中国の新兵器関連2題
中国が国慶節で長期休暇の間、新たな記事が少なかったんで、紹介できなかったちょっと古い記事を2つまとめて紹介します。まず極超音速機関連です。
http://military.china.com/news/568/20150921/20433936.html
空軍専門家、「国産極超音速飛行機、SR-71を超越」を評する:時期尚早
(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「資料画像:アメリカの高空偵察機SR-71『ブラックバード』」)
最近あるメディアは、我が国の某新型飛行機が試験飛行に成功し、試験飛行センターの極超音速試験飛行領域の突破を実現した、と報道した。さらに関連のメディアはこの飛行機をアメリカの高空偵察機SR-71「ブラックバード」と相互に比較した。
「これはすでに我が国が開発中の極超音速飛行機の状況に関するメディアの初めての報道ではない。」 軍事専門家で空軍装備研究院高級工程師の張文昌は科技日報の記者に、「だがこれによって我が国がすでに成功裏に『ブラックバード』に大体似た、最高飛行速度などの指標が『ブラックバード』を超越する極超音速有人戦略偵察機を研究開発しかつ試験飛行したと判断して語るのは時期尚早だ。」と教えた。
極超音速とは一般に流動あるいは飛行の速度が音速の5倍に到達あるいは超える、すなわちマッハ数5を超えるあるいは等しいことを指す。極超音速飛行を実現する飛行体は現在国際的に非常に少なく、大陸間弾道ミサイルはまさにその中の1つで、その弾頭の再突入速度は音速よりはるかに高い。
兵器にとって「速い」ということは勝利を制する宝でもあるし、生存の法則でもある。SR-71の最大速度はマッハ3.5で、最大速度から言ってSR-71はまだ極超音速飛行機とは呼べないが、この機の後続の極超音速飛行機研究開発に対する意義は言わずとも明らかである。
「もし某型飛行機の速度がマッハ5に到達あるいは超えたら、その作戦機能と生存能力がどれだけ高いかは考えれば分かる。」と張文昌は語る。
一般的に言って、極超音速飛行機の研究方式、方法、技術的ルートは全てが伝統的飛行機と異なる。飛行機の極超音速飛行を実現する必要があれば、極超音速エンジン技術と一体化設計技術の突破が必須で、例えば飛行機の機体と推進システムの設計の一体化、空力設計の一体化、構造設計の一体化などの技術、および材料と構造技術、極超音速空力技術、燃料極超音速推進システム、極超音速地上シミュレーションおよび飛行試験技術などである。
「まさに極超音速飛行の研究が多項目の技術的ハードル越え、何度もの検証を行うことを必要とするがゆえに、研究開発の成功には相当長い期間を必要とする。関連のメディアの報道は実は決して正確ではなく、非常に多くのディテールが議論に値し、軍事愛好家に冷や水を浴びせるかもしれない。」と張文昌は判断し語る。
まず、もし我が国はすでに極超音速飛行機技術の研究を開始していたとしても、歩み始めはアメリカに比べてまだ比較的遅い。報道から見て、今回試験飛行したのは滑走路上から自由に発着する飛行機である。アメリカが1950年代に研究を開始した吸気式極超音速技術は、たゆまぬ努力をしたが、現在までまだ滑走路上で自由に発着できる吸気式極超音速飛行機は研究開発していない(頑住吉注:「吸気式」というのはロケットエンジンではなくジェットエンジンを使う形式ということですかね)。
次に、極超音速飛行機研究開発の路上で、我が国はまだ多くの基礎的技術が突破を必要とし、例えば高性能ジェットエンジン技術である。何故ならもし一部専門家の推測のように、我が国が今回試験飛行した飛行機が「タンデム式タービン・ラムジェットコンビネーションエンジン」を採用していたら、高性能ジェットエンジン技術を持つことが前提だからである。
第3に、飛行機は試験飛行センターに引き渡される前、一般に必ず工場で初飛行と比較的長い時間の試験飛行を行う必要がある。だが今回の報道の中で言うところの飛行機はすでに試験飛行センターに引き渡された飛行機であり、このことはこの機がこれまでにすでに若干回の試験飛行を行っていることを説明する。もし極超音速飛行機がこのように重要な技術的突破を取得していたにもかかわらず、長時間いかなる情報もなかったというのは、今日のネット時代においてはいささか不可思議である。
最後に、報道の中で提示されている試験飛行センターに投入された技術力量から見ても、極超音速飛行機の試験飛行状況に符合しない。もし今回の試験飛行が某型飛行機を搭載機とし、我が国が基礎研究する某項目の極超音速飛行機技術を検証したのだとするなら、まだいささか信じられると言える。当然、もしこうだったとしても非常に喜ばしいが。
張文昌は説明し、世界で極超音速飛行機の研究を展開している国は非常に多いが、真に重大な進展を取得し、検証機を製造しているのはアメリカだけだ、と語る。現在までにアメリカが研究開発したことのある極超音速飛行機にはX-43A、X-37Bなどがある。最も関心を注ぐに値するのはアメリカが開発中のSR-72極超音速無人偵察機である。SR-72はSR-71の後継機で、その最大の特徴はターボジェットエンジンとスクラムジェットエンジンのコンビネーション動力を採用することで、また全翼レイアウトを採用し、マッハ6の極超音速で飛行でき、24時間連続飛行できる。
張文昌は、極超音速飛行機は疑いなく極めて大きく未来の進攻および防御作戦様式を改変することになる、と指摘する。その研究開発は疑いなく重大な戦略的研究の方向で、追跡と研究に値する。(科技日報北京9月20日電)
その後全くこの件に関する新しい情報が見られないことからしても非常に疑わしい情報だったと考えざるを得ないですね。次は閲兵に参加した改良型兵器に関する記事です。
http://military.china.com/important/11132797/20150907/20342007.html
検閲を受けた99A戦車の三大性能は大幅向上 トップクラスの防御能力を獲得
(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションは本文の一部を切り取ったものなので省略します。)
9月3日の大閲兵からはすでに数日過ぎたが、決して人々の今回の閲兵に出現した武器に対する関心、熱情は弱まっていない。いくつかの改良型兵器のディテールも、こうした装備の性能向上を解読する突破口となる。専門家は、装備の改良は往々にしてごく小さなことでも全体に影響が及び、いくつかのディテールの改良は技術の進歩、甚だしきに至っては設計思想の発展を反映している、と指摘する。
「99大改」の改はどこに?
今回の閲兵の中で、地上装備の中で率先して出場したのは99大改メインバトルタンクだった。2009年に閲兵に参加した99に比べ、99大改には外形上間違いなく小さくない変化が発生している。まず、車体後部のエンジンルームがキャタピラのスカートより顕著に一段高くなっている。これはより大型のエンジンを装備した結果である。そして大型のエンジンはより大きな出力を意味する(頑住吉注:ウクライナ製のエンジンをよりサイズの大きい国産に換装したが出力は同じとか小さいとかいう可能性も理屈上ありうると思いますけど)。この前ある専門家は、中国はすでに最大出力1,500馬力の戦車用エンジンの問題を解決しており、このエンジンは1,200馬力の動力発揮曲線が世界で最も先進的なエンジンに全く負けない、と指摘した。これはこの戦車が中ロ合同演習の中で「草の上を飛んだ」重要な原因でもある。
外形から見て、この戦車の反応式装甲も改良されている。反応装甲は実際上最も早くはドイツ人によって発明され、後にイスラエルが最も早くレバノン戦争に用いた。当初は成形炸薬弾の防御にしか用いることができなかった。だが中国の反応装甲は発展を経て、成形炸薬弾が防御できるだけでなく、さらに徹甲弾が防げ、したがって「ダブルの防御」を達成している。そして99大改の反応装甲は「ダブルの防御」を基礎に、さらにタンデム構造の成形炸薬弾が防げ、「トリプルの防御」を達成している。また、ロシアのT-72、T-90の反応装甲レイアウトに比べ、99大改の反応装甲レイアウトはより科学的で、防御の死角が小さく、防御面積が大きく、しかも傾斜が小さい状態下での防御効果が良い。また、そのレーザー制圧システムの体積が小さくなり、推測によれば出力も上昇し、信頼性も向上しているだろう。99大改はアクティブ防御システム(つまり来襲する弾薬を破壊できるシステム)を装備しているのは見られないが、このレーザー制圧システムの作用は決していかなるアクティブ防御システムにも劣らない。また、砲塔両側にはレーザー警告装置らしきものが見え、この装置は同時に04A歩兵戦闘車の砲塔右側にも出現している。ひとたびこの装置がレーザーを探知計測すれば、対応する方向に向け特殊な煙幕弾を発射し、レーザー制御誘導爆弾の打撃を妨害することができる。種々の装置の使用は、99大改戦車に重量増加が大きくない状況下でトップクラスの防御能力を獲得させている。防盾上方には、さらに速度測定レーダー、砲身正確調整装置らしきものが追加され、火力打撃の精度をより正確にさせている。99大改の改良は全方位で、防御、火力、機動の三大性能がいずれも大幅に向上していると言える。
実戦機のディテールの変化を探求
空軍も今回多種の改良型実戦機を閲兵に参加させ、改良が最大のものには轟ー6Kが属する。轟ー6の本来の機首部の透明ガラスカバーはなくなり、黒色で電波を透過する整流カバーが取って代わった。このことは、本来のナビゲーション員の座席がなくなったことを示す。ナビゲーション設備、航空電子システムはより先進的になり、もはや専門のナビゲーション員を必要としなくなったのである。2つの空気取り入れ口と翼の付け根のエンジンナセルはより大きく、バイパス比がより大きいD-30ターボファンエンジンに換装されたことを示す。推力が大きくなっただけでなく、燃料消耗も減少している。外界はD-30エンジンの推力を根拠に、轟ー6Kの離陸重量は100トン近く、機全体では古い轟ー6に比べ1/3大きくなっているだろうと分析している。この機の尾部は見たところ小型のエンジン排気口を持っているようだ。それは補助動力装置である可能性が高い。主にメインエンジン始動前、キャビン内の設備、空調などのために電源を提供し、かつ外部に電源車がない状況下でエンジンを始動するのに用いる。この機の垂直尾翼の下の航空機関砲はなくなっているが、外観から見て垂直尾翼上には多くのミサイル接近警告、レーダー警告受信機が装備され、電子戦レベルは非常に大きな向上を得、こうした設備が提供する自衛能力は航空機関砲とは比較できないものである。
今回閲兵に参加した殲ー11Bは外観上見たところ殲ー11との最大の差異は搭載するミサイルにある。殲ー11が搭載するのはロシア式のR-73やR-77空対空ミサイルで、一方殲ー11Bは「霹靂-8」および「霹靂-12」ミサイルを搭載する。メディアが明るみに出した実戦機の訓練画像から見て、今回閲兵に参加した殲ー11Bは依然AL-31Fエンジンを採用しているが、これまでに公開された大部分の殲ー11Bは国産「太行」エンジンを採用していた。また、殲ー11Bはさらにミサイル接近警告装置が追加され、翼端の電子戦ポッドがなくなり、このことは電子戦システムに整合最適化が行われたことを説明している。(張亦馳)
「これまでに公開された大部分の殲ー11Bは国産『太行』エンジンを採用していた」のに「今回閲兵に参加した殲ー11Bは依然AL-31Fエンジンを採用してい」た、というのは大事な閲兵に使用する機に国産エンジンは信頼性が低くて不安があった、ということかもしれません。このように外観から分かってしまうのでなるべく国産エンジンを使いたかったはずですが、それでも使えなかったのならまあそういう状態なんでしょうかね。