DF-21D対艦弾道ミサイル

 いろいろな最近の中国の軍事関係の文章を読んでいると、「DF-21D」という名前がよく出てきます。非常に期待度が高いらしいこの兵器のことが気になって調べてみました。2つのページはいずれも去年の夏に発表された比較的古い情報ですが、検索してもこれ以後目立った情報はないようです。まず最初のページです。

http://news.ifeng.com/mil/2/detail_2011_08/22/8588016_0.shtml


外国メディア:DF-21Dはアメリカ軍に2,000kmの後退を強いる 大型空母時代の終結

(頑住吉注:原ページのここには関係のニュース動画とこのミサイルの画像があります)

カタールの「海湾時報」が8月21日に発表した著名な軍事事務専門家Eric S. Margolisの文章は次のように称している。アメリカ海軍はまだ態度表明していないが、実際には中国の新型対艦ミサイル、特に東風-21Dミサイルの発展をどんどん心配するようになっている。何故ならこのミサイルの主要な目標はアメリカの巨大空母だからである。しかも、このミサイルはアメリカに大型空母を放棄し、無人機とヘリコプターを搭載できる小型空母開発に転じることを強制するかもしれないのである。

外国メディアは次のように言う。消息筋のリークによれば中国は限られた数の東風-21D対艦弾道ミサイル(ASBM)を装備済みである。信じられているところによれば、その射程は2,700kmで、少なくともある程度の移動目標打撃能力を備えている。この他、中国はさらに衛星、遠距離反向散射レーダー(頑住吉注:検索しましたが意味不明です)、潜水艦、距離3,000kmまでの外海を移動する目標を識別できる無人機の研究開発努力を行っている。これらの厳密にカバーする探知計測装置は東風-21Dおよびその他のより射程の短い艦、空、陸上基地の対艦ミサイルのために正確でリアルタイムな照準データを提供する。

外国メディアは言う。アメリカ海軍は依然、その空母は中国のいかなる新型ミサイルの脅威もまだ受けるに至っておらず、しかも依然中国沿岸における行動の自由を保っていると断言している、と。しかし、東風-21Dミサイルは南海全体をカバーできる(台湾地区を含め)。これは11隻の空母戦闘群を持ち、ワシントン政府にグローバルな戦力投入を行わせることができるアメリカ海軍に関して言えば、これは非常にまずい情報である。中国沿岸に配備される東風-21Dミサイルは、あるいはアメリカ海軍を直ちに中国沿海から遠く離れさせ、台湾地区を孤立させることができるかもしれない。しかもアメリカの沖縄およびグアム島の基地に脅威を与えることができるかもしれない。事実として、東風-21Dミサイルの存在およびその大量配備だけで、あるいはアメリカ空母を中国の沿海から少なくとも2,000km遠く離れさせるに足りるかもしれない。こうなればアメリカ空母艦載機の有効航続距離を超える。

Margolisは、1人の海事作家として、自分はずっと攻撃空母は戦艦と同じ道をたどると信じている、という。こうした空母は重量約10万トンであり、極めて大きな目標である。空母は海面から大きな一定の距離突き出しており、遠距離レーダーや赤外線センサーで容易に見つけ出される。この他、アメリカのそれぞれの攻撃型空母は100万ガロン近い航空燃料および数百トンの軍需品を搭載している。第二次大戦の期間、アメリカ海軍は空母の作戦を一種の高度に科学化された行動に発展させた。しかも、アメリカ海軍はその傑出したダメージコントロール技術でも有名であり、彼らは本国の戦闘艦の過度な損失を避けることに成功した。しかし、対艦ミサイルは空母にとって致命的武器である。空母の層に分かれた対艦ミサイル防御システムは来襲する少数のミサイルを阻止できるが、もし発射されるミサイルの速度が充分に速く、かつ異なる方向から来襲すれば、少なくとも1発あるいは2発のミサイルが空母およびその護衛艦隊の防御を突破する。1発のミサイルが命中しただけでも炸薬と燃料を満載した空母はすぐに大火災を起こし、大量の損失をもたらし、したがって空母の機能を麻痺させる。

(頑住吉注:これより2ページ目。最初にある画像のキャプションです。「商業用運搬ロケットはコスト上大気圏突入の問題を考慮する必要がない。だが、『対艦弾道ミサイル』は再び大気圏に突入する能力を追加する必要があるだけでなく、超高速状態でのターミナルコントロール問題をも考慮する必要がある。同じクラスの商業運搬ロケットの製造コストよりはるかに高い。」)

Margolisは、自分の参加したことのある何度もの海上作戦シミュレーションから見て、ほとんど毎回の作戦シミュレーションで敵軍の航空機や潜水艦発射した何発かの対艦ミサイルが必ず空母の層に分かれた防御システムを突破し、最終的に空母に命中した。一方それぞれの空母やその護衛戦闘艦のコストはいずれも250億アメリカドルを超える(艦載機は含めず)。このため、ワシントン政府はそれらの艦を相対的に安価な中国のミサイルの命中を受ける危険に直面させることはできない。

アメリカ海軍は自分たちのお気に入りの空母が日増しに没落していくとの説を否定する。戦前のアメリカ海軍は戦闘艦勤務の将軍が指導していた。だが現在では主に元海軍航空兵が指導している。このため、海軍指導者は大型攻撃空母を放棄したがらない。海軍と空軍が有人戦闘機を放棄し無人機に頼ることに反対するのと同じである。しかし、今年アメリカ海軍学院の雑誌「Proceedings」5月号が発表した文章は、海軍に空母建造を直ちに停止するよう強烈に要求し、人をして大いに驚愕させた。「Proceedings」は海軍建設の代弁者である。その提出した異端の視点は非常にショッキングだが、必ずや必要なことである。

Margolisは、アメリカ海軍は現在現実と向き合い、その時代遅れの攻撃型空母に焦点を合わせ計画を制定する時である、とする。無人機とヘリコプターを搭載する小型空母は依然一定の作用を発揮するが、巨大空母の時代はすでに去り戻っては来ない。しかも、今年8月、中国はその中型空母「ワリヤーグ」号に対し海洋試験を行うことを表明した。中国もすでにこの点を意識するに至っているのである。信じられているところによれば、中国のこの中型空母は固定翼機、無人機、ヘリコプターを装備するかもしれない。

現在すでに破産に近いアメリカに関して言えば、新型システムの研究開発、中国海軍のミサイルへの対抗は消耗の大きな仕事となる。このことは、アメリカ第7艦隊は止むを得ず海岸線から遠く離れた海域でパトロールを行い、そこではその影響力は大幅に削減され、喪失さえすることを意味している。こうなれば、太平洋北部はアメリカ不在の湖である。

(頑住吉注:これより3ページ目ですが、以後のページは画像とキャプションだけです。

3ページ目。「固体燃料、機動発射方式も東風-21Dミサイルを同クラスの液体燃料、固定発射の運搬ロケットに比べコストをより高くしている。」 一般に固体燃料ロケットの方がコストが安いとされているはずですが。

4ページ目。「いわゆる『対艦弾道ミサイル』はより先進的な大気圏再突入技術と制御誘導技術をも必要とする。これぞれの項目の技術はいずれも多くの金をかけて研究が行われ、使われる材料や製造コストはいずれも低廉にすることは不可能である。」

5ページ目。「弾道ミサイルはそれ自体製造コストが非常に高い。ある西側メディアは、中国の持つ東風-21は100発未満であると指摘する。」

6ページ目。「東風-21弾道ミサイル。主に戦略的脅威および部分的な対地戦術打撃任務に用いられる。外界は対空母、対衛星のスーパー性能をも付与している。」 これは別タイプの東風-21地対地ミサイルの画像を使用し、キャプションも流用したんじゃないですかね。トンチンカンです。なお、以後の3ページはもっと関係の薄い画像です。

7ページ目。「『パーシング-2』はアメリカが1970年代に研究開発した中距離ミサイルで、1981年から配備が開始された。射程は1,770km、命中精度は30mとされる。」 

8ページ目。「1980年代以降、アメリカは米ソ中距離ミサイル条約に基づき、すでに全ての中距離ミサイルを廃棄している。このため『パーシング-2』ミサイルも歴史の舞台から消えた。」 

9ページ目。「国慶節の閲兵に参加する第二砲兵隊の東風-15B通常ミサイル方隊が閲兵村で訓練を行っている。」 なお10ページ目もこれと同じキャプションです。)


 続いて2つ目のページです。

http://mil.news.sina.com.cn/2011-07-22/0956658073.html


アメリカメディア、中国のDF-21D対艦ミサイルの射程はアメリカの予期を超える、とする

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「資料画像:解放軍第二砲兵隊の東風-21C中距離弾道ミサイルが閲兵に参加している」)

「何世紀もの間、水上艦艇はずっと水雷、潜水艦、航空機、巡航ミサイルの脅威の下で必死にもがきながら生存してきた。だが現在、中国のある先進的対艦弾道ミサイルがこの脅威を新しいレベルに引き上げる。」 アメリカの「Aviation News Weekly」に最近掲載された文章は、中国が「空母殺し」と称する「東風-21D」対艦弾道ミサイルに対しさらに一歩の憂慮を表明した。その原因は中国のメディアがこのミサイルの射程はアメリカの予期を超え、2,700kmにも達するとしていることである。「Aviation News Weekly」は、もしこのデータが事実に属せば、中国の対艦弾道ミサイルの射程は南海をカバーするに足り、アメリカ海軍の将来の発展に対し極めて大きな衝撃を与える、と考える。

中国の「東風-21D」対艦弾道ミサイルは大雑把に言って近年における各国海軍に対する衝撃が最も大きい武器の1つである。インドの「商業標準報」は18日、中国の新たな対艦弾道ミサイルの出現はアメリカの国家安全保証業務の決策者を大いに驚かせるだけでなく、彼らにいかにしてこの種の全く新しい脅威に対応するか改めて考慮することを強いる。これまでペンタゴンは、「東風-21D」の最大射程は約1,500kmであり、アメリカ空母戦闘群の作戦半径を超えると推測してきた。アメリカの専門家は、ミサイルの実際の作戦距離は通常最大射程より短く、この最大射程の距離上にあるアメリカ空母は真に脅威を受けることはないが、これはもしアメリカ空母が中国沿海を攻撃するなら中国のミサイルの攻撃範囲にリスクをおかして進入することが必須であるということを意味している、と考える。

だが「Aviation News Weekly」16日の報道はアメリカの憂慮をさらに一歩深めさせた。この報道は中国メディアの報道を引用して、「東風-21D」ミサイルの射程はこれまでの推測をはるかに超え、2,700kmにも達するとした。「これはアメリカ空母が「東風-21D」の射程外から進攻を発動したければ、航続距離がより長い艦載機を持つことが必須であるということを意味している。同時に「東風-21D」が相対的に安全な内陸地域に配備され得ることも意味している。アジアの海軍に関して言えば、これは中国より南の海沿いの都市全てが、広東に配備される「東風-21D」によってカバーされることを意味する。報道は、アメリカはこれまで「東風-21D」はすでに配備されているが、中国のこのミサイルに対する第2次のカギとなる重要なグレードアップは依然進行中だと認定していた、とする。「アメリカ太平洋司令部の司令ウィラードは去年12月、「東風-21D」は初歩的作戦能力の具備に近づいており、台湾も解放軍がこのミサイルの配備を開始していると言っている。だが解放軍総参謀長陳炳徳は最近の談話で、すでに配備された「東風-21D」は最終的な状態ではないと暗に示した。」と語った。報道はアメリカのシンクタンク2049プロジェクト研究所の執行主管マーク シダックスの話を引用し、「中国の最初の対艦弾道ミサイルは簡略化されたタイプで、その後発展型が出現し、それは例えば高空レーダーシステムなどより先進的な技術を使用しているかもしれない。」と話した。

あるいは2,700kmというこのデータはアメリカ軍の予測を超えているかもしれないが、「Aviation News Weekly」はこれに対し疑義を表明している。報道は、2,700kmというこの数字は「東風-21」初期型を固定目標の攻撃に用いる場合の射程かもしれず、このずれは記者の粗忽がもたらしたものかもしれない、とする。シダックスは、「対艦弾道ミサイルの射程の必要性は、アメリカ空母攻撃群の武器プラットフォームの最大航続距離によって決まる。2,700kmというのはいささかこの必要性を超えている」と表明する。だが、「Aviation News Weekly」はそれでも、この数字は外部に向け伝達されたある種の情報であると考える。「「東風-21D」の特別に増加された射程は、現在使用できるとしても、あるいは将来の発展型でやっと具備できるにしても、いずれにせよ中国により大きな柔軟性を獲得させる。」

別の方面では、「東風-21D」の出現のため、一部のアメリカの専門家も再度空母が存在する必要性に疑問を持っている。2011年5月に出版されたアメリカ海軍協会学報上で、アメリカ海軍大佐ヘンドリックスと海兵隊の中佐ウィリアムスがアメリカ海軍に空母建造停止を強く求めている。彼らは「東風-21D」の脅威に言及した時、次のように書いている。「技術の進歩はスーパー空母の時代を終わらせる。まさに第二次大戦で艦載航空兵の遠距離進攻が戦艦の時代を終結させたのと同じである。」 アメリカ海軍のある人物は、データチェーン切断の方式を通じて「東風-21D」の攻撃から逃れられるとも考えている。報道は、中国の新型ミサイルの脅威に直面し、中国の隣国およびオーストラリアなどの国々は、「東風-21D」のデータチェーンを攻撃するのは巨大なチャレンジであり、甚だしきに至っては想像もできないことだと考える。このため近年、アジア太平洋の海軍は資金をより多く潜水艦に用いている。日本は18隻の潜水艦によって組成される海中艦隊を24隻まで増加することを計画しており、一方オーストラリアは6隻から12隻への増加を計画している。


 いくら何でもここまで中国がこの兵器に期待をかけているとは思いませんでした。全体的にだいぶオーバーなんじゃないかという感覚が漠然としますけど、私には専門知識に基づく正しい判断はできません。コラムで、中国の軍事サイトで今後期待する兵器のアンケートを取ったらこのミサイルが約13%、殲-20の約半分の得票を得たという結果を紹介しましたが、これはこういう宣伝のおかげであり、また中国のネットユーザーがアメリカのアジアにおける影響力を苦々しく思い、それを打破できる兵器を強く求めていることのあらわれでもあるんでしょう。
















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