イギリス製ライフルグレネードNo.3

 「Waffen Revue」123号に、第一次大戦でイギリス軍が使用した初期のライフルグレネード、タイプN0.3に関する記事が掲載されていました。


イギリス製ライフルグレネードNo.3

 ライフルグレネードはすでに第一時大戦の塹壕戦で非常に愛用された。これの持つより大きな射程を使って通常のハンドグレネードと等しい効果を達成することが可能だったからである。そしてこのため当時全ての交戦国でいろいろなモデルがテストされ、そして採用された。

  イギリスではモデル

グレネードNo.3ライフル

が部隊によって好んで使われた。これは最高度の安全設備が備えられていたからでもある。

説明

 グレネード本体はマッシブな鉄でできており、爆発時に特別に良好な破片効果を達成するため、深い縦および横方向の溝が備えられている。中央には1本のパイプが備えられ、これは前から後ろまで達している。このパイプ内の前部にはねじ込みヘッドを備えた炸裂カプセル受け入れのためのケースがねじ込まれ、ここにコイルスプリングがあてがわれている。このコイルスプリングはレスト位置にあるファイアリングピンの先端を炸裂カプセルから離れるように押している。ファイアリングピンはほぼ中間に切り欠きを備え、この中に2本の保持ピンがかみ合っている。このピンは外部からグレネード本体を貫通しており、外部からグレネード本体にねじ込まれている風車によってそのポジションに固定されている限り、レスト位置でファイアリングピンを固定している。レスト位置ではこの風車はちぎりワイヤーが付属した安全ピンによって固定されている。弾道学的ストック用のネジが備えられている後端には、スプリングクリップが取り付けられ、これによってグレネードは発射のためライフルのバレルに保持される。

安全設備

 前述のようにこのライフルグレネードは発射されない限り射手に最高度の安全性を提供するいくつかの設備を備えている。

1)ファイアリングピンがセット済みの炸裂カプセルに意図せず当たる可能性がないように、ファイアリングピンはコイルスプリングによって炸裂カプセルから遠ざけられている。

2)ファイアリングピンはこの位置で、外部からファイアリングピンの切り欠き内にかみ合うよう挿入される2本のピンによって保持されている。

3)このピンは外部からねじ込まれる風車がピンを定位置に押している限りそのポジションに留まる。

4)この風車が意図せずねじれて緩まないように、ちぎりワイヤーループが備えられたさらなるピン(安全ピン)が風車を固定している。

5)この設備は、このグレネードが爆発可能状態にされ、このために炸裂カプセルを入れねばならない際(これは使用前になって初めてなされる)に重要である。

6)グレネードが損傷を受けないように、そして爆発可能状態でさえ運搬できるよう、このグレネードは使用前亜鉛薄板製容器内で運搬される。この筒は後方に開口を備え、ここを通って弾道学的ストックが突き出す。

7)グレネードは筒内で硬い紙製の保持板で固定されている。

機能

 使用前グレネードは容器から取り出され、炸裂カプセル用ケースが付属したねじ込みヘッドをねじって外し、炸裂カプセルを入れる。ねじ込みヘッドを再びねじ込んだ後、ねじ込みヘッドはコイルスプリングでファイアリングピンを後方に押す。

 その後グレネードは弾道学的ストックを使って、スプリングクリップがマズルをはさむまでライフルバレルに導入される。

 射手がライフルに駆動弾薬を装填すると、グレネードは爆発可能かつ発射準備状態となる(頑住吉注:風車を固定している安全ピンを抜く、という操作が抜けています)。

 ライフルのトリガーを引いた際、木製弾丸が弾道学的ストックに当たり、グレネードはバレル外へ投射される。飛行中風車は空気抵抗によって後方へとねじって緩められる。この時ファイアリングピンを固定していたピンが脱落し、ファイアリングピンをフリーにする。だがファイアリングピンは遠心力によって後部位置に保持される。

 ターゲットへの命中の際、セーフティ解除されているファイアリングピンはその重量によって強い力で前進し、スプリングの力に打ち勝ち、その先端で炸裂カプセルに当たり、炸裂カプセルは炸薬に点火する。これに続く爆発によってグレネード本体は多数の破片に分解する。

 射程距離は発射角度45度、ストック長25cmの時約140m、ストック長38cmの時は約200mに延長可能だった。

目印
 炸薬が入れられている時、グレネードの中央部あたりには幅広い赤色の帯が彩色された。炸薬がTNTまたはAmatol(頑住吉注:爆薬の一種アマトール)の場合はグリーンの帯が描かれ、炸薬がAmmonal(頑住吉注:爆薬の一種アンモナル)の場合バラ色のリングでマーキングされた。

梱包

 各グレネードはねじ込みキャップが付属した金属薄板製容器内に収められた。このキャップははグレネード取り出しのためにはねじって外す必要があった。その後射手はグレネードを紙製の保持板ごと前方に引き出すことができた。

 20個のそのような容器が木製ケース内に梱包され、このケース内にはさらに20個の炸裂カプセルの入った容器、そしてさらに駆動弾薬が収められた。

 このグレネードは直径3.8cm、長さ15.2cmで、1915年に実戦使用が開始された。



1=ギザギザのついたグレネード本体 2=尖った先端を持つファイアリングピン 3=セーフティ解除用風車 4=弾道学的バー(ストック) 5=ねじ込みヘッド 6=爆薬 7=炸裂カプセル用ケース 8=コイルスプリング 9=安全ピン 10=ちぎりワイヤーループ 11=スプリングクリップ



グレネードおよび内部設備。風車がいくらかねじって緩められているので安全ピンのための開口が見える(頑住吉注:赤い矢印)。右上のファイアリングピンには2本の安全ピンのための削り加工部(頑住吉注:くびれ)があり、コイルスプリングが付属している。左上はねじ込みヘッドと一体の炸裂カプセルケース。


 着弾時、グレネードが急に停止することによってファイアリングピンが慣性で前進して炸裂カプセルを突いて発火させるという着発信管、安全な保管のため炸裂カプセルを入れる部分が着脱式になっていて原則使用直前に炸裂カプセルを入れるという仕様、後方の長いストックをバレル内に挿入して空砲のガス圧で発射する方式など、どれもごく一般的な特徴ですが、風車を使った安全装置がやや異色です。

 航空爆弾の中には先端に風車を持ち、風圧でこの風車が一定時間回ることによって信管の安全装置が解除されるというものが多く存在しますが、このライフルグレネードはそれに似たものです。グレネードの初速は比較的低かったはずですし、風車は非常に肉厚の金属製(特に記述がないので鉄だと思いますが)で、グレネード本体の後ろ、つまり風が直接当たりにくい位置にあり、ねじれの入ったごく小さなフィンが多数ついているだけです。よくこれで回るものだと思います。安全装置が解除されるまでどれだけの時間、つまり飛行距離が要求されたのかについては記述がありませんが、あまり近距離では炸裂しないわけです。これも明記されていませんが、風車が回って後退し、ファイアリングピンを保持しているピンを抑えるのを止めると、イラストで分かるように太くなった頭部を持つピンが遠心力で振り飛ばされ、ファイアリングピンが前進可能になる、ということのようです。

 マズルをはさんでグレネードの脱落を防ぐクリップもやや変わった特徴です。こうしたグレネードは大きな仰角をかけて発射するものであり、また走り回りながら発射する、ということもまずないので普通こういうものは不要であり、ついていないようです。








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