2.8.2.3 バレル突起閉鎖機構

 バレル突起閉鎖機構はJohn M. Brouwningに起源を持つ。我々はすでにセルフローディングピストルの発展に関する章で最初のブローニング閉鎖機構を紹介した。この場合バレルはロック解除の際スライドと平行に沈下させられた。

 図2.8.5はコルトガバメントモデル オートマチックピストルのロックを示している。(1)はスライド、(2)はバレルブッシング、(3)はバレル、(4)はバレルリンクである。バレルリンクは上の回転軸によってバレルの張り出し部に、そして下の回転軸によってフレームに固定されている。a)ではバレルと閉鎖機構は発射準備のできた、ロックされた態勢にある。リコイルショックが両者をまず始め一緒に右へと動かす。バレルがリンクによって下へと振られ、止められるまでである。これにより閉鎖用突起は対応する閉鎖機構のノッチから引き抜かれる。この結果ロックは解かれ、スライドはその道を単独で続行できる(頑住吉注:これはあまりにもよく知られているので図は省略します)。

 バレル突起閉鎖機構の他の型は図2.8.6で示されている。これは同様にJ.M.ブローニングに起源を持ち(1924年)、ベルギーのFabrique Nationale d’Armes de Guerreのハイパワーピストルで使用された。この銃の場合、バレル(2)の閉鎖用突起のスライド(1)のノッチからの解き放しは、バレルに加工された「あやつるカーブ」(3)によって引き起こされる。この「あやつるカーブ」はフレーム内で横に位置する「あやつるカム」(4)によって誘導される。





図2.8.6 「あやつるカーブ」を持つバレル突起閉鎖機構(ブローニング ハイパワーピストル) a)は閉鎖機構がロックされている。b)は開放されている。

 ブローニングのバレル突起閉鎖機構は最も多様な「あやつる要素」とともに多くの大口径ピストルで使われた。例えばいくつかのスペイン製スターピストル、スイス インダストリー ゲゼルシャフト(頑住吉注:SIG)のいろいろな銃、ロシアのトカレフピストル、ポーランドのラドムP35、いろいろなフランス製ミリタリーピストル、チェコ製ピストルモデル75、S&Wのモデル39および52においてである。


 このシステムに関してはもう補足することもないので、またガレージキットで製品化する場合のことを考えてみましょう。バレル内に強力なスプリングを入れ、スライドを押し込んでa)の状態に閉鎖すると、スプリングのテンションによってバレルは前方、スライドは後方に押され、両者はロックされているので閉鎖状態が持続します。ここで実銃の発射時のリコイルショックの代わりにトリガーを引いてバレルを少々後退させてやると、バレルはb)のように後部が沈下し、ロックが解除されてスライドは勢い良く後退、排莢します。その後リコイルスプリングによってスライドは復帰しますが、このときトリガーとバレルの関係が断たれていれば完全閉鎖直前にバレルを前方に押してa)の状態に戻ります。

 理屈上はこれで問題ないはずですが、この形態だとスライドとバレルがロックされる際の段差が余りにも小さく、パーツ相互のガタによって勝手にロック解除されてしまうおそれがあります。また、b)をカートを入れて閉鎖する直前と仮定すると、バレル内の強力なスプリングによってスライドより先に前進してしまおうとするバレルとスライドのかみ合い部に大きなフリクションが生じ、長時間の仕様の後にはエッジが磨り減ってロックがバカになってしまうおそれもあります。ただ、ここでは何故か取り上げられていませんが現在ではむしろ主流になっている、チャンバーがエジェクションポートにはまってロックされる形態ならば両者のかみ合いの段差が大きく取れるので、難易度は比較的低くなるはずです。










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