殲ー20の海上訓練は何を意味するか

 順調に戦力化されつつあるということなんでしょうか。

http://military.china.com/important/11132797/20180516/32415516_all.html#page_2


殲ー20は技術的に複雑なため量産し難い? 専門家:海上訓練がデマを打破

空軍は最近情報を発表し、我が国によって自主研究開発された新世代ステルス戦闘機である殲ー20(コードネームは威竜)が初めて海上方向での実戦化された軍事訓練を展開し、さらに一歩空軍の総合作戦能力を向上させた、とした。

ならば、第4世代戦闘機にとって、海上方向の軍事訓練を展開することは何を意味しているのだろうか? 海上訓練は何の問題を解決できるのだろうか? 米軍のF-22やF-35ステルス戦闘機は類似の訓練を展開したことがあるのだろうか?

軍事科学普及作家の陳光文は科技日報記者に次のように教えた。「殲ー20戦闘機は今年2月に空軍によって作戦部隊への正式装備を宣言された後、ごく短い3ヶ月の時間内でもう海上の実戦化された訓練を展開できており、これはこの機の陸の空での訓練がすでに新たな段階に入ったことを意味しているだけでなく、しかもこの機がすでに陸の空の条件下での作戦能力を基本的に具備したことを象徴的に示しており、陸の空の訓練が成熟しかつ強固になった状況下でのみ、新型実戦機はやっと海上の実戦化された訓練を展開する基礎を具備するということでもある。」

劣悪な気象要素を克服

すでに各条件の下での合同作戦能力を具備


軍事専門家の王明志はメディアのインタビューを受けた時に次のように言った。「周辺では、ステルス機が実際上すでにいくらか実戦配備されており、特に日本はすでにF-35を装備し、アメリカもしばしばステルス機を有し、第一列島線というこの場所まで前進させて活動を行っており、ならば殲ー20が海上方向の実戦化された訓練を強化することは、この種の新型の安全への脅威に対し有効に対応し、我々に有効に体勢を形作らせ、危機を管理コントロールし、戦争を抑止する、および戦争に打ち勝つ能力を向上させることができる。」

「米軍のF-22とF-35の就役以来、不定期にアジア太平洋地域に派遣され臨時の配備を行っているが、実はこれは海上適応性訓練展開の代名詞でもある。後発の優秀者としての殲ー20は、未来の戦場が必然的に海上を包括し、このため海上の実戦化された訓練を展開するのは不可欠の重要な訓練科目である。」 陳光文は言う。「近年来中国空軍が「空・宇宙一体、攻防兼備」戦略目標に向け邁進するのと共に、多くの空軍実戦機が「全空域作戦、全空域到達」の方向に向けて急速に発展し、そしてその目標を最も体現し得るのは新型実戦機が高空、高度の寒冷、高原、遠海および各種複雑な気象条件下で行う実戦化された訓練の組織に他ならない。」

近年来、中国空軍はすでに多種の複雑な気象条件下での実戦化された訓練を展開している‥‥

2011年秋、成空(頑住吉注:何の略か不明)の数機の殲ー10戦闘機が、高原の某飛行場から発進し、初めて海抜4200mあまりの某飛行場に降着し、着陸の数十分後再度発進して帰投し、我が国製新型戦闘機が高原全域作戦能力を具備したことを象徴的に示した。

2016年、多くの航空領域のメディアがネット仲間のブログの情報を転載し、殲ー20が海抜4411mの世界で最も高い飛行場、稲城亜丁飛行場で高原試験飛行を行ったとした。

2018年に入り、殲ー20が空軍作戦部隊に装備されたことが宣言された後、中国空軍公式ブログは画像入りの形式をもって、殲ー20戦闘機隊はすでに高度寒冷条件下での実戦化された訓練を展開していると報告した。

今年3月、空軍は情報を発表し次のように言った。中国空軍は最近轟ー6K、スホーイ-30など多くの種類の実戦機を出動させ宮古海峡を通過し、体系をなして西太平洋に前進し実戦化された軍事訓練を展開した。同時に轟ー6K、スホーイー35など多くの機種の実戦機が組織的に南海に飛び、合同戦闘巡行を実施した。

「一連の情報は中国空軍がすでに基本的に各種条件下で合同作戦を実施する能力を具備したことを証明している。」と陳光文は語る。

「ドアの蹴破り」の役割を演じることに

支援なき下で敵サイドの重要目標に重大な損傷を与える


殲ー20は空軍の「攻防兼備」戦略モデルチェンジの象徴的性質の装備で、突出した特徴はステルス性能がよく、中距離および近距離空戦能力が強く、同時に制空と空対地・空対艦突撃能力を具備し、総合情報化水準が高いことである。

今回の海上方向の実戦化された軍事訓練で、殲ー20は敵に先んじて発見、敵に先んじて発射、敵に先んじて損傷を与え、敵に先んじて離脱する優勢を発揮し、制空任務の中で相手方の防御能力を削減し、相手方の作戦プロセスを遅滞させ、相手方の海上目標を打撃した。

「未来の空戦の中で、第4世代戦闘機は疑いなく核心および先鋒であり、さらに重要なのは相手方の戦術もステルス戦闘機をめぐって作り出されているということであり、このため中国空軍もこの趨勢に順応するだろう。」 陳光文は説明する。アメリカの角度から見て、F-22戦闘機は隠蔽進攻型装備であり、作戦行動中自らのステルスの優勢を充分に利用して「ドアの蹴破り」の役割を演じ、第一波攻撃を実施するだろう。ステルス性能を具備するがゆえに、F-22は敵サイドの厳密な防空火力やレーダー網を軽易に突破し、縦深内の通信施設、レーダー基地や指揮センターを打撃することができる。ぴったりその後に続くF-15がF-22によって開かれた口を拡大することを担当し、甚だしきに至っては近距離正確攻撃によって、敵サイドの戦力を完全に消滅させる。

アメリカは世界で最も早くステルス実戦機を持った国で、湾岸戦争の期間、空襲第1日目、30機のF-117[ナイトホーク」ステルス攻撃機と54発の「トマホーク」巡行ミサイルがいかなる支援もない状況下でイラクの首都バグダッドの高価値目標に重大な損傷を与え、これこそ典型的な「ドアの蹴破り」戦術である。

「現在明らかにされている情報から見て、殲ー20もこのような役割を演じることになり、主にやはり「ドアの蹴破り」とカギとなる重要な節目たるポイントに用いられる。海上方向から来る脅威に対応する必要があるため、このことは海上方向の実戦化された軍事訓練が必要不可欠であることを意味している。」と陳光文は語る。

海上訓練を用いて協同作戦を促進

訓練過程の中で多くの難題を解決


「当然、第3世代機だろうと第4世代機だろうと、海上訓練はいずれにせよいくつかのほとんど共通の問題に直面する。例えば海上の空での情報保障、海上飛行の安全保障、海上機群の協同や海上新型戦術模索などである。こうした全ては陸の空とは全く異なり、不断の経験累積を必要とするだけでなく、さらに各種保障プラットフォームの大きな力を入れての協同を必要とする。」 陳光文は説明する。この訓練過程の中で、重点的に解決を必要とする問題には次のものがあるかもしれない。殲ー20と空警ー2000あるいは空警ー500/600との通信と情報保障の問題。殲ー20とコンビネーションする作戦機、例えば殲ー10Cや殲ー16との情報の意志疎通、指揮および情報共有の問題。殲ー20と衛星との間のナビゲーションや情報獲得の問題。殲ー20と水上艦艇の間の非アクティブ通信や情報共有および作戦協同の問題。殲ー20の全過程無線電子沈黙状態下での自主作戦問題。これには目標の捜索やロックオンおよび打撃などそれぞれの問題を含む可能性がある。

陳光文は次のように説明する。「公開されているニュース報道の上から見て、米軍のF-22やF-35戦闘機は単独の海上作戦訓練を展開したことがあるかもしれないが、明らかに合同海上作戦訓練を展開したことはなく、しかもF-22は制空戦闘機で、対艦攻撃能力はほとんどない。だがまず米軍の実戦機の各種実戦経験は豊富で、海上方向の作戦は当然問題とならないはずである。次に、米軍のステルス実戦機がかつて展開した空中対抗訓練の中でも、関連の問題に対していくつかの探索が行われており、例えば合同空戦の中の通信問題である。」

F-35A就役後、アメリカ空軍第94戦闘機中隊から来たF-22戦闘機および第58中隊のF-35A戦闘機はかつて合同空戦訓練を行い、この時の合同訓練は主に第4世代戦闘機の能動的出撃作戦と受動的防御作戦の能力を向上させるためで、かつ空中対抗訓練を行い、最大の作戦効能を発揮することを極力企図した。それぞれの研究開発時の技術的原因ゆえに、F-22が装備するのは内部飛行データリンク(IFDL)で、IFDLはこの機種間で通信が実現できるだけに限られており、このことは参戦するそれぞれの実戦機間の情報共有と秘密保持の実現に有利である。一方F-35Aは研究開発時期が比較的遅かったため、装備されるのは多機能先進武器データリンク(MADL)で、これはこの機種の戦闘機間で秘密保持通信を行う発信装置で、両者はそれぞれ異なる周波数とアンテナを持つ独特の波形を採用しているため、実際上それらの間では協同作戦が全くできない。

「最終的に、米軍は空中ルーターを研究開発することによって、F-22のIFDL、F-35のMADLと、F-15が使用するLINK-16データリンクとの秘密保持状態下での相互接続を実現し、結果として三者の合同作戦の問題を解決した。」と陳光文は語る。

殲ー20は「量産し難い」との流言を打破する

大量のこの機種の実戦化された訓練こそ海上訓練を迅速に促すことができる


今回の訓練の中で、空軍某部飛行員の程夏は言った。内陸から沿海まで、飛行機は天候環境、随伴保障などの試練を受けたが、各システムの作動は良好で安定していた。殲ー20機はいかなるその出現を必要とする場所にも出現できる。

あるメディアは次のように報道した。2011年の初飛行から、2016年11月の珠海航空展へのお目見え、さらに3機編隊戦闘態勢をもって中国人民解放軍成立90周年閲兵に参加するまで、7年あまりの時間、殲ー20は我が国航空工業の急速な発展を目撃し、空軍飛行員が新時代の練兵戦備に身を投じ、新時代の打ち勝つ能力を向上させる使命の追求を載せてきた。

「特に2月の戦闘部隊配備からさらに現在の海上実戦訓練正式参加まで、その間隔は3ヶ月しかない。外界に深く意外に感じさせるのは、この時間がかくも短いことだが、これは一方においては殲ー20の技術成熟度が非常に高いことを説明し、もう一方では中国空軍の殲ー20に対する期待が待ったなしであることを説明する。」と陳光文は言う。

少し前、かつてロシアメディアは文章を掲載し次のように言った。中国の殲ー20戦闘機はロシアのスホーイ-57戦闘機同様、技術的に複雑で、新材料、新設備の応用が多いため、量産および大量装備し難い困った状況に直面している。ならば、中国空軍が今回発表した情報は、何を説明しているのだろうか?

これに対し陳光文は次のように考える。「非常に多くの人の殲ー20に対する推測は、大部分がF-22のデータに依拠して得られたもので、このため常に誤った判断が出現すること免れ難い。最近、メディアは何度も中国が新型戦闘機にステルス航空超材料やスマート外皮技術を使用したと報道しており、当然さらにより多くの外界が知り得ない新技術の応用があり、このためある外国メディアは殲ー20は「量産し難い」の結論を出した。だが実際には、このことはまさに中国がいくつかの先進航空技術の上での突破が巨大で、応用も成功していることを証明している。殲ー20は3ヶ月にも満たないうちに作戦部隊への装備から迅速に海上実戦訓練まで転換しており、これは3機や5機の戦闘機で達成できることではない。その背後はきっと大量のこの就役機種の集中的な実戦訓練の結果である。」

「殲ー20戦闘機の海上訓練が日増しに増えるのと共に、その海上作戦戦術が不断に細分か及び成熟するだけでなく、さらにはその練兵戦備、勝利を狙う技能が向上し、我が国の海上の長城をより堅固で破壊できないものにさせると信じる。」と陳光文は指摘する。


 スホーイ-57が比較的冒険を避けた保守的な機種であるのに対し、殲ー20が意欲的に新機軸を多く盛り込んだ機であり、それにもかかわらず進展が速い、というのは否定できない事実でしょう。当然だからといってF-22やF-35に実戦で勝てるとは限らないですが。



















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