北朝鮮関連2題

 まず少し前に紹介した、「中国は北朝鮮を放棄すべきか否か」論争で「中国にはそもそも北朝鮮放棄の問題は存在しない」という主張をしていた人物の、最近の事件に関する評論です。

http://military.china.com/news/568/20150107/19182698.html


中将:北朝鮮の逃亡兵は中朝関係を損なわない 国境に電子フェンスを装備すべき

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「北朝鮮逃亡兵の越境殺人問題を処置する上で、中国が他国の顔色を窺う必要はない」)

原題:北朝鮮逃亡兵事件は中朝の正常な国家の関係に影響しない

作者:南京軍区元副司令員 王洪光


北朝鮮の逃亡兵が不法に越境し我が4名の辺境の住民を殺害したことが、ネット上で非常に大きな関心を引き起こしている。この事件は少し前にネット上で論争された中国は「北朝鮮を放棄」するか否かの問題に注釈をつけた。筆者は依然中国には「北朝鮮放棄」の問題は存在しないという立場を堅持するが、北朝鮮逃亡兵は法により処置する必要がある。

まず、これはきわめて小さい確率の個別の案件であって、中朝両国の正常な国家関係に影響することはないだろう。いかなる国家がいかに管理コントロールしようとも、常に不法越境犯罪行為の発生はあるのであって、中国にも犯罪分子が他国や香港、マカオ、台湾地域に不法に潜入して犯罪行為を実施するということはある。国際、国内の関連の法律に基づき、これを処置すべきように処置し、送還するのもよし、判決を下して刑に服させるのもよし、公開で公正に法により処置すべきであり、他国の裁判所が我々の顔色を窺うことはないだろう。我々も北朝鮮逃亡兵の越境殺人問題の上で、他国の顔色を窺う必要はない。何故ならこれは国家レベルの政治、外交関係には関わらないからで、我々はこう考え、北朝鮮方面もこのように考えると信じる。

次に、さらに一歩中朝国境の管理コントロールを強化し、できる限り不法越境事件の発生を減少させ、我が国の辺境の住民の生命、財産の安全を保護する必要がある。メディアの報道の中からは、関連の方面が少なからぬ仕事をしていることが見て取れ、例えば10戸の共同自衛制度と各戸の警報装置であるが、依然不充分である。特に本来もう徒歩で渡りやすい狭い国境の川は、冬にひとたび凍れば、全く越境の障害とはならない。しばしば不法越境が発生する区域には電子フェンスを装備し、技術的な監視コントロールを強化し、双方の不法越境行為を厳しく防ぐことを考慮すべきである。この技術的手段は別の方向の上で若干年応用されており、効果は非常に良く、現地の軍民はそれを「電子国境」と称している。筆者はかつて自ら某国境警備哨所監視コントロール室内で、数十キロの国境を監視したが、人の行き来があるかないかは言うまでもなく、飛ぶ鳥や走る獣もごくはっきりと見え、ひとたび状況があれば、いち早く処理できた。

さらに、いかにして中朝関係と北朝鮮国内問題を扱うかである。国と国との関係は、国家レベルの上では政治および外交問題で、我が国政府が国家利益を維持保護する立場に立って正しく処理することを信じる。ネットユーザーがいかに中朝関係と北朝鮮国内問題を扱うかは、人によって異なる。インターネットの時代、人々全てに「マイク」があり、誰も誰の口をもふさぐことはできない。専門家、学者にも全て一家言あるが、彼らの話も「参考にのみ供せられる」のであって、誰かに比べより多くの発言権を掌握しているわけではない。筆者は理性的に深く検討しさえすれば、事実と道理はいつもどんどんはっきりしてくると信じる。「北朝鮮を放棄」あるいは「北朝鮮を放棄」しない、にはいずれにも各自の道理があり、しかもある事実の依拠と道理は、本質の上では一致しており、出す結論が異なるだけである。例えばいずれも国家の根本利益を維持保護するというこの一点から出発しており、筆者は双方に食い違いはないと信じる。北朝鮮は閉鎖国家であり、経済グローバル化の大環境の下で、北朝鮮の置かれた状況は、国際環境の圧迫と不利な影響もあれば、同国自らの内部的問題もあり、例えば核保有である。北朝鮮の政治制度と政権、およびその採る路線、方針は、北朝鮮人民の選択であり、我々は総体として尊重すべきである。その中の中国の利益に損害を与える方面に対しては、旗色鮮明に反対する必要がある。だが北朝鮮逃亡兵の不法越境、我が辺境の住民殺害は、この討論の材料となるべきではない。


 以前も書いたように「中国には北朝鮮放棄の問題は存在しない」はいわばレトリックであって、実質的には「北朝鮮を放棄すべし」に近いわけですが、その人が「この問題をこの議論の材料にすべきでない」と呼びかけているのは、中国世論が感情論で過度に「北朝鮮放棄」に傾くことは良くないと思ったからでしょうし、あるいは他から示唆を受けてのことかもしれません。ちなみに犯人は逮捕の過程で撃たれ、治療の甲斐なく死亡したとされています。本筋より気になるのは、北朝鮮逃亡兵が中国一般民に危害を加えた事件の影響で国境の監視が強化されれば、当然脱北がより困難になってしまうことです。

 次は北朝鮮ハッカー問題です。

http://military.china.com/news/568/20150108/19186981.html


北朝鮮ネットワーク軍、沈陽に拠点を設けると伝えられる 専門家、中国が容認することはないだろう、とする

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「資料画像:沈陽の七宝山飯店」)

「グローバル時報」記者は7日沈陽の七宝山飯店に入ったが、この中はいつものごとく平静で、変わった様子はなかった。だがアメリカの有線テレビニュースネット(CNN)は当日の報道の中で、ここは北朝鮮ハッカーが活動する場所の1つであるとした。この報道はある北朝鮮「脱北者」の話を引用し、北朝鮮の秘密のハッカーネットワーク「121局」は中国の沈陽に秘密の拠点を設け、長期にわたり「大規模に運行」している、とした。中国の北朝鮮問題専門家である呂超は7日「グローバル時報」に対し、CNNの報道の中にはいかなる証拠も提供されておらず、「脱北者」の一方的な言葉はさらに信じるに足りない、と語った。この前中国外交部スポークスマンは、中国はいかなる外国あるいは個人が中国国内で、あるいは中国の施設を利用してネットワーク攻撃を行うことも許さない、とした。もしこの種の行為を発見したら、法によって厳粛に処理する、と。

CNNのこの報道の情報源である金恒光は自称かつての北朝鮮コンピュータ科学の教授で、2004年に北朝鮮から国外に逃亡した。彼は、中国のネオンきらめく沈陽の街頭に、あなたは北朝鮮政府所有および運営のレストラン、ホテル、店舗を発見することができる、と語る。北朝鮮ハッカーは沈陽で秘密裏に活動して長年になり、異なる地点を移動し、もって行方と活動を覆い隠している。「121」局は1990年代末に設立され、2005年に中国における大規模な行動を開始した。チームメンバーは小グループの形式をもって、毎回20人でそれぞれ中国入りした。その後、彼らは異なる身分をもって偽装し、例えば職員、貿易会社人員、甚だしきに至っては外交人員である。金恒光は、彼の一部の学生はすでにハッカーネットワーク戦士となった、とする。「白昼、彼らはいつも通り働き、その他の時は平壌方面からの命令を聞いて行動する。」

CNNは、沈陽は明らかに北朝鮮の「風情」を持つ、とする。七宝山飯店は北朝鮮と中国の合資企業である。このホテルで働く女性は全て北朝鮮伝統の服装を身にまとっている。この中には北朝鮮を賞賛する画廊、北朝鮮の記念品商店、北朝鮮国有航空会社である「高麗航空」の旅行事務所がある。北朝鮮付近の最大の都市として、沈陽は非常に多くの平壌の人がやってきて仕事をすることを吸引している。報道はアメリカのメリーランド大学の対テロ専門家スティーブ シンの話を引用し、もしあなたが非合法活動あるいは隠蔽された秘密の行動に従事したければ、あなたは人の群の中に隠れる必要がある、とした。大規模、複雑なネットワーク攻撃はさらに強大なネットワーク基礎施設で支持することを必要とし、そして中国の沈陽はこうした条件を具備している。金恒光は、何年か前北朝鮮ハッカーの中国での活動は非常に大きく縮減されたが、自分はハッカーが依然沈陽で活躍していると考える、と語った。

「グローバル時報」記者は7日北朝鮮駐中国大使館に電話をかけ、ある自称主に経済問題を担当する大使館業務人員は、アメリカメディアの報道したこの内容を聞いたことはなく、大使館にこの件に対し回答できる人がいるか否かも分からない、とした。

この前のある西側メディアの「脱北者」を情報源とする報道は、北朝鮮にはコードネーム「121局」のネットワーク部隊があり、編成は1,800人で、軍の精鋭情報機構「偵察総局」に隷属する、とした。復旦大学北朝鮮・韓国研究センター主任の鄭継永は7日「グローバル時報」記者に対し、かつて韓国の学者が学術会議で中国サイドの会議参加人員に向けこの件を提示したことがあるが、中国サイド代表は再三聞きただし、韓国の学者も充分な証拠が出せず、この後再度提示することもなかった、と語った。

(頑住吉注:これより2ページ目)

「北朝鮮ハッカーのことは全く聞いたことがない」と沈陽の多くの民衆は7日「グローバル時報」記者に対し語った。CNNに例として挙げられた七宝飯店は沈陽市中心にあり、中朝双方の言葉の商標やサービスハンドブックは、見ることのできる最も直接的な北朝鮮との関係である。遼寧社会科学院研究員の呂超は「グローバル時報」記者に対し、このホテルはかつて北朝鮮の国外投資の最大のプロジェクトで、何年か前北朝鮮は51%の株式を所有していた、と語る。後の経営問題ゆえに現在ではすでに中国によって完全に株式が所有され、取締役会長から下層の管理者まで全て中国サイドの人員で、北朝鮮企業とは評価できない。北朝鮮がここでやりたいようにすることは不可能である。何年か前のある情報は、丹東のある高級ホテルが北朝鮮人によって貸し切られ、ハッカー攻撃を発する基地として非常に多くの外国記者を引き寄せた、とする。ホテルのボスは痛し痒しで、面倒でならなかった。

「グローバル時報」記者はCNNの報道の中に、ビデオが沈陽市内のいくつかの北朝鮮人が経営するホテルや商店の画面を示したのを見たが、文章の中にもビデオの中にも、CNN記者が「北朝鮮ハッカーが沈陽に基地を設ける」一件で実地のインタビューを行ったとははっきり示されなかった。かつて「脱北者」に対する追跡研究をすること2年余りの呂超は、「脱北者」はしばしば西側に吹き込まれた通りに話をする、と語る。

呂超は、北朝鮮にこのような部門があるかないかは非常に語り難く、結局のところ少なからぬ国家がネットワーク部隊戦力を建設しており、北朝鮮指導者もこれに対しずっと非常に重視している、と語る。だが中国はこのような拠点を中国に設けることを絶対に容認しないだろう。中国はこれまでずっといかなるハッカー攻撃にも反対しており、しかもこのことは中国自身にとっても不安定要素である。【グローバル時報の沈陽に赴いた特派記者 王文軍 グローバル時報駐アメリカ特約記者 蕭達 グローバル時報記者 郭芳】


 北朝鮮大使館に聞いたって正直に答えるわけはなく、極秘のネット部隊のことを周辺住民が知っているわけもなく、「中国はこれまでずっといかなるハッカー攻撃にも反対して」いることを挙げるなど、否定の材料らしきものがどれもこれもあまりにも説得力を欠くので逆に怪しいと思えてしまいます。「最大のハッカー被害国」を自称する中国にとってもアメリカを間接的にハッカー攻撃し、まずくなったら知らなかったですませられるわけでメリットがないこともなさそうですしね。











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