京対抗」演習中、武直-10が発射したAKD-10対戦車ミサイルがターゲットを外したことが話題になっている。私はビデオを探して繰り返し見て、間違いなくターゲットを外したと感じた。本来ならビデオを切り取ってくるところだが、惜しいことにビデオはウェブサイト上には出せない。このため、私は別枠の提案をすべきと思う。ニュース報道のビデオは版権による保護を受けるべきではない!

止むを得ずネット仲間「waynewang」の文字による描写を引用するしかない。

【午後、都合のいいことに中央テレビ13チャンネルが「2012南京対抗」演習を生放送しており、暇なので見てみたら、思いがけずWZ-10の初のミスの状況を見ることになった(頑住吉注:「WZ」=「武直」)。

前の部分は私も詳しく見ていなかったが、14:47前後、現場の解説が「WZ-10の地上装甲目標に対する攻撃」との科目を提示するのを聞くや、私はすぐに興奮した。ナレーション。「右前方をご覧ください」 この時1機のWZ-10がゆっくり飛来したが、何故かは分からないものの解説、説明が終わって攻撃を宣言した後、そのWZ-10は全く動きを見せず、画面も気まずいことにこのWZ-10上に静止し、このような気まずい沈黙40秒の後、このWZ-10はついに発射した。解説員もあるいは長く待ったために感情が高ぶったのか、「ミサイル、発射!」と叫んだ。

この時画面も合わせてターゲット区域に転じたが、4つのターゲット位置は大変面目が立たないことに全く動かず、期待した画面は終始出現せず、現場は恐ろしく静かだった。画面はWZ-10に再び転じ、この時またたく間にこのWZ-10はまた1発のAKD-10を発射し、はっきりと前の1発のミスのせいだが、この時の解説はこのミサイルの発射に対し何の説明もなく、ミサイルが命中した時になって、この解説員はやっと大声で「命中」の2字を叫んだ。

その後このWZ-10はすごすごと飛び去り、代わって別の1機のWZ-10が射撃した。前の機の失敗が戒めとなったのかもしれないが、第2機目のWZ-10は明らかにずっと熟練し、全体の過程も異常なほどきっちりとし、リズムの把握も非常に良かった。2発のミサイルは発射されるやターゲットを落とし、見事だった。

WZ-10演習科目の終わりになるまで、左から2番目のターゲットは依然しっかりと立って倒れることはなかった。

違う意見のある仲間は中国ネットテレビ局あるいはCBOXで午後14:45以後の中央テレビ13チャンネルの番組を見返すことができる!】

非常にはっきりと、武直-10の第1発目のAKD-10はターゲットを外したのだ! これに対し、あるネット仲間は納得せず、75%の命中率はすでに非常に高いのだと考えているが、私はこれに対しあえて賛同しない。

もし武直-10が機動状態にあり、敵防空火力の攻撃に遭っている状況下で、機動目標あるいは隠された目標を攻撃したのだったら、75%の命中率は言うまでもなく、50%の成績でも私はもう満足できると思う。しかし、演習の状況はこのようではなく、武直-10は安定したホバリング状態にあり、2機の武直-10が4発のミサイルを発射するのに前後2分間を費やし、目標は固定されたターゲットで、しかもターゲットと背景のコントラストは非常に目にはっきりしていた。この種の状況下で、理論的命中率90%の対戦車ミサイルが75%の実弾射撃効果を出したというのは、人をして大いに遺憾に感じさせる他はない。

演習中にターゲットを外したことは決して悪いことではない。問題を探し出し、症状に対し薬を出せば、すぐ実戦の中でより高い命中率が出せるようになる。私は、今回武直-10の演習で発射されたミサイルがターゲットを外したことは、3つの問題を暴露したと考える。

第1に、AKD-10対戦車ミサイルに問題があるかもしれない。

理屈から言えば、第1発目のAKD-10ミサイルがもしターゲットを外れたとしても、理論上目標からあまり遠く逸れたはずはない。第1のターゲット付近に爆発の硝煙があるはずである。だが、ビデオを見ると、このミサイルの着弾点は全く見つからない。このミサイルは完全にそのあたりまで飛んでいない、すなわち発射は失敗した(例えば、爆発しなかった、飛行途中で墜落した、等々)感じである。あるミサイルの75%の命中率はまだ受け入れられるが、あるミサイルが25%の故障率というのは全く受け入れられない。

第2、陸軍航空部隊の訓練法に問題がある。

武直-10はいかなる遮蔽にも頼らない状況下で長時間ホバリングし、非常にはっきりした目標を攻撃し、4発のミサイル発射に2分間を費やした。このような状況は実戦では想像できないが、演習の中には出現した。これは演習と実戦の乖離に他ならない。軍事訓練における形式主義、各種のパフォーマンス、スタンドプレイはしょっちゅう見かけて珍しくもない。もって我が軍の演習が「演劇」と呼ばれる結果を招いている。この頑固な病気は本当に直し難い。

第3、武直-10の設計に先天的不足がある。

エンジンの不足のためかもしれないが、武直-10にはミリ波レーダーがない。このため、実際の作戦機能の大きな問題になっている。演習の画面から見て、武直-10の目標ロックオン能力、多目標接敵能力にはいずれも問題が存在する。我々はリビア戦争の中でヨーロッパの「Brimstone」対戦車ミサイルが、多数のミサイルの急速な発射ができ、多数の目標を打撃できたこと、またまさに進行中のシリア内戦で、シリアの武装ヘリが損失に遭ったことを見てみてもよい。これはいずれも、武直-10の改良に対しより高い要求を提出する必要があることを事前に示している。

演習中に問題が発見されたことは良いことである。これは学生時代と同じで、間違った問題は正しかった問題に比べより有意義であり、平時において回答できない問題を発見することが多いほど、テスト時に回答できない問題は少なくなる。このため、演習参加部隊と関係の研究開発部署は、必ずしも1発のミサイルが飛び去ったことに気落ちする必要はない。同じ問題が再度発生しないことを保証しさえすればもうOKなのである!


 自称「熱狂的民族主義者」なんですけど、中国のこの種の文章には愛国心が強すぎてものの見方が歪みまくっているものが多い中、この人の見方は非常に冷静で鋭く、感心させられます。











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