2.8.2.2 回転閉鎖機構

 回転閉鎖機構の場合ロックは回転運動の結果として引き起こされる。これに関して我々は2つの構造上の型を区別することができる。1つめはバレルがロックやロック解除のために回転させられるもの、一方2つめの方法では閉鎖機構が回転させられる。図2.8.4ではステアーピストル モデル1911(1911〜1919年においてオーストリアのアーミーピストルだった)の回転閉鎖機構の原理が表現されている。a)は閉鎖された位置における閉鎖機構を示している。バレルの閉鎖用突起(3)は閉鎖機構(2)の対応する閉鎖用ノッチ内をグリップしている。弾薬の点火後、閉鎖機構とバレルはまず一緒に後方に走る。この後方に走る運動の際、バレルがフレーム内で誘導される「ネジ型」(4)によって閉鎖機構に対していっぱいに回転させられるので、閉鎖用突起(3)は閉鎖用ノッチ内から出て行き、そしてこれにより閉鎖機構とバレルのロックは解ける。この際「ネジ型」は一部フレームのネジ状ノッチによって干渉されたままになり、この際最終ポジションは「阻む隆起」(7)のフレーム内におけるストッパー位置によって規定される。閉鎖機構の復帰の際、普通の方法でマガジンから弾薬がバレル内に押し込まれ、閉鎖機構はこの動きの逆の順番で再びロックされる。





図2.8.4 回転閉鎖機構の図式的表現(ステアーピストル モデル1911)

 我々は閉鎖機構の回転によるロックをフロンマーストップおよびフロンマーベビーピストルに見いだす。このフロンマーピストルに使用された閉鎖機構のシステムは、まださらなる特殊性を示しているので、これに関してはこの後近いうちに取り上げられる。

 サベージモデル1910ハンマーレスおよび1917はE.H.Searleによって開発された閉鎖機構のシステムを示しており、この場合バレルは閉鎖機構のオープンの際に回転させられる。弾丸の回転はバレルの回転運動を邪魔する、そしてこれにより閉鎖機構のオープンを邪魔するように意図されている。しかし弾丸の回転の加速は、弾丸がバレル内を急速に通り抜ける時間と比較すると短いモーメントを要するに過ぎず、有用なロックからするとこの場合小さな話題でしかあり得ない。


 ステアー等の回転バレルシステムについては何度も触れているので補足は不用だと思います。前にも書いたようにこのシステムはスライドとのロック解除がバレルのティルトによるのか回転によるのかという違いだけでブローニングシステムと大差ありません。

 ステアー等のバレルはフレームとカム状にかみ合っており、バレルが反動によって後退することによって回転させられますが、最後にちょっとだけ触れられているサベージのシステムはバレルがスライドによって回転させられるようになっているということです。この回転に抵抗するのは弾丸がライフリングに食い込んで回転する際の反作用です。この筆者はこのシステムはあまり有用なものではない、としていますが、その理由付けはいまいち理解できません。「モーメント」というのは「瞬間」といった意味ではなく理学用語だと思うんですが、たったこれだけの説明で理解するにはこのあたりに関する私の知識は乏しすぎます。ただ、これは分類上ここで論じられているフルロックではなくハーフロックになるのではという気がします。

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