2.8.2.4 かんぬき閉鎖機構

 バレルと閉鎖機構の固定した(頑住吉注:フルロックの)、解除可能な結合を行うもう一つの可能性は、かんぬきの使用の中に存在する。我々はすでにこの構造要素を、モーゼル モデルC96やベルグマン ベヤードピストルのような「過渡期のピストル」の中に見いだした。かんぬき閉鎖機構を持つピストルでは、発射の際バレルが直線状に後方に滑り、傾斜運動も回転運動も行わない。かんぬき閉鎖機構の機能はワルサーピストル モデルP38の例で論評したい。

 バレル(1)と閉鎖機構(2)はフレーム内でバレル方向に押し動かせるように取り付けられている。バレルは後下方に継ぎ足し部を持つ。この中にはかんぬき(4)が垂直に振れるように、そしてボルト(5)が水平に押し動かせるように収納されている。図2.8.7 a)は、発射準備状態の銃におけるこの興味深い領域の部分断面図を示している。かんぬきは閉鎖機構の両サイドをノッチ部でつかんでいる。このノッチは閉鎖機構側面の内側に位置している(この図は実際に存在するよりもかなり大きな遊びを示している)。発射時、バレルと閉鎖機構はまず始め一緒に後方に走る。ボルトがまずフレームに当たり、かんぬきをスライドのノッチから押し出す。これにより閉鎖機構とバレルの結合は解かれる。バレルはフレームのストッパー部で止められ(b)、そして閉鎖機構はその道程を引き返しポイントまで続行する。そしてその後閉鎖スプリングによって再び出発位置へと運ばれる。
 ワルサーは同じかんぬき閉鎖機構をピストルP5でも使用している。ベレッタは似たかんぬき閉鎖機構をピストルモデル951および92で使用している。これら全ては9mmパラベラム弾薬用に作られている。





図2.8.7 かんぬき閉鎖機構(ワルサーP38)。a)は閉鎖機構がロックされている。b)はオープンされている。


 これを書いている現在、このシステムを採用しているベレッタM1951をモデルアップ中です。このシステムは「Waffeninfo.net」におけるいろいろな閉鎖機構の説明にも登場し、そのときロッキングブロックを強制的に下降させるピンはなくてもかまわないはずだと書きました。しかし、モデルアップの過程でこのピンなしで作動させようとしたとき問題が生じました。強制的に下降させるピンがない場合、ロッキングブロックの後部はスライドによって押し下げられることになりますが、スライドによって押し下げることが可能なのは前部の軸と同じ高さまでであって、このときまだロックが解除されないと、



 極端に誇張すると要するにこういうことですが、いくらスライドを引いてもロッキングブロックがひっかかったまま解除されません。これ以上ロッキングブロックを下降させて解除するには何らかの外力が必要になります。

 実際P38系やM92系でピンを外したらロックが解除されないのかどうかは手元に実銃がない以上分かりません。例えば上のイラストでは水平状態になったときには完全に解除されているように見えるんですが、いろいろな写真等を見てみると微妙なところのようです。不必要ならわざわざコストアップをしのんでピンを入れないだろうとも思えますが、念のため、あるいはパーツ間のストレス軽減のために備えてあるだけで、なくてもスライドが引けるのかも知れませんし、手では引けなくても発射すると最初に高速でごく短距離後部が下降した慣性で解除されるのかも知れません。また、問題が生じるとした場合、何故もう少し前部の軸を下にずらして対処しないのかもよく分かりません。まあベレッタの場合直下にリコイルスプリングが通っているので無理かもしれませんが、P38の場合は充分できそうに思えます。

 このあたりに関してはこのページが参考になります。

http://timm.hp.infoseek.co.jp/Html/P38meka01.html


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