2.11.2.2 レストの形状

 レスト面と、打撃部品軸とレストを結んだ線との傾斜角は、同様にトリガーの性質に影響する。図2.11.3に基づき、我々はこの角度をβと呼びたい。図2.11.4ではいろいろな角度がはっきり誇張されて表現されている。a)ではβはACの下側に位置している。トリガーを引いた際、摩擦力およびコック部品スプリングの抵抗を克服しなければならないだけでなく、打撃部品は打撃スプリングの抵抗に逆らってさらに持ち上げ(コックされ)なければならない。βがより大きくなり、そしてレストのかみ合いが深くなるにしたがってこの傾向は強まる。βが充分に大きいとコック部品に作用する復帰力が、途中まで外されたコック部品がトリガーへの圧力が小さくなり、あるいは失われた際に再び完全にかみ合うのに充分になる可能性がある。モダンな銃ではβは3〜10度の間である。(αが90度で)βがゼロだと(b)作用するのはコック部品スプリングが残るのみである。βがc)に表現されているようにとうとうACを越えてしまうと、コック部品はコック部品スプリングおよび(変わる可能性のある)摩擦力のみによってかみ合いが維持され、トリガーは全く不確実なものになるはずである。


図2.11.3 レストの角度β



図2.11.4 レストの角度のトリガーキャラクターへの影響。


 「βが充分に大きいとコック部品に作用する復帰力が、途中まで外されたコック部品がトリガーへの圧力が小さくなり、あるいは失われた際に再び完全にかみ合うのに充分になる可能性がある。」というのは前回同様、トリガーを途中まで引いた後に射撃を中止してトリガーを引くのを止めた時、シアが自動的に最初の位置まで戻るということです。

 a)のようなトリガーではレットオフ前にハンマーがかなり大きく起こされ、実際上セミダブルアクションのようなトリガーになります。b)ではレットオフ直前までハンマーは動きません。c)ではトリガーを引くとレットオフ前にハンマーが一定の距離ゆっくり倒れることになり、暴発の恐れだけでなく打撃力の不足につながる場合もあるでしょう。









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