中国の専門家、北朝鮮の「水爆実験」を語る

 やはり水爆実験成功には懐疑的な見方が多いようです。

http://military.china.com/news/568/20160106/21085844.html



ベテランの専門家:北朝鮮の核実験に中国に対する安全保障上の脅威があることを心配する必要はない

【グローバル時報報道 記者 王海峰 張旺 張怡然 譚福榕 範凌志】 「北朝鮮、初の水爆実験に成功!」 北朝鮮が6日昼に発表した情報は世界を驚愕させた。韓国連合通信社の報道によれば、朝鮮中央テレビ局は平壌時間6日昼(北京時間11時半)に「特別重大報道」を放送し、北朝鮮が水爆実験を行ったと宣言した。北朝鮮は外界が咸鏡北道吉州郡に当日地震が発生したのを観測した2時間後にこの核実験の情報を発表した。ある報道は、6日午前北朝鮮で核実験が引き起こしたらしき地震を観測したことにかんがみ、米軍は飛行機を出動させて北朝鮮上空に行かせ、北朝鮮が核実験を行ったか否か確認した、とする。韓国の青瓦台は現地時間昼12時に国家安全保障会議を開き、政府がいかにして対応するか討論した。韓国国防省は、すでに対応の準備を整えており、かつ検査測定したばかりのデータに対し分析を行っているところだ、とした。

北朝鮮はこれまでに全部で3回の核実験を行っている。時期はそれぞれ2006年10日9日(マグニチュード3.7クラス)、2009年5月25日(4.5クラス)、2013年2月12日(4.9クラス)で、地点はいずれも北朝鮮の東北部の咸鏡北道吉州郡豊渓裏付近の核実験基地である。韓国連合通信社は、これまでの3回の核実験とは異なり、北朝鮮は第4回核実験を行う前、事前に中米両国に通知していない、とした。

北朝鮮が正式にこの情報を宣言する前、アメリカ地質調査局、韓国気象庁、中国地震局ネットはそれぞれ北朝鮮で発生した強烈な地震を測定しており、中国は「震源の深度は0km」と称し、韓国気象庁は基本的に北朝鮮の地震が人工的なものだと断定した。中国地震局ネットは、中国地震局ネットは1月6日9時29分、北朝鮮付近(北緯41.30度、東経129.09度)で4.5クラス前後の地震が発生したことを正式に測定し、「震源の深度は0kmである」と語った。

「震源の深度0km」とはどんなものなのか? ある中国のネットユーザーは次のように言う。「私もこれがどんな地震か分からない。天地開闢以来初のことだ。震源の深度が何と0mとは。」と語った(頑住吉注:0kmと0mでは厳密には違いますがね)。さらにあるネットユーザーは、「逆に地震ではないのだろう」、と言った。地震でなかったら何なのか? 多くの人の心中の答えは、核実験である。ある分析は、今回の核爆発の威力は基本的に広島の原爆に似ており、また2009年の北朝鮮の核実験のデータと基本的に吻合する、とする。日本の内閣官房長官である菅義偉はこの視点を持つ。彼は6日午前、「過去の事例を結合すると、北朝鮮が核実験を実施した可能性があると考えられる。」とした。

水爆なのか?

非常に多くの分析は揃って北朝鮮が核実験を行ったと推測したが、北朝鮮が水爆を成功裏に試験したと宣言するとあえて推測する者はいなかった。

1ヶ月前、北朝鮮指導者の金正恩はある視察活動の中で講話し、「我が国はすでに自主研究開発した原爆と水爆を使用して主権と国家の尊厳を断固として維持保護する準備の整った核強国となり得た。」とした。だが世界はこれに対し一致して疑った。

アメリカのホワイトハウスは当日夜定例記者会見を行い、政府のスポークスマンであるアーネストは、「現在我々が掌握する情報は、我々にこの声明には重大な問題があると考えさせるが、我々は依然北朝鮮政権の核兵器開発の試みが重大な脅威を構成すると考える。」とした。彼のこの婉曲な外交的言辞は実際には北朝鮮に水爆があるかないか疑っている。

現在まで、懐疑は依然世界の北朝鮮の水爆に対する主流の態度である。

中国の軍統制・軍縮協会の研究員であるジャイデーチュワンは、現在北朝鮮の核技術が一体どのような水準にあるかに対し決してあえて肯定しない、とした。以前我々は通常北朝鮮は水爆を製造する水準を備えていないと考えていた。たとえ彼らが水爆保有を認めてもである。このため今回北朝鮮が水爆試験を行ったと言明したのも、規模の大きな原子爆弾の爆発を行った可能性があり、これは世界にセンセーションを起こし、視線を引きつけるためである。何故なら原爆から水爆まで至るには技術上の大飛躍が必要だからである。技術的外部の援助がない状況下で、北朝鮮が成功裏に水爆試験を行うことは、人を信じ難くさせる。北朝鮮の現在の工業製造水準によれば、おそらくまだ到達しないだろう。ある韓国メディアが、北朝鮮は去年潜水艦発射ミサイルを海中から出す試験を行った、と言っていることに関しジャイデーチュワンは、北朝鮮のミサイルに対し、我々は過去一般に精度が高くないと考えており、発射することはできたが、遠距離目標を打撃できるか否かさえ、大きなクエスチョンマークだ、とした。

(頑住吉注:これより2ページ目)

ある分析は、理論的に言ってマグニチュード5クラスの地震のエネルギー放出は、32,000トンのTNTに相当する、とする。地震のクラスが0.1違うごとにエネルギーが1.41倍異なるという理論に照らせば、4.9クラスの地震は22,000トンのTNTの爆発と等しい。各国の水爆の爆発の威力はそれぞれ異なるが、すでに発表されているデータから見て、いくつかの核大国初の核兵器(頑住吉注:文脈から言って水爆でしょう)試験の規模はいずれも2.2万トンよりはるかに大きかった。

1950年1月、アメリカ大統領トルーマンは水爆の研究開発を決定した。1952年11月1日、アメリカの水爆試験装置「アイビーマイク」が太平洋のエニウェトク環礁で爆発した。この装置は高さ6m、直径1.8m、重さは65トンに達し、見たところ大きな魔法瓶のようで、爆発の威力は1,000万トンのTNTに相当した。これは広島型原爆の500倍に相当する。

1953年8月、ソ連は水爆実験成功を宣言し、規模は40万トンに相当した。

1954年3月1日、アメリカ初の実用型水爆がビキニ島で試験に成功し、爆発の威力は1,500万トンのTNTという規模に到達した。

その後イギリスが1957年5月15日に水爆を持った。中国は1966年12月28日に成功裏に水爆の原理試験を行い、規模は30万トンで、1967年6月17日には飛行機によって空中投下された330万トン規模の水爆試験が成功を獲得した。フランスも1968年8月に水爆を持った(頑住吉注:ここから別の話になっちゃいますが、要するに今回の2.2万トン規模は水爆とは考えられない小ささだ、ということですね)。

北朝鮮は何故核実験をするのか?

「これまでの一般的規律に照らせば、北朝鮮の核実験はおよそ4年を隔てるごとに1回行われ、今年はすでにこの周期を超えてさえいる。」 中国のアジア太平洋学会朝鮮半島研究委員の王林昌は6日「グローバル時報」記者のインタビューを受けた時、この情報に対し決して驚きや不思議さを感じていなかった。彼は、北朝鮮のこの挙はむしろ北朝鮮の既定の発展方針であって、北朝鮮は核兵器・経済発展プロセスの路線を建立する必要がある、と考える。王林昌は、北朝鮮は経済を発展させようと、経済状況が好転した時に核兵器を作り、北朝鮮の立場に照らせば、これは当然外部の不安要素に照準を合わせており、主要な脅威はアメリカと韓国である、とする。

王林昌は「グローバル時報」記者に次のように教えた。北朝鮮が核実験をすることはきっと東アジアの安全に対し脅威をもたらすだろう。中国だけでなく、アメリカも北朝鮮の核保有に反対しており、全東北アジアないし全世界が反対するだろう。北朝鮮の核兵器は研究開発段階にあり、ひとたび核が漏洩したら非常に大きな安全上の隠れたリスクが出現するだろう。

さらに重要なのは、世界が達成した核不拡散条約によれば、世界で中国、アメリカ、ロシア、イギリス、フランスの5大常任理事国だけが核を持つことができ、その他の国が核を持つことは全て国際法に違反し、許されないことであって、この点は注意することが必須である。現在パキスタン、インドなどの国が核を持っているが、実は全て国際法の規定に違反しているのである。

中国現代院世界政治研究所副研究員の任衛東は6日「グローバル時報」記者のインタビューを受けた時、北朝鮮が核兵器の実験を行ってすでに20年あまりになっており、「今日試験しなければ明日試験するのであって、何ら特殊な時間的ポイントは全くなく、どうあろうとやり続け」、実は北朝鮮がきっと核兵器を作るという確固たる意志を反映している、とした。

「この局面が出現したことに関し、北朝鮮もこの状況なら仕方ないと評価している。」 任衛東は次のように言った。アメリカ、日本さらに韓国が北朝鮮の周囲で大兵力をもって国境を圧迫し、毎年必ず頻繁に軍事演習を行い、北朝鮮に対し強大な軍事的威嚇を形成しており、北朝鮮当局は必然的にこの種の環境下でどのように生存するかを思考するだろう。この種の安全環境は中国の1960、70年代の状況と非常に似ており、北朝鮮にとってこの種の安全の脅威は通常の力量を用いたのでは彼らが対処できないもので、核兵器を作るしかない。このためこれは彼らにとって最も金のかからない、最も有効な安全保障なのである。

任衛東は言った。北朝鮮の核兵器試験は必然的に東アジアの安全情勢に対し一定の脅威をもたらすだろうが、注意に値するのはこの脅威の根源は北朝鮮の核実験ではなく、アメリカと北朝鮮の長期にわたる対立状態だということである。「もしこの両国間の敵対状態が改変されなかったら、この脅威は永遠に消えることはない。」 任衛東は「グローバル時報」記者に教えた。1953年にアメリカと北朝鮮が締結したのは停戦協定であって、平和条約ではなく、このため理論上北朝鮮とアメリカの間はずっと戦争状態にあり、これこそが全地域情勢に対し脅威をもたらす根本原因である。北朝鮮はかつて再三再四アメリカと平和条約を締結し、正式に法律上から戦争状態を終わらせることを要求したが、アメリカは取り合わなかった。このため、今日北朝鮮が核実験を行うことに対し、我々が注意することの必須な点が2つある。第1に北朝鮮の挙動に対し米日韓の関係国が冷静を保持し、事態を拡大させ矛盾を激化させる措置を採らないことを希望する。第2に、再度朝鮮半島において平和メカニズムを用いて停戦メカニズムに代替させることの重要性を説明することで、世界各方は朝鮮半島南北双方が武力対抗ではなく自主平和統一を実現することを推進すべきである。

北朝鮮が核実験を行ったことに対し、一部の中国のネット仲間は中国に対し安全保障上の脅威をもたらすだろうと心配しているが、任衛東は「この心配は必要ない」とした。一方において北朝鮮が核実験を行うことは決して中国に照準を合わせたものではなく、中朝間にもいくつかの小さな問題は存在するが、やはり確固たる同盟なのである。2つ目は、もし不注意な核の事故が中国に危害を及ぼすことを心配するなら、これも過度な憂慮であって、現在まで核の事故は全て原発で出現しているのであって、核実験の期間には逆に出現したことはないのである。


 中国でキャリアの長い学者がこういっている以上、国連の場などでの中国の立場も先に仕掛けた北朝鮮に理解を示し、対応しようとする日米韓などに自制を促すというものになる可能性が高いんでしょうね。
















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