052D駆逐艦は7,000トンを超えない?

 中国の軍事マニアの間で、1万トンクラスの大型駆逐艦ついに登場か、と期待された052Dですが、どうも実際には既存の052Cをやや上回る程度のものだったようです。ちなみに今回紹介するのは転載されたページで、オリジナルはどうも削除されたようです。元々の筆者は軍事マニアの反応を恐れて「戦々恐々と発表する」というスタンスだったらしいですが、引用者のタイトルは「大いに失望!」というものでだいぶ異なっています。

http://df.blog.china.com/201208/10109978.html


大いに失望! 中国の新型艦052Dの排水量7,000トンを超えず!

20年前のあの沿岸近くでしか活動できない海軍から、中国海軍はまさに遠洋海軍へと徐々に向かいつつある。中国海軍近代化の父である劉華清将軍はかつて推測した。21世紀中葉に中国海軍は遠洋海軍に成長することになる、と。総合的国力にマッチした遠洋海軍として、未来の中国の遠洋海軍はグローバルな海上戦力として、中国の海上利益を防衛することになる。

中国海軍の駆逐艦のたどる道の中で、主戦艦艇としての駆逐艦は終始中国海軍の水上艦艇建設の重点中の重点である。1960、70年代、中国海軍水上艦艇はソ連への依存から脱し、国産化実現の努力を行った。駆逐艦というこの艦種において、歴史的一歩を踏み出したのである。1970年代に初の051旅大級駆逐艦が進水した後、1970、80年代全体を通じて051型駆逐艦は終始中国海軍の絶対の主力だった。最後の051G型駆逐艦ナンバー165、166艦は1990年代にもなってなお就役したほどだった。1990年代を通じて、「軍隊は忍耐しなければならない」というスローガンおよび一切において国民経済が中心という国策の下で、海軍装備建設は発展の遅い停滞期に入った。一方において軍事費の緊縮が、海軍がより多くの造船に用いる経費を獲得することを不可能にし、他方では1980年代に開始された中国と西側との軍事交流が1989年の波風(頑住吉注:天安門事件)によって停滞し、中国海軍が装備建設上西側の成功経験を参考にするルートがだめになった。051の後続艦はなおさら一時的不足状態となり、1990年代を通じて海軍に3隻の駆逐艦しか進水、就役しないという結果をもたらした。1990年代末から、国民経済の急速な発展につれ、中国軍の近代化建設もまた新たな急速な発展期を迎えた。この期間の成就を体現するものとしては、2003年の新世代イージス駆逐艦052Cの進水が代表的事件となった。多機能アクティブフェイズドアレイレーダー、垂直発射システム、近代化された指揮コントロールシステム、電子戦対抗システム、ディーゼル・ガスタービン交替動力を持つ、約6,000トン余りの正常排水量の052Cの進水は、中国海軍の主力艦艇に、すでに西側に追いつき追い越す新たな起点ができたことを示した。1980、90年代の軍備への投資不足という「頑固な病気」に制限され、中国海軍の新型駆逐艦開発の努力は終始、夢想と現実の間でらせん状の上昇を行った。052C型駆逐艦にも、動力系統国産化およびその信頼性向上が待たれること、戦闘艦の全体レイアウトと発展余裕度が少なからぬ制限を受けたがゆえに、ミサイル垂直発射システムの用途が単一、火力密度に一部欠陥があることが体現されていた。国際的な先進的駆逐艦、例えばアメリカののDDG51(頑住吉注:アーレイ・バーク)、日本の海上自衛隊のこんごう、あたご級とでは隔たりが比較的大きく、トン数が近いイギリスの45型、フランス、イタリア合作のホライズン級などと比べても遅れた部分があった。新装備の発展と既存装備の更新上、中国海軍は終始2つのルートを持ち、歩調は穏健である。052C型艦発展の途上でも同様にこの考え方があった。ここ5年以来、本来のウクライナ製GT25000型ガスタービンエンジンは国産化が実現され大量生産された(「艦船知識」など当局の定期刊行物で何度も事実と証明されている)。052Cは第1ロットの2隻の就役から長年が過ぎて、ついに2010年以後再度量産が実現し、第2ロットの4隻の052C型はすでに全て進水し、建造速度は人を驚かせる。

052Dの全体レイアウトは2012年8月に初めて判明し、052Cに続く海軍駆逐艦のさらに高い飛躍として、052D(暫定名)型新型駆逐艦は「画像あり真相あり」で事実と証明され、しかも8月28日に進水した。民間人として、出現したばかりの中国の新型武器システムの解読はいつもまとまりのない一部分から着手するしかない。筆者は個人の理解に頼り、また一部の業界内の人物の見方の助けを借りて推測してみるしかないのである。全体的に見て、052Dの全体レイアウトは完全に052Cの手法を踏襲しており、052Cの武器、電子戦システム方面のグレードアップ版と言うことができる。多くの軍事マニアはかつて052Cの後にはいわゆるガスタービンエンジン4台の大駆逐艦、甚だしきに至っては万トン級大駆逐艦が出現することになると憶測したが、現在見たところでは中国海軍は新型駆逐艦発展の道において、やはり穏健原則通り、向こう見ずな前進は少しもせず、新型武器、電子設備の選択、使用上、「瓜が熟して落ちる」のを待つように成熟し得てから使っている。現在見たところ、上海の発焼友などのフォーラムが発表した「スパイ写真」と、筆者が比較的信頼できると考える一部の業界内の人物の推測によれば、052Dは艦艇として052Cより全幅、全長が少し大きくなり、その艦橋、舷窓の組み合わせも052Cとは異なり、側面は全幅の拡大を証明している。艦橋の幅が拡大した理由は、より大きなレーダーシステムの収納のために違いない。中央テレビが当時明るみに出した「官版」データによれば、052Cの排水量は5907トン(注:これは標準排水量に過ぎないかもしれない)で、一方052Dはこの基礎の上に「わずかに拡大」し、標準排水量は約6,000トン余り、満載排水量は7,000トンを超えない可能性がある。動力システム上、052Dは同様に成熟した技術を採用している。西安航空エンジン社が生産したQC280型ガスタービンエンジン(30兆ワット級、GT25000の国産バージョン)が艦の加速主動力で、補助動力は成熟した国産ディーゼルエンジンシステムである。この組み合わせの動力セットは10年の発展、成熟を経ており、052Dに使用するにも相当適している。実際、日本の海上自衛隊最新のあきづき級新駆逐艦の動力システムもむらさめ、たかなみ級から流用され、比較的古いスペイガスタービンが使用されている。052Dはやはり052Cの小改良型で、多くの軍事マニアはやや失望を感じるだろう。だが筆者はこれは穏当な挙と考える。現在我が国の海上国家安全形勢は複雑で、一方海軍の各大駆逐艦支隊の中の051艦も換装のピーク期を迎えている。一気に技術が複雑すぎる新型駆逐艦を装備すると、部隊の新装備に対する運用が「消化不良」を起こし、戦闘力の形成が際限もない先になるかもしれない。海軍に関して言えば、将兵が「万トン大駆逐艦」を操縦すれば「免許皆伝」を取得できず、それではゼロに等しいとも言える。

武器システムの大幅革新 052Dの人に与える印象がより深い部分はその武器、電子システムの全面的革新にある。過去10年の我が国のミサイル、レーダーなどの領域における最新の成就として、052Dは成熟した全体レイアウトと船体の他に、武器、電子システム方面において過去10年の最優秀の成果を運用している。052Cの「穴開き練炭」と誉められる対空ミサイル垂直発射システムと比べると、052Dはこの極めて重要な武器システム上、背水の陣を敷いたと言うべきで、054Aに類似した新型汎用垂直発射システムを採用した(頑住吉注:ちなみに052Dの垂直発射システムのあだ名は「チョコレート」らしいです。まあ「穴開き練炭」よりずっとましですな)。我が海軍の艦載垂直発射システム最初の作として、「穴開き練炭」システムはロシア製のRIF-M艦対空ミサイルの発射システムを参考にし、同時に1筒1弾発射に改め、中国と西側折衷の技術的特色を体現している。だが汎用性が不良、体積が大きいなどの欠点も存在する。一方新型汎用垂直発射システムはこの問題を有効に解決し得る。一部の人の暴露によれば、052Dは汎用垂直発射システム採用後、発射ユニットの数が64(前32、後ろ32)にまで増加し、対空火力が大きく向上した。ある消息筋の人物は、052Dは引き続きHQ-9系列艦対空ミサイルを使用し、最新の改良型は新型垂直発射システムに適応できる、と指摘している。1990年代の先進レベルを体現する艦対空ミサイルとして、HQ-9はアクティブレーダー+慣性制御誘導を採用し、射程は125km、多目標迎撃能力が強く、多機能アクティブフェイズドアレイレーダーと組み合わせると、より強力な艦隊防空および対ミサイル能力が実現できる。ここまで話すと、あるネット仲間は思うかもしれない。052Dの垂直発射ユニットは052Cの48に比べて顕著な増加とは評価できず、不充分だと考える、と。

だが、我が国の海軍の駆逐艦に関して言えば、空母、揚陸艦隊のために艦隊防空、保護を提供し、同時に水上、対潜作戦にも合わせ配慮することこそがその主要な目標である。アメリカ軍のDDG51アーレイ・バーク級駆逐艦のように大量の戦術トマホーク巡航ミサイルを発射する必要はない。64発の艦対空ミサイルはこれでも比較的余裕のある弾薬基数なのである。他方において、新型汎用垂直発射システムは891畢昇号試験艦上で比較的長時間のテストを行い、この新型VLSシステムは汎用性方面において旧式の「穴開き練炭」にはるかに勝り、中国版ESSM(改良型シースパロー)も使えることは完全に旧型ではお話にならないことである。ネット上にかつてある画像があった。PL-12型空対空ミサイルが艦対空ミサイルに改良され、1筒2弾、甚だしきに至っては4弾を実現するというものだった。水上艦艇のために高密度のポイント防御能力を提供するもので、これは052Dでなら実現不可能ではない。052Dの最新の「スパイ写真」の中で、新型のPJ3X型130mm艦砲が始めて明るみに出、関心を集めている。現在この長年研究開発されてきた新型艦砲に関する情報は多くない。だが一部の事情を知る人の分析によれば、その火砲システムはロシア製のAK130艦砲を参考にしており、射程は30km近く、発射速度は毎分約40発、特にロケットによる射程延長制御誘導砲弾の発射能力を備え、射程は100kmを超え、これは中国海軍の水上艦艇の中では初めてのことに属する。この他、052Dはさらに新世代の対艦ミサイルを装備し、甚だしきに至ってはこれが新型垂直発射システム内にまとめられ、この艦の超視距離対艦能力を非常に大きく向上させることになるとの説もある。また857型730近接防御システム、726型妨害弾発射システム、3連装324mm魚雷発射管などの052Cにあった武器システムも、052Dに引き続き見られる。現在052D第1号艦の高画質画像はまだ多くなく、噂に聞くこの艦のヘリ格納庫上方がHQ-10型近接防御ミサイルに改装されているというのは現在まだ事実と証明されていない。この他、この艦が最新型の対艦ミサイルを使用するよう改められているか否かは、現在依然未知数である。

電子システムの小幅な改良は外観を比べれば容易に識別できる。052Dは052Cに比べ、レーダー、指揮コントロール、通信、電子戦システム方面の更新も小幅の駆け足という原則に従っており、より優れたものになっている。艦載レーダー方面では、052Cが搭載する新型アクティブフェイズドアレイレーダーは、南京14所によって研究開発され、実際上多くない自主研究開発の艦載アクティブフェイズドアレイレーダーである。しばらく前の891号試験艦のいくつかの画像、そして最新の052Dの「スパイ写真」によれば、このレーダーには比較的大きな程度の改良が行われ、レーダーの反射陣面が一部拡大し、本来の放熱に用いる孤型の保護カバーも平板型に変わり、その放熱性能が改良され、全体性能が向上し得ていることをはっきり示している。ある事情を知る人物は、052Dは多用途フェイズドアレイレーダーを除けば、その他のレーダー、電子設備には052Cの成熟した設計が流用されている、と指摘する。ということは、一部の軍事マニアがすこぶる「嫌悪」する518型遠距離2座標警戒レーダーも継続して使われることになる。だがこのレーダーは構造重量が軽く、かつ省電力の八木アンテナを採用し、非常に高い周波数のVHF波段で作動し、探知計測距離が長いだけでなく、有効にステルス目標を発見でき、フェイズドアレイレーダーに対し長所をもって短所を補う、1つの信頼性ある選択なのである。実際、西側の海軍主力駆逐、護衛艦を縦覧すると、対空、対海レーダーの選択上、やはり長所によって短所を補う、の原則に従っている。例えばイギリスの45型、フランス、イタリア合作のホライズン、オランダのLCF、ドイツの124型艦は普遍的に、精度が高いが探知計測距離が相対的に短いC波段(EMPAR)あるいはX波段(APAR)レーダー1基と、L波段(SMART-Lなど)の遠距離3座標レーダーから組成されており、一方DDG51は思い切って4面陣のS波段のSPY-1パッシブフェイズドアレイレーダー1基だけを用いている。全艦の近接防御武器システム(730砲やHQ-10近距離防御ミサイル)にデータを提供するため、052Dはさらにメインマスト頂部に364型快速反応レーダーを装備し、対ミサイル防空のために「目」を提供することになると推測される。

過渡的役割 大任を担う052D型駆逐艦は052C型の全面改良バージョンであるが、伝説中の万トン級大駆逐艦とでは依然隔たりがある。この艦の定位置をどう評価するか? 筆者は海軍が遠洋海軍へと向かう背景の中で、この艦は我が海軍駆逐艦発展史上の1つの過渡的機種になると考える。研究中の新型万トン級駆逐艦と比べると、その技術は本質的に新しいものではない。だが現段階で海軍が持つのに最も良い駆逐艦であり、技術、経済、使用可能な性能を比較判断したものである。我が海軍水上艦艇の発展史上、「小刻みに素早く」は皆の耳に馴染んだ原則である。だが仔細にこれまでのそれぞれの型の駆逐、護衛艦艇の発展の脈絡を詳しく見ると、現在のいわゆる「小刻みな素早い」発展の中に、やはり2歩分を1歩で行った「小躍進」があることに気付くだろう。例えば江衛II(生産数10隻、2005年より前の絶対的主力)対江衛I(4隻)、054A(少なくとも24隻)対054(2隻)である。052Dと052Cとを対比すると、同様に一種の段階性の技術的成就が大規模運用をもって体現され、建造数量はあまり少なくなるはずはないと思われる。052D型駆逐艦は、防空、対潜、対艦などの領域においていずれも単独で任せられる能力を持ち、かつ比較的突出した艦隊区域防空能力を持っている。多くの人がかつて指摘した。052Cは防空駆逐艦だが、我が海軍国産駆逐艦発展史の中で、この艦種が存在したことは実は全くないのだと。052Cは対潜魚雷、深蛋(頑住吉注:意味不明です)、ヘリを装備し、かつ尾部に曳航ソナーを放出、回収するウインチと収納穴があり、これはこの艦が依然対潜能力を比較的重視していることを証明している。加えて射程が300kmを超える鷹撃62対艦ミサイルがあり、これは何でも屋の位置付けである。未来の万トン級新駆逐艦に比べると、052Dは052Cを基礎に、全体的作戦能力を全面的に向上させ(新型垂直発射システム、130mm艦砲はこの艦のために見る価値のある対地支援ポテンシャルを提供した)、これは空母艦隊と揚陸作戦艦隊の核心的メンバーである。いくつかの散見される資料によれば、万トン級大駆逐艦はあるいは対ミサイルを重点とするかもしれない(研究中のHQ-2X艦対空ミサイルは、当局の資料によれば海上プラットフォームの対ミサイルミサイルである)。一方052Dの位置付けはより威力を備えた何でも屋であり、052Cと共に2020年までの我が海軍駆逐艦部隊の絶対的主力となる。

付録:052Dの戦術技術指標を推測

全長160m(052Cに比べ4m長い?)、全幅18m(052Cに比べ2m幅広い?)、標準排水量6,000トン余り(052Cは5,900トン)、ディーゼル・ガスタービン交替動力(主動力機関はQC280、西安航空エンジン社による製造)、航行速度29ノット。

電子設備:改良型346型AESA4面陣、364快速反応レーダー、518型VHFレーダー、726型妨害弾発射器武器システム:64ユニット(前32、後ろ32)チョコレート 主要搭載兵器:HQ-9B艦対空ミサイル、PJ-38型130mm主砲、制御誘導砲弾発射可能、近接防御システム:前730、後ろHQ-10


 というわけで、個人的にはかなり信憑性のある推測だと感じます。しかし国産ガスタービン4台装備の1万トン級大型駆逐艦が比較的近い将来登場することは充分考えられるでしょう。ただ、国産空母となるとどうでしょう。国産ガスタービン20台くらいを組み合わせて動力にするなんてことが技術的にできるのかどうか知りませんが、種々の状況からそう簡単には実現しそうにない感じがするんですが。











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