DAP92式5.8mm拳銃弾薬

 銃本体に続いて特殊な小口径ピストル弾薬の紹介です。

http://www.gun-world.net/ammo/58x21/dap92ammo.htm


QSZ92自動拳銃系統

DAP92式5.8mm拳銃弾

DAP92式5.8mm拳銃弾は1987年に論証、1994年に研究開発が開始され、2001年に設計定型が承認された。論証、研究開発の時間は14年にわたった。

一般的に拳銃弾は口径が大きくなればなるほど停止作用が良くなると考えられている。この考え方は昔から人心に深く入り込み、実践においても実証されている。だが論証研究を経て、技術人員は小口径拳銃弾の弾頭を細長くし、加えて複合弾芯を採用し、重心偏移原理を利用することで、軟目標侵入以後弾頭が迅速に安定を失って転倒し、阻力面を増大し、急速にエネルギーを放出し、殺傷力を高めることに成功した。

設計時、国内外の弾薬の技術を吸収し、コンピュータを設計の助けにし、内外弾道(頑住吉注:ちなみに弾道学は銃身の中の内部弾道学、飛行中の外部弾道学、命中後のターゲット内弾道学の3つに分かれるとされています)設計が進められ、最良のパラメータが合理的に選択された。すなわち、弾頭構造の設計中、飛行動力学を根拠に最良の弾形が選択され、抵抗を減少させ、存速能力が高められた。貫通力に関する要求に基づき、鋼芯と鉛柱を組み合わせた構造が設計され、最適化設計が進められた。薬莢の設計中には装薬、強度、排莢、弾薬全体の美観等様々な要素、およびサブマシンガン、消音サブマシンガン弾薬との共通性が考慮された。多くの系統的試験を通じ、弾薬の合理的な外形と構造が確定した。

5.8o拳銃弾は全長33.5o、全体重量6gで、9o拳銃弾薬の弾頭重量にも及ばない。51式7.62o拳銃弾薬と比べて44%、64式7.62o拳銃弾薬と比べて22%、9o拳銃弾薬と比べて50%軽い。ボトルネック、リムレス、銅メッキされたスチール製薬莢が採用され、リムの直径は8oである。弾薬の径が小さいおかげで92式拳銃のマガジン容量は20発に及ぶ(頑住吉注:これではスチェッキンと同じですからもう少し入ってもよさそうですが)。発射薬にはダブルベースの火薬が採用され、プライマーには制式の無錆蝕プライマーが採用された。弾頭の初速(V5)(頑住吉注:5mでの計測ということでしょう)は480m/s±10m/s、最大圧力は220MPaである。25mの距離において20発の射弾は(頑住吉注:特殊な表記なので原ページの弾薬の断面図のすぐ上を見てください。意味も不明です)。これは国内で最も精度のよい拳銃弾ということである。

弾頭は尖頭、孤形(頑住吉注:中央が丸く膨らんだ形、ということでしょうか)で、鋼芯鉛柱複合構造である。50mの距離で1.3mm厚の232型戦闘ヘルメットの鋼板を貫通した後に、さらに50o厚の松板を貫通する能力がある。5.8o拳銃弾は(頑住吉注:弾道学的試験用の、でしょう)石鹸中に作る弾道空腔は9oパラベラム拳銃弾のそれの2.5倍である(頑住吉注:体積のことでしょう)。生物殺傷試験、灰色理論(頑住吉注:検索したところ、どうも不確定性のある問題を処理するための理論のようです)を用いた計算から、5.8o拳銃弾の総合効度は、分別高出の両弾(頑住吉注:意味不明ですが、上で出てきた2つの弾、とすれば51式7.62o拳銃弾と64式7.62o拳銃弾のことでしょうか)の2倍、2.4倍である。

5.8o拳銃弾は威力が比較的大きいが、弾頭が比較的細長いので、軟目標侵入後抵抗が大きく、エネルギーの放出が早く、目標貫通後残存エネルギーは小さく、オーバーペネトレーションの危険がない。石鹸を用いた貫通試験中、弾頭は目標侵入後約110oで転倒を開始、最大の空腔を作り、以後エネルギーを放出しつつ空腔は徐々に小さくなった(頑住吉注:画像ではどう見ても射出口がいちばん大きいんですが、確かに9oパラに比べれば途中が太くなっています)。

この他、5.8o拳銃弾には後座力が小さく、射撃が快適であるという長所もある。このため5.8mm口径のサブマシンガンも研究開発中である。


 
 英語版Wikipediaによれば、P90の開発は1986年に開始され、生産は1990年からだそうです。ただしファイブセブンピストルの開発が始まったのは1993年とされ、この5.8o拳銃弾薬開発開始とほとんど変わりません。この弾薬は5.7ox28や4.6ox30に近い性格を持ちますが、それらがPDW用に開発され、ピストルはやや無理のあるものになったのに対し、元々ピストル用に最適に設計された点が大きく異なります。初速は約480m/sと、7.62mmx25との差が意外に小さく、2種のPDW弾薬(多くはピストルから発射しても初速が600m/s台)よりずっと弱装です。しかし9oパラのフルメタルジャケットよりはソフトターゲット内におけるエネルギー放出量がずっと大きく、ハードターゲットに対する貫通力もはるかに大きくなっています。

 断面図などから、ジャケット内の前部に尖った先端を少し切り落としたような形のスチールコアが、その後ろに鉛コアがあるのが分かります。後部が重くなっているのはもちろん転倒しやすくするためでしょう。切り落としたような部分は中空でしょうか。一番下、右の画像を見てください。スチールコアの後部が斜めに切り取られているのが分かります。これも重心をずらして安定を失わせる工夫でしょう。精度的にはマイナスでしょうが拳銃弾としてはさほど問題ないということでしょうか。ちなみに1つだけ真鍮の明るい色をした、やや形状の異なる薬莢を持つ弾薬がありますが、開発中の失敗品だそうです。

 情報が古いのかサブマシンガンが開発中とありますが、すでに登場しています。

http://world.guns.ru/smg/smg75-e.htm

 また弾頭重量などのデータがありませんが、

http://en.wikipedia.org/wiki/5.8x21mm

 英語版Wikipediaにありました。

 本筋と関係ありませんが、読んでいて面白いことがありました。「2倍、2.4倍」と訳した部分は原文では「1倍と1.4倍」となっています。メリットを主張しているのに「1倍」では意味がおかしいですよね。そこでさてはと思いました。「人一倍」という言葉があります。これでは「人並み」という意味になってしまいそうですが、昔は倍のことを一倍、といっていたんですね。「必殺仕業人」にも、親が死んだら倍にして金を返すという「死に一倍」なんていう条件で金を貸す金貸しが登場するエピソードがありました。中国ではこの「一倍」という用法が残っているのではないか、と思って辞書で調べると、やはりその通りでした。












戻るボタン