中国航空エンジン関連2題

 まず「中国の航空産業、爆発的に発展」の主流の論調をたしなめるような論です。

http://military.china.com/important/11132797/20140110/18277645.html


太行は一体ありなのかなしなのか:国産新型戦闘機、全て輸入エンジンを用いる

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「量産型殲ー10Bが姿を現す」)

2013年を回顧:中国の軍用機のうち国産エンジンが使えるものほとんどなし

大公ネット評論員: 李小健

2013年、多くの新機種、改良機種が初飛行し、あるいは明るみに出、メディアは「井噴」という言葉さえ使って過ぎたばかりの1年における中国航空工業の発展を形容している。しかし注意する人が少ないのは、2013年のこうした機種の中で、絶対多数には依然強力な「中国の心臓」が欠けており、また以前「中国の心臓」を使用していた機種は、ひっそりと輸入エンジンに交換するか、遅々として姿を現さないかだ、ということである。

我々は上で挙げた各類型の機種を細かく数え上げてみる必要がある。運ー20が使用するのはロシアのD-30エンジン、教練ー10が使用するのはウクライナのAI-222-25エンジン、利剣と殲ー31が使用するのはロシアのRD-93エンジン、殲ー10B、殲ー20、殲ー15が使用するのはいずれもロシアのAL-31Fエンジンである。このうち、殲ー10Bと殲ー15はいずれも途中で国産「太行」エンジンへの換装を試みた。だがそれらの量産の時を待って、1つの例外もなくまたAL-31Fエンジンに戻された。最も寂しいのは、最近比較的関心を注がれている殲ー16である。これは海空軍から高い期待を寄せられている戦闘爆撃機であり、何故なら国産「太行」エンジンしか使用できないからである。ある情報はすでに部隊に試験装備されていると指摘してはいるが、大量就役までにはまだはるかに遠い距離がある。一方民間用航空の発明品で、すでに生産ラインを降りて引き渡しが開始されているARJ-21旅客機が使用するのはアメリカのゼネラルエレクトリック社のCF34-10Aエンジンである。音だけ聞こえてやって来るのは見えないC-919旅客機が使用するのはアメリカ・フランス合同研究開発によるLEAP-X1Cエンジンである。

航空エンジンはその技術的な範囲が広く、資金の必要が大きく、現代工業の「王冠上の宝石」と呼ばれる。航空エンジン業界もすでに世界航空強国の軍事工業と国民経済の支柱たる産業となっている。我が国の航空エンジン業界は何十年来、多くの機種をパテント生産し、また作図してコピー生産してきた。だが以前は航空エンジン技術の複雑性とその研究開発の規律に対する認識不足のため、エンジンの発展には業界の全体計画が欠乏し、発展の思想がはっきりせず、発展の重点と方向が不明確で、したがって航空エンジン業界全体の発展が細かく分散、システマチックでない、連続性がない、発展の随意性が大であるという結果がもたらされた。中国の航空エンジン製品は無から有に至り、徐々に自主研究開発の道を行き、非常に大きな成績を上げたが、国外の先進レベルと比べるとまだ非常に大きな隔たりがある。現在基本的に計測によるコピー、参照、改良のレベルに依然として留まっている。この種のレベルの最大の体現として、国産「太行」エンジン以上のものはない。2005年12月28日には早くも、我が国初の自ら研究開発した大推力ターボファンエンジン「太行」が沈陽で誕生した。しかし8年が過ぎた後、この当初は無数の称賛を受けた「太行」エンジンは依然重任に堪え難く、大量の国産戦闘機が「体はあっても心臓がない」状態でいることを迫られ、ロシアからエンジン、甚だしきに至っては完成品の機を購入する方向に転じるしかなくなっている。「太行は一体ありなのかなしなのか?」は、ほとんど軍事に関心を注ぐ人々が騒ぐこと最も多い話題の1つともなっている。

間違いなく、航空エンジンは技術が精密で深く、ニューカマーが入り難い領域であり、国家の充分な保護とこの領域の長期的成果、データ、累積された経験を必要とし、国家の大量の投資を必要とする。例えば名声高いアメリカのF-15「イーグル」戦闘機はかつて頻繁に巣に横たわり、「機格納庫の皇后」と呼ばれた。これはその使用するF100-PW-100エンジンの圧縮段のブレードが失速し、タービン段が破損し、また部品の寿命が予期よりはるかに短いなどの問題が次々現れて尽きなかったことによってもたらされた。中国の航空エンジンには工程経験が不充分、設計体系が不完全、試験検証能力が不足、技術的蓄えが不足、製造技術の基礎が相対的に薄弱であるなどの問題があり、これが有効に重視されることは必須である。

まさに文章の冒頭で書いたように、中国の航空工業はすでに「井噴」の時に到達しており、大量の軍用、民間用プロジェクトが人に注意を向ける暇もないほどにさせている。2014年はすでに到来した。もし我々の航空エンジン技術がまだ現在の状況にいるならば、必ずや中国の航空技術の発展を深刻に制約し続けることになる。この長期の「心臓病」に対し、国が早く「強い薬」を処方し、基礎研究および機種研究開発への長期的投資を大幅に増加し得ることを期待する。(筆者は大公軍事評論員)

(頑住吉注:2ページ目)運ー20が使用するのはロシアのD-30エンジンである

(頑住吉注:3ページ目)教練ー10が使用するのはウクライナのAI-222-25エンジンである

(頑住吉注:4ページ目)利剣と殲ー31が使用するのはロシアのRD-93エンジンである

(頑住吉注:5ページ目)殲ー10B、殲ー20、殲ー15が使用するのはいずれもロシアのAL-31Fエンジンである

(頑住吉注:6ページ目)殲ー10Bと殲ー15はいずれも途中で国産「太行」エンジンへの換装を試みた

(頑住吉注:7ページ目)殲ー16が使用するのは国産「太行」エンジンであるとされる

(頑住吉注:8ページ目)すでに生産ラインを降りて引き渡しが開始されているARJ-21旅客機が使用するのはアメリカのゼネラルエレクトリック社のCF34-10Aエンジンである


 次にロシアからの輸入に関する記事です。

http://military.china.com/important/11132797/20140110/18278531.html


ロシア、中国向けにAL-31Mエンジンを輸出する、とする 殲ー20の試験飛行に用いる

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「漢和は中国の殲ー20試験飛行型もAL-31Mを装備し、殲ー20の試験飛行の効果が顕著に改善することになる可能性がある、と見る。」)

「漢和安全保障業務評論」がロシアの「礼砲」エンジン生産工場内部の人物の情報を引用したところによれば、ロシアは今年初めて中国向けにAL-31Fの改良型エンジンであるAL-31Mを引き渡すことになるが、具体的な数は知られていない。礼砲社はさらに、2013年には中国のために全部でおよそ100台のAL-31FN型エンジンを供給および維持修繕した、と明らかにした。

漢和は、中国が持続的にAL-31FN型エンジンを輸入していることは、中国はまだ一部殲ー10A型戦闘機を生産するが、主要な精力は殲ー10Bの生産に用いられることを説明している、とする。漢和は、中国の第3世代機の数は依然不足で、原材料の供給、特に複合材料の供給は依然殲ー10Aおよび殲ー10B型戦闘機の全速での生産を満足させることができない、と分析する。

漢和は、中国は以前すでにウクライナからAL-31Fの大規模な修理設備を輸入しているが、AL-31FNは技術上AL-31Fとやや差異があるため、一部の中国戦闘機のエンジンは依然ロシアに戻して修理と維持メンテナンスを行う必要がある、とする。中国のAL-31Fに対する必要量はすでに年毎に減少しており、およそ毎年20台前後を輸入している。このことは、中国製の殲ー11B型戦闘機は間違いなくすでに大規模にWS-10A型太行エンジンを使用していることも表している。

最も重要なカギは、礼砲社が2014年に中国向けにAL-31Fの改良型AL-31F S42型、つまりAL-31Mを引き渡すと明らかにしていることである。この改良型エンジンのアフアターバーナー使用時の推力は12,500kgから13,500sにまで増加しており、軍用巡航推力は7,770kgから8,250kgにまで増加している。しかも燃料消耗の量はさらに一歩低下している。AL-31Fの燃料消耗量は0.78kg/kgf.hであるが、AL-31Mは0.77kg/kgf.hまで下降し得ている。ファンの寸法も905mmから924mmにまで増加し、重量は相応に1,490kgから1,520kgにまで増加し、使用寿命は4,000時間にまで延長されている。AL-31Mは主に、ロシアの新型であるスホーイー27SMとスホーイー34に配備される。

漢和は、この輸入された改良型エンジンは、殲ー15で運用されるためのものであることが最もあり得る、と推測する。しかも中国のエンジン企業が、ロシアがいかにエンジンを改良しているのか研究し、中国の太行エンジンの性能向上に用いることを望んでいるのかもしれない、と推測する。漢和はさらに、中国の殲ー20試験飛行型もAL-31Mを装備し、殲ー20の試験飛行の効果が顕著に改善される可能性がある、と見る。

礼砲社の内部情報はさらに、中国には決して推力ベクトル型輸入の意向はなく、何故ならAL-31Mは往々にしてベクトルノズルと組み合わせて使用されるからだ、とする。この改良型エンジンが中国空軍に配備されれば、殲ー15により良い機動性を獲得させることができる。殲ー11およびスホーイー30系列に関しては、まだAL-31Fを使用することになる。


 まだ難関は少なくとも完全には克服されていないわけで、またロシアが輸出するエンジンはロシアの最高レベルのものではありませんが、殲ー11Bにはすでに「太行」が使われていることが間違いないとされ、いつまでも現状に留まるだろうと楽観するわけにはいきません。この状況でアメリカ等の会社が民間機用エンジンを中国に供給するのは何とかならないもんなんでしょうか。














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